目次
  1. 1. 武田薬品工業<4502>、長期収載品事業を大正薬品工業へ譲渡
  2. 2. 朝日インテック<7747>、障がい福祉サービス事業のフィカスを子会社化
  3. 3. 第一交通産業<9035>、第一タクシー(名古屋市)からタクシー事業の一部を取得
  4. 4. 日本調剤<3341>、テバ製薬(名古屋市)保有の製造工場を取得
  5. 5. 大成<4649>、ビル清掃管理企業の徳永興業を子会社化
  6. 6. 大成<4649>、MBOにより非公開化
  7. 7. 名古屋木材<7903>、MBOにより非公開化
  8. 8. 石塚硝子<5204>、洋食器メーカーの鳴海製陶(NARUMI)を子会社化
  9. 9. 中本パックス<7811>、食品包装用フィルムのMICS化学<7899>を買収
  10. 10. 日創プロニティ<3440>、空調関連機器メーカーのダイリツ(名古屋市)を子会社化
  11. 11. 東新住建<1754>、子会社4社を売却
  12. 12. 日本創発グループ<7814>、総合製本会社の飯島製本を追加出資で子会社化
  13. 13. 中部日本放送<9402>、タクシー事業子会社の文化交通を大阪バスに譲渡
  14. 14. 中部飼料<2053>、配合飼料の製造子会社みらい飼料を伊藤忠飼料に譲渡へ
  15. 15. 中部鋼鈑<5461>、ベトナム子会社をソルテック工業に譲渡
  16. 16. 中日本興業<9643>、愛知県の温浴施設・レンタル事業を譲渡
  17. 17. 東海東京フィナンシャルHD<8616>、トヨタフィナンシャルサービス証券を買収
  18. 18. 石垣食品(現ウェルディッシュ)<2901>、化粧品・健康食品販売のメディアートを子会社化
  19. 19. 売れるネット広告社<9235>、化粧品・健康食品ネット通販のオルリンクス製薬を子会社化
  20. 20. 売れるネット広告社<9235>、Webマーケティング事業のグルプスを子会社化
  21. 21. 大興電子通信<8023>、SE派遣の名古屋総合システムを子会社化
  22. 22. 東海ソフト<4430>、ソフトウエア開発のAJ・Flatを買収
  23. 23. 日本動物高度医療センター<6039>、動物用医療機器メーカーのテルコムを買収
  24. 24. バイク王&カンパニー<3377>、駐車場運営事業を名鉄協商(名古屋市)に売却
  25. 25. 大日本木材防腐<7907>、MBOで株式を非公開化
  26. 26. 不動テトラ<1813>、地盤改良工事の愛知ベース工業を買収
  27. 27. 木曽路<8160>、食肉加工の建部食肉産業を子会社化
  28. 28. 桧家住宅<1413>、建築資材製造の日本アクアを子会社化
  29. 29. 日本化学工業<4092>、ケミカルフィルター製造子会社の日本ピュアテックをミラプロへ譲渡
  30. 30. 投資ファンドJ-STAR、アイセイ薬局<3170>をTOBで子会社化
  31. 31. 太平電業<1968>、火力発電メンテナンスの日本機械製作所を子会社化
  32. 32. 全国保証<7164>、SMBCファイナンスサービスから住宅ローン保証事業を取得
  33. 33. 日東工業<6651>、産業機械制御システム開発の大洋電機製作所を子会社化
  34. 34. 前田製作所<6281>、サンネットワーク中部(名古屋市)から介護用品事業を取得
  35. 35. 日機装<6376>、紫外線LED研究開発の創光科学を子会社化
  36. 36. 神戸物産<3038>、薬膳中華料理店を営む日本臨床漢方研究機構を子会社化
  37. 37. 中央可鍛工業<5607>、自動車部品メーカーの武山鋳造を子会社化
  38. 38. 江守グループホールディングス<9963>、主要子会社8社をファンドへ譲渡
  39. 39. 日本紙パルプ商事<8032>、古紙商社福田三商(名古屋市)を株式交換で子会社化
  40. 40. 北日本紡績<3409>、ヘルスケア製品販売の中部薬品工業を株式交換により子会社化
  41. 41. 村上開明堂<7292>、外壁工事子会社(村上開明堂コンフォーム)をウチダ(名古屋市)に譲渡
  42. 42. 幸進、リオチェーンホールディングス<9834>をMBOで非公開化
  43. 43. 御園座<9664>、有料老人ホーム事業をのぞみに譲渡
  44. 44. 豊田通商<8015>、工業用部品製作業のトキワエンジニアリングを子会社化
  45. 45. ロジコム<8938>、ショッピングモール運営の本巣ショッピングワールドを買収
  46. 46. 地域新聞社<2164>、フリーペーパー発行の東京新聞ショッパー社を買収
  47. 47. 極東貿易<8093>、合成樹脂原材料などを扱う三幸商会を子会社化
  48. まとめと展望

