目次
美容業の市場環境
美容業の市場環境についてのまとめは以下の通りです。
市場規模の拡大:
美容サロン市場は2024年上期で2.6兆円に達し、前年比5.3%増の成長を見せました。
男性市場の拡大:
男性向け美容市場も急速に拡大しており、ヘアケアだけでなくスキンケア、エステ、リラクゼーションなどのジャンルで男性顧客の利用が増加しています。
団塊ジュニアの美容投資:
団塊ジュニア世代(1960年代後半から1970年代前半生まれ)は経済的に安定しており、高価格帯の美容サービスや製品を利用する傾向があります。
ヘア以外のサロン利用:
ヘアサロンに加え、エステティックサロン、ネイルサロン、リラクゼーションサロンなどのヘア以外のサロン利用が男女ともに広がっています。
人手不足と物価高騰:
美容室業界では、人手不足や物価高騰などの課題が存在しています。特に、採用競争率が高く、新規の受け入れが困難なサロンも出てきています。
専門店化の進展:
専門店化の波が進み、ターゲットの年齢層を絞った専門美容室の展開が進んでいます。例えば、白髪染め専門店やデザインカラー専門店などの専門業態が増えつつあります。
施術料金の値上げ:
理美容サロンでは、施術料金の値上げが行われ、来店客数の回復・増加がみられました。化粧品類の仕入価格値上げや光熱費の上昇が要因となりました。
美容業のM&Aの背景と動向
美容業のM&Aの背景と動向をまとめます。
### 美容業のM&Aの背景
美容業界では、以下のような要因がM&Aの増加を促しています。
– 競争の激化: 美容業界の競争が激化しており、経営が難しくなっているため、事業承継の手段としてM&Aが選ばれています。
– 後継者不足: 美容師の後継者不足が深刻であり、事業承継が難しい状況が続いています。
– 経営資源不足: 自社のみでは経営資源が不足しており、資本提携やM&Aを通じた経営支援が求められています。
### 美容業のM&Aの動向
美容業界でのM&Aの動向は以下の通りです。
– ファンドによる大型M&A: 2017年頃より大型投資ファンドが美容院・美容室を買収するM&Aが増加しています。例えば、AguグループがCLSAキャピタルパートナーズのファンドによって買収された事例があります。
– 居抜き物件による売却: 小規模の美容院は居抜き物件として売却されることが多く、内装をそのままの状態で譲渡されます。
– 株式譲渡と事業譲渡: 美容院のM&Aにおいて、株式譲渡と事業譲渡が主な手法として採用されています。株式譲渡では株主が株式を譲渡し、事業譲渡では全ての権利を譲渡します。
### 美容業のM&Aのメリット
美容業界でのM&Aには以下のようなメリットがあります。
– 優秀な美容師の獲得: M&Aを通じて優秀な美容師を獲得し、新規事業参入や経営の多角化を図ることができます。
– 経営資源の活用: 大規模グループの傘下に入ることで、人材不足や資金不足が解消され、安定した経営状態が維持されます。
### 美容業のM&Aの手法
美容業界でのM&Aの手法は以下の通りです。
– 資本提携: 資本提携は、互いの株式を取得することで連携を強化する方法です。投資ファンドを資本提携の相手に据えて、美容院・美容室の株式のみを提携先に取得させます。
– 株式譲渡: 株式譲渡は、譲渡企業の株主が保有株式を譲受企業、または個人に譲渡することで経営権を移転させる方法です。
– 事業譲渡: 事業譲渡は、全ての権利を譲渡する方法で、内装をそのままの状態で譲渡されます。
これらの手法を通じて、美容業界でのM&Aは事業承継や経営資源の活用を図るための重要な手段となっています。
美容業のM&A事例
美容業界におけるM&Aの動向と手法についてまとめます。
### 美容業界におけるM&Aの手法
株式譲渡は、売り手の株主が保有している株式を買い手に売却する方法です。株式譲渡契約を締結し、買い手が代金を支払い、売り手が株式を交付します。株式譲渡の特徴として、経営権の移転が可能であり、買い手は株主総会で役員選任や定款変更が可能です。
事業譲渡は、会社全体を売却対象とするのではなく、対象とする事業の全てを譲渡する方法です。事業譲渡では、契約関係の全てを結び直す必要があり、手続きが煩雑になることがあります。
### 美容業界におけるM&Aの事例
Aguグループの買収
2018年、香港系投資ファンドのCLSAキャピタルパートナーズが、全国展開する美容室チェーン「Aguグループ」を買収しました。買収額は約100億円で、Aguグループの店舗開発を加速させることを狙いとしていました。
ヘッドライトの買収
2021年、ジャフコグループとAZ-Starが、140店舗以上を展開する「ヘッドライト」を買収しました。ヘッドライトは、美容師や施術者との業務委託契約を結ぶ独自のビジネスモデルで、アジア市場への新規進出を目指していました。
L.B.Gの買収
2019年、ヤマノホールディングスが、中価格帯の美容室を展開するL.B.Gの株式52%を取得し、子会社化しました。ヤマノホールディングスは、L.B.Gの既存顧客基盤を活用し、経営資源を統合してスケールメリットを享受することを狙っていました。
### 美容業界におけるM&Aの動向
美容業界では、市場規模の伸び悩みや競合他社との競争激化、人材難・後継者不足などから、近年では事業承継の手段としてM&Aを行う美容院が増加傾向にあります。また、ファンドによる大型M&Aの実施が見られ、新規店舗出店による事業拡大が狙いとなっています。
