飲食店の市場環境

2023年度の飲食店市場環境

– 市場規模: 末端売上高ベースで前年度比6.5%増の31兆2,411億円に達した。
– 業態別の動向:
– ファストフード: コロナ禍でも好調で、テイクアウトとデリバリーの定着により好調を維持。
– ファミリーレストラン: コロナ禍で不採算店舗の整理を行い、DX推進により業務効率化が図られた。
– 専門料理店: すし、うどん・そば店、中華レストラン・ラーメン店、カフェなどが回復している。
– 居酒屋、パブ、ビアレストラン: 宴会需要も戻りつつあるが、店舗数が減少しているためコロナ禍前の水準には達していない。

2024年度の展望

– 来店客数の増加: コロナ禍から社会経済活動が復調したため、2023年度と比較しても来店客数が増加することが見込まれる。
– 価格改定: 価格改定などの施策により客単価が上昇することが想定されるため、市場規模は末端売上高ベースで前年度比2.9%増の32兆1,423億円を予測。

2023年度の外食業界の特徴

– 売上高の増加: 外食全体の売上高が対19年比で107.7%に達し、下半期のインバウンド需要の復活が業界全体の回復に貢献した。
– 倒産件数の増加: 倒産件数が多いが、新規で出店できる立地が増えるため、大手チェーンも出店を加速させる。

2024年度の外食業界のトレンド

– 消費者の機会食化: コロナにより外食をする機会が減ったことで、消費者が吟味してお店選びをするようになったため、会員制や招待制といった来店そのものに付加価値をつける手法が増えている。
– 客単価の向上: 消費者の機会食化に伴う客単価の向上が見込まれる。

2023年度の市場規模の推計

– 給食主体部門: 市場規模は20兆2793億円、前年比18.3%増。飲食店、宿泊施設などの「営業給食」は17兆1052億円、20.9%増と伸長した。
– 業態別の推計値:
– 飲食店: 14兆1313億円(18.6%増)
– 食堂・レストラン: 19%増
– そば・うどん店: 25.4%増
– すし店: 15.6%増
– その他の飲食店: 12.4%増
– 機内食: 75.3%増.

2024年8月の外食市場規模

– 市場規模: 3019億円(前年同月比+231億円・東名阪3圏域計)
– 外食単価: 2,874円(19年比114.3%)
– 業態別の市場規模:
– ファストフード: 114.7%
– すき焼き、しゃぶしゃぶ、鍋、おでん等の専業店: 107.0%.

飲食店のM&Aの背景と動向

飲食店のM&Aは、業界の変動や企業の戦略により活発化しています。以下に飲食店のM&Aの背景と動向をまとめます。

### 背景

1. 市場規模の変動
– ピーク期と低迷期:外食業界は1997年にピークに達し、その後少子高齢化や低価格競争の激化、中食市場の拡大により低迷しました。
– コロナ禍の影響:2020年以降、コロナ禍の影響により急激に後退していますが、核家族化や共働き世帯の増加により家庭で調理を行う割合が減少し、食を外部に求める比率が上昇しています。

2. M&Aの必要性
– 経営環境の厳しさ:中食市場の拡大やコロナ禍の影響により、飲食店の経営環境が厳しくなり、M&Aが活発化しています。
– 事業承継の問題:中小企業や個人経営の飲食店では、後継者不在問題が常態化しており、M&Aを利用した事業承継が広がっています。

### 動向

1. M&Aの活発化
– 第一次外食M&Aブーム(2004年~2008年):
– 金融危機の影響:1997年の金融危機により、外食業界が毎年平均3%市場規模を縮小。将来的な市場拡大の見通しも悪くなりました。
– M&Aによるグループ規模拡大戦略:ゼンショーやコロワイドなどがM&Aを積極的に行い、グループ規模を拡大しました。

2. 第二次外食M&Aブーム(2016年~2020年):
– 観光政策の影響:2003年のビジット・ジャパン・キャンペーンにより、観光需要が増加。2013年に訪日外国人客数が1000万人を突破し、2020年の東京オリンピック開催が決定しました。
– インバウンド需要の増加:観光需要の増加により、外食市場がインバウンド需要の増加により、2013年増加傾向へと反転しました。

3. 第三次外食M&Aブームの可能性
– 既存事業の深堀:既存事業のサプライチェーンの強化や既存領域の拡張が期待されています。
– 食のベンチャー企業のイグジット:ベンチャー企業のイグジットが期待されています。

### メリット

1. 事業継続の可能性
– 経営基盤の安定化:M&Aにより、経営基盤を安定化し、事業継続の可能性が高まります。
– 雇用維持:M&Aにより、従業員の雇用を維持し、事業の継続を図ることができます。

