目次
防犯・セキュリティ機器専門業の市場環境
防犯・セキュリティ機器市場環境の概要
– 市場規模と成長率:
– 監視・セキュリティ機器市場は2023-2028年に478億3,000万米ドル、予測期間中のCAGRは11.61%で成長すると予測されます。
– ホームセキュリティシステム市場は2023年に649億1,000万米ドルと推定され、2024年には700億3,000万米ドルに達し、CAGR 8.11%で2030年には1120億5,000万米ドルに達すると予測されます。
– 公共の安全とセキュリティ市場は2024年の5834億7千万ドルから2032年には11974億9千万ドルに成長すると予測されており、予測期間中に9.4%のCAGRを示します。
– 成長要因:
– AIを活用したスマートな監視システム:
– AIを活用したスマートな監視システムの登場が市場の成長を牽引する主な要因です。
– 犯罪予知監視:
– 戦略的提携や犯罪予知監視も市場の大きな需要につながると思われます。
– スマートシティの需要:
– スマートシティ全体における監視とセキュリティの必要性が市場を牽引しています。
– 高犯罪率とテロ攻撃の抑止:
– 犯罪活動やテロ攻撃を軽減する必要性が市場の成長を促進しています。
– 課題:
– コネクテッドデバイスのデータプライバシーとセキュリティ:
– 業界はコネクテッドデバイスのデータプライバシーとセキュリティに関する課題に直面しています。
– 規制の厳格化:
– 企業は厳格な規制を遵守し、消費者情報の保護を確保する必要があります。
– 市場動向:
– ホームセキュリティシステムの進化:
– ホームセキュリティシステムは過去10年間に大きな進化を遂げ、世界中の住宅地での導入が大幅に増加しています。
– 監視システムの拡大:
– 監視システムは、リアルタイムの監視、脅威の検出、証拠収集を提供することで、公共の安全とセキュリティにおいて重要な役割を果たしています。
– 地域別の成長:
– 北米:
– 高所得水準、高度なセキュリティ技術への認識、良好な規制環境により、北米がホームセキュリティ分野を支配しています。
– アジア太平洋地域:
– 中間層の急増、インフラ整備、IoTのような革新的技術の採用により、大きな可能性を示しています。
– ラテンアメリカ:
– 都市化の進展と生活水準の向上により着実な成長を遂げています。
– 主要プレーヤー:
– 主要プレーヤーはリアルタイムアラートやマルチプラットフォーム統合などの機能で革新を進めています。
防犯・セキュリティ機器専門業のM&Aの背景と動向
サイバーセキュリティ業界や警備業界のM&A動向について、以下に要点をまとめます。
### サイバーセキュリティ業界のM&A動向
– M&A規模の増加:
– 2021年におけるサイバーセキュリティのM&A件数は286件、取引金額は775億ドルでした。
– 需要の増加:
– サイバー攻撃の手法が年々巧妙化しており、多くの企業や個人が被害に遭っているため、サイバーセキュリティの需要はますます伸びると予想されます。
– 大手企業による買収:
– 大手IT企業がサイバー攻撃対策を急務としており、ゼロから自社内にサイバーセキュリティを構築するのはコストや技術面で困難な場合があります。そこで、低コストで素早くサイバーセキュリティのシステムを確立するために、率先してサイバーセキュリティ企業を買収する事例が増加しています。
### サイバーセキュリティ業界のM&A理由
– 自衛のため:
– 近年、日本の政府機関や地方自治体、企業のホームページなどをピンポイント標的にするサイバー攻撃が増加しています。M&Aによりサイバーセキュリティ企業を買収、自社のセキュリティ対策に活かすケースがみられます。
– 顧客や取引相手の信頼のため:
– 日本の政府機関や地方自治体、企業のホームページへのサイバー攻撃により大量の個人情報流出が問題となっています。顧客や取引先などからの信頼を得るためサイバーセキュリティ企業を買収するというケースもあります。
### サイバーセキュリティ業界のM&A事例
– InteraktによるSealcube Secopsの買収:
– 2024年7月2日、Interaktはインドのサイバーセキュリティ会社Sealcube Secops Pvt.Ltd.を買収しました。Interaktは、ブロックチェーン、AI、IoTに特化したコンサルティング・システム開発を行い、インドにオフショア開発拠点を持つ企業です。Sealcube Secopsは、チャネル専用のサイバーセキュリティを提供しています。
– GMOインターネットによるイエラエセキュリティの子会社化:
