目次
  1. 1. 大盛工業<1844>による山栄テクノの子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  2. 2. 朝日インテック<7747>によるA-Tractionの子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  3. 3. 日本調剤<3341>によるワールド薬局の子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  4. 4. 大成温調<1904>によるウッドテックの子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  5. 5. 大庄<9979>によるミッドワークの子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  6. 6. 東電通<1955>による武田通信の子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  7. 7. 大盛工業<1844>による山栄テクノの子会社化(再掲)
  8. 8. 日本創発グループ<7814>のダンサイエンス譲渡とRIMへの経営陣売却
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  9. 9. 日本風力開発<2766>の風力発電3社譲渡
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  10. 10. 揚工舎<6576>による光風苑の子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  11. 11. 日本創発グループ<7814>によるカタオカプラセスの子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  12. 12. 大栄環境<9336>による浦安清運・アイアの子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  13. 13. 日本アジア投資<8518>によるヘルシーサービスの全株式取得
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  14. 14. 日本風力開発<2766>による銚子風力開発など風力発電3社の譲渡(再掲)
  15. 15. 米久<2290>による和菓子・洋菓子の平田屋を小久保製氷冷蔵へ譲渡
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  16. 16. 早稲田アカデミー<4718>による集学舎の子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  17. 17. 日進工具<6157>による牧野工業の子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  18. 18. 木徳神糧<2700>による内外食品のエスフーズへの譲渡
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  19. 19. 木曽路<8160>による大将軍の子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  20. 20. 双葉電子工業<6986>によるサツキ製作所・サツキ機材の子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  21. 21. 桧家ホールディングス<1413>による池田住販の子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  22. 22. 中小企業ホールディングス<1757>による邦徳建設の足場組立工事新会社アップライトコーポレーション子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  23. 23. 日本ラッド<4736>によるライジンシャ株式の一部売却と子会社化解消
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  24. 24. 東京自働機械製作所<6360>による東京施設工業の譲渡
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  25. 25. 平和<6412>によるオールドオーチャードゴルフクラブ事業取得
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  26. 26. 平和<6412>による千葉竹岡ゴルフ(千葉県富津市)の子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  27. 27. 飛島建設<1805>による杉田建設興業の子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  28. 28. 平和<6412>による富津田倉ゴルフ(千葉県富津市)の買収
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  29. 29. 東京高圧山崎<7139>によるオガワ産業の子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  30. 30. 平和<6412>による千葉国際カントリークラブの取得
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  31. 31. 平和<6412>によるレイクウッド総成・レイクウッド大多喜の子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  32. 32. 日本電産<6594>による東京丸善工業の電気接点事業取得
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  33. 33. 平和<6412>によるアコーディア・ゴルフ系ゴルフ場4カ所の取得
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  34. 34. 燦キャピタルマネージメント<2134>によるラ・ベリータの子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  35. 35. 日立化成工業<4217>によるタイSintered Products(TSP)買収
  36. 36. 森電機<6993>、サクラダ<5917>子会社エスビーオーの子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  37. 37. 香陵住販<3495>による不動産売買仲介のKASUMIC子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  38. 38. 福田組<1899>による湯巡り万華郷の譲渡
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  39. 39. 昭和産業<2004>によるボーソー油脂<2608>のTOB
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  40. 40. 東京リスマチック<7861>、子会社TKOの吸収合併
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  41. 41. 京成電鉄<9009>による関東鉄道(茨城県)をTOBで子会社化
  42. 42. 京成電鉄<9009>による新京成電鉄<9014>の完全子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  43. 43. 幸和製作所<7807>によるパムック・あっぷるの子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  44. 44. 鴨川グランドホテル<9695>のMBOによる非公開化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  45. 45. 三井E&Sホールディングス<7003>による艦艇事業の三菱重工業<7011>への譲渡
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  46. 46. 新東京グループ<6066>、民事再生中の全建設共同事業組合から福島・熊本の災害復興支援事業を取得
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  47. 47. 吉野家ホールディングス<9861>、製麺・スープ製造の宝産業(京都市・千葉県野田市工場)を子会社化
  48. 48. ヤマノホールディングス<7571>による個別指導塾「スクールIE」のFC加盟店事業買収
    1. 取引の概要
  49. 49. メディアスホールディングス<3154>、アイテックスメディカル(千葉県大網白里市)子会社化
    1. 取引の概要
    2. 背景・狙い
  50. 50. まとめ:千葉県M&Aの特徴と今後の展望

1. 大盛工業<1844>による山栄テクノの子会社化

(取得当時の発表日:2017年12月8日)

取引の概要

  • 買い手:大盛工業
  • 売り手:山栄テクノ(千葉県野田市)
  • 取得価額:6500万円
  • 取得予定日:2018年1月31日

背景・狙い

山栄テクノは「小口径推進工事」という特殊工法を主力とする企業で、上下水道工事などで利用が増加しているエースモール工法を得意としています。一方、大盛工業は土木事業全般を手がけるゼネコンとして、事業の幅を広げる中で新工法の活用と技術力の向上を模索していました。こうした中、山栄テクノをグループに取り込むことで土木事業の業容拡大を実現し、市場での競争力強化を図る狙いがあったと考えられます。


2. 朝日インテック<7747>によるA-Tractionの子会社化

(取得当時の発表日:2021年3月11日)

