目次
スポーツ施設提供業(別掲を除く)の市場環境
フィットネス市場は、コロナ禍の影響を受けながらも急速に回復している。以下に大切なポイントをまとめます。
– 市場規模の増加:2023年度は6500億円に到達し、前年度から10%超の増加を見せています。24年度には7000億円に到達する可能性があります。
– 店舗数の増加:大手15社の店舗数は、2023年度末時点で5900店前後に到達し、10年前に比べて3000店超の増加となっています。
– 業態の多様化:低頻度利用×低価格のフィットネス業態が広がり、月額3千円前後の割安なフィットネス業態が成長しています。特に、chocoZAPなどの小規模ジムが急拡大しています。
– 競合の激化:フィットネス業界は多種類のジムが存在し、競合が激しい状況です。外でのランニングやeスポーツなど、ジム以外の身体活動も競合に当てはまります。
– ユーザー層の拡大:健康ブームの影響で、運動初心者や女性をターゲットにしたパーソナルジム業態が拡大しています。特に、在宅勤務の普及により健康や美容に関心を持つ層が増加しています。
– 戦略的な課題:利用者層が拡大・多様化する中で、「低頻度利用」「低価格」への対応が戦略的な課題となっています。小型店が低価格や24時間営業などを武器に成長を続けています。
これらのポイントをまとめると、フィットネス市場はコロナ禍の影響を受けながらも急速に回復し、多様化するユーザー層に対応するための戦略が求められています。
スポーツ施設提供業(別掲を除く)のM&Aの背景と動向
スポーツ施設提供業のM&Aの背景と動向は以下の通りです。
### 背景
– 高齢化社会と健康志向の高まり:フィットネス業界は、高齢化社会や健康志向の高まりを背景に市場が拡大しています。
– 競争の激化:市場規模の拡大とともに、競争も激化しています。多くの企業がM&Aを活用した成長戦略を模索しています。
– コロナウィルスの影響:2020年のコロナウイルスの流行により、スポーツクラブを含むフィットネス業界では利用者が減少し、経営が悪化しました。M&Aはこれらの困難を乗り越えるための手段となりました。
### 動向
– 大手企業による中小企業の買収:大手企業が中小企業のスポーツクラブを買収するケースが多いです。大手企業は会員の確保や既存施設とのシナジー獲得、スケールメリットの享受を目的にM&Aを行っています。
– 異業種からの参入:顧客サービスの充実やスポーツ教育分野への参入を狙った異業種による買収も多く見られます。例として、学習塾や百貨店がスポーツジムやフィットネスクラブを買収しています。
– M&Aの手順:スポーツクラブのM&Aの手順は戦略策定、委託契約、本格的な戦略策定、会社売却・買収の手続き、基本合意書の締結、デューデリジェンス、最終条件交渉・契約締結、クロージングです。
### メリット
– 優秀なトレーナーの確保:M&Aで事業や会社を買収する場合、優秀なトレーナーを引き継ぐことがメリットです。トレーナーは直接雇用ではなく個別契約のケースが多いですが、会社が変わってもそのまま働いてもらうことが可能です。
– 既存会員の一括獲得:スポーツジム・フィットネスクラブは会員制です。運営するオーナーが変わっても、同じ条件で同じサービスを続ければ、買収先の既存会員をそのまま引き継ぐことが可能です。
– 経営維持と従業員の雇用継続:M&Aにより、経営が悪化しても従業員の雇用を維持できます。売り手側にとっては後継者を見つけられること、買い手側にとっては新たな会員を獲得することがメリットです。
スポーツ施設提供業(別掲を除く)のM&A事例
スポーツ施設提供業のM&A事例を以下にまとめます。
### 1. 瀬戸内スイミングスクールとヤマウチ
– ヤマウチが瀬戸内スイミングスクールを買収ヤマウチがスイミングスクールの事業を拡大。
– 瀬戸内スイミングスクールは香川県高松市でスイミングスクールを運営ヤマウチが西日本を中心にスポーツクラブ「JOYFIT・FIT365」を展開。
### 2. NAKDとアイザック
– アイザックがNAKDの株式を買収アイザックがAIフィットネストレーナーのアプリ開発や医療×フィットネス×DXの高級ジムの運営を目指す。
– NAKDは会員制の総合フィットネスラウンジ「THE NUDE EBISU & DAIKANYAMA」を運営アイザックがサウナやゴルフ、トレーニングが可能な複合施設の運営を目指す。
### 3. オージースポーツとセンコーグループホールディングス
– センコーグループホールディングスがオージースポーツの株式を買収センコーグループホールディングスがフィットネス事業の拡大を図る。
– オージースポーツは「コ・ス・パ」や「FITBASE 24」、「30peak」という名称でスポーツクラブを運営し、ヘルス関連事業も行うオージースポーツが経営資源やノウハウを習得。
