目次
広告業の市場環境
2024年における広告業の市場環境は、以下のポイントを中心に動いています。
– インターネット広告費の増加:
– 2024年上期のインターネット広告費:
– 2024年上期の広告費は、2023年下期と比べ増加したとの回答が34.5%となり、前回調査時と比べ0.7ポイント増えている。
– 月ごとの成長率:
– 1月と2月は前年同月比でほぼ横ばい、3月は大幅な増加、4月と5月は小幅な増加、6月と7月に大きな増加、8月は再び一桁台の成長率。
– デジタル広告の拡大:
– デジタル広告の比率:
– 答え合わせ者の半数弱が7割以上の広告予算をデジタルに投下している。
– 4マス媒体の回復:
– テレビ広告費は前年同月比4.9%増の99,306百万円、新聞広告費は3.9%増の12,638百万円、雑誌広告費は48.4%増の3,780百万円。
– M&Aの活発化:
– AI技術やプライバシー保護の規制:
– 2024年のWeb広告業界では、デジタル化の急進展とともにM&Aが一層活発化しています。特にAI技術やプライバシー保護に関連する規制強化が業界に大きな影響を与えており、企業の生き残り戦略としてM&Aが注目を集めています。
– テクノロジー企業による買収:
– 従来の広告代理店だけでなく、テクノロジー企業がWeb広告業界の企業を積極的に買収する動きが見られます。特にAIやビッグデータ解析技術を持つ企業が注目されています。
– 広告業界の統合:
– 同業他社との合併や業務提携:
– 競争が激化する中、中小規模の広告代理店が生き残るためには、専門性やリソースの強化が必要です。同業他社との合併や業務提携が増加し、業界全体での規模拡大を図る動きが進んでいます。
これらのポイントは、2024年の広告業界の市場環境を代表しています。
広告業のM&Aの背景と動向
広告業界におけるM&A(企業の合併・買収)の背景と動向は以下の通りです。
### 背景
– 人口減少と教育産業のニーズ: 日本の人口減少に伴う教育産業での集客・人材採用ニーズの高まりが、広告業界のM&Aの背景にあります。
– デジタル化の進展: デジタル環境と技術の進化が急速に変化するデジタル広告の需要を高め、M&Aが活発化しています。
– AI技術やプライバシー保護規制: AI技術やプライバシー保護に関連する規制強化が業界に大きな影響を与え、企業の生き残り戦略としてM&Aが注目を集めています。
### 動向
– 大手広告代理店によるM&A: 電通や博報堂などの大手広告代理店が積極的にM&Aを行い、業界再編が進んでいます。
– 海外企業への買収: 海外企業をM&Aによって買収するケースも増えており、急速に進化するデジタル広告の技術を取り込み、世界でのシェアを獲得する戦略が進んでいます。
– 新規事業・周辺事業への参入: 新規事業・周辺事業を買収することで、サービスの一本化や内製化が可能になり、多くのメリットが得られます。
– 外注業務から内製化への転換: 外注している事業を買収すれば、内製化を進められ、事業の効率化が見込めます。
– サービスが細部に渡る: M&Aによる買収で、質の高いサービスや独自性のあるサービスを展開できるため、企業価値の向上につながります。
### メリット
– 事業承継対策: M&Aによって大手の傘下に入ることができれば、経営者が引退しても、会社が存続することができます。
– 市場シェアの拡大: M&Aは市場シェアを拡大し、競争優位性を確保するための強力な手段となります。
– コスト削減: M&Aを通じた規模の拡大は、コスト削減と業務効率化にも大きく寄与します。
### デメリット
– リスクの増加: M&Aにはリスクが伴い、買収先の企業の潜在的なリスクや技術の進化に対応するための投資が必要です。
### 将来の展望
– グローバルな展開: M&Aにより、異なる地域や市場で強みを持つ企業を買収することで、グローバルな展開を加速させることができます。
– 高成長が予想される: Web広告業界は、特にアジア市場の急成長が見込まれています。
広告業のM&A事例
### 広告業のM&A事例
#### ニューラルポケットによるフォーカスチャネルのM&A
– 目的:営業力・ノウハウの取得
– 実行時期:2021年11月
– スキーム:株式譲渡
– 取引価額:2億5000万+アーンアウト条項に基づく追加支払い(譲渡後6か月の売上高に応じて最大追加1.5億円)
#### フォースリーとクリエイターニンジャのM&A
– 目的:両社の販売力と開発力を掛け合わせたシナジーの創出
– 実行時期:2021年1月