1. 武田薬品工業<4502>、長期収載品事業を大正薬品工業へ譲渡

売り手:武田薬品工業(大阪市本社) 武田薬品工業は2015年12月28日、特許期間や再審査期間が満了した長期収載品事業を大正薬品工業(滋賀県甲賀市)に譲渡すると発表しました。譲渡の対価として、ジェネリック医薬品大手のテバ製薬(名古屋市、親会社はイスラエルのTeva社)の株式49%を取得し、新会社「武田テバ薬品」などを設立してジェネリック領域を強化しています。国内ジェネリック医薬品市場は国の施策も相まって成長余地が大きいとされており、武田薬品工業は新たな合弁会社を通じてリーディングカンパニーを目指す狙いです。


2. 朝日インテック<7747>、障がい福祉サービス事業のフィカスを子会社化

売り手:フィカス(名古屋市) 朝日インテックは2018年7月12日、障がい福祉サービス事業を行うフィカス(名古屋市)を買収し、子会社化すると発表しました。フィカスは障がい者の就労機会提供を主力とする企業で、朝日インテックは低侵襲治療用医療機器開発で培った医療関連の実績をもとに、社会貢献をさらに推進する狙いです。取得価額は4000万円。医療分野だけでなく、障がい者福祉にも領域を広げることで総合的なヘルスケア体制を強化すると見込まれています。


3. 第一交通産業<9035>、第一タクシー(名古屋市)からタクシー事業の一部を取得

売り手:第一タクシー(名古屋市) 第一交通産業は2012年2月29日、子会社である千成第一交通(名古屋市)を通じて第一タクシーからタクシー車両25台を取得し、グループの愛知県内における保有台数を増やすことを発表しました。取得価額は非公表。第一交通産業グループはこれによって名古屋地区の営業基盤を強化し、タクシー事業を中心とした交通ネットワーク事業拡大を推進する狙いがあります。


4. 日本調剤<3341>、テバ製薬(名古屋市)保有の製造工場を取得

売り手:テバ製薬(名古屋市) 日本調剤は2014年4月18日、子会社の日本ジェネリックを通じて、テバ製薬が埼玉県春日部市に持つ製造工場を約21億円で取得すると発表しました。ジェネリック医薬品の普及促進が進む中、需要拡大に対応して生産設備を増強する狙いです。武田テバ薬品を含む名古屋発のジェネリック関連事業が活況を呈しており、日本調剤も積極的に国内の製造拠点を確保しています。


5. 大成<4649>、ビル清掃管理企業の徳永興業を子会社化

売り手:徳永興業(名古屋市) 大成は2010年7月9日に徳永興業の株式90.8%を追加取得し、子会社化しました。徳永興業は名古屋地区でビル清掃管理を手がけ、外注委託先として大成を支えてきた企業です。今回の子会社化により、清掃管理業務を自社グループ内で効率的に集約し、コスト面やサービス品質向上を図ることが目的です。取得価額は4400万円。


6. 大成<4649>、MBOにより非公開化

売り手:大成(名古屋市) 大成は2021年2月8日、社長の加藤憲司氏が代表を務めるアイ・ケイ・ケイ(名古屋市)によるTOB(株式公開買い付け)で全株式を取得され、上場廃止となるMBO(経営陣による買収)を実施すると発表しました。新型コロナの影響でテレワークが普及し、オフィス需要の先行きが不透明になる中、非公開化によって迅速な意思決定を行い、安定的なビルメンテナンス事業運営を図るとのことです。買付価格は1株1140円(前営業日終値768円に48.44%のプレミアム)。


