目次
日本料理店の市場環境
日本料理店の市場環境について、以下のポイントをまとめます。
– 市場規模の回復:2024年5月の外食市場規模は2962億円で、前年同月比+243億円。コロナ禍以降では最も回復しており、2019年同月比(コロナ禍前比)は91.5%。
– 業態別市場規模:「和食料理店」市場規模は、2024年5月に+78億円増加し、2024年7月には+42億円増加。
– 客単価の向上:外食単価はコロナ禍以降最大の伸び率となり、2024年5月の19年比は118.3%。
– 食事主体業態の回復:食事主体業態の市場規模は、2024年5月に19年比100.4%でコロナ禍以降初めて単月でコロナ禍前実績を超えた。
– 飲酒主体業態の回復:飲酒主体業態の市場規模は、2024年5月に78.9%で前月の81.9%から下がりました。
これらのポイントから、日本料理店の市場環境は、コロナ禍以降の回復が進んでおり、特に客単価の向上と食事主体業態の回復が注目されています。
日本料理店のM&Aの背景と動向
日本料理店のM&Aの背景と動向は以下の通りです。
1. 日本食文化の国際的な人気
日本の食文化は世界的に高い評価を受けており、特に寿司や天ぷら、和牛などの高級な日本料理は海外でも人気が高い。
2. 外国人観光客の増加
日本は世界的に観光地として人気が高く、特に東京や京都などの観光地には多くの外国人観光客が訪れる。日本料理店にも外国人観光客向けのメニューやサービスが求められるようになり、M&Aによる経営力の強化が必要となっている。
3. 若い日本人のライフスタイルの変化
若い日本人は外食やデリバリーなど、手軽に食事を楽しめるサービスに求める傾向があり、日本料理店も新しいサービスやメニューの開発が必要となり、M&Aによる業界内の統合や資本力の強化が進んでいる。
4. 海外展開
日本料理店の海外展開が進んでおり、M&Aによる合併や買収が増加している。特に和食チェーンの買収によるグローバル展開が成功例として挙げられる。
5. 新しいサービスやメニューの開発
若い世代にも受け入れられるように、新しいメニューや店内装飾を導入し、オンラインマーケティングを活用することで、新しい顧客層を獲得することが重要となっている。
6. 地方料理店の全国展開
地方料理店を買収し、全国展開を進めることで、地域限定の料理を全国的に提供することができるようになり、地域の特産品を全国に広めることが可能となっている。
7. M&Aの成功事例
– 和食チェーンの買収によるグローバル展開:買収後、チェーン店のブランド力を活かし、海外に進出することで、日本食の人気が高まっている海外市場での売上を伸ばすことに成功しました。
– 伝統的な日本料理店の再ブランディング:新しいメニューや店内装飾を導入し、オンラインマーケティングを活用することで、新しい顧客層を獲得しました。
– 日本の地方料理店の全国展開:地方料理店の味をそのままに、店舗展開を広げることで、地域限定の料理を全国的に提供することができました。
8. M&Aの成功要因
– 新たな投資資金の調達:店舗拡大や新規店舗の出店がスムーズに実現できる。
– 提携先のノウハウやビジネスモデル:経営戦略の改善や効率化が図れる。
– 商品やサービスの多様化:顧客層の拡大や維持につながる。
– 競合他社との差別化:高品質な素材の調達や独自のレシピ開発が可能であり、他社とは異なる料理の提供ができる。
– ブランド力のコラボレーション:企業価値の向上が期待できる。
– 国内外の市場進出:提携相手が国際的なネットワークを持ち、海外進出や外国人顧客の獲得が可能となる。
9. M&Aのリスク管理
– 資産の正確な評価:店舗の設備や備品、食材や商品、従業員など、多様な資産があります。DDによって、資産の状況や管理方法、評価基準に関する情報を明確にし、問題やリスクを見逃さないようにすることが重要です。
– 顧客ロイヤルティーの確認:M&Aを検討する日本料理店の顧客ロイヤルティーは、将来の事業戦略や成長戦略の成功に大きく影響します。DDによって、顧客の嗜好や嗜好の変化、顧客満足度などを把握し、顧客ロイヤルティーの実態を正確に確認することが必要です。
– 法務チェックの実施:不動産や知的財産、法的問題など、さまざまな法律問題が発生する可能性があります。DDによって法的な問題をテストし、リスクや問題を特定して、それらに対処するための戦略を立てることが必要です。
10. M&Aの統合プロセス
– 人事、財務、情報システム、顧客管理、マーケティング戦略の統合:吸収合併後の統合プロセスを指し、人事、財務、情報システム、顧客管理、マーケティング戦略など、さまざまな領域での改善や効率化を通じて、統合後のシナジー効果を最大化することを目的としています。
日本料理店のM&A事例
日本料理店のM&A事例を以下にまとめます。
### 1. 東京一番フーズが寿し常をM&Aした事例
– 東京一番フーズが2020年6月に寿し常の全株式を取得し、完全子会社化しました。東京一番フーズは首都圏を中心に日本料理店を50店舗ほど展開しており、さらに長崎県には魚の養殖場も所有しています。
