目次
土木工事業(別掲を除く)の市場環境
土木工事業の市場環境についてのまとめ
市場規模と需要
– 市場規模: 令和2年度における市場規模は約24兆円とされ、政府投資が主な需要を牽引しています。
– 需要の動向: 東日本大震災からの復興や東京オリンピック・パラリンピックに向けた大規模開発が、業界の拡大に寄与しています。
課題
– 人材不足: 人材不足が懸念されており、労働環境の改善が求められています。
– 多重下請け構造: 重層下請け構造が定着しており、信用リスクや労働条件の悪化、取引条件の不公平さが問題となっています。
競争力と技術力
– 技術力: 日本は高度な技術と品質で知られていますが、グローバルな市場での位置付けが一進一退を繰り返しています。
– 競争力: 日本の土木工事業界は、戦後の多大な国内建設投資や国土特有の地理的・自然的条件、国民性、優秀な人材の存在など、多くの要因によって発展していますが、その競争力が十分に発揮されていないのが現状です。
注目の取り組み
– DX化: 2024年問題に向けて、DX化が取り組まれることが予想されています。
– 持続可能な建設技術: 環境への配慮が評価されており、持続可能な建設技術にも力を入れています。
業界の動向
– 短期的市場回復: コロナ禍の影響が薄れるにつれて、市場が回復し、さらに拡大していくことが予測されます。
– 長期的市場縮小: 人口減少に伴う住宅需要の減少や国際競争の激化を考えると、長期的には市場が縮小していく可能性があります。
土木工事業(別掲を除く)のM&Aの背景と動向
近年、土木工事業界においてM&Aが活発化しています。その背景には以下のような要因が挙げられます。
– 市場競争の激化と、需要の減少による業績悪化: 建設業界は需要が高まりつつも、競合企業が多いため、価格競争が激化しています。また、需要の減少により、企業の業績が悪化しています。
– 人材不足と、技術革新への対応: 建設業界は人材不足が深刻な問題となっています。特に、技術者の不足が深刻であり、企業は技術者を確保するために、他社との合併・買収を行うことが増えています。
– 大型案件の増加と、規模拡大: 近年、国内外で大型案件が増加しており、これに対応するためには、企業の規模拡大が必要になっています。また、大型案件には、技術力や人材の充実が求められるため、他社との合併・買収が有効な手段となっています。
M&Aを行う企業側の動向としては、以下のようなものが挙げられます。
– 規模拡大と、市場シェアの確保: 市場競争の激化や大型案件の増加に対応するため、企業は規模拡大を図り、市場シェアを確保することを目的として、他社との合併・買収を行っています。
– 技術力の強化と、人材の獲得: 人材不足が深刻な問題となっているため、技術力の強化が求められています。そのため、技術力の高い企業や、技術者を多く抱える企業との合併・買収が行われています。
– 新規事業の開拓と、地域拡大: 市場の拡大や多角化を目的として、新規事業の開拓を行う企業があります。そのため、他業種とのM&Aも増加しています。
M&Aの成功事例としては、以下のようなものが挙げられます。
– 技術力の補完と、収益性の向上: 土木建築工事業を主力事業とする企業が、建設機械レンタル業を展開する企業を買収。これにより、建設現場での作業効率が向上し、収益性が大幅に向上した。
– 地域拡大と、市場シェアの拡大: 土木建築工事業を中心に展開する企業が、総合建設企業を買収。これにより、より大規模なプロジェクトにも対応できるようになり、市場シェアの拡大につながった。
以上のように、土木工事業界におけるM&Aは、業界の変化に対応するための重要な手段となっています。ただし、買収する企業がリスクを適切に評価し、統合をスムーズに進めることが必要です。
土木工事業(別掲を除く)のM&A事例
土木工事業のM&A事例
1. 日本乾溜工業と大邦興産のM&A
– 目的: 日本乾溜工業が大邦興産の全株式を取得し、子会社化。目的は大邦興産が地元で幅広く官民双方の工事を請け負っていることから、九州地区における土木建設工事のシェア拡大を図ること。
– シナジー: 双方が隣接業種であるため、シナジーも期待されている。
2. コニシと山昇建設のM&A
– 目的: コニシが山昇建設の株式を取得し、子会社化。目的は「土木建設事業」を同社の成長戦略の柱と位置づけ、山昇建設の買収でコニシの有する補修・改修・耐震・補強工事に関する材料・工法・施行能力と全国展開の営業ネットワークを活用し、シナジーの結果、業績及び収益拡大が図れると見込まれている。
3. 大盛工業と井口建設のM&A
– 目的: 大盛工業が井口建設の全株式を取得し、子会社化。目的は山口県の公共工事を多く請け負っている井口建設の土木工事業部門のみを欲し、両者の思惑が一致した結果のM&Aとなった。
4. 住友林業とクレセント社のM&A
– 目的: 住友林業がクレセント社の100%の持ち分を取得。目的はアメリカにおける住宅・不動産事業のさらなる拡大・発展を目指すため。
5. 淺沼組とSINGAPORE PAINTS & CONTRACTOR PTE. LTD.のM&A
– 目的: 淺沼組がSINGAPORE PAINTS & CONTRACTOR PTE. LTD.とのM&Aを実施。目的はアセアン地域でのリニューアル事業の展開を目指すため。
6. 長谷工コーポレーションと総合地所のM&A
– 目的: 長谷工コーポレーションが総合地所を買収。目的は560千戸を超える施工実績と総合地所が有するデベロッパーとしての経験・ノウハウが融合し、より顧客ニーズに合った設計・工法の提案が可能となるため。
