目次
福祉用具販売業の市場環境
福祉用具販売業の市場環境をまとめる
1. 市場規模
– 2021年度の国内介護福祉用具市場規模は1,271億円と推計され、ほぼ横ばいで推移しているとみられる。
2. 市場動向
– 福祉用具レンタル市場の市場規模は約3500億円で、将来人口推計より2040年まで高齢者数の増加予測であり、今後年率4~6%の市場成長が見込まれる。
– 福祉用具産業市場規模は2020年度時点で1兆5,055億円で、市場規模は依然拡大傾向にあるが、時期的に新型コロナウイルス感染症拡大が要因である。
3. 介護保険制度の影響
– 介護保険制度の改正が市場規模に影響を与える。たとえば、2006年の法改正ではベッド・車いすなど一部の福祉用具が要介護1・2の段階にあたる層は原則給付の対象外となりました。
– 新しい福祉用具の種目追加により市場が拡大する。例えば、2022年4月より排泄予測支援機器が介護保険法の定める特定福祉用具販売及び特定介護予防福祉用具販売に新たな品目として追加された。
4. 人材不足と事業環境
– 労働集約型ビジネスであり、人材不足、採用難の環境におかれている。
5. 将来展望
– 高齢者数の増加により、福祉用具のニーズも今後さらに増加が予想される。
– デジタル化と分業化が生産性を上げるための方向性として挙げられている。
福祉用具販売業のM&Aの背景と動向
福祉用具販売業のM&Aの背景と動向を以下にまとめます。
### 背景
– 介護保険制度の発展: 介護保険制度の対象となったことで、福祉用具の需要が増加しています。
– 経営者の高齢化: 経営者の高齢化が進む中で、事業承継やM&Aが増加しています。
– 人材不足: 介護業界全体で人材不足が深刻化しており、M&Aを通じて人材を活用することが求められています。
### 動向
– 規模拡大のためのM&A: 施設数を自分で増やす時間を短縮するために、M&Aが活発に行われています。例えば、一光メディカルグループがライフケアを買収し、居住系施設数を42か所に増やしました。
– 異業種の企業の参入: 大手企業が介護事業を買収することで、経営多角化や新規事業展開を目指しています。例えば、市進ホールディングスがゆいを買収しました。
– スケールメリット: 福祉用具レンタル事業はキャッシュフローが安定し、スケールメリットが得られやすいビジネスモデルです。
– 競争激化: 福祉用具レンタル事業は競争が激化しており、中小規模の業者には厳しい状況です。
### 事例
– 幸和製作所のM&A: 幸和製作所がパムックとあっぷるを買収し、介護福祉現場のニーズを吸い上げる事業を展開しています。
– 福祉用具レンタル会社のM&A事例: カスケード東京がフォービスライフを買収、ベスト・ケアーがワイズの事業譲受など、多くのM&A事例が見られます。
### メリット
– 人材不足の解消: M&Aを通じて、売手企業に在籍する人材を活用することで、人手不足を解消できます。
– 新サービスの導入: M&Aを通じて、ノウハウやスキルの習得が早くなるため、新サービス導入がスムーズに進められます。
– 売却益の獲得: M&Aを実施して福祉用具レンタル会社を売却することで、売却益を得ることができます。
福祉用具販売業のM&A事例
福祉用具レンタル会社のM&A事例を以下にまとめます。
– カスケード東京×フォービスライフ:カスケード東京がフォービスライフを買収しました。
– ベスト・ケアー×ワイズ:ベスト・ケアーがワイズの事業を譲受しました。
– ココカラファイン×キコーメディカル:ココカラファインがキコーメディカルの株式を取得し、完全子会社化しました。
– ヤマシタ×ケアプラザ田園:ヤマシタがケアプラザ田園の株式を取得し、完全子会社化しました。
– 栗原医療器械店×セラピ:栗原医療器械店がセラピの介護・福祉用具のレンタル事業を取得しました。
– イビデン産業×トーカイ:イビデン産業が運営していた福祉用具レンタル事業をトーカイに譲渡しました。
– 幸和製作所×パムックとあっぷる:幸和製作所がパムックとあっぷるの株式を取得し、子会社化しました。
– 堀田介護サービス×トーカイ:堀田介護サービスが運営していた福祉用具レンタル事業をトーカイに譲渡しました。
– 愛安住×ココカラファイン:愛安住が全株式をココカラファインに譲渡しました。
これらの事例は、各企業が事業の拡大やシナジー効果の創出を目的としていることがわかります。
福祉用具販売業の事業が高値で売却できる可能性
福祉用具レンタル業の事業が高値で売却できる可能性について、以下のポイントをまとめます。
– 売上規模と地域の影響:売上規模が大きく、展開地域の人口が多い場合、売却相場は高くなります。具体的には、年間売上の80~110%程度の評価額が付く傾向があります。
