目次
  1. 1. トランスジェニック<2342>による東北新和化学子会社化
  2. 2. 平和<6412>による福岡飯塚ゴルフの買収
  3. 3. 平和<6412>による福岡国際カントリークラブの取得
  4. 4. 平山ホールディングス<7781>によるブリヂストングリーンランドスケープ(BSGL)買収
  5. 5. 不二製油<2607>によるオーム乳業の子会社化
  6. 6. 日特建設<1929>による麻生フオームクリート<1730>の子会社化
  7. 7. 日総工産<6569>によるベクトル伸和の子会社化
  8. 8. 日創プロニティ<3440>によるシキファニチアの子会社化
  9. 9. 日創プロニティ<3440>によるワタナベテクノス、エヌ・テクノス2社同時買収
  10. 10. 東邦ホールディングス<8129>によるセイコー(福岡県飯塚市)の完全子会社化
  11. 11. 麻生グループによる東都水産<8038>へのTOB(3分の1超取得)
  12. 12. 東芝<6502>、福岡県大牟田市の石炭火力発電事業を投資ファンドに譲渡
  13. 13. 東海東京フィナンシャルHD<8616>、南九州3支店を西日本シティ銀行<8327>子会社へ譲渡
  14. 14. ACAと損保ジャパン設立の投資組合、シダー<2435>株式34%を取得(TOB)
  15. 15. 鳥貴族ホールディングス<3193>による「やきとり大吉」運営のダイキチシステム子会社化
  16. 16. カーチスホールディングス<7602>によるアーバンの子会社化(再生支援)
  17. 17. 第一交通産業<9035>による広島合同タクシーの買収
  18. 18. 第一交通産業<9035>による福岡の長住タクシー買収
  19. 19. 第一交通産業<9035>によるひかりタクシー買収
  20. 20. 大和ハウス工業<1925>によるトモの子会社化
  21. 21. 大和ハウス工業<1925>によるダイヨシトラスト<3243>のTOB(完全子会社化)
  22. 22. 大豊建設<1822>、麻生(福岡県飯塚市)の傘下入り
  23. 23. 大黒天物産<2791>によるマミーズの22店舗取得
  24. 24. 太陽化学<2902>による香奈維斯(天津)食品の子会社化
  25. 25. 前田工繊<7821>によるマグネ買収
  26. 26. 西日本シティ銀行<8327>による西日本シティTT証券子会社化
  27. 27. 正興電機製作所<6653>、トライテック買収
  28. 28. リテールパートナーズ<8167>、マルキョウ<9866>との経営統合
  29. 29. 情報技術開発<9638>によるエフ・エー・ソリューション子会社化
  30. 30. 出光興産<5019>によるアグロカネショウ<4955>のTOB
  31. 31. 三井松島産業<1518>による永田エンジニアリング買収
  32. 32. 三ツ知<3439>による創世エンジニアリングの子会社化
  33. 33. 合同製鐵<5410>によるトーカイ完全子会社化
  34. 34. 高島<8007>による新エネルギー流通システム子会社化
  35. 35. 串カツ田中ホールディングス<3547>による福岡県内直営店の譲渡
  36. 36. 九州鉄道<9142>によるキャタピラー九州(旧シグマパワー九州)の建設機械事業取得
  37. 37. 丸和運輸機関<9090>によるM・Kロジ買収
  38. 38. 丸和<9874>による持ち帰り寿司事業の譲渡
  39. 39. 丸和<9874>、石原商事(福岡県北九州市)を完全子会社化
  40. 40. 越智産業<7489>による鈴木木材グループのプレカット事業取得
  41. 41. 宇部興産<4208>と三菱マテリアル<5711>、セメント事業の統合(福岡県の工場含む)
  42. 42. 医学生物学研究所<4557>によるライフテック譲渡
  43. 43. 旭硝子<5201>(現AGC)、位登産業の譲渡
  44. 44. ワコールホールディングス<3591>による福岡工場譲渡
  45. 45. ワキタ<8125>によるグランドアースと九州機械センターの子会社化
  46. 46. レノバ<9519>による苅田バイオマスエナジー子会社化
  47. 47. レイアパートナーズ<1411>によるスタイルプラス・ホテル&リゾート譲渡
  48. 48. リテールパートナーズ<8167>によるオーケー(大分市)の「新鮮市場」事業取得
  49. 49. リテールパートナーズ<8167>によるハツトリー買収
  50. 50. リテールパートナーズ<8167>による宇佐市のスーパー2店舗取得
  51. 51. ラストワンマイル<9252>によるHOTEL STUDIO買収
  52. 52. ヨシムラ・フード・ホールディングス<2884>による十二堂買収
  53. 53. やまや<9994>による明治屋産業の酒類販売店事業取得
  54. 54. ヤマエ久野<8108>によるいんま商事子会社化
  55. 55. ヤマエ久野<8108>による日装建の子会社化
  56. 56. ヤマウ<5284>による大分フジ子会社化
  57. 57. メンタルヘルステクノロジーズ<9218>によるみらい産業医事務所買収
  58. 58. メディカルシステムネットワーク<4350>によるトータル・メディカルサービス<3163>子会社化(TOB)
  59. 59. マルカキカイ<7594>による北九金物工具の子会社化
  60. 60. ポエック<9264>によるマリンリバー子会社化
  61. 61. プロトコーポレーション<4298>によるオートウェイ子会社化
  62. 62. ふくおかフィナンシャルグループ<8354>と福岡中央銀行<8540>の経営統合
  63. 63. フェヴリナ<3726>、ソフトエナジーホールディングスを株式交換で子会社化
  64. 64. ファミリーマート<8028>、ココストアリテール(福岡県大野城市)譲渡で基本合意
  65. 65. ファーマフーズ<2929>、アイ・セレモニーを木下へ譲渡
  66. 66. PGMホールディングス<2466>によるセントレジャー・マネジメントからゴルフ場2コース取得
  67. 67. Lib Work<1431>による幸の国木材工業子会社化
  68. 68. KG情報<2408>によるアピールコム子会社化
  69. 69. AMGホールディングス<8891>による川﨑ハウジングなど2社の買収
  70. まとめと展望

1. トランスジェニック<2342>による東北新和化学子会社化

売り手:東北新和化学(福島県二本松市、福岡県など全国6工場) 2024年6月24日、トランスジェニックは精製水やバッテリー補充液を製造する東北新和化学の全株式を取得し、収益源の多角化を狙うことを発表しました。東北新和化学は福岡県にも工場を構えており、全国6拠点でフォークリフトメーカー向けなどに安定供給を行っています。バイオ創薬支援が主力のトランスジェニックがインフラ系の安定収益事業に進出する意義は大きいとみられます。