取引の概要

  • 買い手:朝日インテック
  • 売り手:A-Traction(千葉県柏市)
  • 取得価額:26億8000万円+業績連動の追加支払い最大8億6000万円
  • 取得予定日:2021年7月1日

背景・狙い

A-Tractionは国立がん研究センター認定ベンチャーとして、腹腔鏡手術支援ロボットを開発中の企業です。朝日インテックは心臓血管分野などで高い医療機器技術を持っており、今回の買収によりA-Tractionのロボティクス技術と自社の医療機器分野の技術を組み合わせ、新たな医療ロボット開発を加速しようとしています。消化器領域のみならず、他診療領域への応用も見据えており、低侵襲治療や術者サポートの向上などが期待される事例となっています。


3. 日本調剤<3341>によるワールド薬局の子会社化

(取得当時の発表日:2012年1月31日)

取引の概要

  • 買い手:日本調剤
  • 売り手:ワールド薬局(千葉県市川市)
  • 取得価額:非公表
  • 取得日:2012年1月31日

背景・狙い

日本調剤は全国展開する調剤薬局チェーン大手で、良質な医療サービスを提供するために積極的なM&Aを行ってきました。ワールド薬局は1995年に創業し、市川市内の大型総合病院前で長らく地域医療を支えてきました。日本調剤は同社を子会社化することで、千葉県エリアにおける調剤薬局網を拡充すると同時に、自社の戦略強化を図る狙いがあったとみられます。


4. 大成温調<1904>によるウッドテックの子会社化

(取得当時の発表日:2023年4月20日)

取引の概要

  • 買い手:大成温調
  • 売り手:ウッドテック(千葉県印西市)
  • 取得価額:非公表
  • 取得予定日:2023年5月8日

背景・狙い

ウッドテックは消火設備工事や一般管工事を手がける企業で、千葉県を地盤に東京都や茨城県にも事業エリアを広げています。大成温調は空調設備や配管工事の大手として施工管理機能の拡充と首都圏でのサービス強化を打ち出しており、今回の子会社化によって首都圏エリアでの施工体制を一層強固にし、工事受注を拡大する狙いがあります。ウッドテックがもつ地域ネットワークや技術力を取り込み、グループ全体として建設関連事業の付加価値を高めることが期待されます。


5. 大庄<9979>によるミッドワークの子会社化

(取得当時の発表日:2015年10月14日)

取引の概要

  • 買い手:大庄
  • 売り手:ミッドワーク(千葉県柏市)
  • 取得価額:非公表(株式80%を取得)
  • 取得予定日:2015年10月26日

背景・狙い

大庄は外食チェーン「庄や」などを運営する企業で、今回買収したミッドワークとはエアコン洗浄・メンテナンス業務や、中古厨房機器の仕入れ・販売などを依頼する取引関係にありました。近年、大庄の店舗数増加や改装・閉鎖店舗から引き上げた機器類の処理など、店舗設備の後処理業務の重要性が増す中、ミッドワークを傘下に収めることで、設備管理とリサイクルの効率化、店舗運営コストの削減を推進する狙いがあります。


6. 東電通<1955>による武田通信の子会社化

(取得当時の発表日:2009年4月20日)

取引の概要

  • 買い手:東電通
  • 売り手:武田通信(千葉県香取市)
  • 取得価額:1億9700万円
  • 取得予定日:2009年5月1日

背景・狙い

武田通信は情報通信設備工事を手がける企業で、売上高が18億円に上る規模を持ちます。東電通は電気設備・通信設備工事などを主力とし、既存事業と同業態の武田通信を子会社化することで、施工体制の強化や生産性向上、経営基盤の拡充を図りました。これによって関東エリアでの情報通信工事のシェア向上も期待できます。


7. 大盛工業<1844>による山栄テクノの子会社化(再掲)

前述のとおり、上下水道工事の分野では需要が高まる小口径推進工事を得意とする山栄テクノを大盛工業が取得したケースです。取得価額6500万円という比較的小規模な買収ながら、事業の専門性の高さが注目される事例となっています。なお、同案件は改めての記載なしで先述を参照ください。


8. 日本創発グループ<7814>のダンサイエンス譲渡とRIMへの経営陣売却

(取得当時の発表日:2021年1月8日)

取引の概要

  • 売り手:日本創発グループ
  • 買い手:RIM(千葉県印西市)
  • 譲渡価額:1億9500万円

背景・狙い

日本創発グループは広告や印刷、デザインなどクリエイティブ領域の幅広い企業を傘下に収めていますが、ダンサイエンス社長から独自の成長戦略を進めたいと申し出があったことを受け、同社株式85.02%を経営陣に売却しました。買収先であるRIMは千葉県印西市に設立された新会社で、ダンサイエンスを独立形態で運営する道を選択しています。


9. 日本風力開発<2766>の風力発電3社譲渡

(取得当時の発表日:2012年10月30日)

取引の概要

  • 売り手:日本風力開発
  • 譲渡先1:関電工(銚子風力開発の株式90%、約18億円)
  • 譲渡先2:ガスアンドパワー(肥前風力発電・平生風力開発の株式)
  • 譲渡価額:肥前風力発電が約27億円、平生風力開発が約3億円

背景・狙い

日本風力開発は風力発電所を全国的に展開していましたが、経営環境悪化や資金繰りの問題を受けて、所有する風力発電所の一部を売却することで有利子負債を圧縮する道を選びました。銚子風力開発(千葉県銚子市)については株式90%を関電工に譲渡しており、千葉県内の再生可能エネルギー事業の動向を示すケースといえます。