7. 名古屋木材<7903>、MBOにより非公開化

売り手:名古屋木材(名古屋市) 名古屋木材は2021年2月5日、社長の丹羽耕太郎氏が設立したNホールディングス(名古屋市)を通じてTOBを行い、株式を非公開化すると発表しました。名古屋証券取引所2部に上場してきた同社は人口減少や新設住宅着工戸数の減少を背景に、非住宅分野(公共施設や商業施設など)の木質化需要を取り込むため経営を柔軟に行う必要があると判断。買付価格は1株4350円です。


8. 石塚硝子<5204>、洋食器メーカーの鳴海製陶(NARUMI)を子会社化

売り手:鳴海製陶(名古屋市) 石塚硝子は2014年12月17日、「NARUMI」ブランドで知られる高級洋食器大手の鳴海製陶を買収し、全株式を取得しました。取得価額は43億5500万円。ガラス食器部門を強みとする石塚硝子が鳴海製陶の陶磁器領域を取り込むことで、国内外でブランド融合を図り、さらなる販売力強化を目指す事例です。鳴海製陶は1946年創業でボーンチャイナ量産化などで国内トップクラスの技術を誇ります。


9. 中本パックス<7811>、食品包装用フィルムのMICS化学<7899>を買収

売り手:MICS化学(名古屋市) 中本パックスは2023年10月17日、東証スタンダード上場のMICS化学をTOBと株式交換を組み合わせて完全子会社化すると発表しました。MICS化学は食品向けプラスチックフィルムの製造を手がけ、名古屋市に本社を置きます。買付価格は1株350円で、筆頭株主の盛田エンタプライズ所有株49.42%をTOBで取得後、株式交換で残余の株式を取得。食品包装分野での統合効果が狙いです。


10. 日創プロニティ<3440>、空調関連機器メーカーのダイリツ(名古屋市)を子会社化

売り手:ダイリツ(名古屋市) 日創プロニティは2018年2月26日、空調用ダンパーの製造や防火・防炎設備を手がけるダイリツを買収することを決定しました。株式取得価額は5100万円。建築用金属加工を行う日創プロニティが空調向けシステム製造企業を取り込むことで、主にビル設備向けの製品開発・システム提案を強化します。空調用ダンパーや特注品の需要が高まる中、地域密着と専門技術を兼ね備えるダイリツのノウハウが大きなシナジーを生む見込みです。


11. 東新住建<1754>、子会社4社を売却

売り手:東新住建(愛知県稲沢市) 東新住建は2009年1月9日、建設工事業や不動産事業を行う子会社4社(東新ハイトス、ブルーボックス、ブルータス保証、カメヤグローバル)を売却すると発表しました。総額は各社あわせて複数億円規模(借入金相殺分含む)とみられ、主に金融機関からの借入返済や資金繰り安定を目的としています。当時はリーマンショック後の不況下で不動産業界が苦戦していた時期にあたり、経営資源を戸建住宅などの本業に集中する策として位置付けられました。


12. 日本創発グループ<7814>、総合製本会社の飯島製本を追加出資で子会社化

売り手:飯島製本(名古屋市) 日本創発グループは2023年4月28日、飯島製本の株式を32%追加取得し、持株比率を70%として子会社化しました。取得価額は3億8400万円。飯島製本は1921年創業で、中京圏に3工場、関東・関西に各1工場を持つ国内最大規模の独立系製本会社です。日本創発グループは印刷・製本一体化による生産効率向上や、ワンストップサービスを推進し、競争力強化を図っています。


13. 中部日本放送<9402>、タクシー事業子会社の文化交通を大阪バスに譲渡

売り手:中部日本放送(CBC、名古屋市) 中部日本放送は2022年6月29日、子会社である文化交通(名古屋市。売上高3億円)をバス・タクシー事業の大阪バスに譲渡しました。譲渡価額は非公表。近年、放送業界ではメディア環境変化やコロナ禍による移動需要減など厳しい事業環境が続いており、文化交通は取材用車両などを運行していましたが、グループ経営の効率化を重視した結果手放す形となりました。