2. 資産価値の向上
– 好条件の立地:好条件の立地が資産価値に繋がり、M&Aで高い評価を得る可能性があります。

3. 事業の拡大
– 中食市場への切り込み:中食市場への切り込みが可能になり、同分野での競争力を高めることができます。

### 事例

1. ゼンショーホールディングス
– アメリカのお持ち帰り寿司チェーンの買収:アメリカのお持ち帰り寿司チェーンの「アドバンスド・フレッシュ・コンセプツ」を完全子会社化しました。

2. オレンジフードコート
– ドムドムハンバーガーの事業譲渡:「ドムドムハンバーガー」の事業の一部をレンブラントホールディングスに譲渡しました。

これらの背景と動向を通じて、飲食店のM&Aは経営環境の変動や企業の戦略により活発化し、事業継続や資産価値の向上など多くのメリットがあります。

飲食店のM&A事例

飲食店のM&A事例をまとめます。

### コロナ禍以前の成功事例

1. 株式会社フジオフードシステム × 株式会社グレートイースタン (2019.3)
買収の背景: フジオフードシステムは大衆外食チェーンを展開しており、グレートイースタンは老舗ステーキレストランを運営していました。
買収の利点: フジオフードシステムは歴史とブランドがある業態を獲得できました。
取引価額: 27億円。

### コロナ禍の成功事例

2. 有限会社アール・アンド・ビー守破離 × 株式会社A&B (2020.11)
買収の背景: アール・アンド・ビー守破離は神戸市の飲食企業で、「レッドロック」「牛昭」などを営んでいました。
買収の利点: A&Bはイートアンドホールディングスの子会社で、ビアバルや居酒屋を4店舗運営していました。
取引価額: 非公開。

### アフターコロナの成功事例

3. 株式会社海帆 × 株式会社スリーエス (2022.7)
買収の背景: 海帆は外食企業で、GYRO HOLDINGS株式会社と提携していました。
買収の利点: スリーエスは焼肉 USHIHACHI を運営しており、GYROは伝統的資産を活用するために新たな事業展開を行う必要がありました。
取引価額: 非公開。

### 国内同業者同士のM&A事例

1. ワタミ × 日本サブウェイ (2024.10)
買収の背景: ワタミは飲食、環境、農業事業を展開しており、日本サブウェイの持分を取得しました。
買収の利点: ワタミは有機野菜を活用した商品開発やフランチャイズ展開のノウハウ向上を目指しています。
取引価額: 非公開。

2. 木曾路 × 大将軍 (2020.11)
買収の背景: 木曾路は複数のジャンルの飲食店を運営しており、大将軍の全株式を取得しました。
買収の利点: 木曾路はコロナ禍の中で両社の強みを生かして、付加価値の高い店舗運営を実現することを目指しています。
取引価額: 非公開。

### 飲食店と異業種間のM&A事例

1. CSSホールディングス子会社 × パトリオットバトン (2018.8)
買収の背景: CSSホールディングスの子会社センダンは外食事業のパトリオットバトンの全株式を取得しました。
買収の利点: センダンは自社グループのフードサービス業における新たな領域の拡大を目的としています。
取引価額: 非公開。

### その他の事例

1. かんなん丸 × しんしん丸 (2023.05)
買収の背景: かんなん丸は料理飲食店のしんしん丸を吸収合併しました。
買収の利点: かんなん丸は事業領域の拡大を目指しています。
取引価額: 非公開。

これらの事例から、飲食店のM&Aは企業の事業領域の拡大や、業態の強化、ブランド力の向上を目的として行われています。

飲食店の事業が高値で売却できる可能性

飲食店の事業が高値で売却できる可能性を以下のようにまとめます。

立地条件が非常に重要です。特に、人気エリアの路面店や駅近の立地は高値で売却される可能性が高まります。例えば、恵比寿や吉祥寺などの繁華街の店舗はかなりの高値で売却される可能性があります。

規模や清潔感も売却価格に影響します。人気サイズの店舗は10~20坪程度で、規模が大きくない店舗ほど、数席減るだけで営業と売上に影響がでるため評価が下がります。また、清潔感も重要で、毎日念入りに掃除をしていて古さを感じさせない空間であれば評価が高くなります。

需要が多い立地も重要です。例えば、ランニングコストを安く抑えることができ、かつ安定的に集客効果が見込める立地であれば、買い手からのニーズが大きいため売却価格は高くなるでしょう。

財務状況の改善も高値での売却を成功させるためのポイントです。特に、純資産の金額や利益率、成長性が高いほど、高い金額で売却できる可能性が高まります。

これらの要素を押さえることで、飲食店の事業が高値で売却される可能性が高まります。

飲食店の企業が会社を譲渡するメリット

飲食店の企業が会社を譲渡するメリットは以下の通りです。

– 金銭的な余裕ができる現金を得られる:事業譲渡が成功すると、譲渡利益が発生する場合があります。飲食店の廃業には撤去費用や原状回復のための多額の費用がかかりますが、事業譲渡で得られた利益はこれらの費用や新規ビジネスの資産として活用でき、出費を抑えられるでしょう。
– 後継者問題の解消後継者を見つけられる:事業譲渡により、店舗を新しいオーナーに譲ることができ、後継者問題が解消されます。
– スタッフの雇用継続スタッフの継続雇用:事業譲渡により、スタッフは雇用を解除されずに働き続けられます。スタッフの雇用の継続を条件に入れておくことで、長年店舗を支えたスタッフの雇用を守ることができます。
– 組織再編の便利さ組織再編の整理:事業譲渡は、ノンコア事業や不採算部門の整理など、組織再編の一環として行われることが多く、効率的に整理することができます。
– 株式を必要としない資産として売買できる:事業譲渡は株式を必要としないため、個人事業でもM&Aを実行できるようになります。

