目次
補助的金融商品取引業の市場環境
金融商品取引業の市場環境は、複雑で不安定な状況にあります。以下のポイントをとで囲んでいます。
– 市場環境の不安定性:欧州政府債務問題や電力供給の制約、デフレの影響などが、金融資本市場を下押しするリスクとなっています。
– リスク管理の重要性:金融商品取引業者等は、リスク管理を的確に行い財務の健全性を確保することが求められています。
– 投資家の信認:金融商品取引業者等は、市場仲介機能の適切な発揮や金融商品の公正な価格形成を通じて、投資者の信認を高めることが求められています。
– 監督当局の役割:監督当局は、リスク感応度の高い行政として、マクロ経済や市場の動向を深く把握し、金融商品取引業者等の健全性に影響を与えるリスクを特定・把握することが求められています。
– 投資運用業の参入要件:投資運用業の参入要件は緩和されており、ミドル・バックオフィス業務の委託や新興運用業者促進プログラムが実施されています。
– 非上場有価証券の活性化:非上場有価証券のセカンダリー取引の活性化が求められており、仲介業者の規制緩和が行われています。
補助的金融商品取引業のM&Aの背景と動向
金融商品仲介業のM&Aは、以下の背景と動向によって推進されています。
### 市場環境の変化
金融商品仲介業は、株式や債券、投資信託などの金融商品を売買する業界です。市場環境は、投資家の需要と金融商品の供給によって成り立っています。投資家の増加や嗜好の変化により、需要の変動が業界全体に影響を与えます。また、金融商品の発行元や提供元も、市場の需要を把握し、需要に応じた商品を開発する必要があります。
### 規制の強化
金融商品の売買や提供には厳格なルールが定められており、業界はこれらのルールや規制に従い、適切な商品を提供することが求められます。規制の強化は、業界の競争やビジネスモデルに大きな影響を与え、M&Aが活発に行われる要因となります。
### デジタル技術の進歩
デジタル技術の進歩により、新たなビジネスモデルの出現が期待されています。例えば、オンラインプラットフォームやデジタル商品の開発が、金融商品仲介業の新たなチャンスをもたらしています。これにより、M&Aが行われる背景として、IT技術の取り込みが重要な役割を果たします。
### 競争激化
競争激化は、業績の改善を目的としたM&Aが活発に行われる要因となります。特に、国内市場の縮小に伴う海外展開や、後継者不足に伴う事業承継が重要です。
### 資本提携
資本提携は、業種を超えた取引が可能であることから、様々な企業の間で実施されています。例えば、金融商品仲介業者と不動産会社の資本提携は、新たなビジネスチャンスを生み出すことが期待されています。
### デューデリジェンス
M&Aにおいては、デューデリジェンスが重要な役割を果たします。デューデリジェンスは、財務、法務、業務、リスク、人材、ITなどの側面から、対象企業の財務状況や運営内容、将来性を精査することです。これにより、M&Aの意思決定に必要な情報を収集し、リスクを最小限に抑えるための基礎情報を提供します。
補助的金融商品取引業のM&A事例
補助的金融商品取引業のM&A事例
1. SMBC日興証券株式会社によるSMBCフレンド証券株式会社の吸収合併
– 吸収合併: 2018年1月に、SMBC日興証券株式会社とSMBCフレンド証券株式会社は、SMBC日興証券を存続会社、SMBCフレンド証券を消滅会社として吸収合併しました。
– 目的: SMBC日興証券の顧客預かり資産が約58兆円となり、業界第2位の大和証券に並ぶ規模となりました。リテール部門の営業員の増加や、SMBCフレンド証券が持つ株式営業のノウハウを共有することで、コンサルティング型の営業の強化を合併の目的としていました。
2. クレディセゾンとJPNホールディングスとの株式交換
– 株式交換: 2015年に、クレディセゾンがJPNホールディングスを完全子会社化しました。本M&Aは株式交換のスキームで行われ、元々クレディセゾンの子会社だったJPNホールディングスの株式を全て取得しました。
– 目的: 債権回収の内製化や健全化が進み、JPNホールディングスの債権回収事業の業績が悪化したため、完全子会社化によりグループ内の強い連携で事業改革を行うとともに、JPNホールディングスの上場廃止により長期的視点での改革を行うことが本M&Aの目的となっていました。
3. マネックスグループによるコインチェックのM&A
– 株式譲渡: 2018年4月に、マネックスグループがコインチェックを完全子会社化しました。本M&Aでは、株式譲渡のスキームが活用され、売り手側の純資産額を基準に算出された取得価額は36億円でした。
– 目的: マネックスグループはオンライン証券事業で培ってきた経営管理やシステムリスク管理のノウハウを駆使して、コインチェック側の業務改善に注力しました。
4. 新生銀行によるファイナンシャル・ジャパンのM&A