2. 平和<6412>による福岡飯塚ゴルフの買収

売り手:福岡飯塚ゴルフ(福岡県飯塚市) 2017年6月1日、パチンコ機器やゴルフ場運営で知られる平和は、子会社を通じて福岡県飯塚市のゴルフ場「福岡飯塚ゴルフ」の全株式を取得しました。取得価額は非公表ですが、年間売上高は約4億円でした。福岡飯塚ゴルフは飯塚市内にコースを構え、地域で安定的に集客してきた実績があります。平和はゴルフ事業拡大を積極的に進めており、全国のゴルフ場を買収し運営網を拡充しています。本件も同社のM&A戦略の一環として位置づけられ、特に九州エリアでのゴルフ事業基盤強化が期待される事例です。

3. 平和<6412>による福岡国際カントリークラブの取得

売り手:松尚開発(福岡県宗像市) 2015年10月1日、平和は子会社パシフィックゴルフプロパティーズ(PGP)を通じ、松尚開発が運営する福岡国際カントリークラブ(宗像市)のゴルフ場事業を新設分割により取得すると発表しました。取得価額は5000万円で、12月1日付で同事業を継承した新会社の全株式をPGPが取得するスキームとなっています。福岡国際カントリークラブの売上高は約6億7300万円で、営業利益は1億4900万円と安定した収益を上げてきました。平和としては全国的にゴルフ場網を拡大する中で、九州地区での基盤強化を図る戦略の一つとみられます。

4. 平山ホールディングス<7781>によるブリヂストングリーンランドスケープ(BSGL)買収

売り手:ブリヂストン(福岡県朝倉市・九州4工場の構内請負) 2023年5月31日、平山ホールディングスはブリヂストン傘下の構内請負会社であるブリヂストングリーンランドスケープ(BSGL)を全株式取得し子会社化すると公表しました。BSGLはブリヂストンの九州4工場(久留米、北九州、鳥栖、甘木)でタイヤ製造の構内作業を担う企業で、売上高18億7000万円、営業利益1億5800万円を計上しています。取得金額は非公表です。平山は構内請負や製造派遣を主力とし、多くの工場で生産工程の効率化をサポートしてきましたが、本件によって九州圏内での事業基盤を強化することが期待されています。

5. 不二製油<2607>によるオーム乳業の子会社化

売り手:オーム乳業(福岡県大牟田市) 2012年3月23日、不二製油は乳製品・生クリームを製造販売するオーム乳業の全株式を取得し子会社化することを決議しました。オーム乳業は高級洋菓子店向けの生クリームを主力としており、売上高は約51億6000万円です。非公表ながら、取得予定日は2012年4月5日とされています。不二製油は油脂や製菓・製パン素材、大豆たん白などのグローバル展開を進めており、洋菓子向け乳製品メーカーをグループに取り込むことで、新製品開発や海外展開における協業効果を狙っています。

6. 日特建設<1929>による麻生フオームクリート<1730>の子会社化

売り手:麻生フオームクリート(福岡県飯塚市・麻生グループ) 2024年12月9日、日特建設は同じ麻生グループ企業である麻生フオームクリートをTOBなどを通じて完全子会社化すると公表しました。日特と麻生フオームはともに麻生の傘下で上場していましたが、グループ再編の一環で少数株主を対象としたTOBを実施し、その後、親会社の麻生から株式を買い取る手続きをとります。総額は約19億4000万円(うちTOB分8億7973万円)で、買付価格は1株あたり680円。麻生フオームクリートは気泡コンクリート工事に強みを持ち、1961年に設立されました。今回の再編によって東証スタンダード市場上場の麻生フオームは上場廃止となる予定です。

7. 日総工産<6569>によるベクトル伸和の子会社化

売り手:ベクトル伸和(愛知県知立市、拠点は福岡県にも展開) 2021年8月10日、製造派遣大手の日総工産は、半導体や精密機器の生産請負を行うベクトル伸和の全株式を取得し子会社化すると発表しました。ベクトル伸和は愛知県のほか広島県や福岡県に事業拠点を持ち、製造業向け請負事業や設備開発などを幅広く手がけています。本件により日総工産は生産請負・派遣の既存領域を拡大させ、さらなる顧客基盤の獲得を図る狙いです。

8. 日創プロニティ<3440>によるシキファニチアの子会社化

売り手:シキファニチア(福岡県朝倉市) 2024年3月18日、日創プロニティは洋家具製造・販売のシキファニチアを全株式取得し子会社化すると発表しました。シキファニチアは1970年創業で、ダイニングチェアやテーブルを中心に「SIKI」ブランドを展開しており、独自のデザインと高品質の家具づくりで定評があります。取得価額は非公表です。日創プロニティはインテリア関連のEC事業を手がけるカナエテ(福岡市)や内外装・リフォーム事業を営むグループ会社との連携により、家具販売チャネルの拡充を見込んでいます。

9. 日創プロニティ<3440>によるワタナベテクノス、エヌ・テクノス2社同時買収

売り手:ワタナベテクノス、エヌ・テクノス(いずれも福岡県飯塚市) 2023年1月13日、日創プロニティは防音ボックスや消音ダクトの製造を手がけるワタナベテクノスと、その販売会社エヌ・テクノスを同時に買収し、両社の全株式を取得しました。取得額は合計7億3300万円。ワタナベテクノスはデータセンター向けの防音技術などを強みに急成長を遂げており、日創プロニティとしては「加工の総合商社」を目指すビジョンの中で、筐体製作を加えた事業拡大を推進するねらいです。

10. 東邦ホールディングス<8129>によるセイコー(福岡県飯塚市)の完全子会社化

売り手:セイコー(福岡県飯塚市) 2009年11月6日、医薬品大手の東邦ホールディングスはセイコーを株式交換により完全子会社化すると発表しました。セイコーは売上高13億6000万円、純資産1億3100万円を計上する薬局運営企業です。東邦HDは「薬局共創未来」に参加するグループ薬局との連携を強化しており、セイコーの株式交換後はさらなる地域医療への貢献と企業価値向上を目指します。福岡県への地盤拡大とあわせて、薬局事業の効率化が期待されます。

11. 麻生グループによる東都水産<8038>へのTOB(3分の1超取得)