7. 戸田建設と佐藤工業のM&A
– 目的: 戸田建設が佐藤工業の全株式を取得。目的は東北エリアの強固な事業基盤を確立し、市場シェアを拡大するため。
8. コニシと山昇建設のM&A
– 目的: コニシが山昇建設の株式を取得。目的は建設事業の強化を目指すため。
9. 不二サッシと日本防水工業のM&A
– 目的: 不二サッシが日本防水工業を買収。目的は外装すべてを網羅するトータルリニューアル工事の施工体制を確立するため。
10. アサノ大成基礎エンジニアリングと三協建設のM&A
– 目的: アサノ大成基礎エンジニアリングが三協建設の株式を取得。目的は事業の拡大と強化を目指すため。
11. サンユー建設と行方建設のM&A
– 目的: サンユー建設が行方建設の株式を取得。目的はグループ全体の競争力・収益力を強化するため。
12. メイホーホールディングスと三川土建のM&A
– 目的: メイホーホールディングスの子会社であるメイホーエクステックが三川土建を買収。目的はコスト削減、人材交流、現場での技術共有、経営資源の最適化を目指すため。
13. 大盛工業と港シビルのM&A
– 目的: 大盛工業が港シビルの株式を取得。目的は事業の拡大を目指すため。
14. 清水建設と日本道路のM&A
– 目的: 清水建設が日本道路の株式を取得。目的は日道路と共にさらなる成長と発展を目指すため。
土木工事業(別掲を除く)の事業が高値で売却できる可能性
土木工事業の事業が高値で売却できる可能性について、以下のポイントをまとめます。
– 技術や特許の独自性技術や特許を所有している場合、他社が追随できない独自の仕事を継続できる可能性があり、買手には大きな魅力があります。
– 安定した受注と利益率安定した受注が見込める取引先を持っている企業や、売上に対する利益率が高い企業は、高値で売却される可能性が高い。
– 特殊な技術やニッチな修繕工事特殊な技術を要する仕事や、ニッチな修繕工事を行える企業は、高値で売買される可能性があります。
– 有資格者や技能者の豊富さ有資格者や優れた技能者を豊富に確保している企業は、高く評価されやすくなります。特に、高齢化が進んでいることから、有資格者・技能者の平均年齢が低い企業は、より一層高値での売却可能性が高まると考えられます。
– 顧客基盤や独自の集客ノウハウ安定した顧客基盤や独自の集客ノウハウを持つ企業は、買い手からの評価が高まりやすくなります。
– 財務やコンプライアンスの健全性財務やコンプライアンス面が健全な企業は、プラス要素を増やし、マイナス要素を減らすことができ、買い手の評価が高まります。
これらの要素を踏まえて、土木工事業を高値で売却するためのポイントを整理することが重要です。
土木工事業(別掲を除く)の企業が会社を譲渡するメリット
土木工事業の企業が会社を譲渡するメリットは以下の通りです:
– 後継者問題の解決:譲渡により、後継者問題が解決し、スムーズに事業承継が可能です。
– 従業員の雇用の維持:事業譲渡により、従業員の雇用が守られ、取引先との関係も維持できます。
– 売却益の獲得:保有株式の譲渡で売却益が得られ、創業者利潤が得られます。
– 規模の拡大:自社より規模が大きい先に売却できると相手の経営資源が利用でき、運営コストも下がります。
– 技術や資格を持った人材の確保:買い手側で技術や資格を持った人材を一挙に確保でき、人材不足の解消につながり成長のスピードアップが図れます。
– 資材や機材の共同利用:事業で使う資材や機材の共同利用でスケールメリットが得られ、コストの低減につながります。
– 新規事業への進出や別テリトリーへの事業拡大:M&Aでシナジーが生まれやすく、新規事業への進出や別テリトリーへ事業拡大が可能です。
– 外国の土木関連会社の買収による海外進出:外国の土木関連会社を買収することで、インフラ未整備な発展途上国等への海外進出が可能になります。
土木工事業(別掲を除く)の事業と相性がよい事業
土木工事業と相性がよい事業としては、以下のような業種が挙げられます。
– 道路工事: 土木工事が主要な役割を担っているため、道路工事を行う会社と土木工事業が相性がよいです。道路工事では、土木工事が必要不可欠であり、顧客からの需要が高まります。
– 建築工事: 建築工事においても、土木工事は欠かせないものです。特に、建築用コンクリートや基礎工事などの需要があります。
– 大型プロジェクト: 国内外での大型プロジェクトが増加しており、これに対応するためには、大規模な土木工事を行う企業が求められます。M&Aによって、大型プロジェクトに対応できる企業を形成することができます。
– 特殊コンクリート工事: 特殊コンクリート基礎工事や場所打ちコンクリート工事などを行う事業所も、土木工事業と相性がよいです。
これらの事業は、土木工事業が主に行う工事に密接に関連しており、相互に補完し合うことで、より効率的な施工が可能です。
土木工事業(別掲を除く)の企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由
M&A Doは、土木工事業(別掲を除く)の企業がM&Aを依頼する際におすすめの理由がいくつかあります。まず、譲渡企業様から手数料を一切いただかないという点が大きな魅力です。これにより、コストを気にせずに安心してご相談いただけます。また、豊富な成約実績を誇っており、多くの企業様にご満足いただいております。さらに、土木工事業(別掲を除く)の業界にも深い知見を保有しているため、業界特有のニーズや課題に対しても的確なサポートが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。