飲食店の事業と相性がよい事業

飲食店の事業と相性がよい事業を以下にまとめます。

### テーブルレストラン

店舗での飲食提供 – テーブルレストランは、ファミリーレストラン、一般食堂、専門料理店など、店舗で飲食を提供するビジネスモデルです。店は食材を仕入れ、これを調理加工して料理として提供し、ホールスタッフがテーブルに行き注文を聞き配膳するテーブルサービス(接客)を行います。

### 居酒屋

酒類と料理提供 – 居酒屋は主要メニューとして酒類とそれに伴う料理を提供する飲食店です。営業時間は夕方から深夜まで、短時間営業で客単価も高い、高効率のビジネスモデルですが、コロナ禍では大打撃を受けました。

### ファストフード

手軽な食事提供 – ファストフードは手軽な食事を、注文後、短時間で提供する店舗チェーンです。ハンバーガー、回転寿司、牛丼、立ち食いそば、フライドチキン、ドーナツ、サンドイッチなど、提供される食事は多様です。店舗内での飲食も持ち帰りも可能で、比較的安価なメニューを提供し、回転率が高いのが特徴です。

### 宅配系(弁当、ピザ、寿司)

自社調理料理配達 – 宅配系は自社で調理した料理を消費者に配達するビジネスモデルです。「料理・自炊するのが面倒・時間がない」「外食をするのが面倒・時間がない」という人々のニーズに応えて成長しています。特にコロナ禍以降、外出自粛やテレワークの拡大による「巣ごもり需要」を取り込んで普及が進みました。

### フードデリバリーサービス

オンライン注文配達 – フードデリバリーサービスは、PCやスマートフォンを通じて、オンラインで注文を受け、料理を配達して手数料を得るビジネスモデルです。飲食店・顧客・配達員をつなぐ宅配システムを構築した事業者が、注文の取り次ぎに加えて配達も代行するサービスがあり、その両者を兼ねる事業者もあります。

### カフェ

セルフサービスの提供 – カフェ業界はお店から直接消費者に商品を販売するビジネスモデルが一般的です。その中でセルフサービスのチェーン、フルサービスのチェーンに大きく分かれます。セルフサービスのチェーンはスターバックスやドトール、フルサービスのチェーンはコメダ珈琲店、星乃珈琲店などです。

### セルフ化に特化したビジネスモデル

自動レーンやデジタルパネルの導入 – セルフ化に特化したビジネスモデルでは、自動レーンを使って商品が運ばれる回転ずしや、無人のデジタルパネルを使った予約・席案内、スマホでの注文などが該当します。セルフに特化すれば、人件費を格段に抑えられます。

### テイクアウトやデリバリーに特化したビジネスモデル

テイクアウト専門店やゴーストキッチン – 最近では、テイクアウトやデリバリーに特化した飲食店も急増しています。客席を設けないテイクアウト専門店やデリバリーだけに対応したゴーストキッチン・クラウドキッチンなどが主な導入事例です。コロナ禍によって自宅での食事機会が増加したほか、フードデリバリーも普及したため、テイクアウトやデリバリーの需要が急速に高まってきています。

### 通信販売に特化したビジネスモデル

自宅での通信販売 – 通信販売に特化したビジネスモデルを導入する飲食店も登場し始めています。店舗に人を呼び込む必要がなくなるので集客の問題が解決できるほか、ホールスタッフなどの人件費も抑制できます。

### 完全非接触型のビジネスモデル

スマホ決済やロッカー受け取り – 完全非接触型のビジネスモデルでは、顧客は欲しい商品をアプリで注文し、お金の支払いもスマホ決済です。さらには、商品を店内ロッカーで受け取れる飲食店も存在します。完全非接触型のビジネスモデルはコロナの影響による世の中の変化をうまく利用した手法だと言えるでしょう。

飲食店の企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由

M&A Doは、飲食店の企業がM&Aを依頼する際におすすめの選択肢です。その理由は、まず譲渡企業様から手数料を一切いただかないという点です。これにより、コストを気にせずに安心してご相談いただけます。さらに、豊富な成約実績を誇っており、多くの企業様にご満足いただいております。加えて、飲食店の業界にも深い知見を保有しているため、業界特有のニーズや課題に対しても的確なアドバイスを提供することが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。