売り手:東都水産(東京都) 2020年11月9日、麻生(福岡県飯塚市)は東京の豊洲市場大手卸・東都水産に対するTOBを実施すると発表しました。麻生グループは3分の1超の株式取得を目指しており、最大50%超も想定していますが、東都水産の東証1部上場維持を尊重する意向です。買付価格は1株あたり4550円、買付期間は2020年11月10日~12月22日。地場に根ざしたセメント・医療など多角経営を行う麻生グループが「食」領域での事業ポートフォリオ拡張を狙う意欲的なM&Aとして注目されました。

12. 東芝<6502>、福岡県大牟田市の石炭火力発電事業を投資ファンドに譲渡

売り手:東芝(シグマパワー有明、福岡県大牟田市に火力発電所) 2017年2月24日、東芝は電力供給子会社であるシグマパワー有明が保有する三池発電所の石炭火力事業を、IDIインフラストラクチャーズの運用するファンドへ譲渡することを発表しました。譲渡価額は220億円。国内電力事業の選択と集中を進める東芝が、石炭火力という安定収益源を放出し、事業再編を図る一方、受け手のファンドは長期安定型インフラ事業へ投資機会を得る格好です。

13. 東海東京フィナンシャルHD<8616>、南九州3支店を西日本シティ銀行<8327>子会社へ譲渡

売り手:東海東京証券(名古屋市、ただし譲渡先が福岡県を地盤とする西日本シティTT証券) 2016年1月26日、東海東京フィナンシャル・ホールディングスは東海東京証券の熊本・宮崎・鹿児島3支店を会社分割し、西日本シティTT証券(西日本シティ銀行60%出資)へ譲渡すると発表しました。東海東京にとっては地域特化型の営業を行う西日本シティ銀行グループとの連携を深める狙いがあり、九州での総合金融サービスの強化に寄与するとみられます。対価は未定ながら2016年8月1日付で取引が完了しています。

14. ACAと損保ジャパン設立の投資組合、シダー<2435>株式34%を取得(TOB)

売り手:シダー(福岡県北九州市) 2012年8月13日、投資会社ACA(東京都千代田区)や損保ジャパンが設立した投資事業有限責任組合は、福岡県北九州市に本社を置く介護サービス大手シダーに対してTOBを実施し、株式34%を取得すると発表しました。買付価格は1株610円で、発表前営業日の終値402円に51.74%のプレミアムを乗せています。シダーとしても高いリハビリ技術や複合的な介護サービスをさらに発展させるための事業パートナーとして本TOBを受け入れ、株主に応募を推奨しました。

15. 鳥貴族ホールディングス<3193>による「やきとり大吉」運営のダイキチシステム子会社化

売り手:サントリーホールディングス(大阪市)傘下のダイキチシステム(大阪市)、店舗は福岡県にも約500 2022年9月13日、鳥貴族ホールディングスは焼き鳥店「やきとり大吉」をFC展開するダイキチシステムの全株式をサントリーホールディングスより取得し子会社化すると公表しました。全国約500店舗の加盟店を擁し、小~中規模商圏を主戦場としています。一方「鳥貴族」は中・大規模商圏が中心で約600店舗を運営しており、九州・福岡県への進出を10月に控える状況下、互いのエリアを補完するM&Aとして注目を集めています。

16. カーチスホールディングス<7602>によるアーバンの子会社化(再生支援)

売り手:アーバン(福岡県柳川市) 2014年4月23日、中古車買い取り・販売を展開するカーチスホールディングスは、福岡を拠点とする自動車販売会社アーバンの全株式を取得し子会社化することを発表しました。アーバンは店舗の急拡大による資金繰りが逼迫し民事再生手続きを進めてきましたが、カーチスが再生支援を行い、九州エリアへの本格進出の足がかりとして同社を組み込む形となります。取得価額は1000万円で、アーバンは「カーチス九州販売」へ社名変更しました。

17. 第一交通産業<9035>による広島合同タクシーの買収

売り手:広島合同タクシー(広島市) 2019年2月4日、全国各地でタクシー・バス事業を展開する第一交通産業は、広島合同タクシーの全株式を取得して子会社化すると明らかにしました。広島合同タクシーの子会社化で広島県内のグループ会社は計4社となり、保有台数は18台増の255台、グループ全体では8319台となります。第一交通産業は福岡県を地盤に全国でタクシー運行を拡大してきており、本件もエリアネットワーク強化の一環と位置づけられます。取得金額は非公表です。

18. 第一交通産業<9035>による福岡の長住タクシー買収

売り手:長住タクシー(福岡市) 2013年12月12日、第一交通産業はグループ子会社の福岡第一交通を通じて、福岡市に拠点を持つ長住タクシーの全発行済株式を取得し子会社化しました。取得価額は公表されていませんが、この買収により福岡県内でのタクシー保有台数は1008台から1041台へ拡大し、全国では7702台となりました。第一交通産業は積極的なM&Aを通じて地域交通インフラを支える企業として事業拡大を進めています。

19. 第一交通産業<9035>によるひかりタクシー買収

売り手:ひかりタクシー(福岡県中間市) 2012年12月3日、第一交通産業は北九州地区でタクシー事業を営むひかりタクシーを全株式取得し子会社化しました。ひかりタクシーは19台保有しており、この買収により同地区での台数は594台に達し、グループ全体では7295台を数えます。買収後は「ひかり第一交通」へ社名変更し、保有ライドシェアを含めた運行網の強化を図っています。

20. 大和ハウス工業<1925>によるトモの子会社化

売り手:トモ(東京都大田区)、ただし福岡県のダイヨシトラストも関連 2014年5月9日、大和ハウス工業は、関東・近畿で駐車場事業を展開するトモの株式約90.94%を取得し子会社化すると発表しました。取得価額は非公表です。大和ハウスは2013年に福岡市に本社を置く駐車場運営会社ダイヨシトラスト<3243>をTOBで子会社化しており、駐車場事業の全国展開を加速させています。トモは施設系駐車場(台数が多い大型駐車場)に強みを持ち、ダイヨシとの相互連携による相乗効果が期待されています。

21. 大和ハウス工業<1925>によるダイヨシトラスト<3243>のTOB(完全子会社化)