美容業の事業が高値で売却できる可能性
美容業の事業が高値で売却できる可能性は、特定の条件が整っている場合に高いです。以下に大切なポイントをまとめます。
– 営業利益の1.2倍~4倍: 美容室の売却価格は、営業利益の1.2倍から4倍ほどとされています。例えば、年間営業利益が500万円の場合、600万円から2000万円が相場です。
– リピーター率やブランド力: リピーターが多く、ブランド力が高い美容室は、高値で売却されやすいです。特にInstagramのフォロワー数が5万人以上の美容室は、高い集客が実現しやすいため、相場よりも高い価格で売却されます。
– 従業員の引き継ぎ: 美容師やアシスタントをそのまま引き継ぐことができる場合、売却価格が高く評価されます。従業員のノウハウや人材力が高いほど、事業価値が高く評価されます。
– 市場動向とタイミング: 美容室の売却価格は市場動向やタイミングにも大きく影響します。特に、業界全体の売り上げの伸び悩みや店舗数の増加が高値での売却につながることがあります。
– M&Aによる高値での売却: M&A(メルジャー・アンド・アクイジション)による売却では、事業の収益性や将来性が重視されます。経営が安定し、将来性が高い美容室は、高額な売却価格が期待されます。
これらの条件が整えば、美容業の事業が高値で売却される可能性が高くなります。
美容業の企業が会社を譲渡するメリット
美容業の企業が会社を譲渡するメリットは以下の通りです。
– 大規模グループの傘下に加われると。美容院・美容室を売却することで、大規模グループの傘下に加われます。これにより、人材不足や資金不足が解消され、安定した経営状態に落ち着かせられます。
– 将来的な不安の解消と。美容院・美容室を売却すると、現在抱えている多種多様な将来の不安を解消できます。例えば、人材不足であれば売却先が用意した人材を使ったり、新規で募集するための施策を打ち出したりできます。
– 優秀な美容師の獲得と。美容院・美容室を買収するときに、そこで働く美容師を条件に盛り込むことで獲得できます。事業を新規でスタートさせるときには、すでに技術を保有しており、多種多様なサービスへ柔軟に対応できる美容師は、即戦力として心強い味方となります。
– 顧客の吸収と。すでに美容院・美容室として経営が行われているため、一定数の顧客の吸収が見込めます。新規顧客の獲得には、営業や割引、新規サービスなどさまざまな施策が必要となり、安定した経営状態まで時間がかかりますが、事業譲渡・株式譲渡・M&Aであれば、事業をそのまま吸収し、スタートから一定の売上が期待できます。
– 設備投資費用の削減と。美容院・美容室を買収するときに、店舗にある設備まで条件に含めると、新規で購入する設備投資費用を削減できます。すでにある設備を使うだけなので、新規設備投資費用の削減効果も期待できます。
– 事業の承継による廃業の免除と。事業を承継してくれる相手を見つけることで廃業を免れることができます。後継者問題や将来的な経営への不安によって事業売却をご検討される場合、在籍する従業員の生活を守ることができます。
– 初期投資リスクの軽減と。同業者が事業拡大を目的としてM&Aを行うメリットは、初期投資リスクの軽減と技術者の確保です。過去の実績を元に事業計画を立てることができるため、リスクを軽減することができます。また、採用および教育コストがかかる技術者を事業とともに引き継ぐことで、それらの投資も抑えることができます。
– 節税効果と。美容エステサロンを事業譲渡/事業売却で譲渡・承継する場合、税務上ののれんが発生した場合、5年間での償却が認められているため、買い手側は期間内における節税効果が得られます。
美容業の事業と相性がよい事業
美容業の事業と相性がよい事業は以下の通りです。
1. 美容器具や化粧品の販売と、ヘアケア商品の販売が挙げられます。美容器具や化粧品の販売は、美容業者が直接提供するサービスに必要な品物を提供するため、相性がよい事業です。また、ヘアケア商品の販売も、美容業者が提供するサービスに直接関係するため、相性がよい事業です。
2. 美容室や理髪店の経営支援サービスと、スパ用品や入浴剤の販売が挙げられます。美容室や理髪店の経営支援サービスは、美容業者の業務をサポートするため、相性がよい事業です。スパ用品や入浴剤の販売も、浴場業と美容業の相性がよい事業です。
3. 布製品のリペア(修理)やクリーニング剤、洗剤の販売と、浴室清掃用具や消耗品の提供が挙げられます。布製品のリペアやクリーニング剤、洗剤の販売は、洗濯業と美容業の相性がよい事業です。浴室清掃用具や消耗品の提供も、浴場業と美容業の相性がよい事業です。
美容業の企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由
M&A Doは、美容業の企業がM&Aを依頼する際におすすめの理由がいくつかあります。まず、譲渡企業様から手数料を一切いただかないという点が大きな魅力です。これにより、コストを気にせずに安心してご相談いただけます。さらに、豊富な成約実績を誇っており、多くの企業様にご満足いただいております。美容業の業界にも深い知見を保有しているため、業界特有のニーズや課題に対しても的確なアドバイスを提供することが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。