### 2. あさくまが竹若をM&Aした事例
– あさくまは2020年2月に竹若の株式を1億5000万円で取得し、子会社化しました。竹若は1988年に設立されて、都内を中心に日本料理店や寿司店を14店舗展開していました。しかし、M&A直後にコロナ禍により竹若の収益が低下し、2021年3月に全店休業し破産申請を行うに至りました。
### 3. クリエイト・レストランツ・ホールディングスが炙り屋錦乃介と蕎麦鳥人をM&Aした事例
– クリエイト・レストランツ・ホールディングスは2018年11月に炙り屋錦乃介と蕎麦鳥人をM&Aで取得しました。目的はメニュー開発や調達の幅を広げることと、グローバル展開を目指すためでした。
### 4. あみやき亭がアクトグループをM&Aした事例
– あみやき亭は2014年にアクトグループの株式を取得し、子会社化しました。アクトグループは寿司店のすしまみれや焼肉店のブラックホールなどの飲食店を都内を中心に12店舗展開していました。このM&Aにより、あみやき亭は東京での事業展開のためのノウハウを取得し、業態を広げることでのシナジーを見込んでいました。
### 5. 小僧寿しがサニーフーヅの18店舗を譲受した事例
– 小僧寿しは2024年10月4日に、フランチャイズ加盟社のサニーフーヅが運営する18店舗を譲り受け、直営店化しました。これにより、小僧寿しは西日本エリアの既存店舗との仕入れや物流網を強化し、コスト効率の向上を図りました。
### 6. 木曾路が大将軍の子会社化を発表した事例
– 木曾路は2020年11月に大将軍の全株式を取得し、完全子会社化しました。木曾路は、コロナ禍の中で両社の強みを生かして、付加価値の高い店舗運営を実現し業績向上を図るとしています。
### 7. ジー・テイストが湯左和を子会社化した事例
– ジー・テイストは2018年10月に湯左和の全株式を取得し、完全子会社化しました。ジー・テイストは、自社グループに加わって業績向上が見込めると判断したため、M&Aを行いました。
これらの事例から、M&Aは日本料理店の業界で多様な目的を持つことがわかります。例えば、業態の拡大、メニュー開発、グローバル展開、地域密着型の運営強化などが挙げられます。
日本料理店の事業が高値で売却できる可能性
日本料理店の事業が高値で売却される可能性は、以下の点にあります。
– 立地の重要性立地は非常に重要です。繁華街やビジネス街に店舗を置くと、買い手に好まれます。特に、繁華街に位置する高級店は、風情や隠れ家の雰囲気を保てる立地が魅力となります。
– 内装と設備内装と設備は店舗価値を決定づける要素です。和の雰囲気を醸し出す格子戸やふすま、家具・雑貨などが充実していると評価されます。特に、オープンキッチンのカウンターやフライヤーやガス台などの状態がよいと買い手に喜ばれます。
– マーケット情報の提供マーケット情報の提供は契約成立を促す要素です。特に地域密着型で営業をしていた店舗の場合、内見時に客層や周辺環境などの情報を提供することが重要です。
– 譲渡希望額と財務状況譲渡希望額と財務状況は決定的な要素です。具体的な譲渡希望額や直近の財務状況を明確に示すことが、買い手に信頼を与えるため重要です。例えば、売上高が約4,200万円、営業利益が約1,200万円の寿司屋は、譲渡希望額が1,100万円と設定されています。
– 業態の多様性業態の多様性は転用可能性を高めるです。和食・日本料理店は、うどん・そば店、すし店、居酒屋などに転用可能です。特に、和モダンな内装はイタリアンやカフェなどからも需要があります。
これらの要素を満たすことで、日本料理店の事業が高値で売却される可能性が高まります。
日本料理店の企業が会社を譲渡するメリット
日本料理店の企業が会社を譲渡するメリットは以下の通りです:
1. 経営の効率化が図れる:
– 会社を譲渡することで、経営の効率化が図れます。新しい経営者が導入する経営手法やアイデアにより、業務プロセスの改善やコスト削減が可能になります。また、譲渡により資金調達ができるため、新たな事業拡大にも取り組めます。
2. 継承問題を解決できる:
– 日本料理店の場合、家族経営であることが多いため、継承問題が発生することがあります。しかし、会社を譲渡することで、継承問題を解決できます。また、譲渡先によっては、現経営者が後継者として残ることも可能です。
3. 新たなビジネスチャンスを生み出せる:
– 譲渡先が、日本料理店とは異なる業種や業界である場合、新たなビジネスチャンスを生み出せます。例えば、譲渡先が外食産業ではなく、食品メーカーや卸売業などである場合、日本料理店のメニューを製品化することができます。また、譲渡先が海外企業である場合、海外進出がスムーズになる可能性もあります。
4. 売却益や譲渡益を獲得できる:
– M&Aでは、土地や設備だけでなく、従業員やノウハウまで引き継ぐことができるため、店舗の価値が高く評価されればそれだけ売却益を享受することができます。売却益を利用し、譲渡後新たな事業を始めたり、借入金の完済にあてるなど、金銭面で様々なメリットが想定されます。
5. ブランドや従業員を維持できる:
– 既にブランドがある飲食店を買い取ることで、固定客の来店が見込め、ターゲットやエリア選定に時間をかけずに営業を開始することができます。また、設備や什器も揃っているため開業資金を抑えることができます。譲受時の契約次第にはなりますが、そのままシェフやスタッフを引き継ぐことで、人手不足が解消できるだけでなく現場教育の工数も減らすことができます。
6. 好条件の立地を獲得できる:
– 好条件の立地は中々空かないことが多いです。そのため、M&Aを行うことで出店希望エリアで出店できることには大きなメリットがあります。
7. 経営者の財務リスクの軽減:
– M&Aによる売却を行うと、個人保証や担保などの負債から解放される場合があります。これにより経営者の財務リスクが軽減され、将来的な責任を回避することが可能です。
8. 従業員の雇用の継続:
– 会社の売却がもたらす従業員の雇用の継続は、社会的な側面からも重要なメリットです。買収先企業が人材を評価し、業務を継続することによって、従業員のリストラや職を失うリスクを軽減することができます。また、新しい経営体制のもとでキャリアの拡充やスキルアップのチャンスが増える可能性もあります。
9. 事業承継問題の解決:
– 特に家族経営や個人経営の居酒屋では、後継者不足が深刻な問題となることがあります。M&Aによって、外部の企業や投資家に事業を引き継ぐことで、事業の存続が確保されます。これにより、経営者は事業を維持しながらも、承継に伴うリスクや負担を軽減することができます。
日本料理店の事業と相性がよい事業
日本料理店の事業と相性がよい事業を以下にまとめます。
### 1. テイクアウトやデリバリー事業
日本料理店がテイクアウトやデリバリー事業に進出することで、市場への参入を容易にし、競争力を向上させることができます。特に中食市場では、他社の買収によって素早く市場に参入することが必要です。
### 2. 異業種企業の買収
日本料理店が異業種企業を買収することで、新規事業への進出が可能です。例えば、和食店が旅館業へ進出するケースがあります。
### 3. サプライチェーンの管理
日本料理店がサプライチェーンの管理を強化することで、鮮度を重視した食材選びを実現し、季節や地域に応じたメニューを提供することができます。例えば、東京一番フーズが食品業界における卸売から加工、養殖までの統合的な6次産業化を進展させています。
### 4. 新規事業への進出
日本料理店が新規事業への進出を図ることで、ブランド力の強化や新たな価値創造が可能です。例えば、クリエイト・レストランツ・ホールディングスがニューヨークの日本食レストラン「炙り屋錦乃介」「蕎麦鳥人」を取得し、国際市場への足がかりを得ています。
### 5. 人材育成支援事業
日本料理店が人材育成支援事業に投資することで、海外での日本食・食文化の普及を図り、現地でのパートナーとなる人材を育成することができます。例えば、日本食・食文化振興協議会が海外の外国人日本食料理人を招へいし、国内の有名日本料理店で研修させることで、日本料理に関する知識及び調理技能を向上させています。
### 6. 調理技能認定制度
日本料理店が調理技能認定制度を導入することで、外国人日本食料理人の調理技能を認定し、世界へ効果的に普及させることができます。例えば、日本食・食文化振興協議会が調理技能ガイドラインに基づき、外国人日本食料理人の調理技能を認定する制度を運用・管理しています。
### 7. 創作メニューの提供
日本料理店が創作メニューの提供を強化することで、ファミリー層や若者層にも受け入れられる店造り、運営を実現することができます。例えば、大衆化志向の店造りで、通常の外食料金と比べてもリーズナブルな価格設定や、ランチや夕食時に気軽に入れる店造りを行うことが必要です。
### 8. 独自の味の追及
日本料理店が素材を生かした独自の味の追及を目指すことで、専門店化志向を推進し、顧客の満足度を高めることができます。例えば、素材を生かした独自の味の追及を行うことで、顧客の信頼を得ることができます。
日本料理店の企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由
M&A Doは、日本料理店の企業がM&Aを依頼する際におすすめの理由がいくつかございます。まず、譲渡企業様から手数料を一切いただかないという点が大きな魅力です。これにより、コストを抑えながらスムーズにM&Aを進めることが可能です。また、豊富な成約実績を誇っており、多くの企業様にご満足いただいております。さらに、日本料理店の業界にも知見を保有しているため、業界特有のニーズや課題に対しても的確なサポートを提供いたします。ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。