目次
新卒採用支援業の市場環境
新卒採用支援業の市場環境は、以下の要素が特徴です。
– 市場の拡大: 2022年度の新卒採用支援サービス市場規模は前年度比7.1%増の1,312億4,000万円で、企業の新卒採用意欲の高まりに伴う需要拡大によって市場は拡大を継続しています。
– 学生優位な売り手市場: 人手不足感の強まりによる企業の新卒採用意欲の高まりを背景に、学生優位な売り手市場が続いています。
– 採用活動の多角化: コロナ禍で停滞していた集合型イベントなどの対面サービスが再開し、売り手市場における学生との早期接触ニーズの高まりにより、採用活動における手法の多角化が進んでいます。
– 採用直結型インターンシップの活用: 文部科学省、厚生労働省、経済産業省の合意改正のもと2025年3月以降の卒業生を対象とするインターンシップの定義が変更され、企業がインターンシップで得た学生情報を採用選考で活用する採用直結型のインターンシップの実施が可能となりました。
– 主要サービス事業者の動向: 新卒採用支援サービス7カテゴリー別の市場動向及び市場規模推移、主要サービス事業者の動向が調査・分析されています。
– 企業のニーズに対応: 新卒採用支援サービスは企業からのニーズを取り込み、順調にサービスの提供機会を拡大させています。
これらの要素が、新卒採用支援業の市場環境を形成しています。
新卒採用支援業のM&Aの背景と動向
新卒採用支援業のM&Aの背景と動向を以下のようにまとめます。
### 背景
1. 後継者不足:
– 後継者不足が深刻化しており、経営者が退職する際に事業を継承する人が不足しています。これにより、経営不振や廃業のリスクが高まります。
2. 業界再編:
– 大手企業による業界再編が進んでおり、中小規模の人材紹介会社が大手企業に買収されることが増えています。これにより、市場シェアが集中し、競争が激化しています。
3. 専門性の強化:
– 専門性の強化が求められており、中小規模の人材紹介会社が大手企業や他の中小企業とM&Aを行い、専門分野での実績を強化しています。
### 動向
1. M&Aの活発化:
– M&Aの活発化が見られ、人材紹介会社や派遣会社が異業種の会社を譲受する事例も増えています。これにより、事業規模の拡大や収益体制の確立が図られています。
2. 買収側のメリット:
– 優秀な人材の確保が可能となり、人手不足を解消することができます。また、事業規模の拡大や市場シェアの向上が期待されます。
3. 譲渡側のメリット:
– 経営基盤の強化が図れ、後継者問題を解決することができます。また、派遣社員への教育体制の強化や経営基盤の強化が期待されます。
### 例
1. リクルートホールディングスによる買収:
– リクルートホールディングスが中小規模の人材紹介会社を買収し、業界再編を進めています。
2. パーソルホールディングスによる買収:
– パーソルホールディングスがインテリジェンスホールディングスを約510億円で子会社化し、多様化する会社や求職者のニーズに応えることが可能になりました。
3. SHIFTによるWAHL+CASEの買収:
– SHIFTがスタートアップやテック業界に特化したバイリンガル人材紹介事業を買収し、卓越したバイリンガルエンジニアを提供することで顧客の事業成長に貢献しています。
新卒採用支援業のM&A事例
新卒採用支援業のM&A事例についてまとめます。
### M&A事例
1. 日本M&Aセンター
– 新卒採用を積極的に行っている大手M&A仲介会社の一つ。豊富な経験と専門知識を持つプロフェッショナルが多数在籍し、新卒社員をしっかりと育て、会社の中枢としての成長が期待されます。
2. M&A総合研究所
– 新卒採用を積極的に行っているM&A仲介会社。新卒にも中途レベルの行動量や結果を求める環境として急成長可能です。
3. 人材確保を目的としたM&A
– 人材確保のためにM&Aを行う企業がいくつかあります。例えば、介護事業を手掛ける株式会社樫の木は、地域に安定した介護サービスを展開するためにM&Aによる人材確保に着手しました。
4. 大手人材会社によるM&A
– 大手人材会社による中小規模の人材紹介会社の買収が進んでいます。代表的な大手人材紹介会社としてリクルートホールディングス、パーソルホールディングス、パソナグループが挙げられます。
### M&Aのメリット
– 新たなキャリア形態への対応が求められる人材紹介会社では、テレワークに適した人材の紹介が求められています。
– 専門性の強化を目指すM&Aが増えています。例えば、リクルートホールディングスがHRテック系サービスの新規開発に向けたリソースと知見の獲得を目的としたM&Aを行っています。
### M&Aの注意点
– 企業文化の違いや人事制度や雇用条件の変更によって社員の退職を招くリスクもあります。M&Aにあたっては、専門家のアドバイスを仰ぐことが重要です。
新卒採用支援業の事業が高値で売却できる可能性
新卒採用支援業の事業が高値で売却できる可能性について、以下のポイントをまとめます。
– 優秀なエンジニアの在籍: SES業界では、優秀なエンジニアが多く在籍する企業は引き合いも強く、自社サービスを開発する事業会社や大手のSIer企業、SES会社など多くの企業からニーズがあります。在籍エンジニアと買い手の求めるスキルがマッチると、高い価格でSES事業を売却できる可能性があります。