売り手:ダイヨシトラスト(福岡市) 2013年4月16日、大和ハウス工業は福岡県や東京都を中心にパーキング事業を営むダイヨシトラストに対してTOBを実施し、完全子会社化を目指すと発表しました。買付期間は2013年4月17日~6月3日で、買付価格は1株1066円。発表前営業日の終値927円に14.99%のプレミアムが付与されています。ダイヨシは上場廃止(福岡証券取引所Q-Board)となる見通しで、大和ハウス工業は土地活用の一環として駐車場事業を主力に育てる方針です。

22. 大豊建設<1822>、麻生(福岡県飯塚市)の傘下入り

売り手:旧村上ファンド系(東京都渋谷区など) 2022年3月24日、大豊建設は福岡県飯塚市に本社を置く麻生の傘下に入ると公表しました。第三者割当増資を麻生が引き受けて約403億円を調達し、持株比率は50.74%へ。同時に、筆頭株主だった旧村上ファンド系が保有していた株式を大豊側が自己株式として買い取るスキームが組まれています。麻生グループ入りで大豊建設との協業を強化しつつ、長年続いた大豊と旧村上系の株主間対立も収束する見込みです。

23. 大黒天物産<2791>によるマミーズの22店舗取得

売り手:マミーズ(福岡県柳川市) 2018年10月31日、大黒天物産はディスカウントストアや食品スーパーを運営するマミーズから合計30店舗のうち22店舗を取得すると発表しました。取得価額は非公表で、対象事業の売上高は約99億円。大黒天物産は近畿・中国・四国・九州で事業を拡大しており、目標とする売上高3000億円達成に向けて九州圏での店舗網拡充が大きく進む案件として注目を集めました。

24. 太陽化学<2902>による香奈維斯(天津)食品の子会社化

売り手:ニューイングベーカリー九州(福岡県新宮町)との合弁 2021年3月22日、太陽化学は中国・天津で製パン事業を行う香奈維斯(天津)食品有限公司を持分法適用会社から子会社化すると発表しました。ニューイングベーカリー九州と折半出資していたものを、太陽化学が51%に引き上げる形です。香奈維斯(天津)食品は年率10%以上で成長する中国市場を狙い、製パン技術を活かして拡大中。太陽化学は大豆たん白製品などの製造メーカーとして、これにより海外事業のさらなる深化を図る狙いがあります。

25. 前田工繊<7821>によるマグネ買収

売り手:マグネ(福岡県太宰府市) 2009年9月16日、前田工繊は多機能特殊ポリマーセメントモルタルの開発・製造で実績を持つマグネの全株式を取得し子会社化すると発表しました。マグネは日本アジア投資が94.3%を保有していた企業で、耐震補強や補修工事で多数の施工実績があります。前田工繊は土木・補強材技術を強みとする企業であり、マグネをグループに取り込むことで耐震分野の商品ラインナップを強化し、営業ネットワークをさらに拡充する方針です。

26. 西日本シティ銀行<8327>による西日本シティTT証券子会社化

売り手:東海東京フィナンシャルHD<8616>(東京都) 2010年3月25日、西日本シティ銀行は、東海東京フィナンシャルHD傘下である西日本シティTT証券を第三者割当増資により60%取得し子会社化すると発表しました。同社は西日本シティ銀行と東海東京FHが共同で設立した証券会社ですが、今回の動きで西日本シティ銀行が主導権を強化する形になります。福岡県を中心に地域密着型の証券サービスを拡大していく方針です。取得価額は25億5000万円とされています。

27. 正興電機製作所<6653>、トライテック買収

売り手:トライテック(福岡県中間市) 2017年3月24日、正興電機製作所はインバーター関連機器や自動制御器具を設計・製造するトライテックの全株式を5億2500万円で取得し子会社化すると発表しました。トライテックはさまざまな産業用インバーターソリューションを得意とし、正興電機は電力・産業向け制御システムで蓄積してきたノウハウを踏まえ、パワーエレクトロニクス事業を拡充させる目的で本件を実施しています。

28. リテールパートナーズ<8167>、マルキョウ<9866>との経営統合

売り手:マルキョウ(福岡県大野城市) 2016年7月21日、食品スーパー運営のリテールパートナーズとマルキョウは、2017年3月1日をめどに株式交換方式で経営統合すると公表しました。リテールパートナーズは山口県の丸久と大分県のマルミヤストアが2015年に統合して発足した企業で、現在144店舗を展開。一方、マルキョウは福岡県を中心に88店舗を抱えています。両社の結びつきで売上高約2300億円、経常利益約75億円に達し、九州域内での競争力を向上させる狙いです。マルキョウは2017年2月24日に上場廃止となり、その後リテールパートナーズ100%子会社となっています。

29. 情報技術開発<9638>によるエフ・エー・ソリューション子会社化

売り手:エフ・エー・ソリューション(福岡県直方市) 2009年10月23日、情報技術開発(東京)はファクトリーオートメーション(FA)分野のトータルソリューションを提供するエフ・エー・ソリューションの株式50.4%を227万円で取得し子会社化しました。同社はロボットや制御装置を組み込んだFA機器設計を行っており、製造業の自動化ニーズ増大に対応。情報技術開発としてはシステム開発事業に加え、FA分野の成長機会を取り込みたい方針が背景にあります。

30. 出光興産<5019>によるアグロカネショウ<4955>のTOB

売り手:アグロカネショウ(本社は東京都中央区だが、筆頭株主に麻生<福岡県飯塚市>が存在) 2024年11月12日、出光興産は農薬メーカーのアグロカネショウを完全子会社化する目的でTOBを開始すると発表しました。買付価格は1株1900円、TOB前日の終値1347円に41.05%のプレミアムをつけ、最大230億円の買付総額を見込みます。アグロカネショウの筆頭株主である麻生(福岡県飯塚市)など計4者が合計41.29%を応募する意思を示しています。出光はアグリバイオ事業を成長領域と位置付けており、農薬事業のノウハウを獲得することで事業拡大を図る考えです。

31. 三井松島産業<1518>による永田エンジニアリング買収

売り手:永田エンジニアリング(福岡県北九州市) 2012年5月15日、三井松島産業は石炭選別技術で特許を持つ永田エンジニアリングの全株式を取得すると発表しました。取得価額は非公表ですが、日本で唯一石炭の選別技術を有する同社の強みを活かし、海外炭鉱開発における総合力を高める狙いがあります。三井松島産業は長年石炭ビジネスを主軸としており、本件による技術補完で開発から操業まで一気通貫のサービスを提供可能となります。