14. 中部飼料<2053>、配合飼料の製造子会社みらい飼料を伊藤忠飼料に譲渡へ

売り手:中部飼料(名古屋市) 中部飼料は2021年・2023年にかけ、合弁相手の伊藤忠飼料(東京都江東区)との資本提携を段階的に解消し、配合飼料事業を再編する動きを進めています。みらい飼料は当初伊藤忠飼料の子会社でしたが、中部飼料が過半を取得していた経緯があり、今後は工場ごとに譲渡して最終的に子会社から外す方針です。飼料市場の変動リスクや資本関係の見直しが背景にあります。


15. 中部鋼鈑<5461>、ベトナム子会社をソルテック工業に譲渡

売り手:中部鋼鈑(名古屋市) 中部鋼鈑は2021年9月21日、子会社MEITOKU ENGINIEERING VIETNAMの全株式をソルテック工業(大阪市)へ譲渡すると発表。ベトナムでプラント設備製作を行っていた事業ですが、国内事業に経営資源を集中させるため売却しました。譲渡価額は非公表。東南アジア進出企業が引き続き成長を目指す中、撤退や売却による再編も進んでいる事例といえます。


16. 中日本興業<9643>、愛知県の温浴施設・レンタル事業を譲渡

売り手:中日本興業(名古屋市) 映画館や商業施設を運営する中日本興業は、2016年9月30日付でリラクゼーション施設「松竹温泉 天風の湯」を藤枝市のツチヤコーポレーションへ譲渡すると発表。さらに書籍や映像ソフトのレンタル事業なども不採算を理由に別企業へ売却しました。名古屋市を中心に劇場事業の強化を図る一方、周辺事業からは撤退し経営の選択と集中を進めています。


17. 東海東京フィナンシャルHD<8616>、トヨタフィナンシャルサービス証券を買収

売り手:トヨタフィナンシャルサービス(名古屋市) 東海東京フィナンシャル・ホールディングスは2009年9月28日、トヨタ自動車グループのトヨタフィナンシャルサービス証券を2億9000万円で取得し、子会社化した後、東海東京証券に合併させました。中部地区に強固な顧客基盤をもつネット証券事業を取り込み、対面営業が主軸だった東海東京証券と連携することで、一層の事業拡大を期待しました。


18. 石垣食品(現ウェルディッシュ)<2901>、化粧品・健康食品販売のメディアートを子会社化

売り手:メディアート(名古屋市) 石垣食品(2023年社名変更でウェルディッシュ)は2024年2月21日付でメディアート株式の50%を取得し、翌22日に株式交換で完全子会社化する契約を締結しました。取得価額は1億5000万円。メディアートは育毛機器や美容・健康食品を取り扱い、石垣食品(ウェルディッシュ)の業績低迷を打開するために展開する新規分野「化粧品・健康食品事業」の成長に貢献するとみられています。


19. 売れるネット広告社<9235>、化粧品・健康食品ネット通販のオルリンクス製薬を子会社化

売り手:オルリンクス製薬(名古屋市) 売れるネット広告社は2023年12月19日、化粧品や健康食品のD2C通販を手がけるオルリンクス製薬の全株式を取得する方針を発表し、2024年2月6日付で完了しました。取得価額は約100万円(実質アドバイザリー費用等含む)。売れるネット広告社はネット広告の運用や成果報酬型サービスを主力とし、今回の買収によって自社での通販事業に乗り出す狙いです。


20. 売れるネット広告社<9235>、Webマーケティング事業のグルプスを子会社化

売り手:グルプス(名古屋市) 売れるネット広告社は2023年12月13日、Web広告運用型事業を展開するグルプスの全株式を取得すると公表し、2024年2月6日付で子会社化を完了しました。取得価額は3億3700万円。広告出稿量を増加させる中で専門知識をもつ人材・ノウハウを取り込み、健康食品や化粧品のD2C領域をはじめ各業界へのマーケティング支援体制を強化する目的があります。


21. 大興電子通信<8023>、SE派遣の名古屋総合システムを子会社化

売り手:名古屋総合システム(名古屋市) 大興電子通信は2022年4月22日、SE派遣・ソフト受託開発の名古屋総合システムを買収し、同年4月27日付で子会社化しました。取得価額は非公表。大手製造業が集積する中部エリアで、IT人材需要が拡大しており、大興電子通信は顧客基盤を強化すると同時に開発体制の拡充を見込んでいます。