### 4. RIZAPとソニックスポーツ
– ソニックスポーツがRIZAPの事業を買収ソニックスポーツがRIZAPのウィングスポーツ事業を受け継ぐ。
– RIZAPは美容・ヘルスケアやライフスタイル事業を運営ソニックスポーツはホテルや飲食店経営だけでなく、テニスの指導者を育成する事業も行う。
### 5. テーオー総合サービスとオカモト
– オカモトがテーオー総合サービスの事業を買収オカモトがテーオー総合サービスのスポーツクラブ運営事業を引き継ぐ。
– テーオー総合サービスは保険や自動車リース業務の事業を行うオカモトの事業はガソリンスタンドやスポーツクラブなど多岐に渡る。
### 6. RIPPLEとケイズグループ
– ケイズグループがRIPPLEの株式を買収ケイズグループがRIPPLEのオンライン部門を受け継ぐ。
– RIPPLEはパーソナルトレーニング事業を運営ケイズグループは鍼灸整骨院の運営や人材紹介業を行う。
### 7. ジェイエスエスによるワカヤマアスレティックスの子会社化
– ジェイエスエスがワカヤマアスレティックスの全株式を取得し、完全子会社化ジェイエスエスがワカヤマアスレティックスの営業効率化を図り、スイミングやフィットネス事業の成長を目指す。
– ワカヤマアスレティックスはスイミングクラブ、フィットネスクラブ、スーパー銭湯を企画・運営ジェイエスエスが和歌山県エリアへの新規展開も計画。
### 8. ルネサンスによる菱紙のスポーツクラブ譲受
– ルネサンスが菱紙から「KSC wellnessフィットネスクラブ金町・金町スイミングクラブ」のスポーツクラブ事業を譲り受けるルネサンスが三菱製紙の事業戦略見直しに伴い譲渡が決定。
– KSC wellnessは1972年に菱紙が三菱製紙中川工場跡地に開設した「金町スイミングクラブ」を前身とする大型スポーツ施設。
### 9. ルネサンスによるBEACH TOWNの株式取得
– ルネサンスがBEACH TOWNの株式51.7%を取得し子会社化ルネサンスがアウトドアフィットネス分野への本格参入を目指す。
– BEACH TOWNはアウトドアフィットネス・ヨガスタジオ・ボルダリングジム・トレーニングジム・スケートボードパーク・ランニングステーションなどスポーツ施設の事業プロデュースおよび運営。
### 10. THINKフィットネスによるジョイフルアスレティッククラブの株式取得
– THINKフィットネスがジョイフルアスレティッククラブの株式67%を取得THINKフィットネスがジョイフル本田とともにジョイフルアスレティッククラブを共同経営。
– ジョイフルアスレティッククラブは茨城県および千葉県でスポーツクラブを合計3施設運営。
### 11. ルネサンスがスポーツオアシスを吸収合併
– ルネサンスがスポーツオアシスを吸収合併ルネサンスがグループ経営の最適化、経営資源の効率化を図り、さらなる事業発展を目指す。
– スポーツオアシスは会員制スポーツクラブの経営を運営。
### 12. ABCマートがオッシュマンズ・ジャパンの株式を取得
– ABCマートがオッシュマンズ・ジャパンの全株式を取得し子会社化ABCマートがオッシュマンズに対して店舗展開のデータ・運営システムを活用することで運営の効率化を図る。
– オッシュマンズはアメリカにかつて存在していたスポーツ用品店チェーンで、オッシュマンズ・ジャパンはイトーヨーカ堂が1983年にオッシュマンズのブランドを展開するために業務提携して設立した会社。
### 13. ベンゼネラル株式会社がゼット株式会社に事業譲渡
– ベンゼネラル株式会社がゼット株式会社へスポーツウェア用品卸売販売事業を譲渡ゼット株式会社がベンゼネラルのスポーツウェア部門を継承することでの売上拡大によるシェアアップ、収益拡大に有益であると判断。
– ゼット株式会社は大阪府大阪市に本社を置くスポーツ用品の製造会社であり、卸売会社でもあります。
### 14. 株式会社wundouが丸井織物株式会社へ株式譲渡
– 株式会社アドベンチャー(現wundou)が丸井織物株式会社へ株式譲渡詳細な事例は記載されていません。
以上がスポーツ施設提供業のM&A事例です。
スポーツ施設提供業(別掲を除く)の事業が高値で売却できる可能性
スポーツ施設提供業の事業が高値で売却できる可能性について、以下のポイントをまとめます。
1. 多様な価値提供:
– スポーツ施設は、従来の「試合を観戦する」だけでなく、多様な価値を提供する必要があります。例えば、バーベキューができるゾーンや寝転びながら観戦できるスペース、スタジアムでしか食べることができないグルメなど。
2. 収益性の向上:
– スポーツ施設は、赤字を垂れ流し続けるのではなく、収益性を高める必要があります。具体的には、スポーツ施設での「顧客体験」がより重要になってきているため、快適さや安心感を提供することが求められます。
3. 地域活性化:
– スポーツ施設は、地域社会や経済と一体になるように建設・運用されるべきです。これにより、地域社会が活性化し、スポーツを通じた健康づくりや観光、地域課題の解決に貢献することが期待されます。
4. 具体的な実践例:
– 例えば、広島東洋カープの本拠地である「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島」は、試合を観戦しながらバーベキューができたり、寝転びながら観戦できるゾーンなど、多様な価値を提供しています。
5. 収益源の拡大:
– スポーツ施設の収益源は、利用料だけでなく、飲食、物販、広告などにも拡大する必要があります。具体的には、自動販売機やコインロッカー、シャワーなどの最低限の設備だけでなく、飲食や物販の設備を設置することが推奨されています。
6. 地域の特性を考慮:
– スポーツ施設の運営には、地域の特性や施設の特徴を考慮し、優先順位を決めることが必要です。例えば、地域の需要や施設の利用状況を分析し、適切な価値提供を行うことが重要です。
これらのポイントを踏まえると、スポーツ施設提供業の事業が高値で売却される可能性は、多様な価値提供や収益性の向上、地域活性化などを通じて実現される可能性が高いと言えます。具体的には、以下のとで囲んだポイントが重要です。
– 多様な価値提供:バーベキューができるゾーンや寝転びながら観戦できるスペース、スタジアムでしか食べることができないグルメなど。
– 収益性の向上:スポーツ施設での「顧客体験」がより重要になってきているため、快適さや安心感を提供することが求められる。
– 地域活性化:地域社会や経済と一体になるように建設・運用されるべきで、地域社会が活性化し、スポーツを通じた健康づくりや観光、地域課題の解決に貢献することが期待される。
– 収益源の拡大:飲食、物販、広告などにも拡大する必要があり、自動販売機やコインロッカー、シャワーなどの最低限の設備だけでなく、飲食や物販の設備を設置することが推奨される。
スポーツ施設提供業(別掲を除く)の企業が会社を譲渡するメリット
スポーツ施設提供業(別掲を除く)の企業が会社を譲渡するメリットは以下の通りです:
– 経営安定: 大手資本へ売却できれば、倒産や廃業などのリスクは格段に少なくなる。現在の経営状況が芳しくない場合、M&Aによる売却は事業を好転させる大きな要素になり得ます。
– 後継者問題の解決: 特に小規模のスポーツジム・フィットネスクラブ事業者に当てはまることですが、後継者不在問題を抱えている会社は、M&Aによる会社売却が問題の解決手段になります。
– 従業員の雇用維持・利用者の引き継ぎ: M&Aによる事業・会社の売却では、通常、会社と従業員の雇用関係やサービスがそのまま引き継がれます。中小企業の場合は、M&Aによる事業・会社売却の目的が雇用の維持に置かれることも少なくありません。
– 売却益: M&Aで会社や事業を売却すれば、廃業コストが省け売却益を得られます。売却益は少なくとも数百万円のまとまった金額になることが多いです。
スポーツ施設提供業(別掲を除く)の事業と相性がよい事業
スポーツ施設提供業(別掲を除く)の事業と相性がよい事業は以下の通りです:
– フィットネスクラブ:一般の人々が健康維持や体力向上を目的として利用する施設です。トレーニングジム、グループエクササイズスタジオ、プール、スポーツコートなどの設備を提供し、フィットネスプログラムやトレーニングサポートを行います。フィットネスプログラムやトレーニングサポート。
– スポーツクラブ:スポーツ愛好者が各種競技やトレーニングを行うための施設です。テニスコート、バスケットボールコート、サッカーグラウンド、ゴルフ練習場などがあります。スポーツクラブでは、施設の利用や競技会の開催、コーチングなどを提供します。施設の利用や競技会の開催、コーチング。
– スポーツ施設複合施設:複数のスポーツやフィットネス活動を統合的に提供する施設です。屋内トラック、プール、トレーニングジム、コートなどが一体となっており、幅広いスポーツやレクリエーション活動が可能です。また、イベントや大会の開催も行われることがあります。イベントや大会の開催。
– コミュニティスポーツ施設:地域の人々がスポーツや運動を楽しむための施設です。公園内の多目的グラウンド、レクリエーションセンター、ウォーキングトレイルなどが含まれます。地域の健康促進やスポーツ振興を目的として、広く一般に開放されています。地域の健康促進やスポーツ振興。
これらの事業は、スポーツ施設提供業の基本的な業務である施設の運営管理、会員や利用者へのサービス提供、設備のメンテナンスや安全管理、イベントの企画運営などに密接に関連しています。
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株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。