10. 揚工舎<6576>による光風苑の子会社化

(取得当時の発表日:2019年5月9日)

取引の概要

  • 買い手:揚工舎
  • 売り手:光風苑(千葉県館山市)
  • 取得価額:非公表
  • 取得予定日:2019年5月10日

背景・狙い

光風苑は介護付き有料老人ホームを館山市で運営してきた企業。揚工舎は医療・福祉関連サービスを主力とし、福祉施設の設計や建築などにも携わる企業です。有料老人ホーム運営を傘下に取り込むことで、グループとしてのサービス領域を広げる狙いと、南房総エリアでの介護需要への対応強化が期待されています。


11. 日本創発グループ<7814>によるカタオカプラセスの子会社化

(取得当時の発表日:2018年4月18日)

取引の概要

  • 買い手:日本創発グループ
  • 売り手:カタオカプラセス(千葉県柏市)
  • 取得価額:非公表
  • 取得日:2018年4月18日

背景・狙い

カタオカプラセスはポリエチレン袋やカバー類、ポンチョ(雨具)などさまざまなポリエチレン製品を製造・加工する企業です。日本創発グループはDTP(デスクトッププリンティング)領域を中心に、特殊素材や立体物への印刷、3Dプリンター造形などに注力しており、カタオカプラセスの特殊加工ノウハウを得ることで、顧客ニーズに応じた多角的な製品開発が可能になります。


12. 大栄環境<9336>による浦安清運・アイアの子会社化

(取得当時の発表日:2024年7月1日)

取引の概要

  • 買い手:大栄環境
  • 売り手:浦安清運(千葉県浦安市)およびアイア
  • 取得価額:非公表
  • 取得日:2024年7月1日

背景・狙い

浦安清運は産業廃棄物と一般廃棄物収集運搬を長年手がける企業で、自治体指定業者として安定した実績を持ちます。大栄環境は関東地域でのシェア拡大や自治体との取引拡大を推進しており、浦安清運およびアイアを傘下に取り込むことで、廃棄物収集からリサイクルまでの事業を強化。2020年以降、関東で他社買収を続けており、今回もその一環といえます。


13. 日本アジア投資<8518>によるヘルシーサービスの全株式取得

(取得当時の発表日:2009年12月9日)

取引の概要

  • 買い手:日本アジア投資(ファンドを通じて)
  • 売り手:ヘルシーサービス(千葉市)
  • 売上高:約19億円

背景・狙い

ヘルシーサービスは訪問入浴サービスから事業を開始し、1990年以降は訪問介護に注力して千葉県を中心とする地域密着型の介護事業を展開していました。日本アジア投資はヘルシーサービスの経営姿勢や事業の将来性を評価し投資を実行。地域高齢化の進展により、介護業界では今後も需要増加が見込まれる分野への投資拡大を目的としたケースとなります。


14. 日本風力開発<2766>による銚子風力開発など風力発電3社の譲渡(再掲)

すでに触れたとおり、銚子風力開発を含む風力発電所売却による債務圧縮が主要目的でした。銚子市で展開されていた風力発電事業が、関電工を新たなパートナーに迎えた形となります。国内における再生エネルギー事業の資金負担と投資負担を再調整した象徴的な事例です。


15. 米久<2290>による和菓子・洋菓子の平田屋を小久保製氷冷蔵へ譲渡

(取得当時の発表日:2012年12月21日)

取引の概要

  • 売り手:米久
  • 買い手:小久保製氷冷蔵(千葉県八千代市)
  • 譲渡価額:非公表
  • 譲渡予定日:2012年12月25日

背景・狙い

米久は食肉加工業を主力とする企業で、子会社の和菓子・洋菓子製造販売会社である平田屋を保有していました。しかし、外食市場や観光地向け土産菓子が厳しさを増す中、米久グループ内での菓子事業の継続的発展は難しいと判断し、氷雪事業や食品製造販売でノウハウをもつ小久保製氷冷蔵へ譲渡しました。千葉県八千代市に本社を置く小久保製氷冷蔵が受け皿となり、観光地販売の強化などを進める構図です。


16. 早稲田アカデミー<4718>による集学舎の子会社化

(取得当時の発表日:2017年11月14日)

取引の概要

  • 買い手:早稲田アカデミー
  • 売り手:集学舎(千葉市)、クオード・エンタープライズ(千葉県市原市)
  • 取得価額:非公表
  • 取得予定日:2018年1月4日

背景・狙い

集学舎は小学生から高校生を対象とする学習塾を運営し、千葉県内の内房エリアで高いブランド力を持ちます。一方、首都圏中心に進学塾を展開する早稲田アカデミーにとって、千葉県内でのドミナントを強化する格好の機会でした。今回の子会社化でブランド力のある地元塾を取り込み、既存の進学塾ノウハウと掛け合わせてさらに校舎数や生徒数を伸ばす狙いが確認できます。


17. 日進工具<6157>による牧野工業の子会社化

(取得当時の発表日:2011年2月2日)

取引の概要

  • 買い手:日進工具
  • 売り手:牧野工業(千葉県松戸市)
  • 取得価額:算定中(当時の発表時)
  • 取得予定日:2011年4月1日

背景・狙い

日進工具は切削工具を中心に事業を展開している上場企業。金型やプラスチック成形に強みを持つ牧野工業の技術・ノウハウを取り込むことで、切削工具の適用領域を広げ、新たな顧客層の開拓や商品の高付加価値化を目指しました。牧野工業も日進工具のネットワークを活かし営業強化が可能となり、双方にメリットが見込まれたM&Aです。