– 買い手の戦略的地域:買い手の戦略的地域に合致する事業ほど、高い金額が付く傾向にあります。
– 介護報酬改定の影響:介護報酬改定により、軽度者に対して介護保険の適用対象外とする改定が行われる可能性があり、これが売却相場に大きなマイナスの影響を与える可能性があります。
– 具体的な事例:実際の売却事例として、600万円から8,000万円程度の取引価格が見られます。
– 売却メリット:売却側には後継者問題の解消、創業者利益の獲得、アーリーリタイアの機会、借入金の個人保証の解消などが期待されます。
これらのポイントを考慮すると、福祉用具レンタル業の事業が高値で売却される可能性はあるものの、具体的な売却相場は取引価格や買い手の戦略によって大きく異なる可能性があります。
福祉用具販売業の企業が会社を譲渡するメリット
福祉用具販売業の企業が会社を譲渡するメリットを以下にまとめます。
– 後継者問題の解消後継者問題が解消できる:譲渡により、後継者不在の問題を解決できます。国内の中小企業の多くは後継者問題を抱えており、第三者に事業を売却・譲渡することで、自社を存続させることができます。
– 人材不足の解消人材不足の解消:買収側が売手企業に在籍する人材を活用できるため、人手不足を解消できます。介護業界全体では、人材不足が深刻化しています。
– 介護報酬の改定による将来不安の解消介護報酬の改定による将来不安の解消:M&Aにより、介護報酬の改定による将来の不安を解消できます。介護報酬の改定が3年に1度行われるため、M&Aによって事業を売却することで、この不安を解消できます。
– 売却益の獲得売却益の獲得:M&Aを実施して会社を売却することで、売却益を得られます。M&Aの取引金額は対象企業の規模などによって異なりますが、市場動向や交渉により億単位の売却益を獲得できる可能性があります。
– 競争激化による心理的な負担からの解消競争激化による心理的な負担からの解消:競争激化による心理的な負担を解消できます。売却により、競争の激化による経営難や後継者問題から解放されます。
– 借入金の個人保証・債務からの解放借入金の個人保証・債務からの解放:借入金の個人保証を解消できます。売却により、借入金の個人保証や債務が解放されます。
福祉用具販売業の事業と相性がよい事業
福祉用具販売業の事業と相性がよい事業は以下の通りです。
1. 介護保険適用サービス
– 福祉用具貸与: 要介護者が自立した日常生活を送れるよう、介護状態に合わせて適切な福祉用具を貸与するサービスです。
– 特定福祉用具販売: 介護保険制度における福祉用具のうち、入浴や排泄に用いるもの等、貸与に適さないものの販売を行うサービスです。
2. 介護支援サービス
– 居宅介護支援: 要介護者が自宅で自立した日常生活を送るために必要な支援を提供するサービスです。
3. 健康管理サービス
– 衛生管理: 福祉用具販売事業を行うために必要な衛生管理を確保するサービスです。
4. 教育・研修サービス
– 福祉用具専門相談員の研修: 介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士等の資格を持つスタッフを常勤させることで、適切な福祉用具の選定や使用方法の指導を行うサービスです。
5. 情報提供サービス
– 介護に関する情報提供: 介護用品の選定や使用方法に関する情報を提供するサービスです。
6. コンサルティングサービス
– 適切な福祉用具の選定: 介護者が十分な知識を持っていないケースが多いため、適切な用具の選択と提案を行うコンサルティングサービスです。
7. 店舗運営サービス
– 店舗設立基準: 人員や設備についての設立基準を満たしている必要があります。
– 店舗設置場所: 人通りの多い場所や病院・クリニックの周辺地域、老人保健施設や在宅介護支援センターの周辺地域などが望ましいです。
8. 経営管理サービス
– 経営基準: 正当な理由がなくサービス提供の拒否はできません。事業実施地域等の関係で適切な提供が困難な場合は、他事業者の紹介等を行う必要があります。
これらのサービスを組み合わせることで、より効果的な介護支援を提供し、介護保険適用の円滑な実施を支援することができます。
福祉用具販売業の企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由
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株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。