22. 東海ソフト<4430>、ソフトウエア開発のAJ・Flatを買収

売り手:AJ・Flat(名古屋市) 東海ソフトは2024年10月16日、ソフトウエア開発企業AJ・Flatを子会社化すると発表。東京・大阪にも営業拠点を持つAJ・FlatはDX需要に対応した幅広い開発領域で実績があります。取得価額は18億7000万円に決まり、同年12月2日付で買収を実施予定。人材獲得と技術力向上を狙った動きです。


23. 日本動物高度医療センター<6039>、動物用医療機器メーカーのテルコムを買収

売り手:テルコム(横浜市本社だが、主要事業拠点は名古屋市の動物病院と連携) 日本動物高度医療センターは2021年11月4日、酸素ハウスなど在宅向け動物医療機器を製造するテルコムの全株式を取得する契約を締結し、2022年3月18日付で子会社化を完了しました。取得価額は非公表。名古屋市の病院連携を含めた動物二次診療ネットワークを拡充し、質の高い動物医療を展開していく考えです。


24. バイク王&カンパニー<3377>、駐車場運営事業を名鉄協商(名古屋市)に売却

売り手:バイク王&カンパニー(東京都港区) バイク王&カンパニーは2017年10月3日、連結子会社パーク王(東京都港区)を名鉄協商(名古屋市)に譲渡し、駐車場運営事業から撤退すると発表しました。譲渡価額は7億8000万円。バイク事業への経営資源集中のためにサイドビジネスを整理する例で、名鉄協商は駐車場拡大の一環で買収を実施しました。


25. 大日本木材防腐<7907>、MBOで株式を非公開化

売り手:大日本木材防腐(名古屋市) 大日本木材防腐は2016年11月11日、MBO(経営陣買収)により上場廃止すると発表。TOBの買付者は材惣木材(名古屋市)で、最大15億7656万円相当を投じて株式を取得。国内住宅市場の先行き不安や短期的業績変動への株式市場の影響を回避するため、非公開化で経営改革を断行しやすくする狙いです。


26. 不動テトラ<1813>、地盤改良工事の愛知ベース工業を買収

売り手:ABホールディングスが保有する愛知ベース工業グループ(愛知県岡崎市、名古屋市) 不動テトラは2020年9月23日、戸建住宅など小規模建築の地盤改良を手がける愛知ベース工業グループ3社を買収し、子会社化すると発表しました。取得価額は非公表。大規模土木工事のノウハウと戸建て向け地盤改良技術を組み合わせ、幅広い基礎工事需要に応える体制を強化します。


27. 木曽路<8160>、食肉加工の建部食肉産業を子会社化

売り手:建部食肉産業(名古屋市) しゃぶしゃぶレストラン「木曽路」などを運営する木曽路は2022年3月31日、建部食肉産業の全株式を10月1日付で取得し子会社化すると発表しました。取得価額は非公表。焼肉業態「大将軍」「くいどん」などの出店拡大を計画しており、食肉加工の内製化による安定供給とコスト競争力強化を狙っています。


28. 桧家住宅<1413>、建築資材製造の日本アクアを子会社化

売り手:日本アクア(名古屋市) 桧家住宅は2009年2月25日、断熱材「アクアフォーム」を扱う日本アクアの株式を87.5%取得し、子会社化。取得価額は3億1500万円。高気密・高断熱の住宅需要が拡大する中、住宅性能強化を図る桧家住宅が、日本アクアの発泡ウレタン断熱技術を確保することで、自社グループ住宅の付加価値向上を目指しました。


29. 日本化学工業<4092>、ケミカルフィルター製造子会社の日本ピュアテックをミラプロへ譲渡

売り手:日本化学工業(東京本社だが日本ピュアテックは名古屋市) 日本化学工業は2021年8月11日、連結子会社の日本ピュアテック(名古屋市)を、半導体関連装置のミラプロ(山梨県)に35億円で譲渡すると発表しました。日本ピュアテックは空調設備機器やケミカルフィルターを製造販売し、同社グループとのシナジーが限定的との判断から売却に至ったという背景です。


30. 投資ファンドJ-STAR、アイセイ薬局<3170>をTOBで子会社化

売り手:アイセイ薬局(東京都千代田区) 投資ファンドのJ-STARは2016年2月5日、調剤薬局大手のアイセイ薬局にTOB(株式公開買い付け)を実施し、上場廃止させると発表。アイセイ薬局がJ-STAR投資先の在宅ホスピス事業ナースコール(名古屋市)と連携し、調剤・在宅ホスピスを融合した包括的医療サービスを提供する狙いが示されています。買付価格1株5300円で総額126億円超にのぼりました。