18. 木徳神糧<2700>による内外食品のエスフーズへの譲渡

(取得当時の発表日:2016年7月26日)

取引の概要

  • 売り手:木徳神糧
  • 買い手:エスフーズ
  • 譲渡価額:5億500万円(加えて8億円の剰余金配当を売り手が受領)
  • 譲渡予定日:2016年8月1日

背景・狙い

食肉加工・販売を手がける内外食品(千葉県船橋市)の主力業務は精肉製品の加工・卸売。木徳神糧はコメ卸最大手の一角として米穀事業に特化する戦略を取り、非コア事業である食肉部門をエスフーズに譲渡する選択をしました。エスフーズとしては外部企業の事業を取り込むことで販売チャネルの拡大を狙い、木徳神糧は主力の米穀事業へ経営資源を集中できるメリットがあります。


19. 木曽路<8160>による大将軍の子会社化

(取得当時の発表日:2020年11月10日)

取引の概要

  • 買い手:木曽路
  • 売り手:大将軍(千葉市)
  • 取得価額:非公表
  • 取得予定日:2021年1月27日

背景・狙い

しゃぶしゃぶチェーンとして全国展開する木曽路は、居酒屋や焼肉業態にも進出しています。大将軍は1974年創業の老舗で、「特選和牛 大将軍」や「くいどん」といった焼肉ブランドを千葉、東京、神奈川で30数店舗運営しており、地域知名度が高いのが強みです。木曽路は大将軍を傘下に取り込むことで焼肉業態の店舗数とノウハウを一挙に獲得し、多ブランド展開を推進する狙いがあります。


20. 双葉電子工業<6986>によるサツキ製作所・サツキ機材の子会社化

(取得当時の発表日:2008年9月25日)

取引の概要

  • 買い手:双葉電子工業
  • 売り手:サツキ製作所(千葉県四街道市)およびサツキ機材(東京都江戸川区)
  • 取得価額:非公表
  • 取得予定日:2008年10月1日

背景・狙い

サツキ製作所は自動巻取装置やアンコイラーなどプレス関連自動化機器を開発し、サツキ機材が販売を担う形で事業を拡大してきました。一方、双葉電子工業は電子機器メーカーとしてリモコンやサーボ技術などに強みを持ち、工作機械や産業機械にも事業領域を広げつつあります。今回の子会社化でプレス加工における制御技術や設備ラインナップを拡充し、製造業向けに一層高付加価値のサービスを提供する狙いです。


21. 桧家ホールディングス<1413>による池田住販の子会社化

(取得当時の発表日:2011年11月15日)

取引の概要

  • 買い手:桧家ホールディングス
  • 売り手:池田住販(千葉県市川市)
  • 取得価額:非公表
  • 取得予定日:2011年11月17日

背景・狙い

桧家ホールディングスは注文住宅を主力としながら、分譲住宅事業にも進出していました。一方の池田住販は千葉県市川市を中心に分譲住宅の企画・販売を展開し、地域での販路や実績が豊富です。桧家は池田住販を取り込むことで分譲住宅事業のエリアを拡大するとともに、住宅供給体制を強化。地域密着型の販売網を生かし売上拡大を図りました。


22. 中小企業ホールディングス<1757>による邦徳建設の足場組立工事新会社アップライトコーポレーション子会社化

(取得当時の発表日:2022年12月21日)

取引の概要

  • 買い手:中小企業ホールディングス
  • 売り手:アップライトコーポレーション(邦徳建設が新設)
  • 出資比率:過半(非公表)
  • 取得価額:非公表

背景・狙い

中小企業ホールディングスは建設業をコア事業としていますが、足場組立工事分野も伸びが期待される領域です。邦徳建設(千葉県松戸市)が設立するアップライトコーポレーションへの増資を引き受ける形で足場関連事業を自社グループに取り込み、建設事業の展開を加速させるという狙いがあります。足場工事は建設現場に不可欠な工程であり、安定した需要が見込めるものの人材確保も重要になるため、こうした資本提携が行われました。


23. 日本ラッド<4736>によるライジンシャ株式の一部売却と子会社化解消

(取得当時の発表日:2011年2月7日)

取引の概要

  • 売り手:日本ラッド
  • 買い手:サンリツ(千葉県八千代市)およびライジンシャ代表取締役社長
  • 譲渡価額:800万円

背景・狙い

ライジンシャは医療情報関連システムの開発・販売を行う企業で、日本ラッドが67.5%を保有し連結子会社としていました。しかし、サンリツとの関係強化を望む声や、ライジンシャ代表が買い戻しを求めたことから、一部株式譲渡を実施。日本ラッドの保有比率は49%へ下がり、連結子会社から関連会社となりました。千葉県八千代市のサンリツは臨床検査サービスを行っており、医療分野のIT化を共に推進する狙いが確認できます。


24. 東京自働機械製作所<6360>による東京施設工業の譲渡

(取得当時の発表日:2009年5月15日)

取引の概要

  • 売り手:東京自働機械製作所
  • 買い手:非公表(株式異動に伴う子会社から関連会社への移行)
  • 譲渡価額:非公表
  • 譲渡日:2009年4月30日

