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受託開発ソフトウェア業の市場環境
受託開発ソフトウェア業の市場環境は、以下の点が特徴です。
– 市場規模の拡大:2022年の国内市場規模は6兆734億円で、前年比3.3%増でした。2023年も国内ソフトウェア市場は前年比9.5%増の4兆682億円に達し、AIやクラウド技術の推進により市場規模が拡大しています。
– 技術革新の進展:クラウド、AI、ビッグデータ、IoT技術の進展により、ソフトウェア開発の需要が増加しています。AIプラットフォーム市場は高成長を継続し、データ管理市場やセキュリティ市場も成長を牽引しています。
– DX推進の影響:デジタルトランスフォーメーション(DX)が企業の業務効率化や利益拡大を目指すため、ソフトウェア受託開発業界の需要が高まります。DX推進により、企業がデジタル技術を活用した組織の変革を進めており、ソフトウェア・システム開発が中心となります。
– 人材不足の課題:ソフトウェア受託開発業界はIT業界の中でも歴史が古く、高齢化が進んでおり、後継者不足が問題となっています。さらに、デジタル人材の不足が顕著で、DX推進における課題となっています。
– M&Aの活発化:ソフトウェア受託開発業界では、M&Aが活発で、シナジー効果を狙ってのM&Aが多い状況です。M&Aにはメリットや注意点があり、セキュリティ面や技術面でソフトウェア受託開発会社ならではのメリットや注意点があります。
これらの要因により、受託開発ソフトウェア業界は安定的に成長し、将来も市場規模が拡大する見込みです。
受託開発ソフトウェア業のM&Aの背景と動向
受託開発ソフトウェア業のM&Aの背景と動向は以下の通りです。
### 需要の高まり
現代社会では、情報化が進展し、ビジネスや生活のあらゆる場面でコンピューターシステムが活用されるようになっています。企業や個人が必要とするシステムやアプリケーションの開発ニーズが高まっており、受託開発ソフトウェア業界にとっては大きなチャンスとなっています。
### 競合の激化
受託開発ソフトウェア業界には、大手企業から中小企業まで、多数の企業が参入しており、競合が激化しています。価格競争が激しくなっていることや、技術力や品質などの差別化が求められることがあります。
### 技術の進化
受託開発ソフトウェア業界は、技術の進化が速い分野です。最新技術やトレンドについて常に情報収集を行い、開発に反映する必要があります。企業は継続的な技術研究開発や人材育成に注力する必要があります。
### 成功事例
受託開発ソフトウェア企業が、クラウドサービス企業やIoT企業、AI技術企業、デジタルマーケティング企業、ゲーム開発企業を買収し、競争力を強化しています。例えば、クラウドサービス企業を買収することで、ソフトウェア開発におけるクラウド技術の専門知識を取り入れ、競争力を強化しました。
### DD(デューデリジェンス)の重要性
受託開発ソフトウェア業のM&Aにおいては、対象企業が保有するソフトウェアの品質や開発プロセスなどのリスク評価が非常に重要です。DDを実施することで、開発プロセスや品質管理の状況を正確に把握し、トラブルのリスクを最小限に抑えることができます。また、法律・契約の確認や技術的な評価も非常に重要です。
### 最新の動向
受託開発業界のM&Aは、事業の成長等を目的に多くの企業で行われています。例えば、クレスコが日本ソフトウェアデザインを子会社化し、大阪事業所や名古屋事業所との協業関係を強化しました。ウエルシアがエクスチェンジをM&Aし、IT関連業務の一部内製化を進め、DX推進体制を加速しました。
### 成功するためのポイント
M&Aを成功させるためのポイントとして、適切な相手の選定、情報セキュリティの確認、専門家の活用が挙げられます。
### 市場の今後の予測
受託開発業界のM&A市場は今後も活発化し続けると予測されています。企業は継続的な技術研究開発や人材育成に注力し、最新技術を活用して競争力を強化する必要があります。
受託開発ソフトウェア業のM&A事例
受託開発ソフトウェア業のM&A事例を以下にまとめます。
### 同業種によるM&A事例
– クレスコによる日本ソフトウェアデザインの子会社化:
– クレスコは2023年2月1日に日本ソフトウェアデザインを子会社化しました。
– クレスコグループは、ソフトウェアの開発を主力としており、コンサルティングや設計、開発、運用管理などの業務を行っています。
– 日本ソフトウェアデザインは1983年に設立され、銀行・保険・流通・物流分野などの業務システム開発やシステム運用管理を行っています。
– ダイコク電機によるグローバルワイズの買収:
– ダイコク電機は2022年12月にグローバルワイズを買収しました。
– ダイコク電機はパチンコホール経営支援サービスの業界唯一のプラットフォームを構築しており、クラウドの活用を推進しています。
– グローバルワイズはクラウド構築からシステム開発、システム運用保守までをワンストップで行っています。
– テモナによるサックルの買収:
– テモナは2022年4月にサックルを買収しました。
– テモナはBtoC事業者向けクラウド型システム「サブスクストア」を中心にクラウド型システムを提供しており、グループとしての開発力強化を狙っています。
– サックルはWEBシステム開発を得意とし、開発・デザイン・マーケティングの専門家による一元的・包括的なサポート体制を強みとしています。
### 異業種によるM&A事例
– ウエルシアによるエクスチェンジの買収:
– ウエルシアは2024年1月にエクスチェンジを買収しました。
– ウエルシアはドラッグストア業界の大手企業で、IT関連業務の一部内製化を進め、グループにおけるITインフラやアプリケーションの整備を進めるとともに、DXを推進するITの企画・開発・運用体制の構築を加速しています。
– エクスチェンジは情報システムの設計・開発・運用、ソフトウェアの受託開発を主力事業としており、特にWeb系のサーバーシステムやアプリケーションの開発を強みとしています。
### AI関連のM&A事例
– データ・アプリケーションによるWEELの買収:
– データ・アプリケーションは2024年7月にWEELを買収しました。
– データ・アプリケーションは企業内外のデータ連携に関するソフトウェア開発・販売およびコンサルティングを行っており、AI技術を活用したデータ連携ビジネスの拡大を狙っています。
– WEELは生成AIを活用したシステム受託開発及びコンサルティング、およびAIメディア運営を行っています。
受託開発ソフトウェア業の事業が高値で売却できる可能性
受託開発ソフトウェア業の事業が高値で売却できる可能性について、以下のポイントをまとめます。
– 事業規模と成長性:事業規模や成長性が高いほど、買い手企業が期待するシナジー効果が大きくなるため、高値での売却が可能です。具体的には、「時価純資産+営業利益×2〜5年」で算出した金額が売却価格の目安となります。
– 優秀なエンジニアの確保:優秀なエンジニアを多く抱えている企業ほど、買い手企業から高い評価を受ける傾向があります。エンジニアの価値単価が高い場合、「エンジニアの価値単価×エンジニアの人数」で算出した価格が高値での売却価格となる可能性があります。
– 独自の技術・ノウハウ:独自の技術やノウハウを持つ企業は、買い手企業にとって高価な資産となります。特に、「独自の技術やノウハウが高い価値を持っている場合」、高値での売却が可能です。
– 買い手企業のニーズと競合他社の分析:売り手側が自社の強みを把握し、買い手企業のニーズや競合他社を分析することで、「自社の強みを的確にアピール」し、高値での売却が可能です。
– 市場動向と需要:IT業界の技術発達やエンジニア不足、内製需要の増加などが、受託開発ソフトウェア業の高値での売却を促進します。特に、「IT業界の技術発達が高い価値を持っている場合」、高値での売却が可能です。
これらの要素を考慮することで、受託開発ソフトウェア業の事業が高値で売却される可能性が高まります。
受託開発ソフトウェア業の企業が会社を譲渡するメリット
受託開発ソフトウェア業の企業が会社を譲渡するメリットは以下の通りです:
1. 資金繰りの改善:
– 一度に大きな資金を手に入れることができ、資金繰りの改善が可能となり、新たな事業展開や経営戦略の実行が可能です。
2. 事業の特化・集中化:
– 特定の事業分野に特化し、経営資源を集中することができます。これにより、競合他社との差別化が図れ、顧客ニーズに合ったサービスを提供することができます。