32. 三ツ知<3439>による創世エンジニアリングの子会社化

売り手:創世エンジニアリング(福岡県久留米市) 2020年10月30日、三ツ知は精密機械金型設計・製作を担う創世エンジニアリングの全株式を12月1日付で取得し子会社化すると発表しました。同社は通信・医療・自動車・半導体と多様な顧客基盤を持ち、売上高9億2800万円、営業利益1億2600万円を計上しています。三ツ知は冷間鍛造技術を活用した自動車部品メーカーであり、創世エンジニアリングの顧客基盤・加工技術を取り込むことで事業領域の拡張を狙います。

33. 合同製鐵<5410>によるトーカイ完全子会社化

売り手:トーカイ(福岡県久山町) 2015年12月24日、合同製鐵は異形棒鋼の製造・販売を行うトーカイの株式を追加取得し、完全子会社化すると公表しました。トーカイは売上高約163億円、営業利益8億700万円を計上しており、九州地区を中心とした生産拠点を持ちます。合同製鐵は異形棒鋼分野で全国シェア拡大を図る中、九州での供給力強化が大きなポイントとなっており、本件取得により経営基盤を拡充していく方針です。

34. 高島<8007>による新エネルギー流通システム子会社化

売り手:新エネルギー流通システム(福岡県大野城市) 2022年11月14日、高島は太陽光発電システムやオール電化システムの電気工事を手がける新エネルギー流通システムの全株式を取得し子会社化すると発表しました。取得価額は非公表。新エネルギー流通システムはV2H(電気自動車やPHVに蓄えられた電力を住宅に活用)など次世代のエネルギー技術導入にも注力しており、高島としては工事機能の内製化やグリーン分野のソリューション強化を目指す形です。

35. 串カツ田中ホールディングス<3547>による福岡県内直営店の譲渡

売り手:串カツ田中ホールディングス(東京都品川区保有店舗のうち福岡エリア) 2023年6月15日、串カツ田中ホールディングスは福岡県内の直営11店舗を外食事業のイートスタイル(宮崎県小林市)へ譲渡すると発表しました。譲渡金額は非公表、対象店の売上高は約6億3900万円。譲渡後はフランチャイズ形態で運営が継続されるため、ブランドは「串カツ田中」のまま残ります。イートスタイルは宮崎・鹿児島など九州南部を中心に外食ブランドを手がけており、今回の取得で福岡エリアへの事業拡大を図ります。

36. 九州鉄道<9142>によるキャタピラー九州(旧シグマパワー九州)の建設機械事業取得

売り手:キャタピラー九州(福岡県筑紫野市) 2017年8月10日、九州旅客鉄道(JR九州)ではなく、いわゆる「九州鉄道」名で発表された案件が報じられていますが、実際にはJR九州の多角化の一環としてキャタピラー九州の建設機械販売事業を会社分割により取得するスキームです(ただし本件は公表詳細が少なく、一部報道ベース)。JR九州グループが鉄道以外の新規分野へ参入する事例として注目されました。なお取得価額は非公表です。

37. 丸和運輸機関<9090>によるM・Kロジ買収

売り手:M・Kロジ(福岡県宇美町) 2022年6月27日、丸和運輸機関はDtoC通販企業向け3PL(サードパーティー・ロジスティクス)を手がけるM・Kロジの全株式を取得し子会社化すると公表しました。売上高は106億円、営業利益3億500万円で、取得金額は41億4400万円。M・Kロジは九州を中心に着実に物流拠点を拡大しており、丸和運輸機関はEC物流分野を軸にさらなる事業拡大を図りたい思惑があるようです。

38. 丸和<9874>による持ち帰り寿司事業の譲渡

売り手:リテイル・アドバンテージ(福岡県北九州市) 2010年12月20日、スーパーマーケット事業を営む丸和は子会社リテイル・アドバンテージが運営する持ち帰り寿司「季咲楽(きさら)」29店舗を、飲食事業を展開するららら(佐賀県)へ譲渡すると発表しました。事業の選択と集中を進める丸和が不採算部門を切り離し、食品スーパー本業に経営資源を集中する狙いです。譲渡価額は1700万円で、店舗閉鎖19店舗を除く29店舗が対象です。

39. 丸和<9874>、石原商事(福岡県北九州市)を完全子会社化

売り手:石原商事(福岡県北九州市) 2008年4月24日、丸和は弁済を行ったうえで再建中の日用雑貨販売の石原商事に5億円の増資を行い、全株式を取得して子会社化しました。石原商事は経営難に陥り大阪地裁で更生計画案を提出していましたが、計画認可を機に丸和グループの資本で再生を目指す運びとなります。取得完了日は2008年4月28日です。

40. 越智産業<7489>による鈴木木材グループのプレカット事業取得

売り手:鈴木木材工業(長崎県佐世保市)、伊万里外材(佐賀県伊万里市) 2009年8月10日、越智産業は民事再生手続き中の鈴木木材グループからプレカット事業を譲り受けると発表しました。具体的には鈴木木材工業の「佐賀プレカット事業」、伊万里外材の「伊万里2×4プレカット事業」を関連子会社を通じて継承します。越智産業は建築資材卸の大手で、今回の取得で九州各地に生産拠点を確保し、木材・プレカット事業での競争力を高める方針です。

41. 宇部興産<4208>と三菱マテリアル<5711>、セメント事業の統合(福岡県の工場含む)

売り手:双方(福岡県にも三菱マテリアルが工場を保有) 2020年2月12日、宇部興産と三菱マテリアルは2022年4月をめどにセメント事業を統合すると基本合意し、大手2強体制の一角を担う新会社を折半出資で設立すると公表しました。国内では三菱マテリアルが福岡県にも工場を構えており、需要減やエネルギー価格の高騰など課題が多い業界で生産設備の効率化が狙いです。両社は既に1998年から販売・物流機能を統合してきましたが、より一体的に事業統合することで競争力強化を図ります。

42. 医学生物学研究所<4557>によるライフテック譲渡

売り手:医学生物学研究所(子会社のライフテックをPMTへ譲渡) 2016年9月26日、医学生物学研究所は医療機器・理化学測定機器の開発製造を手がけるライフテック(埼玉県入間市)をPMT(福岡県須恵町)に譲渡すると発表しました。取得金額は7万3000円という象徴的なものとなり、PMTの開発力や生産設備を生かして医療機器開発を加速する見込みです。医学生物学研究所は試薬や装置の一体化製品を進めてきましたが、戦略見直しに伴い譲渡を決定しました。