背景・狙い

東京施設工業(千葉県富里市)はタバコ生産設備や環境関連機械の製造を手がけていましたが、資本関係の変動で東京自働機械製作所の議決権が51.1%から47.2%に下がり、子会社ではなく関連会社へ移行しました。背景としては同社の事業特性(タバコ分野の需要動向や環境分野への展開)と東京自働機械製作所とのグループ関係の再定義が挙げられます。


25. 平和<6412>によるオールドオーチャードゴルフクラブ事業取得

(取得当時の発表日:2021年7月16日)

取引の概要

  • 買い手:平和(子会社パシフィックゴルフマネージメント)
  • 売り手:大林組<1802>子会社の茨城グリーン開発
  • 取得価額:非公表
  • 取得予定日:2021年10月1日

背景・狙い

パチンコ・パチスロ機メーカーである平和は、ゴルフ場運営に積極的に進出してきました。茨城グリーン開発が経営するオールドオーチャードゴルフクラブの事業を分割して新会社を設立し、それを平和子会社が取得する形でゴルフ場の買収を進めています。平和はゴルフ場の保有を通じて、安定収益基盤を構築する戦略を打ち出しており、千葉県近郊のゴルフ需要も取り込む方針です。


26. 平和<6412>による千葉竹岡ゴルフ(千葉県富津市)の子会社化

(取得当時の発表日:2017年8月8日)

取引の概要

  • 買い手:平和(子会社経由)
  • 売り手:千葉竹岡ゴルフ(大阪市)
  • 取得価額:非公表
  • 取得日:2017年8月8日

背景・狙い

平和グループのゴルフ事業拡大の一環です。千葉県富津市に位置するゴルフ場の運営会社を買収することで、首都圏からのアクセス良好なエリアをさらに強化し、ゴルフ利用者の獲得を目指しました。同社はパシフィックゴルフマネージメントを中核とするゴルフ場運営ノウハウを持っており、各ゴルフ場の収益を向上させる手法が確立されています。


27. 飛島建設<1805>による杉田建設興業の子会社化

(取得当時の発表日:2017年7月12日)

取引の概要

  • 買い手:飛島建設
  • 売り手:杉田建設興業(千葉市)
  • 取得価額:非公表
  • 譲渡日:2017年7月12日

背景・狙い

杉田建設興業は1963年設立以来、千葉県や東京都小笠原地区でインフラ整備を担ってきました。飛島建設は大型プロジェクトの実績がある総合建設会社ですが、ローカルで強いリレーションを持つ杉田建設を取り込むことにより、新規エリアへの参入や小規模土木案件への対応力を高めるとみられています。地域密着の工事需要にアクセスし、安定受注とさらなる事業成長を狙いました。


28. 平和<6412>による富津田倉ゴルフ(千葉県富津市)の買収

(取得当時の発表日:2017年4月25日)

取引の概要

  • 買い手:平和(子会社パシフィックゴルフマネージメント)
  • 売り手:森永製菓<2201>グループ
  • 取得価額:非公表
  • 取得予定日:2017年7月3日

背景・狙い

森永製菓が保有していたゴルフ場を平和が買収する形で、ゴルフ事業を積極的に拡大している事例です。千葉県富津市は東京湾アクアラインを経由して首都圏からのアクセスが比較的良く、平和にとっては集客ポテンシャルの高いコースをグループに加えるメリットが大きいと判断したとみられます。


29. 東京高圧山崎<7139>によるオガワ産業の子会社化

(取得当時の発表日:2023年11月17日)

取引の概要

  • 買い手:東京高圧山崎
  • 売り手:オガワ産業(千葉県市原市)
  • 取得価額:非公表(株式45%を追加取得し、持ち株比率を90%に)
  • 取得予定日:2023年11月30日

背景・狙い

オガワ産業は産業ガス・溶材機材を販売する企業で、京葉工業地帯をはじめとする地元産業の需要を支えてきました。東京高圧山崎は産業ガスの製造・販売を行っており、京葉エリアでのシェア拡大を戦略の一つとしています。追加取得により子会社化することで、営業基盤をさらに強化し、機材・ガスの安定供給と保守サービスを充実させることを目指します。


30. 平和<6412>による千葉国際カントリークラブの取得

(取得当時の発表日:2015年9月1日)

取引の概要

  • 買い手:平和(パシフィックゴルフプロパティーズ)
  • 売り手:千葉国際カントリークラブ(千葉県長柄町)
  • 取得価額:5000万円
  • 取得日:2015年9月1日

背景・狙い

千葉国際カントリークラブは民事再生手続き中であったため、スポンサーとして平和が買収しました。大規模ゴルフ場を抱えることで宿泊利用とのシナジーや集客向上が期待できます。平和は参入以降、複数のゴルフ場を相次いで取得しており、ゴルフ場経営においては大手プレイヤーとなっています。


31. 平和<6412>によるレイクウッド総成・レイクウッド大多喜の子会社化

(取得当時の発表日:2018年11月6日)

取引の概要

  • 買い手:平和(子会社を通じて)
  • 売り手:レイクウッド総成(千葉県成田市)、レイクウッド大多喜(千葉県大多喜町)
  • 取得価額:非公表
  • 取得予定日:2019年2月1日