– 株式譲渡: 新生銀行がファイナンシャル・ジャパンを完全子会社化しました。本M&Aは個人向け保険ビジネスの強化を目的に行われ、銀行窓口で保険商品を販売する方法に加えて、保険乗合代理店の方法を持つこととなり、顧客の多様なニーズに応えることが可能となりました。
5. 三菱UFJ銀行によるバンクダナモンのM&A
– 株式譲渡: 2019年4月に、三菱UFJ銀行がバンクダナモンを株式譲渡で連結子会社化しました。本M&Aでは、バンクダナモンの既存株主から発行済株式総数の54.0%を追加取得し、同社株式の94%を保有することになりました。
– 目的: 三菱UFJ銀行は東南アジアでのビジネスプラットフォーム構築に向けた戦略出資を目指し、バンクダナモンや他のパートナーバンクとのさらなる協働・シナジーを追求しました。
補助的金融商品取引業の事業が高値で売却できる可能性
高値で売却できる可能性について
金融商品取引法第159条で禁止されている相場操縦行為には、特定の銘柄に対して高値で売却することを目的とした取引が含まれます。具体的には、以下のような行為が挙げられます。
– 不均衡対当売買:売付注文と買付注文の注文株数が異なる取引。例えば、売付注文20,000株に対して買付注文21,000株の不均衡対当売買注文を行うことで、寄付きの株価を引き上げることが可能です。
– 終値引き上げ後の対当売買:終値を引き上げた後の対当売買を行うことで、翌日の寄付き時点で株価が上昇する可能性があります。
– 馴合売買:特定の銘柄に対して、他人とあらかじめ通謀して行う同一時期に同一値段で売り注文と買い注文を対当させる取引。例えば、AさんとBさんがあらかじめ通謀して、対当売買を繰り返すことで、出来高を増やし、株価を上昇させることが可能です。
これらの行為は、相場操縦行為と判断される虞があり、金融商品取引法に違反する可能性があります。したがって、金融商品取引においては、正当な取引を行うことが重要です。
補助的金融商品取引業の企業が会社を譲渡するメリット
補助的金融商品取引業の企業が会社を譲渡する際のメリットは以下の通りです。
– 資金調達の容易化・金融業界では大規模な資金流動が日常的に行われるため、その運用には巨額の資金が必要です。特に中小規模の金融機関においては、限られた資源の中で十分な資金調達を行うことは困難であり、M&Aによって会社を売却することで、新たなオーナーからの資金供給を得ることが可能になります。
– シナジー効果の発生・買い手企業とシナジー効果が生まれ、会社や事業の成長につながる可能性があります。自社に適したパートナーを選ぶことで相乗効果が現れ、大きな成果を上げて財務基盤を強化できます。
– 事業の集中化・一部の事業のみを売買できるため、優先度の低い事業の譲渡によって譲渡益や非主力事業に費やしていた経営資源などを主力事業に集中的に投入できるため、収益性の全体的な向上が期待可能です。
– 経営権の残留・事業売却は会社売却のように会社を丸ごと売却するわけではないため、売却後も会社はそのままの形で存続できます。社名や株主、住所などが変わることはありません。
– リスク回避・対象の事業のみを譲り受けることから、元の対象会社に紐づくリスクは対象会社に残り、引き継ぎません。例えば過去の税務処理に関する税務リスク、過去の違法行為についての潜在的なリスクが回避できます。
補助的金融商品取引業の事業と相性がよい事業
金融商品取引業の事業と相性がよい事業
1. 第一種金融商品取引業
– 有価証券の販売・勧誘業務と顧客資産の管理業務を行う場合に必要な登録です。主な例は証券会社や外国為替証拠金取引(FX)業者です。
2. 第二種金融商品取引業
– 有価証券の販売・勧誘業務と集団投資スキームの自己募集を行う場合に必要な登録です。主な例はファンドの販売会社や信託受益権売買業者です。
3. 投資運用業
– 投資信託やファンドの運用を行う場合に必要な登録です。主な例は投資顧問会社や投資信託委託会社です。
4. 投資助言・代理業
– 投資助言に関する業務や投資顧問契約又は投資一任契約の締結の代理・媒介を行う場合に必要な登録です。主な例は投資顧問会社です。
5. 市場誘導業務
– 証券発行のアドバイスや証券会社の紹介を行うビジネスです。市場誘導業務は銀行のビジネスとして金融商品取引法に違反しないことが明文化されています。
6. 適格機関投資家等特例業務
– 1名以上の適格機関投資家と49名以下の一般投資家にファンド持分を取得させる場合に必要な届出です。特定の条件を満たした投資家に限定されています。
補助的金融商品取引業の企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由
M&A Doは、譲渡企業様から手数料を一切いただかないため、コストを抑えたM&Aを実現できます。また、豊富な成約実績を誇り、これまで多くの企業様にご満足いただいております。さらに、補助的金融商品取引業の業界にも知見を保有しているため、業界特有のニーズや課題に対しても的確なサポートを提供いたします。ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。