– 2022年1月、GMOインターネットグループは、イエラエセキュリティの株式を取得し、サイバーセキュリティ事業に参入することを決定しました。イエラエセキュリティは、ラウドセキュリティ診断、クラウドセキュリティ・アドバイザリーを提供するサイバーセキュリティ企業であり、技術力に優れています。
### 警備業界のM&A動向
– M&Aの目的:
– M&Aを行うことで、財務基盤の強化が可能です。財務基盤が強化されれば、警備員の定着率を引き上げる待遇改善も可能になるため、人材確保にもつながり、事業に必要な設備に対しても十分な投資ができるようになります。
– シナジー効果の獲得:
– M&Aを行うことで、クロスセルなどによる売上拡大のシナジー効果を得られます。また、営業拠点の統廃合や採用の一元化によるコスト削減などのシナジーを期待できます。
– 警備会社同士のM&A:
– 警備会社同士のM&Aでは、先述のとおり警備事業に必要な人材や設備などの経営資源をまとめて取得できます。自力で採用活動や設備投資を行う場合と比べて、短期間で事業規模を拡大できます。
### 警備業界のM&A事例
– セコムによる共栄セキュリティーサービスの資本業務提携:
– 2020年5月、セコムは共栄セキュリティーサービスとの間で資本業務提携を締結しました。セコムは、防犯・防災商品から家のセキュリティ、法人向けの警備サービスを提供しています。
これらの動向から、サイバーセキュリティや警備業界のM&Aは、企業のセキュリティ対策強化やビジネス成長を目的として活発に行われています。
防犯・セキュリティ機器専門業のM&A事例
サイバーセキュリティや警備業界のM&A事例を以下にまとめます。
### サイバーセキュリティ業界のM&A事例
– イエラエセキュリティとGMOインターネットの提携:
– サイバーセキュリティ事業への新規参入:
– イエラエセキュリティはWebアプリやスマートフォンアプリ、IoT機器を対象にセキュリティ脆弱性診断サービスを提供し、国内最大級のホワイトハッカー組織を有しています。GMOインターネットはインターネット広告事業やメディア事業、金融事業、暗号資産事業などを展開しています。この提携により、サイバーセキュリティ事業への新規参入とシナジー効果の創出が期待されています。
– KDDIによるアジアンリンクの買収:
– 急激な環境変化への対応:
– KDDIは電気通信事業を展開し、サイバーセキュリティ事業の更なる拡大を目的にアジアンリンクを買収しました。さらに、KDDIは2018年にKDDIと共同で総合セキュリティソリューションを提供する合弁会社を設立し、M&Aによる事業拡大を積極的に進めています。
– ビジネスブレイン太田昭和によるグローバルセキュリティエキスパート(GSX)の買収:
– 高度化・多様化するサイバーセキュリティ分野への対応:
– ビジネスブレイン太田昭和は高度化・多様化するサイバーセキュリティ分野の企業ニーズに対応する目的で、シグマクシスの合弁会社であったグローバルセキュリティエキスパート(GSX)を買収しました。さらに、GSXと共同で公認会計士とシステムエンジニアをセキュリティ人財へ育成するプロジェクトを開始しています。
– NTTセキュリティによるWhiteHat Securityの買収:
– 顧客のビジネスをサイバー脅威から保護する技術への投資:
– NTTセキュリティはアメリカの大手アプリケーションセキュリティサービス事業者であるWhiteHat Securityを買収しました。買収を公表した資料には、顧客のビジネスをサイバー脅威から保護する技術への投資を続ける旨が明記されています。
– セグエグループによるファルコンシステムコンサルティングの買収:
– 開発体制の強化と製品ポートフォリオの充実:
– セグエグループは認証に特化したセキュリティ製品の開発・販売事業を手掛けていたファルコンシステムコンサルティングを買収しました。さらに、セグエグループはAIを活用した統合型セキュリティ分析プラットフォームを提供しているStellar Cyber社との代理店契約も締結しています。
### 警備業界のM&A事例
– 綜合警備保障によるALSOKリースの吸収合併:
– 経営効率の高め:
– 綜合警備保障はALSOKリース株式会社を吸収合併し、防犯カメラ、火災報知器などの機械警備機器のリースと販売を手掛けています。合併により、経営効率を高めることが目的となっています。
– セコムと共栄セキュリティーサービスの資本業務提携:
– セキュリティシステムの技術と人的警備の強みの融合:
– セコムは共栄セキュリティーサービスの株式の約3%を取得し、セキュリティシステムの技術と共栄セキュリティーサービスの人的警備の強みを融合させ、シナジー効果を獲得することを目指しています。
– セントラル警備保障によるシーティディーネットワークスの子会社化:
– 機械警備の事業拡大:
– セントラル警備保障はシーティディーネットワークス株式会社の株式の51%を取得し、システム開発や通信・電気工事などを手掛ける会社の工事・施工の技術とノウハウを取り入れて、機械警備の事業拡大を狙っています。
防犯・セキュリティ機器専門業の事業が高値で売却できる可能性
防犯・セキュリティ機器専門業の事業が高値で売却される可能性について、以下のような要素が重要です。
– 市場の需要: 防犯意識の高まりと、AIやセンサー技術の進歩により、セキュリティ市場は堅調に推移しています。この需要は、特に企業や公共施設向けの高付加価値製品の需要が高まりを見せています。
– 技術の進歩: センサー技術やAIを利用した高付加価値製品の需要が高まり、従来の枠を超えた利用も期待されています。
– 企業の実績: 防犯機器メーカーとして、NSKは国内に7箇所の営業拠点と3箇所の自社工場を持っており、2000店舗以上のホームセンターや家電量販店で製品を扱っています。また、警察や自治体向けの「街頭防犯カメラシステム」の開発・販売実績もあります。
– サービス提供: 一貫したサービスを提供する企業も存在し、導入時からアフターフォローまでの全ての段階でサポートを行っています。
– M&Aの活発化: 警備業界ではM&Aによる買収・売却が盛んに行われており、異業種からの参入も増加しています。
これらの要素を考慮すると、防犯・セキュリティ機器専門業の事業が高値で売却される可能性は高いと言えます。
防犯・セキュリティ機器専門業の企業が会社を譲渡するメリット
防犯・セキュリティ機器専門業の企業が会社を譲渡するメリットは以下の通りです:
– 従業員の雇用維持:M&Aによる譲渡により、従業員の雇用が守られます。特に中小企業では、経営状況が厳しい場合や後継者がいない場合に、譲渡によって従業員の雇用を維持することができます。
– 後継者問題の解消:経営者の高齢化や人材不足による後継者問題を解消できます。譲渡先の企業が事業承継を行うため、後継者問題を抱える企業にとって大きなメリットです。
– 資金獲得:経営者は多額の資金を獲得できます。創業者利益として利用することができ、新事業の立ち上げや引退後の生活費に使うことができます。
– 債務解消:譲渡により、会社の債務が買収者へ引き継がれ、経営者個人の財産も守られます。
– 経営資源の活用:大手企業に譲渡することで、ブランド力や営業力、資金力が活用され、売上や顧客の増加が期待できます。
– 経営の安定化:M&Aにより、資本力のある企業へ譲渡することで、経営の安定化につながります。また、大手企業に入ることで多重下請けから脱却し、経営を行うことができます。
– 特定の事業のみ取得:譲渡手続きが煩雑ではないため、特定の事業のみを取得することができます。これにより、必要な資金を削減することも可能です。
– 負債や不利な契約のリスク低減:譲り受ける資産を選択することができるため、不要な資産や負債を引き継ぐリスクが低くなります。
防犯・セキュリティ機器専門業の事業と相性がよい事業
防犯・セキュリティ機器専門業の事業と相性がよい事業は以下の通りです。
1. 警備サービス
– 監視カメラの設置や監視システムの運用は、防犯機器の専門家としてNSKが提供するサービスと相性がよい。
– セキュリティシステムの設計やシステムの維持管理は、ジャパン・セキュリティシステムが提供するサービスと相性がよい。
2. IoTおよびAI技術の導入
– AI技術(ディープラーニング)を活用した防犯機器の開発は、NSKが提供するサービスと相性がよい。
– エッジAIボックスを利用した映像AIソリューションは、セーフティ&セキュリティ株式会社が提供するサービスと相性がよい。
3. セキュリティ関連製品の認証/試験
– 安全認証やリサーチ試験は、UL Solutions Japanが提供するサービスと相性がよい。
4. セキュリティ関連製品の販売/卸売
– 防犯カメラや監視カメラシステムの販売/卸売は、多くの企業が提供するサービスと相性がよい。
防犯・セキュリティ機器専門業の企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由
M&A Doは、防犯・セキュリティ機器専門業の企業様にとって最適なM&Aパートナーです。私たちは、譲渡企業様から手数料を一切いただかないというユニークなサービスを提供しており、これにより企業様の負担を軽減します。また、豊富な成約実績を誇り、多くの企業様にご満足いただいております。さらに、防犯・セキュリティ機器専門業の業界にも深い知見を持っているため、業界特有のニーズや課題に対しても的確なアドバイスを提供することが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。