目次
外装工事建設業の市場環境
外装工事建設業の市場環境は、以下のような動向を示しています。
### 市場規模と成長率
– 市場規模の変動:建築物の総着工数は床面積ベースで減少しているが、工事費予定額ベースでは増加している。
– 床面積ベースの減少:111,214(千㎡)、前年比マイナス6.9パーセント。
– 工事費予定額の増加:285,652(億円)、前年比6.8%の増加。
### 需要の傾向と変化
– 環境に配慮した建築:グリーンビルディングや省エネ性能の高い建物の需要が増えている。
– バリアフリー設計と感染症対策:高齢化社会や感染症対策を考慮した建築が求められている。
– リモートワークの影響:オフィスの在り方が変化し、柔軟な空間設計が注目されている。
### 技術革新の影響
– 3Dプリンティング技術の導入:建築部材の製造に利用されている。
– BIM技術の普及:3Dモデルを使った設計手法が普及し、建築プロジェクトの効率化が図られている。
– ドローンの活用:建設現場の測量に利用されている。
### 内装・外装工事業界の特徴
– 新築住宅の着工数減少:内装・外装工事市場規模が縮小している。
– 内装工事の完成工事高:リーマンショック後に大きく落ち込み、その後2017年まで元の水準に回復していない。
– 新規参入による競争激化:内装・外装工事の参入障壁が低いため、競争が激しくなっている。
### 塗装業界の動向
– 市場規模の縮小:人口減少や建物の老朽化により、市場規模が縮小する予想。
– リフォーム市場や外壁塗装市場:一定の需要が見込まれている。
– 技術革新:高圧洗浄機やロボットによる塗装が進化し、作業効率の向上が期待される。
– 人材不足:若者の建設業離れや熟練工の高齢化が原因で、人材不足が深刻化している。
### 外壁塗装業界の特徴
– 新規参入の増加:家電量販店やホームセンターが外壁塗装にも進出しており、新規参入が相次いでいる。
– 資本力と顧客接点:資本力と店舗を起点にした顧客接点を持っているのが強み。
– 一括見積もりサービス:ユーザーが複数の業者から見積もりを取得できる便利なサービスが登場し、価格競争が激化している。
– 市場拡大の見込み:景気に左右されにくい特性と中古住宅のストックを活用する流れにより、市場拡大が見込まれる。
### 業界の課題
– 利益率の低さ:下請け受注による利益率の低さが課題となっており、利益が残らない仕組みになっている。
– 集客が厳しい:大手業者やポータルサイトからの集客に頼ってしまっているため、下請け会社が自社の人件費や材料費を捻出するのが難しい。
– 人材採用の困難:賃金が上がらず、人材採用が困難になっている。
外装工事建設業のM&Aの背景と動向
外装工事・建設業のM&Aの背景と動向をまとめます。
### 背景
1. 後継者不足による倒産・廃業の増加:
– 建設業界では後継者不足が深刻で、倒産や廃業が増加しています。
2. 新築住宅の需要停滞:
– 新築住宅の需要が減少しており、企業はリフォーム市場に進出しています。
3. 高齢化による事業承継:
– 建設業界全体が高齢化しており、M&Aが増加傾向にあります。
### 動向
1. 大手企業によるM&A:
– 大手企業やハウスメーカーが商業圏の拡大や人材確保を目的としてM&Aを行っています。
2. 不動産会社によるM&A:
– 不動産会社が建設業を傘下に収めることで、外注していた工事を内製化し、時間とコストを削減しています。
3. 同業者間のM&A:
– 同業者同士のM&Aにより、技術力の強化と事業エリアの拡大が期待されます。
4. 異業種間のM&A:
– 内装・外装工事会社がリフォーム市場に進出するため、異業種からの参入が増えています。例えば、ヤマダホールディングスがエス・バイ・エルやハウステックを買収し、ヤマダホームズを設立しました。
5. 地域におけるM&A:
– 地域に根ざしたM&Aにより、地域での事業基盤を強化し、受注の安定化が図れます。例えば、ジオリーブグループが丸西を買収し、東北エリアでの事業基盤を強化しました。
### メリット
1. 人材の確保:
– 有資格者の確保や、高い技術を持った職人の育成が可能です。
2. 原材料の仕入れや重機などのリソース活用:
– 工事に必要な重機や材料を譲渡企業から受け継ぎ、コスト削減が期待できます。
3. 新規エリアへの進出:
– 譲渡企業の顧客や取引先を引き継ぎ、新規エリアでの事業展開が可能です。
4. 官民の補完:
– 公共事業に強い企業と民間事業に強い企業が合併し、幅広いコネクションを築くことができます。
5. 支配力の強化:
– 地域での経営基盤を強固にすることで、受注を安定させることが期待できます。
6. 新規取引先の獲得:
– 譲渡企業の取引先を引き継ぎ、新規取引先の獲得が可能です。
外装工事建設業のM&A事例
外装工事建設業のM&A事例を以下のようにまとめます。
– 後継者問題を解決するM&Aが増加:以前までの内装工事・外装工事業界では、経営者が高齢になって後継者がいなければ廃業を選択するケースが多かったが、近年ではM&Aによる第三者への事業承継が徐々に認知され、後継者問題を解決するケースが増えています。
– 元請け・下請けの業務を一貫するM&A:大手の元請け会社が、下請け会社をM&Aによって買収するケースも見られます。これは、下請け会社に発注していた業務を自社で一貫して取り扱えるようにすると、利益率の向上や業務の質を高められるためです。
– 大手グループによるM&A:大手建築会社・グループが、M&Aにより内装工事・外装工事会社を買収するケースも見られます。総合新築事業やトータルリフォーム事業を行っている大手グループ会社は、M&Aによって技術や人材の確保を行っています。