43. 旭硝子<5201>(現AGC)、位登産業の譲渡

売り手:旭硝子(福岡県田川市所在の位登産業の全株式を住友大阪セメントへ譲渡) 2009年11月18日、旭硝子はグループ会社の位登産業(福岡県田川市)を住友大阪セメントに譲渡すると発表しました。位登産業は石灰製品の製造・販売を担ってきましたが、経営資源をグローバルなガラス・化学事業に集中する意向の旭硝子と、国内石灰事業を強化したい住友大阪セメントの利害が一致した結果といえます。譲渡金額は非公表で、2009年12月1日に譲渡が完了しています。

44. ワコールホールディングス<3591>による福岡工場譲渡

売り手:ワコールマニュファクチャリングジャパン(長崎県雲仙市、本件対象は福岡県久留米市の工場) 2024年8月26日、ワコールHDは製造子会社のWMJが保有する国内5工場のうち福岡工場(久留米市)を、補正下着や機能性インナーを製造するリライエンス(富山県氷見市)に譲渡すると公表しました。譲渡金額は非公表ですが、雇用はリライエンス側で継続される予定です。ワコールは国内生産拠点を2工場に集約する構造改革を進めており、新潟や熊本の工場は閉鎖、福岡工場は売却とすることでコスト削減と事業効率化を図ります。

45. ワキタ<8125>によるグランドアースと九州機械センターの子会社化

売り手:グランドアース、九州機械センター(福岡県須恵町) 2021年3月26日、ワキタは建機レンタル・販売を行うグランドアースと九州機械センターの株式90%を取得し子会社化すると発表しました。九州北部地区への事業拡大を狙っており、両社は自動車産業や建設業向けにレンタル・修理のソリューションを提供。ワキタは関西を中心に機械工具販売・レンタルを主力としており、本件買収で九州エリアの顧客基盤を大幅に拡充する見込みです。

46. レノバ<9519>による苅田バイオマスエナジー子会社化

売り手:苅田バイオマスエナジー(福岡県苅田町) 2021年7月21日、レノバは持分法適用関連会社の苅田バイオマスエナジーの株式を追加取得(10%)し、所有割合を53.07%とすることで子会社化すると発表しました。苅田バイオマス発電所は設備容量75MW、2021年6月に稼働開始したばかり。レノバは再生可能エネルギー発電を強化しており、本件はバイオマスの発電事業を本格的に拡張する一歩として注目されています。

47. レイアパートナーズ<1411>によるスタイルプラス・ホテル&リゾート譲渡

売り手:レイアパートナーズ(本社東京、福岡県朝倉市の旅館運営会社を保有) 2008年6月5日、レイアパートナーズは福岡県朝倉市で旅館を運営する子会社スタイルプラス・ホテル&リゾート(売上高2540万円)の全株式をジェネラル・キャピトル・マネージメント(福岡市)に譲渡しました。取得価額は1000万円。レイアパートナーズは当時、不動産再生事業を中心に展開しており、旅館経営という異分野から撤退して再生事業へ経営資源を集中する判断とされます。

48. リテールパートナーズ<8167>によるオーケー(大分市)の「新鮮市場」事業取得

売り手:オーケー(大分県大分市、福岡・熊本・佐賀・長崎でも展開) 2016年3月22日、リテールパートナーズは子会社マルミヤストアを通じ、オーケーが運営するスーパーマーケット「新鮮市場」18店舗と共配センターを会社分割により取得すると発表しました。売上高は約101億円。大分県でのドミナントを強化し、九州エリアでのスーパーマーケット展開をさらに拡充する狙いがあり、6月24日に取引完了予定となっています。

49. リテールパートナーズ<8167>によるハツトリー買収

売り手:ハツトリー(宮崎県宮崎市、食品スーパー「フーデリー」運営) 2023年2月27日、リテールパートナーズは傘下の丸久(山口県防府市)を通じて、高級食品スーパー「フーデリー」を5店舗展開するハツトリーの全株式を取得し子会社化すると公表しました。ハツトリーは売上高77億4000万円を計上しており、宮崎市内の富裕層マーケットで強いブランド力を持っています。リテールパートナーズは福岡・山口・大分などに加え宮崎にも本格的に進出し、さらなるスケールメリットを追求します。

50. リテールパートナーズ<8167>による宇佐市のスーパー2店舗取得

売り手:小野商店(大分県宇佐市) 2021年2月24日、リテールパートナーズは子会社マルミヤストアを通じて小野商店が運営する「セルフおの安心院店」「セルフおの院内店」を取得すると発表しました。ドミナント強化を図るもので取得価額は非公表。2021年3月25日に取引が完了予定です。大分県を中心に存在感を拡大しているマルミヤストアがさらなる店舗網の拡張を期待しており、売上高の相乗効果が注目されます。

51. ラストワンマイル<9252>によるHOTEL STUDIO買収

売り手:HOTEL STUDIO(札幌市・福岡県でのホテル運営受託を展開) 2024年1月12日、ラストワンマイルはHOTEL STUDIOを株式交換により子会社化することを決定しました。同社は北海道・福岡・沖縄などで宿泊施設の運営代行やコンサルに強みを持ちます。株式交換比率はラストワンマイル1:HOTEL STUDIO 0.027211で、2024年3月1日に予定されています。ラストワンマイルの不動産会社向け営業ネットワークと組み合わせることで、短期滞在から長期賃貸への転用をスムーズに進める狙いがうかがえます。

52. ヨシムラ・フード・ホールディングス<2884>による十二堂買収

売り手:十二堂(福岡県太宰府市) 2021年12月21日、ヨシムラ・フード・ホールディングスは海産物や農産物加工を扱う十二堂の全株式を7億5000万円で取得し子会社化すると発表しました。同社は全国的に知られるソフトふりかけ「梅の実ひじき」を主力商品としており、高いリピーターを持ちます。ヨシムラ・フード傘下の香り芽本舗(島根県)などとの顧客・原料調達面の相乗効果を通じ、ふりかけ市場での地位をさらに強固にする考えです。

53. やまや<9994>による明治屋産業の酒類販売店事業取得

売り手:明治屋産業(福岡県柳川市) 2012年8月9日、酒類販売事業大手のやまやは明治屋産業から福岡県・山口県にある酒類販売店12店舗を取得すると発表しました。対象事業の売上高は28億2000万円で、取得価額は非公表。明治屋産業は食肉・レストランが主要事業のため酒販事業から撤退し、やまやに事業譲渡する形となります。一方やまやは福岡県へのさらなる店舗拡大で全国展開を加速し、顧客ネットワークを強化する狙いです。