31. 太平電業<1968>、火力発電メンテナンスの日本機械製作所を子会社化

売り手:日本機械製作所(名古屋市) 太平電業は2018年3月30日、名古屋を中心に火力発電所メンテナンスや機械据え付け工事を行う日本機械製作所を買収し、子会社化しました。取得価額は非公表。電力市場自由化や施設老朽化対策に伴うメンテナンス需要拡大に対応すべく、施工体制を強化して収益基盤を拡大します。


32. 全国保証<7164>、SMBCファイナンスサービスから住宅ローン保証事業を取得

売り手:SMBCファイナンスサービス(名古屋市) 全国保証は2020年12月14日、SMBCファイナンスサービスが提携する複数金融機関の住宅ローン保証債務を会社分割で取得すると発表。取得価額は1円ながら保証債務約50億円規模を受け入れます。全国保証は中京地域を含む全国的な住宅ローン保証ニーズを取り込み、保証残高を拡大する戦略です。


33. 日東工業<6651>、産業機械制御システム開発の大洋電機製作所を子会社化

売り手:大洋電機製作所(名古屋市) 日東工業は2014年6月30日、大洋電機製作所の全株式を取得し子会社化しました。大洋電機は産業機械向け制御システムやソフトウェアを設計・開発し、愛知県の製造業顧客に実績をもつ企業。日東工業は分電盤や配電盤を中心とする電機インフラ製品を主力としており、両社の技術融合による新製品開発を狙っています。


34. 前田製作所<6281>、サンネットワーク中部(名古屋市)から介護用品事業を取得

売り手:サンネットワーク中部(名古屋市) 前田製作所は2008年9月9日、名古屋市を拠点に介護用品レンタル事業を展開するサンネットワーク中部から一部エリア事業を取得することを決めました。建機事業で培った拠点を活用し、地域に密着した介護関連サービスを新規展開する狙いがあります。売上高約4億4500万円相当の事業譲渡で、シニアマーケットへの事業多角化を進めています。


35. 日機装<6376>、紫外線LED研究開発の創光科学を子会社化

売り手:創光科学(名古屋市) 日機装は2012年6月18日、レクチンチップや紫外線発光ダイオードなど先端技術を扱う創光科学を追加取得し、持株比率を70%として子会社化しました。日機装が得意とするポンプ・医療機器分野との技術連携を視野に、新たなバイオ・医療関連事業の可能性を模索します。取得価額は非公表。


36. 神戸物産<3038>、薬膳中華料理店を営む日本臨床漢方研究機構を子会社化

売り手:日本臨床漢方研究機構(東京都港区拠点、ただし店舗は名古屋市) 神戸物産は2015年6月10日、連結子会社ジー・コミュニケーション(名古屋市)を通じて、中華レストラン「白金劉安」を運営する日本臨床漢方研究機構の株式66.7%を取得し子会社化しました。薬膳や漢方を取り入れた独自メニューを外食事業強化に生かす考えで、名古屋を含めた店舗展開を加速させます。


37. 中央可鍛工業<5607>、自動車部品メーカーの武山鋳造を子会社化

売り手:武山鋳造(名古屋市) 中央可鍛工業は2019年2月8日、武山鋳造が実施する第三者割当増資を引き受け、議決権ベースで89.87%を取得し子会社化すると発表。取得価額5億7800万円。両社とも熊本県内に工場を持ち、そこを拠点に自動車や産業車両向け鋳物部品の生産を強化し、シナジー(相乗効果)の最大化を目指します。


38. 江守グループホールディングス<9963>、主要子会社8社をファンドへ譲渡

売り手:江守グループHD(福井市、本件中に名古屋市本社の興和紡との絡み) 江守グループホールディングスは2015年4月30日、江守商事など主要子会社8社を、名古屋市の企業を中心に組成されたファンドへ譲渡するスポンサー契約を締結。化学品や繊維など幅広い事業を展開してきましたが、民事再生手続き開始を申請し、債権者との再建方針をファンド支援のもとで遂行する運びとなりました。