– スキーム:資本業務提携
– 取引価額:非公開
#### GMOアドパートナーズ株式会社による株式会社シフトワンのM&A
– 目的:動画広告のクリエイティブ強化
– 実行時期:2017年8月
– スキーム:株式譲渡
– 取引価額:非公開
#### C4メディアによるHandEのM&A
– 目的:外部アドバイザーとしてのブランド監修
– 実行時期:2022年08月
– スキーム:株式譲渡
– 取引価額:非公開
#### インバウンドテックによるEPARKのM&A
– 目的:新規サービスのビジネスシナジーの創出
– 実行時期:2021年11月
– スキーム:株式譲渡
– 取引価額:非公開
#### ジーニーによるZelto, Inc.のM&A
– 目的:北米・インド・ヨーロッパ市場への事業展開加速
– 実行時期:2023年2月27日
– スキーム:株式譲渡
– 取引価額:非公開
#### ラバブルマーケティンググループによるDTK AD Co., Ltd.のM&A
– 目的:東南アジアのマーケティング支援強化
– 実行時期:2023年4月22日
– スキーム:株式取得
– 取引価額:非公開
#### ホットリンクによるWevnalのSNS広告事業のM&A
– 目的:効果的な広告運用サービス提供
– 実行時期:2023年1月27日
– スキーム:事業譲り受け
– 取引価額:非公開
#### ラバブルマーケティンググループによるユニオンネットのM&A
– 目的:教育市場におけるマーケティングの強化
– 実行時期:2024年8月5日
– スキーム:株式取得
– 取引価額:非公開
#### フロンティアインターナショナルによるガイアコミュニケーションズのM&A
– 目的:事業拡大と付加価値向上
– 実行時期:2023年12月19日
– スキーム:株式取得
– 取引価額:非公開
#### エフ・コードによるCRAFTのM&A
– 目的:DX推進とCX改善
– 実行時期:2023年7月
– スキーム:株式取得
– 取引価額:非公開
#### ジーニーによるサイジニアグループのM&A
– 目的:パーソナライズ広告の提供
– 実行時期:2023年6月
– スキーム:事業譲渡契約
– 取引価額:非公開
広告業の事業が高値で売却できる可能性
広告業の事業が高値で売却される可能性をまとめると、以下のような要因が重要です。
– 収益性: 年間売上高や利益率が高い企業は高い評価を受けやすく、売却価格も上昇します。特に、安定したクライアント基盤を持つ企業や定期的な契約を持続させている企業は買収側にとって魅力的です。
– 技術力: デジタル広告の精度向上やターゲティング技術の重要性が増す中、広告配信技術やデータ解析に優れた企業は高く評価されます。特に、AIやビッグデータを活用した広告配信プラットフォームを提供している企業やクッキーレス広告技術を持つ企業は競争優位性が高く、売却価格もそれに伴い上昇する傾向があります。
– 市場シェア: 市場におけるシェアやブランド力も重要な要素です。大手クライアントを複数抱える企業や特定の業界で強い影響力を持つ企業は、そのブランド力が買収側にとっての価値を高め、価格の上昇要因となります。
– EBITDA: Web広告業界では、EBITDAに対して一定の倍率(マルチプル)を掛け合わせることで、企業の評価額を算出します。このマルチプルは業界全体の動向や、その企業が持つ技術力や成長性によって変動します。特に技術的な優位性を持つ企業には、EBITDAの8倍から10倍のマルチプルが適用される傾向にあります。
これらの要因がすべて揃っている企業は、通常の売却相場よりも高値で売却される可能性が高くなります。具体的には、以下のような事例があります。
– ニッチな業界の広告代理店: ニッチな業界で競合企業が少ない広告代理店は、相場よりも高い価格で売却されることがあります。
– BtoBビジネスを中心とする広告代理店: BtoBビジネスを中心とする広告代理店は、総合的なブランディング能力を持つため、相場の1.4倍ほどで売却されることがあります。
これらの要因を満たしている企業は、高値で売却される可能性が高く、特に技術力や収益性が高い企業は、EBITDAの高いマルチプルが適用されるため、さらに高値で売却される可能性があります。
広告業の企業が会社を譲渡するメリット
広告業の企業が会社を譲渡するメリットは以下の通りです:
– デジタル化に対応が遅れて不採算となった事業を売却して、その売却益を得られる:広告業界が急速にデジタル化している中で、デジタル化に対応が遅れた事業を売却することで、売却益を得ることができます。