54. ヤマエ久野<8108>によるいんま商事子会社化

売り手:いんま商事(福岡県粕屋町) 2016年10月3日、ヤマエ久野は地域密着の菓子卸を展開するいんま商事の全株式を取得し子会社化すると明らかにしました。取得価額は非公表。同社の持つ菓子流通ルートを活用し、ヤマエ久野グループの食品流通をさらに強固にする考えです。ヤマエ久野は九州で住宅関連や食品関連の卸売事業を主力とし、M&Aでの事業領域拡大を積極的に推進しています。

55. ヤマエ久野<8108>による日装建の子会社化

売り手:日装建(熊本市) 2018年2月1日、ヤマエ久野は日装建の株式51%を取得し子会社化しました。日装建は熊本県や福岡県南部を中心にマンションや戸建て住宅の建設を手がけ、土地探しから施工、不動産管理まで一貫したサービスを提供している企業です。ヤマエ久野としては、住宅・不動産関連事業をより幅広く展開し、鉄筋コンクリート建設分野への進出と設備投資の効率化が期待されています。

56. ヤマウ<5284>による大分フジ子会社化

売り手:大分フジ(大分市) 2008年12月22日、ヤマウはコンクリート製品の製造販売を行う大分フジの全株式を50万円で取得し子会社化しました。同社はもともとフジコンテックの大分工場を引き継ぎ、大分県で工場運営を行ってきました。公共工事の減少でコンクリート業界の再編が進む中、ヤマウは既存の製造拠点とのシナジーを追求し、西日本エリアでの製品供給をさらに強化する方針です。

57. メンタルヘルステクノロジーズ<9218>によるみらい産業医事務所買収

売り手:みらい産業医事務所(福岡市) 2024年12月13日、メンタルヘルステクノロジーズは産業医サービスを提供するみらい産業医事務所の全株式を取得し子会社化すると発表しました。取得価額は1億4100万円。メンタルヘルスケアと産業医派遣サービスを組み合わせることで、福岡の病院グループとの協力も促進され、九州エリアでの事業拡大が期待されます。

58. メディカルシステムネットワーク<4350>によるトータル・メディカルサービス<3163>子会社化(TOB)

売り手:トータル・メディカルサービス(福岡県新宮町) 2013年9月27日、メディカルシステムネットワークは調剤薬局を運営するファーマホールディング(札幌市)を通じてトータル・メディカルサービスにTOBを実施すると発表しました。買付価格は1株3200円で、終値1049円に約205%のプレミアムが付いています。トータル・メディカルサービスは九州北部を中心に35店舗展開しており、メディカルシステムネットワークの九州エリア強化と店舗網拡充に大きく寄与するとみられます。

59. マルカキカイ<7594>による北九金物工具の子会社化

売り手:北九金物工具(北九州市) 2017年12月1日、マルカキカイは北九金物工具の全株式を取得して子会社化したと公表しました。同社は切削工具や機械工具の消耗品販売を展開し、福岡県で盤石な顧客基盤を築いています。マルカキカイとしては九州北部の自動車・自動車部品メーカーへの販売拡大を狙い、取得価額は非公表ですが、今後隣接する山口県などへの進出も視野に入れています。

60. ポエック<9264>によるマリンリバー子会社化

売り手:マリンリバー(福岡県篠栗町) 2021年8月16日、ポエックは水産設備の製造を行うマリンリバーを全株式取得し子会社化すると発表しました。マリンリバーは養殖設備として海水用ヒートポンプチラーやチタン熱交換器などを製造し、水産試験場や活魚センターに納入してきました。競合が少ないニッチトップという立ち位置を高く評価したポエックは、グループでの相乗効果を見込み、取得完了を9月中旬から下旬としています。

61. プロトコーポレーション<4298>によるオートウェイ子会社化

売り手:オートウェイ(福岡県苅田町) 2012年11月14日、プロトコーポレーションは輸入タイヤ販売を行うオートウェイの全株式を43億9000万円で取得し子会社化すると発表しました。オートウェイはアジアを中心に海外からタイヤを大量輸入し、自社ECサイト「AUTOWAY LOOP」などインターネット販売で高い実績を持ちます。自動車情報メディア「Goo」を展開するプロトは、インターネット集客での相乗効果とユーザー層の拡充を狙うとしています。

62. ふくおかフィナンシャルグループ<8354>と福岡中央銀行<8540>の経営統合

売り手:福岡中央銀行(福岡市) 2022年11月11日、ふくおかFGと福岡中央銀行は2023年10月1日に株式交換を行い、ふくおかFGを完全親会社、福岡中央銀を完全子会社とする経営統合で合意したと発表しました。両社は厳しい金融業界の環境下で経営基盤を強化する方針であり、福岡中央銀は旧相互銀行を前身に持つ中小企業専門金融機関として地域に根強い顧客を抱えています。ふくおかFGは福岡銀・熊本銀・十八親和銀に次ぐ4行目を傘下に加える形です。

63. フェヴリナ<3726>、ソフトエナジーホールディングスを株式交換で子会社化

売り手:ソフトエナジーホールディングス(福岡県北九州市に関連事業所) 2012年5月11日、化粧品会社のフェヴリナはリチウムイオン電池用充放電検査装置のソフトエナジーホールディングスを株式交換で子会社化すると公表しました。化粧品単一事業からの脱却を図るフェヴリナと、充放電技術で成長が期待されるソフトエナジーの経営基盤を統合し、新規分野への投資を加速する狙いです。交換比率はフェヴリナ1:ソフトエナジー84.092で、2012年10月1日に実施が予定されました。

64. ファミリーマート<8028>、ココストアリテール(福岡県大野城市)譲渡で基本合意

売り手:ファミリーマート(子会社ココストアリテール)、譲渡先はミツウロコグループHD<8131> 2015年11月30日、ファミリーマートはココストアリテールの全株式をミツウロコグループホールディングス傘下のミツウロコビバレッジへ譲渡すると基本合意しました。ココストアリテールは九州・山口県でボランタリーチェーンとして「RICマート」などを運営し、約400店舗のネットワークを有します。ファミリーマートとしてはココストア本体との資本提携で取得した不採算部門を切り離し、ミツウロコグループは新たな事業拡大の足掛かりを得る形です。譲渡価額は2億1600万円。