背景・狙い

平和はパチンコ・パチスロ市場の縮小を背景に収益源の多角化を急いでおり、ゴルフ場買収によって安定的収益の確保を進めています。レイクウッド総成とレイクウッド大多喜はいずれも地の利がよく、顧客誘致に期待が持てるコースです。この一連のM&Aシリーズによって、平和が関東圏の人気ゴルフ場を次々に取り込み、ゴルフ運営シェアを大幅に伸ばす流れが形成されました。


32. 日本電産<6594>による東京丸善工業の電気接点事業取得

(取得当時の発表日:2017年8月9日)

取引の概要

  • 買い手:日本電産サンキョー
  • 売り手:東京丸善工業(千葉県佐倉市)
  • 取得価額:非公表
  • 取得予定日:2017年10月1日

背景・狙い

東京丸善工業は電気接点事業を主力とし、自動車のリレー・スイッチ・ブレーカーなど多用途分野で使用される接点を供給してきました。日本電産グループはモータや精密機器分野で世界的に展開しており、電気接点を含む材料開発や生産技術強化を図る一環で本件を実施。自動車のEV化、家電・産業機器などの需要増に対応する意義があります。


33. 平和<6412>によるアコーディア・ゴルフ系ゴルフ場4カ所の取得

(取得当時の発表日:2020年10月30日)

取引の概要

  • 買い手:平和(子会社PGM)
  • 売り手:アコーディア・ゴルフ関連会社
  • 対象ゴルフ場:石岡ゴルフ倶楽部、南市原ゴルフクラブ(千葉県市原市)など計4コース
  • 取得価額:非公表
  • 取得予定日:2020年12月1日

背景・狙い

業界大手のアコーディア・ゴルフから4コースをまとめて取得することで、平和は関東圏のゴルフ場数をさらに拡大し、運営ノウハウを統合してシナジー効果を高める狙いです。千葉県の南市原ゴルフクラブなど、交通アクセスの良いエリアのコースが含まれており、安定したプレー需要が見込まれます。


34. 燦キャピタルマネージメント<2134>によるラ・ベリータの子会社化

(取得当時の発表日:2017年6月16日)

取引の概要

  • 買い手:燦キャピタルマネージメント(シンガポール子会社を通じて)
  • 売り手:ラ・ベリータ(川崎市)
  • 取得価額:3億1000万円
  • 取得予定日:2017年6月27日

背景・狙い

ラ・ベリータは千葉県大多喜町に太陽光発電事業用地を保有し、20年間で合計10億円超の事業収益が見込まれるとされていました。燦キャピタルマネージメントは投資事業や不動産関連投資を手がける企業として、クリーンエネルギー分野への取り組みを強化する方針を掲げ、本件取得で安定的な発電収入を得ることを計画しました。


35. 日立化成工業<4217>によるタイSintered Products(TSP)買収

(取得当時の発表日:2010年9月14日)

※ 事例文中では千葉県の工場に関連するシナリオとして日立粉末治金が言及されていますが、タイの会社買収がメインとなるため、千葉県内の事業再編との関連度は薄めです。概略のみ紹介します。

日立粉末治金(千葉県松戸市)がタイ合弁会社TSPの株式51%を取得した事例。粉末治金分野の強化とアジアでの生産拠点拡張が狙いとされています。


36. 森電機<6993>、サクラダ<5917>子会社エスビーオーの子会社化

(取得当時の発表日:2009年4月3日)

取引の概要

  • 買い手:森電機
  • 売り手:サクラダ
  • 取得価額:5億7000万円
  • 取得予定日:2009年7月1日

背景・狙い

森電機は投資事業の一環として、サクラダの子会社エスビーオー(千葉県市川市)を子会社化しました。エスビーオーは投資事業や有価証券投資を主力としており、森電機の中期経営計画で収益基盤強化と財務体質の改善を狙う一環とされています。千葉県市川市という立地と、投資事業の組み合わせが本取引の特徴です。


37. 香陵住販<3495>による不動産売買仲介のKASUMIC子会社化

(取得当時の発表日:2019年1月15日)

取引の概要

  • 買い手:香陵住販
  • 売り手:KASUMIC(千葉県柏市)
  • 取得価額:3億1300万円
  • 取得予定日:2019年3月31日

背景・狙い

茨城県を中心に不動産売買仲介事業を展開する香陵住販が、千葉・茨城・埼玉エリアで実績を持つKASUMICを取得。KASUMICは管理戸数が3000戸を超えており、その管理ノウハウや顧客基盤を取り込むことで、香陵住販がカバーする地域の広がりや賃貸管理数の拡大を図る事例です。


38. 福田組<1899>による湯巡り万華郷の譲渡

(取得当時の発表日:2009年3月27日)

取引の概要

  • 売り手:福田組
  • 買い手:キョウデンエリアネット(大江戸温泉物語グループ)
  • 譲渡価額:9億5000万円
  • 譲渡予定日:2009年4月15日

背景・狙い

福田組は大規模日帰り温泉施設「湯巡り万華郷」(千葉県浦安市)を子会社を通じて運営していましたが、集客や収益面で厳しい環境が続き、非主要事業からの撤退を決定しました。温浴施設運営の実績がある大江戸温泉物語グループに譲渡することで施設の再生を図り、福田組は建設事業へ経営資源を集中させる狙いがあります。


39. 昭和産業<2004>によるボーソー油脂<2608>のTOB

(取得当時の発表日:2020年5月14日)

取引の概要

  • 買い手:昭和産業
  • 対象会社:ボーソー油脂(東京都中央区に本社登記だが千葉県船橋市発祥)
  • 買付価格:1080円/株(前日終値740円に対して45.95%のプレミアム)
  • 買付期間:2020年5月18日~7月13日