– 具体的な事例:
– ジオリーブグループによる丸西の買収:ジオリーブグループは丸西の株式を取得し、東北エリアを中心に商業施設や公共施設の内装工事の事業基盤を強化し、グループ全体として非住宅分野への取り組みを強化することを目的としています。
– 不二サッシによる日本防水工業の買収:不二サッシは日本防水工業とのM&Aを行い、外装すべてを網羅するトータルリニューアル工事の施工体制を確立し、顧客にとって価値が高い工事を提供することを目指しています。
– アサノ大成基礎エンジニアリングによる三協建設の買収:アサノ大成基礎エンジニアリングは三協建設の株式を取得し、土木・建設、上下水道管の工事を幅広く手がける事業を強化することを目指しています。
これらの事例から、外装工事建設業のM&Aは後継者問題の解決、元請け・下請けの業務の一貫化、そして大手グループによる技術や人材の確保を目的として行われています。
外装工事建設業の事業が高値で売却できる可能性
外装工事建設業の事業が高値で売却できる可能性を以下のようにまとめます。
外装工事建設業の事業が高値で売却できる可能性は、以下の点にあります。
– 独自の技術やサービスを持つこと独自の技術やサービスが求められるようになっています。他社とは違うアピールポイントを持つことで、よい買い手が見つかりやすくなります。
– 技術・特許などの無形資産を持っている場合最新の技術を有している会社は高値で売却できる可能性があります。特許工法を有している場合も、その強みを生かして高値で売却できる可能性が高くなります。
– 入札実績・受注実績を持っている場合入札実績・受注実績を持っている会社は、公共工事の受注が可能であり、これが高値で売却される要因となります。
– 安定した取引先・下請け先を持っている場合安定した取引先・下請け先を持っていることで、信頼性が高まり、買い手からの需要が高まります。
– 財務・税務面がきちんと整っている場合財務・税務面がきちんと整っていることで、評価が高まり、買い手からの信頼が得られます。
これらの要素を活かすことで、外装工事建設業の事業が高値で売却される可能性が高まります。
外装工事建設業の企業が会社を譲渡するメリット
外装工事建設業の企業が会社を譲渡するメリットは以下の通りです。
– 従業員の雇用継続: 会社を廃業すると、年齢の高い職人が多い外装工事業界で再雇用先を探すのは簡単ではないため、M&Aによる売却・譲渡で会社が存続すれば従業員の雇用を継続できます。
– 後継者問題の解決: M&Aによる第三者への承継が増えてきたものの、依然として後継者不在による廃業が多くを占めています。M&Aによる売却・譲渡が実現すれば、経営者の高齢化などによる廃業を回避できます。
– 売却・譲渡益の獲得: 廃業すると収入はなくなる一方で、M&Aによって売却・譲渡益を確保できれば、リタイア資金や他事業の資金などに充てられます。
– 事業の方向性の変化: 不採算部門を分離することで、より収益性の高い事業に資本を集中させられるため、事業の方向性を変える機会を提供し、より有利な事業領域へと移行することが可能です。
– 経営者の健康や年齢に応じた柔軟な経営: 負担が少ない事業を選択して続けることで、経営者の健康や年齢に応じた柔軟な経営が行えるため、経営者のリソースを他の事業に持っていけるようになります。
– 法人としての身分を保持しつつ後継者問題の解決: 法人としての身分を保持しつつ、後継者問題を解決し、企業のブランドやノウハウを継承するチャンスを得られるため、企業の持続可能性が高まります。
– 社員や取引先の同意を得ることで雇用関係や取引契約の継承: 従業員や取引先の同意を得ることで、雇用関係や取引契約をスムーズに継承できるため、社員の雇用維持が可能です。
– 個人保証や担保の解消: 個人保証や担保を解消し、売却益を借入金の返済に充てることが可能です。
外装工事建設業の事業と相性がよい事業
外装工事の建設業の事業と相性がよい事業は以下の通りです。
– 防水工事: 外壁の防水性を向上させるため、防水工事は外装工事の重要な部分です。防水工事は外装工事の基盤を確保するため。
– 塗装工事: 外壁の塗装は建物の美観を保つために不可欠です。塗装工事には、吹付仕上げや左官仕上げなどが含まれます。塗装工事は外装工事の主な作業の一つ。
– タイル・レンガ・ブロック工事: 外壁のタイルやレンガの設置は、美観と耐久性を高めるため重要です。タイル・レンガ・ブロック工事は外装工事の重要な作業。
– 板金工事: 外壁にガルバリウム鋼鈑などの鋼材を使用する場合、板金工事が必要です。板金工事は外壁の耐久性を高めるため。
– 大工工事: 外壁の修繕や改築において、大工工事が必要な場合があります。大工工事は外壁の基礎を強化するため。
これらの工事は、外装工事の成功を支える重要な要素です。各工事に適切な資格や経歴を持つ技術者が必要であり、建設業許可を取得する際にはこれらの要件を満たすことが重要です。
外装工事建設業の企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由
M&A Doは、外装工事建設業の企業様にとってM&Aの依頼先として非常におすすめです。その理由は、まず譲渡企業様から手数料を一切いただかないという点です。これにより、企業様はコストを気にせずにM&Aのプロセスを進めることができます。さらに、豊富な成約実績を持っており、これまで多くの企業様のM&Aを成功に導いてきた実績があります。外装工事建設業の業界にも深い知見を保有しているため、業界特有のニーズや課題に対しても的確なアドバイスを提供することが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。