ENEOSホールディングスによるタツタ電線のTOB発表について
ENEOSホールディングスは傘下のJX金属(東京都港区)がタツタ電線の完全子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表しました。JX金属はタツタ電線株を約37%保有しており、同社を持ち分法適用関連会社としています。今回のTOBは、資源不足・枯渇の深刻化や国内市場の縮小など非鉄金属産業の環境変化を踏まえ、成長分野の中核と位置付けられる電子材料関連事業の基盤拡充を目指すものです。買付代金は最大281億円で、2023年6月をめどに買い付け開始を目指すとされていました。タツタ電線はこのTOBに賛同しています。
買付の概要
買付価格と買付予定数
JX金属による買付価格は1株あたり720円とされ、公表前日の終値419円に対して71.84%のプレミアムが加えられています。買付予定数は3904万1947株で、買付予定数の下限は所有割合29.86%にあたる1844万8182株です。今回のTOBが成立した場合、タツタ電線は東証プライム市場への上場が廃止となる見込みです。
両社の背景
タツタ電線は1945年9月に設立され、電線・ケーブルの専業メーカーとして事業を展開してきました。現在は電線・ケーブル事業、電子材料事業のほか、センサー&メディカル事業、環境分析事業を手がけています。一方、JX金属の前身である日本鉱業は、電線向け銅原料の供給を通じてタツタ電線の草創期から取引があり、1954年以来同社と資本関係を持っています。
TOB開始時期の変更と最新情報
2023年の動向
2023/06/30
中国での競争法関連の手続きのため、TOBの開始が8月以降になると発表されました。
2023/09/26
TOBの開始が12月以降になると発表されました。
2023/12/27
TOBの開始が2024年1月以降になると発表されました。
2024年の動向
2024/01/31
TOBの開始が2月以降になると発表されました。
2024/03/26
TOBの開始が4月以降になると発表されました。
2024/04/26
TOBの開始が5月以降になると発表されました。
2024/06/20
TOBを2024年6月21日から7月19日まで実施すると発表。決済の開始日は7月26日、公開買付代理人は大和証券となりました。
2024/07/19
買付期間を8月2日まで延長し、決済の開始日を8月9日にすると発表されました。
2024/07/26
買付価格を1株720円から780円に引き上げ、買付代金は最大304億円に変更となりました。併せて買付期間は8月19日まで延長され、決済の開始日は8月26日と発表されました。
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株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。