背景・狙い

ボーソー油脂は米油の大手メーカーですが、競合激化で近年赤字が続いていました。昭和産業においても油脂事業は主要分野であり、国内米油市場の拡大余地を見込んでボーソー油脂を完全子会社化し、設備投資や商品開発を強化する計画です。千葉県船橋市に製造拠点があり、米油生産の歴史が深い点が特色となっています。


40. 東京リスマチック<7861>、子会社TKOの吸収合併

(取得当時の発表日:2008年11月4日)

取引の概要

  • 存続会社:東京リスマチック
  • 消滅会社:TKO(千葉県松戸市)
  • 合併日:2008年12月8日

背景・狙い

TKOは内神田事務所の建物所有や不動産管理を担っており、大型設備工事などに対応するため迅速な意思決定を可能にする狙いで合併を選択しました。東京リスマチックの事業拠点を一体化して活用するメリットを得ています。


41. 京成電鉄<9009>による関東鉄道(茨城県)をTOBで子会社化

(取得当時の発表日:2019年7月31日)

※ 関東鉄道は千葉県内一部区間でも路線を有しているため簡単に紹介します。

京成電鉄は茨城県を中心に鉄道・バス事業を展開する関東鉄道に対してTOBを行い、30.09%から約99%まで出資比率を高め子会社化しました。買付代金は最大35億4700万円となっており、地域交通の強化とグループ経営体制の一体化が目的です。


42. 京成電鉄<9009>による新京成電鉄<9014>の完全子会社化

(取得当時の発表日:2022年4月28日)

取引の概要

  • 買い手:京成電鉄
  • 対象会社:新京成電鉄(千葉県北西部を路線エリアとする鉄道)
  • 株式交換比率:京成電鉄1:新京成電鉄0.82
  • 効力発生日:2022年9月1日

背景・狙い

新京成電鉄は東証スタンダードに上場していましたが、京成の連結子会社ではなく持分法適用関連会社でした。京成グループの経営資源を集中させ、沿線開発や輸送サービスの効率化を進めるため子会社化を決定。千葉県松戸~京成津田沼間26.5kmを運営する新京成を完全子会社化することで意思決定を迅速化し、利用者サービス向上や将来投資を促進する姿勢がうかがえます。


43. 幸和製作所<7807>によるパムック・あっぷるの子会社化

(取得当時の発表日:2019年2月18日)

取引の概要

  • 買い手:幸和製作所
  • 売り手:パムック(東京都江戸川区)、あっぷる(千葉県市川市)
  • 取得価額:パムックが5900万円、あっぷるは0円
  • 取得予定日:2019年3月1日

背景・狙い

幸和製作所はシルバーカーや歩行補助器具、介護用品の製造販売を主力としています。パムックは車いすのオーダーメイドや訪問介護サービス、あっぷるは介護保険事業やデイサービスを運営してきました。二社の買収により、幸和製作所は介護製品製造から実際の介護サービス提供まで業務領域を拡大し、包括的な介護サポート体制を築く狙いです。


44. 鴨川グランドホテル<9695>のMBOによる非公開化

(取得当時の発表日:2021年12月10日)

取引の概要

  • 買い手:投資ファンド日本産業推進機構(NSSK-V)
  • 対象会社:鴨川グランドホテル
  • 買付価格:120円(第1回TOB)、290円(第2回TOB)
  • 目的:MBO(経営陣による買収)

背景・狙い

鴨川グランドホテルはジャスダック上場ながら、新型コロナウイルスの影響で稼働率が低迷し経営難に陥っていました。投資ファンドNSSKの支援を得て、社長の鈴木氏が中心となって再建するため非公開化を決断。千葉県鴨川市という観光地立地を生かし、コロナ後の観光需要回復を目指す構図です。


45. 三井E&Sホールディングス<7003>による艦艇事業の三菱重工業<7011>への譲渡

(取得当時の発表日:2020年6月12日)

取引の概要

  • 売り手:三井E&Sホールディングス(中核:三井E&S造船)
  • 買い手:三菱重工業
  • 譲渡予定時期:2021年10月

背景・狙い

三井E&Sホールディングスは経営再建策として造船事業を再構築し、千葉工場での商船建造撤退に続き、玉野艦船工場の艦艇事業も三菱重工へ譲渡。防衛関連事業は競争が激化している中、大手の三菱重工の下でスケールメリットや技術投資の継続を図る狙いがあると推測されます。なお、本社は東京都中央区ですが、千葉県市原市の千葉工場撤退などの動向が関連し、千葉にとっても影響の大きい再編です。


46. 新東京グループ<6066>、民事再生中の全建設共同事業組合から福島・熊本の災害復興支援事業を取得

(取得当時の発表日:2019年6月12日)

取引の概要

  • 買い手:新東京開発(新東京グループ子会社)
  • 売り手:全建設共同事業組合(東京都東村山市)、民事再生手続き中
  • 目的:災害復興支援事業のスポンサー

背景・狙い

全建設共同事業組合は東日本大震災以降、被災地での復興支援工事を手掛け急拡大したものの、資金負担や経営悪化により民事再生手続きへ入りました。新東京グループはスポンサーとして福島・熊本の災害復興支援事業を取得し、事業を継続させると同時にグループの事業基盤を拡充する狙いです。