65. ファーマフーズ<2929>、アイ・セレモニーを木下へ譲渡

売り手:ファーマフーズ(葬儀子会社のアイ・セレモニー、佐賀県伊万里市) 2019年9月13日、ブライダル事業が主力のアイ・ケイ・ケイ(旧社名ファーマフーズとは別企業ですが、同様案件扱いの混同に注意)というケースがありますが、実際には中核事業への集中を図るため、葬儀事業を手放す動きが福岡でも散見されます。アイ・セレモニーは福岡県での葬儀事業を行っていましたが、事業割合が2%程度と小さく、本件で木下へ譲渡し、経営資源集中を進めた事例です。

66. PGMホールディングス<2466>によるセントレジャー・マネジメントからゴルフ場2コース取得

売り手:セントレジャー・マネジメント(東京都港区、福岡県にゴルフコース) 2013年8月6日、PGMホールディングスは子会社を通じ、セントレジャーゴルフクラブ千葉とセントレジャーゴルフクラブ鞍手(福岡県)を取得すると発表しました。鞍手コースは売上高8億1600万円を計上しており、名称を「ムーンレイクゴルフクラブ鞍手コース」に変更します。PGMはゴルフ場の買収により事業拡大を図っており、全国100コース以上を保有する国内最大級のゴルフ場運営企業としての地位を一段と高めています。

67. Lib Work<1431>による幸の国木材工業子会社化

売り手:幸の国木材工業(熊本県山鹿市、福岡県にも納品網) 2023年5月18日、Lib Workは製材加工販売を手がける幸の国木材工業を9億6400万円で全株式取得し子会社化すると発表しました。Lib Workは熊本・福岡を地盤に注文住宅を展開しており、木材調達や安定供給を強化することで建材コストやリードタイムの最適化を目指します。幸の国木材工業は多拠点生産と木材加工技術を強みとし、顧客との連携が進む見通しです。

68. KG情報<2408>によるアピールコム子会社化

売り手:アピールコム(山口県宇部市、福岡県などで求人折込紙発行) 2018年3月6日、KG情報は求人広告事業のアピールコムの全株式を2億6300万円で取得し子会社化すると公表しました。アピールコムは山口県や福岡県、佐賀県など広域で折込求人紙を発行しており、地域密着型の求人広告で高いシェアを持ちます。KG情報は複数の求人媒体を運営しており、未開拓だった山口県エリアなどへの進出を効率よく進める狙いがあります。

69. AMGホールディングス<8891>による川﨑ハウジングなど2社の買収

売り手:川﨑ハウジング、ハウメンテ(いずれも熊本市、福岡県久留米市にも拠点) 2022年8月8日、AMGホールディングスは戸建分譲の川﨑ハウジング(売上高85億5000万円)とアフターサービスのハウメンテ(売上高8億7900万円)の全株式を27億300万円で取得すると発表しました。川﨑ハウジングは熊本のほか福岡県久留米市、三重県津市・四日市市などにも支店網を有しており、AMGとしては分譲事業の拡充と施工・管理体制の強化を目指します。その後、二社の剰余金配当により取得価額が一部修正されました。

まとめと展望

福岡県におけるM&Aは、地場の大手グループ企業(麻生グループ、第一交通産業など)や全国区の企業(平和、大和ハウス工業、リテールパートナーズなど)が積極的に買収・資本参加を行い、あるいは外部企業へ事業を譲渡するといった取引が数多く見受けられます。特に以下のような特徴が顕著です。
地場大手グループによる再編
麻生グループや第一交通産業など、福岡県を本拠とする大手事業グループが同じ九州圏内の上場企業を買収・傘下化する事例が目立ちます。日特建設や麻生フオームクリートなど、同じ麻生グループ内での再編も活発です。地方の強みを持つ企業が地元を中心に影響力を高め、広域展開や業界シェア拡大を狙う姿勢がうかがえます。

ゴルフ場・レジャー施設への投資
平和やPGMホールディングスなど、ゴルフ場の大規模運営会社が福岡県内のコースを相次いで買収している事例が多く見受けられます。ゴルフ需要を安定的に取り込み、地域に根差した施設運営で収益を拡大する流れが継続しているようです。

食品スーパー・ディスカウントストア業界の再編
リテールパートナーズとマルキョウの統合や、大黒天物産とマミーズの店舗譲受など、九州ローカルの食品スーパー間で大きな資本再編が進んでいます。人口動態の変化や競争激化に対応するため、経営規模を拡大してコスト削減や集客力強化を狙う事例が増えています。

福岡県を足がかりにした全国・海外展開
福岡県内を拠点に複数の支店・店舗を持つ企業を買収することで、九州に進出あるいは九州発で全国展開を目指す動きが活発です。地理的なアクセスの良さや、東京・大阪に次ぐ都市圏として注目度が高い福岡に拠点を有する企業は魅力的な投資対象となっています。

建設・不動産領域での基盤強化
セメント・土木分野での再編(麻生グループ×大豊建設、宇部興産×三菱マテリアルなど)や駐車場事業(ダイヨシトラスト、大和ハウス工業)など、インフラ関連のM&Aが相次いでいます。福岡県は九州一円の物流・経済拠点であり、建設投資も堅調なことから、業界の垣根を超えた企業買収によって経営資源を集約し、効率的な事業運営を目指す動きが続いています。

製造業・サービス業の多角化と事業承継
地方企業の後継者不足を背景とするM&Aも見られます。半導体や精密機器などの製造請負、建機レンタル、物流、介護サービス、外食事業など、幅広い業種での買収が行われており、福岡発企業が大手資本やファンドの力を借りて再編・成長を果たす例も増加しています。

このように福岡県におけるM&A市場は、大都市圏の東京・大阪とはまた異なる性質の取引が多く、九州エリア全体の経済発展・再編の推進役とも言えます。地元企業同士やファンドとの連携、大手企業による拠点獲得を目的とした買収、逆に県外企業へ不採算部門を譲渡するケースなど、多様な動きが確認できます。

今後も福岡県を取り巻く人口動向、観光需要の伸び、国際物流ハブとしての役割強化などを受け、地元資本と外部資本が連動したM&Aがさらに活発化する可能性が高いと考えられます。特に飲食・観光、ゴルフ・レジャー関連、再生可能エネルギー、IT・DX関連などで再編や統合の動きがいっそう拡大し、福岡発のビジネスモデルを全国へ波及させていく事例が増えていくでしょう。地方創生や九州圏の経済発展の面からも、福岡県のM&Aには引き続き注目が集まりそうです。