3. 経営リスクの軽減:
– 経営リスクを軽減することができます。譲渡先企業には、経営資源やノウハウがあるため、事業の安定化や成長が期待できます。また、譲渡先企業による新たな事業展開や経営戦略の実行により、リスク分散が可能となります。
4. 技術力の強化:
– 資本提携により、他社との協力や技術の共有が可能となり、技術力の強化が期待できます。
5. 市場開拓の拡大:
– 資本提携により、パートナー企業との協力により新たな市場開拓が可能となり、業務拡大につながる。
6. 人材の獲得:
– 資本提携により、パートナー企業の人材やノウハウを獲得することができ、貴重な人材の確保が期待できます。
7. 経営資源の効率的な活用:
– 資本提携により、パートナー企業と協力して業務を行うことで、経営資源の効率的な活用が可能となり、業務効率の向上が期待できます。
8. 事業の安定と成長:
– 事業譲渡により、買い手側が大手企業であれば、売却したシステム開発会社の事業の安定も期待できます。また、買い手先の人材リソースを活用することで、事業の安定だけでなく成長も可能です。
9. 人材の確保と育成:
– 事業譲渡では、単に事業のみを売却するわけではなく、ほとんどの場合、付随する資産も譲渡され、従事するスタッフも移籍します。これにより、買い手側がすぐにシステム開発のプロジェクトを始めることができます。
10. 新しい事業への資金調達:
– M&Aによってシステム開発や受託開発の会社を売却すれば、後継者がいない企業でも第三者に事業を引き継いでもらえます。売却収益を得ることで、新しい事業に資金を投入することができます。
受託開発ソフトウェア業の事業と相性がよい事業
受託開発ソフトウェア業の事業と相性がよい事業を以下のようにまとめます。
### 1. 金融・製造・流通業
– 電子決済システム: 金融業界で電子決済システムの開発が求められます。例えば、電子債権決済システムやオンライン決済システムの開発が必要です。
– 生産管理システム: 製造業では生産管理システムの開発が求められます。例えば、自動車生産管理システムや小売業向け基幹業務システムの開発が必要です。
### 2. 公共・物流業
– 業務系SI分野: 公共や物流業では、高機能で低コスト、短納期、高い品質のサービスが求められます。例えば、AndroidやiOSアプリの開発、特にFlutterの開発経験があるエンジニアが多数在籍する会社が適しています。
– IOT製品開発: 物流業ではIOT製品開発も求められます。例えば、POC検証から製品量産まで全フローでスピーディに対応できる会社が適しています。
### 3. IT基盤構築
– クラウド基盤構築: IT基盤構築ではクラウド基盤構築が求められます。例えば、パブリッククラウド・プライベートクラウドを活用したインフラ構築、クラウド自体の構築まで幅広く対応可能な会社が適しています。
– インフラ関連業務: インフラ関連業務では監視、バックアップ、セキュリティ等の業務が求められます。例えば、個別オンプレミスでのインフラ構築だけでなく、クラウドを活用したインフラ構築も対応可能な会社が適しています。
### 4. 組み込みソフトウェア
– 組み込みソフトウェア開発: 組み込みソフトウェア開発では、RTOS、ネットワーク、車載を得意とする会社が適しています。例えば、組み込みソフトウェアの開発を得意とする大手精密機器メーカー向けのインテリジェントセンサーなど実績がある会社が適しています。
これらの事業は受託開発ソフトウェア業と相性がよい事業であり、具体的な開発需要や実績をもとに選定することが重要です。
受託開発ソフトウェア業の企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由
M&A Doは、譲渡企業様から手数料を一切いただかないという大きな特徴を持っております。これにより、コストを気にせずにM&Aのプロセスを進めることが可能です。また、豊富な成約実績を誇り、多くの企業様にご満足いただいております。さらに、受託開発ソフトウェア業の業界にも深い知見を保有しており、業界特有のニーズや課題に対しても的確なアドバイスを提供いたします。ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。