47. 吉野家ホールディングス<9861>、製麺・スープ製造の宝産業(京都市・千葉県野田市工場)を子会社化

(取得当時の発表日:2024年4月26日)

※ 事例中に千葉県野田市の関東工場がある宝産業を買収する形で、吉野家がラーメン事業を強化する動きが記載されています。今回は千葉県立地の工場が鍵となるため簡単に紹介します。


48. ヤマノホールディングス<7571>による個別指導塾「スクールIE」のFC加盟店事業買収

(取得当時の発表日:2019年12月20日、2022年4月28日など複数)

取引の概要

ヤマノホールディングスは千葉県や茨城県、東京、神奈川などで「スクールIE」をFC展開するマンツーマンアカデミー(千葉県旭市)、東京ガイダンス(東京都大田区)、灯学舎(神奈川県川崎市)などを相次ぎ買収し、子会社化する動きを見せています。千葉県ではマンツーマンアカデミーが特に有名で、約36教室(取得当時)を運営しており、ヤマノ側は教育事業の拡大と地域密着戦略を同時に進める形です。


49. メディアスホールディングス<3154>、アイテックスメディカル(千葉県大網白里市)子会社化

(取得当時の発表日:2019年2月7日)

取引の概要

  • 買い手:メディアスホールディングス(子会社:栗原医療器械店)
  • 売り手:アイテックスメディカル
  • 取得価額:非公表
  • 取得予定:2019年7月

背景・狙い

アイテックスメディカルは病院向け医療材料・放射線機器などを扱うディーラーで、千葉県を中心に展開。メディアスHDは医療機関向けサービスを充実させ、業界再編やスケールメリットを追求する姿勢です。地域性の高い医療ディーラーの買収は、地盤強化と顧客網の拡張に寄与します。


50. まとめ:千葉県M&Aの特徴と今後の展望

ここまで、千葉県で実際に行われた多種多様なM&A事例を取り上げてきました。ゴルフ場買収のように観光・レジャー業態への積極投資が目立つ取引もあれば、情報通信工事や電気接点などの製造業・インフラ系、調剤薬局や介護施設運営に関するヘルスケア領域など、幅広い分野で取引が進んでいることがわかります。

さらに、以下のような千葉県ならではの要因・特徴が背景にあると考えられます。

  1. 首都圏の一角としての需要
    東京や神奈川と隣接する千葉県は首都圏のベッドタウン機能を担い、人口も多く潜在的な消費市場が大きいです。また、商業施設や工場などの立地も活発で、安定的な住宅需要やインフラ需要が期待できるため、建設・不動産関連M&Aが盛んに行われています。

  2. 成田国際空港・観光資源の存在
    成田空港があることで海外からのインバウンド需要を取り込める可能性や物流拠点としての優位性を生かしたM&Aが見られます。ゴルフ場買収やレジャー施設再編なども千葉独特の観光資源やアクセスの良さが影響しているといえます。

  3. 製造業の拠点(京葉工業地帯)
    千葉県市原市を中心に石油化学・素材系大企業が集まる京葉工業地帯では、インフラ点検や設備工事企業の需要が高く、こうした企業を狙った買収が起きています。廃棄物リサイクル、産業ガス供給や機械設備工事などの事例が見られました。

  4. 農業・房総エリアの介護・福祉需要
    南房総地域などは高齢化率が高く、介護付き有料老人ホームや訪問介護事業などへのニーズ増加が見込まれる中、医療・福祉企業による買収が目立ちます。

  5. 大手グループの事業再編と地元企業の買収・譲渡
    大手企業(オリエンタルランドや日本風力開発など)が非コア資産を売却する事例や、親会社のグループ再編に伴って子会社が第三者に譲渡されるケースも散見されます。

今後の展望としては、千葉県ではさらなる都市開発や新たなインバウンド施策の推進、物流施設の拡充などが見込まれます。一方で、人口動態の変化や人手不足を背景に、IT・DXの推進やサービス業の効率化が一段と必要になると予想されます。そのため、

  • レジャー・観光系ゴルフ場・ホテルの再編
  • 物流・交通インフラ・空港関連事業への投資
  • 医療・介護・調剤薬局などヘルスケア分野
  • 環境事業(廃棄物処理・再生エネルギー)
  • 不動産再開発・宅地分譲・店舗開発

といった領域でのM&Aが引き続き活発化する可能性があります。また、中小企業の後継者問題や事業承継ニーズが高まることも考慮すれば、地元企業の買収・統合の波がより広範囲に及ぶでしょう。

M&Aは単なる企業売買ではなく、地域に新たな雇用や投資をもたらし、経済循環を活性化する役割を担っています。千葉県は首都圏の中でも独自の存在感を持つ市場であり、さまざまな業種・規模の取引が継続的に行われています。企業関係者だけでなく、自治体や金融機関、投資家にとっても、こうしたM&Aの動向を正しく把握することが、地域経済の発展と企業価値向上に直結するといえます。

以上が、千葉県に関係するM&A事例の概観と、それを通じた市場動向のまとめです。首都圏の一翼を担う千葉県において、今後も多彩なM&Aが行われることが予想されます。その中には、ここで取り上げられたように大企業・中小企業双方の事業再編や、多岐にわたる業種での買収・統合が含まれるでしょう。これからも、地域特性や業種特性を見極めながら、企業の成長戦略と地域経済振興がうまくかみ合うM&Aが増えていくことが期待されます。