– 従業員の雇用確保とキャリアアップ:M&Aによる売却・譲渡で大手企業の傘下に入れば、従業員の雇用確保だけでなくキャリアアップにつながる可能性があります。
– 資本力のある企業の傘下で安定経営:M&Aによる売却・譲渡で大手企業の傘下に入れば、大手の経営リソースを利用して安定した事業を続けることが可能です。
– 後継者問題の解決:M&Aによって会社を売却・譲渡することで、後継者問題を解決できます。売却した事業の後継者は、買収側が用意するからです。
– 売却益の取得:M&Aによるイグジットを目指している経営者もおり、会社を売却・譲渡すると、次の事業資金やセミリタイア資金を得られるでしょう。
– 個人保証・債務などの解消:株式譲渡でのM&Aであれば、基本的に債務は買い手に引き継がれるため、経営者の個人保証・担保も解消されるでしょう。
– 技術者や従業員が確保できる:M&Aによって専門性の高い人材を獲得できれば、他社との大きな差別化になるでしょう。
– 自社の強み・アピールポイントを持つこと:他社にはない強み・アピールポイントを持つことで、好条件でM&Aによる売却・譲渡を行うことができます。
– 優秀な技術者・権利・特許を持つこと:現在、WEB広告業界ではAIやビッグデータを用いたマーケティング技術が進化し、技術の取得を目的とした買収が増えています。売却・譲渡側は優秀な技術者・権利・特許を持っていると、優位に売却を進められるでしょう。
– 現金が手に入る:M&Aで売却することにより現金が手に入ることもメリットの一つです。会社を売却・譲渡することで引退後の生活資金に充てたり、新規事業の資金としたり自由に利用できるでしょう。
広告業の事業と相性がよい事業
広告業界の事業と相性がよい事業を以下にまとめます。
### 広告代理店
– 広告企画: クライアントのニーズを理解し、効果的な広告戦略を立案する。
– 市場調査: 市場動向や消費者の行動を分析し、広告戦略を基に据える。
– 広告枠の販売: 各メディアとの交渉を行い、広告枠を確保する。
– プロモーションの戦略立案: 広告の企画から実行までの全プロセスを管理する。
### 広告制作
– 広告ビジュアルの制作: 広告代理店から依頼を受け、広告ビジュアルを制作する。
– キャッチコピー・紹介文の考案: 広告の文案を考え、キャッチコピーを作成する。
– 印刷物のデザイン制作: 雑誌やチラシなどの印刷物のデザインを制作する。
– CMの制作・撮影: テレビCMの制作や撮影を担当する。
### メディア
– CMプランナー: CMの企画やスケジュールを管理する。
– 雑誌編集者: 雑誌に掲載される広告の編集やレイアウトを担当する。
– ラジオパーソナリティ: ラジオ広告のナレーションや進行役を務める。
– 放送技術者: 放送技術の管理やメンテナンスを担当する。
### アドネットワーク・メディアレップ
– 広告データの収集: 複数の媒体に広告を載せる仕組みで、広告データを収集する。
– 広告枠の販売: Webサイトやソーシャルメディアに広告を載せるための枠を販売する。
– 広告パフォーマンス確認ツール: 広告のパフォーマンスを一元管理し、データを分析するツールを提供する。
### スタートアップ
– 広告データプラットフォーム: 広告データの収集からレポート作成までを自動化するプラットフォームを提供する。
– ポスター広告メディア: 街中に点在する壁面を借用し、ポスター広告を掲載するサービスを提供する。
– 広告効果測定ツール: バナー、リスティング、メルマガなどの広告成果を一元管理できるツールを提供する。
– インターネット広告シミュレーションツール: 予算や業種、配信地域などの条件を入力し、想定される広告の表示回数やクリック数をシミュレーションするツールを提供する。
広告業の企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由
M&A Doは、広告業の企業がM&Aを依頼する際におすすめの理由として、まず第一に譲渡企業様から手数料を一切いただかないという点が挙げられます。これにより、譲渡企業様はコストを気にせずに安心してM&Aのプロセスを進めることができます。さらに、豊富な成約実績を誇っており、多くの企業様にご満足いただいております。加えて、広告業の業界にも深い知見を保有しているため、業界特有のニーズや課題に対しても的確なアドバイスとサポートを提供することが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。