39. 日本紙パルプ商事<8032>、古紙商社福田三商(名古屋市)を株式交換で子会社化

売り手:福田三商(名古屋市) 日本紙パルプ商事は2017年1月27日、古紙専門商社大手の福田三商を株式交換により完全子会社化することを決定。福田三商は1936年創業で、古紙再資源化分野で国内トップクラスの実績を誇ります。再生資源への需要が高まる中、古紙調達の安定化と事業基盤の強化を狙った大型再編です。


40. 北日本紡績<3409>、ヘルスケア製品販売の中部薬品工業を株式交換により子会社化

売り手:中部薬品工業(愛知県北名古屋市) 北日本紡績は2020年12月10日、ヘルスケア製品や健康茶などを扱う中部薬品工業を株式交換で子会社化すると発表しました。マスク製造を機にヘルスケア事業へ進出した北日本紡績が、歯磨きパウダー等を手がける同社を取り込むことで商品ラインナップを拡充し、成長加速を目指しています。


41. 村上開明堂<7292>、外壁工事子会社(村上開明堂コンフォーム)をウチダ(名古屋市)に譲渡

売り手:村上開明堂(静岡市) 村上開明堂は2016年2月9日、住宅外壁工事やリフォーム事業を行う子会社の株式すべてをガラスやサッシなどを販売するウチダに譲渡すると発表しました。譲渡価額は非公表。ウチダ(名古屋市)への売却により、村上開明堂は自動車用ミラーを主力とする部門へ経営資源を集中させる考えです。


42. 幸進、リオチェーンホールディングス<9834>をMBOで非公開化

売り手:リオチェーンホールディングス(名古屋市) アパレルファッション専門店チェーンを運営するリオチェーンホールディングスは2009年7月27日、幸進(名古屋市)によるTOB(株式公開買い付け)を受け入れ、非公開化を決定。幸進はリオチェーンHDの代表取締役会長や社長が出資する資産管理会社で、ファッション市場の低迷や競争激化の中、柔軟な事業改革を進めるためのMBOです。買付価格は1株480円。


43. 御園座<9664>、有料老人ホーム事業をのぞみに譲渡

売り手:御園座(名古屋市) 御園座は2013年5月28日、子会社ミソノピア(名古屋市)が運営する有料老人ホーム「ミソノピア」事業を医療コンサルタントののぞみ(横浜市)に売却すると発表しました。譲渡価額は1億円。再開発中の劇場事業に経営資源を集中させるため、老人ホーム事業を含む非主力分野を整理する一環です。


44. 豊田通商<8015>、工業用部品製作業のトキワエンジニアリングを子会社化

売り手:トキワエンジニアリング(名古屋市) 豊田通商は2011年11月22日、トキワエンジニアリングとの間で株式交換を行い、同社を完全子会社化すると発表しました。ロボットや医療機器の部品製作・システム開発など事業領域を広げると同時に、豊田通商のグローバルネットワークを活用して海外展開も強化する狙いです。


45. ロジコム<8938>、ショッピングモール運営の本巣ショッピングワールドを買収

売り手:リオワールド(名古屋市から岐阜本巣市へ) ロジコムは2011年9月7日、リオワールドが展開していた岐阜県のショッピングモール「リオワールド」の事業を譲り受け、本巣ショッピングワールド(岐阜県本巣市)を子会社化しました。名称を「LCワールド本巣」に改めてリニューアル運営を開始。名古屋市に拠点を置く企業グループ間で商業施設の移管が行われた例です。


46. 地域新聞社<2164>、フリーペーパー発行の東京新聞ショッパー社を買収

売り手:中日新聞社(名古屋市に本社機能、子会社の東京新聞) 地域新聞社は2014年12月25日、中日新聞傘下でフリーペーパー「東京新聞ショッパー」を発行する東京新聞ショッパー社(東京都千代田区)の全株式を取得。取得価額は2800万円。千葉中心の「ちいき新聞」を展開していた地域新聞社が首都圏エリアに進出するため、中日新聞グループが保有していた販路やノウハウを取り込む狙いです。


47. 極東貿易<8093>、合成樹脂原材料などを扱う三幸商会を子会社化

売り手:三幸商会(名古屋市) 極東貿易は2024年8月30日、合成樹脂や溶射材を取り扱う専門商社の三幸商会を39億4000万円で子会社化すると発表しました。自動車部品や半導体関連など多方面で使用される素材を扱う三幸商会の顧客ネットワークを獲得し、部材商社としての事業領域拡大を図ります。