– 事業の特徴: 人材紹介や人材派遣業界でも、特定の分野に強みを持つ企業は高値で売却されることが多いです。例えば、ITや医療分野に特化した人材派遣会社は、業容拡大につながるため高値で売却されることがあります。同業種間でM&Aを行えば売却側の人材(労働者)を一度に獲得することができます。
– 市場ニーズ: 人材不足が背景にある分野では、M&Aが積極的に行われています。例えば、ITエンジニアの不足を背景に、SES業界ではM&Aが活発に行われています。SES業界はITエンジニアの不足を背景に、主に優秀な人員を確保するためのM&Aが積極的に行われています。
これらのポイントを考慮すると、新卒採用支援業の事業も、特定の分野に強みを持つ企業が高値で売却される可能性があります。
新卒採用支援業の企業が会社を譲渡するメリット
新卒採用支援業の企業が会社を譲渡するメリットは以下の通りです。
### 後継者問題の解決
後継者不足を解消できる。中小規模の企業では経営者が高齢化し、事業を引き継ぎたくても後継者がいないケースが多く見られます。M&Aによる売却は、事業承継にも活用できる方法で、買収側が後継者となり事業を引き継ぐため、会社を存続させることができます。
### 経営資源の活用
経営資源を活用できる。大手企業のグループ傘下に入れば、安定した経営が可能になり、買収側の経営資源を活用することで事業の成長や売上拡大が見込めます。
### 従業員の雇用維持
従業員の雇用を維持できる。M&Aで人材紹介会社を売却した場合、会社は廃業や倒産を免れ、買い手の経営により存続するため、従業員の雇用も維持されます。
### 個人保証の解放
個人保証から解放される。中小規模の企業では経営資金を融資で調達する際に経営者が個人保証したり、個人資産を担保に差し入れていたりすることが多く、経営不振で財産を失いかねない状態が重い精神的な負担となります。しかし、M&Aで人材紹介会社を売却(株式譲渡)した場合、基本的に債務も買い手に引き継がれるため、個人保証や担保差し入れが解消されます。
### 事業の選択と集中
事業の選択と集中が実現できる。M&Aでは、不要となった事業やその関連資産だけを選別して売却するのが可能で、経営状態が好転することが期待されます。
### 売却利益の獲得
売却利益を獲得できる。中小規模の企業の経営体制がオーナー経営者によるワンマン体制である場合、株式譲渡で会社を売却すれば、その対価をオーナー経営者が受け取り、人材紹介会社の規模・売上高に応じた売却利益を獲得できます。
### 資金の調達
資金の調達ができる。事業譲渡によって得られた資金は、本業の強化・拡充、あるいは新規事業のための技術開発や設備増強などに対する投資に使うことができます。
### 優秀な人材の確保
優秀な人材を確保できる。M&Aで人材紹介会社を買収すると、その会社で働いている優秀で経験が豊富な人材をまとめて確保できます。
### 事業規模の拡大
事業規模の拡大が図れる。M&Aで人材紹介会社を買収すると、事業規模が広がり、市場シェアが広がったり、売上高が増えたりすることにもつながります。
新卒採用支援業の事業と相性がよい事業
新卒採用支援業の事業と相性がよい事業は以下の通りです。
– 新卒採用支援サービス:
– 採用計画の策定:
– _新卒採用の特性を踏まえた採用計画の策定_。
– 求人広告の作成:
– _学生を対象とした求人広告の作成_。
– 面接の実施:
– _適正な評価基準や面接ノウハウを活用した面接実施_。
– 育成プログラムの設計:
– _新卒者のキャリア形成をサポートするための育成プログラムの設計_。
– 新入社員研修:
– _新入社員のスキルアップを通じて、企業の人材開発を促進する研修プログラム_。
– 採用コンサルティング:
– 採用戦略の策定:
– _企業のニーズに基づいて、採用戦略の策定_。
– 採用活動全般の支援:
– _採用活動全般に関して、幅広く専門的な知見を活用した支援_。
– 研修・育成サービス:
– 新入社員研修:
– _新入社員のスキルアップを通じて、企業の人材開発を促進する研修プログラム_。
– リーダーシップ研修:
– _社員のリーダーシップを育成するための研修プログラム_。
– 専門スキル研修:
– _社員の専門スキルを向上させるための研修プログラム_。
– 面接官の育成:
– _面接官の印象が企業のイメージに繋がるため、しっかりとした研修が必要_。
これらのサービスを有効活用すれば、企業は新卒採用の効率化と質の向上が可能になるでしょう。
新卒採用支援業の企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由
M&A Doは、新卒採用支援業の企業がM&Aを依頼する際におすすめの理由がいくつかあります。まず、譲渡企業様から手数料を一切いただかないという点が大きな魅力です。これにより、コストを抑えながらスムーズにM&Aを進めることができます。さらに、豊富な成約実績を持っており、多くの企業様にご満足いただいております。新卒採用支援業の業界にも深い知見を保有しているため、業界特有のニーズや課題に対しても的確なサポートを提供いたします。ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。