DCMホールディングスによるケーヨーの完全子会社化を目的としたTOB
DCMホールディングスは29日、ホームセンター中堅のケーヨーに対して完全子会社化を目的とした株式公開買い付け(以下、TOB)を実施すると発表いたしました。DCMはすでにケーヨー株の31.86%を保有する筆頭株主であり、残りの株式を1株1300円で買い付ける予定です。買付代金は最大523億円とされ、事前に締結していた資本業務提携を一歩進めることで、より一体的な運営体制を築く狙いです。
TOBの概要
TOBの買付価格1300円は、TOB公表前日の終値830円に対し、56.63%のプレミアムを加えた金額となっています。買付予定数は4024万5027株であり、下限は所有割合35.68%にあたる2080万7500株。これはすでに所有している分と合わせて議決権ベースで3分の2以上の取得を目指す水準です。買付期間は10月2日から11月14日の30営業日、決済開始日は11月20日を予定し、公開買付代理人はSMBC日興証券が務めます。
ケーヨーの概要
ケーヨーは1952年に京葉産業として発足し、ガソリンスタンド事業からスタートしました。1974年にホームセンター事業へと進出し、1979年に「ケーヨー」に社名を変更。現在は関東を中心に、東北・甲信・東海・近畿地区に「ケーヨーデイツー」ブランドで164店舗を展開しています。2023年2月期の売上高は955億円。1984年に東証2部に上場し、1988年に東証1部へ昇格、そして2022年4月に東証プライム市場に移行いたしました。
DCMホールディングスの歩み
DCMホールディングスは2006年にホーマック、カーマ、ダイキの3社が経営統合して誕生しました。2023年2月期の売上高は4768億円で、ホームセンター業界ではカインズに次いで2位のポジションにあります。DCMは2020年にホームセンター中堅の島忠をTOBによって子会社化しようとしたものの、ニトリホールディングスによる対抗TOBに敗れた経験を持ちます。
今回のTOBの背景と狙い
DCMとケーヨーは2017年1月に資本業務提携を締結しており、商品や物流、販促面で幅広い連携をしておりました。今回のTOBは、さらに包括的な経営統合を実現し、グループとしての体制をより強固にすることで、ホームセンター業界における競争力を高める狙いがあると考えられます。
業界再編への影響
ホームセンター業界は店舗数や商品の多様化、ECとの競合など、変化が激しい分野です。大手企業による中堅企業の買収や提携が進むことでシェア拡大やコストの削減、仕入れ効率の向上などのメリットが見込まれます。DCMとケーヨーの統合によって、さらなるスケールメリットを生かした仕入れ体制の強化や新たな販促施策が期待できるでしょう。
今後の展望
TOB成立後は、DCMとケーヨーの一体経営が進むと予測されます。これにより、既存店舗のリニューアルや商品開発の共同展開など、多方面でシナジーが生まれる可能性があります。一方で、異なる企業文化の融合や、組織再編に伴うコスト負担など解決すべき課題も存在するとみられます。
株式会社M&A Doのご紹介
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株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。