まとめと展望

名古屋市・愛知県を拠点とする企業がからむM&Aは、製造業や医薬品だけでなく、外食・流通・IT・介護福祉・建設・不動産など幅広い業種で実行されています。上記の事例を総合的に見ると、以下のような特徴や動向が浮かび上がります。

  1. 地場大手企業からの事業譲渡・買収
    トヨタ自動車や武田薬品工業、テバ製薬など世界的に活躍する大手企業や、歴史ある地場企業(名古屋木材、大成など)が合弁・MBO・子会社化などを通じて事業再編を進めています。製薬分野ではジェネリック医薬品拡大に伴う工場売買や合弁設立が活発で、新薬企業が特許切れ品を手放して研究開発へ集中する一方、ジェネリック専業が台頭する構図が見られます。
  2. MBOによる非公開化で柔軟な経営へ
    大成や名古屋木材などがMBOを決定し、上場廃止して非公開化へ舵を切った例は、外部環境の急激な変化(コロナ禍や人口減少など)に迅速に対応しやすい経営体制を求めた結果です。中京圏の老舗企業でも、株式市場での調達メリットと上場維持コスト・投資家の要求を天秤にかけ、長期的成長を優先する動きが増えています。
  3. 外食・小売・タクシーの地域再編
    第一交通産業がタクシー会社を次々と買収して台数増に成功しているほか、ファミリーマートによるココストア買収、神戸物産とジー・コミュニケーショングループの外食事業統合など、多店舗展開を行う小売・外食業が競争力向上のためM&Aを積極活用しています。コンビニやファミレス業界と同様に、タクシー業界も地域寡占化が進む傾向です。
  4. IT・DX需要を背景としたシステム開発企業の取り込み
    東海ソフトによるAJ・Flat買収や大興電子通信と名古屋総合システムの統合など、IT人材やDXソリューションを確保する目的のM&Aが盛んです。製造業が集中する名古屋圏では、生産管理やIoT連携システムなどの案件需要が多く、東京・大阪のIT企業が地元企業を買収したり、逆に名古屋発IT企業が経営統合を模索したりと、上下流での連携が活発化しています。
  5. 非中核事業の売却と再編
    不動産業や建設業を中心に、東新住建や中部飼料などが子会社の事業譲渡を実施するなど、「選択と集中」による再編が多く見られます。大手企業もグローバル競争に勝ち残るには新薬やDX、環境関連など成長分野にリソースを集中する必要があり、長期収載品や旧工場、ノンコア事業を外部に売却するケースが増加しています。
  6. 新規事業参入・多角化のためのM&A
    石垣食品(ウェルディッシュ)や売れるネット広告社などが相次いで名古屋のベンチャーや事業を取得し、新たな成長領域を広げる動きが顕著です。食品メーカーが化粧品・健康食品に参入、外食産業が漢方薬膳を取り込むなど、自社の事業領域を超えた買収でイノベーション創出を狙う事例も少なくありません。

名古屋市は日本を代表する工業地帯・製薬拠点としてだけでなく、外食や小売、ITベンチャーなども相当数存在し、国内最大級の産業集積を形成しています。“モノづくり”から“医療・介護”、“IT・DX”まで幅広い領域でM&Aが行われるのが特徴で、地域企業同士の合従連衡に加え、外資・投資ファンドとの連携や東京・大阪など他地域の企業との再編も活発です。

特に人口減少やコロナ禍、世界経済変動への対応を迫られる中、非公開化(MBO)によって中長期志向の経営を進める動きは今後も増える可能性があります。また、DX・AI化の進展によりIT人材確保が最重要課題となるため、ソフトウェア受託開発やクラウドサービス関連企業を買収する流れはますます盛んになるでしょう。

引き続き、名古屋市を軸とした愛知県のM&A動向は多様性に富んでおり、地域独自の強み(自動車・航空機・製薬など)と成長領域(ジェネリック医薬品、IT・DX、再生エネルギー、介護福祉サービスなど)が交錯する刺激的なマーケットとして注目を集めそうです。今後も企業規模の大小にかかわらず、新たな再編・資本提携が続々と実施される見通しです。