目次
保育所の市場環境
日本の保育所市場環境を以下のようにまとめます。
保育所市場の現状と変化
– 少子化と待機児童問題:少子化が進行しており、保育所利用需要が減少傾向にある一方で、特に共働き世帯やひとり親家庭の増加により、保育需要は依然として高い水準を維持しています。
– 保育ニーズの多様化:保育ニーズは多様化しており、フルタイム保育や短時間保育、在宅保育など柔軟な保育サービスのニーズが増加しています。
– 施設の変化:センター型保育施設が主流を占めているが、家庭型保育や企業主導型保育など多様な形態が支持を得ています。
保育所市場の将来予測
– 市場規模の推移:2021年度の保育・幼児教育市場規模は前年度比1.7%増の4兆6,833億円となり、保育園市場の堅調な推移に支えられています。
– 地域差と人口動態:保育施設の利用需要は地域によって異なり、労働人口の変化や人口動態の影響を受けます。特に、働く女性の増加に伴い、フルタイム保育への需要が高いままです。
– 新たなニーズとサービス:保育施設は従来の施設型保育だけでなく、柔軟な保育形式の提供を検討する必要があります。例えば、在宅保育や短時間保育が増加する可能性があります。
保育所の再編と新規事業
– 公募の変化:新規の保育所立ち上げには公募への参加が必要であり、公募情報の収集と資料のブラッシュアップが必要です。公募資料のフォーマットも時代に合わせて変化しており、地域の実情や課題を理解することが重要です。
– M&Aの注目:保育所のM&Aが注目されており、既存事業者の継続的な受注が難しくなっているため、新規参入やM&Aが活発化しています。
これらの点が大切な市場環境を理解するためのポイントです。
保育所のM&Aの背景と動向
保育所のM&Aの背景と動向を以下にまとめます。
### 背景
1. 人手不足の解消
保育所では、保育士一人あたりが見られる子どもの人数が規定されています。そのため、受け入れ人数を増やして事業の拡大を図るうえでは、人手不足が課題になりがちです。M&Aにより、こうした人手不足の問題を解消できる可能性があります。
2. 教育内容の充実化
M&Aにより、他の保育所の優れた教育内容を取り入れることが可能です。これにより、教育品質が向上し、保護者の満足度も高まることが期待できます。
3. 設備投資の効率化
M&Aを通じて、設備投資(施設の展開)を効率的に行えます。これにより、教育環境の向上やコスト削減につながることが期待できます。
### 動向
1. 同業者間のM&A
都市部にある保育所の買収が目立ち、店舗拡大の拠点確保や新設コストの削減、人材の確保などが主な目的となっています。
2. 異業種によるM&A
複数の店舗を一度に譲り受けるケースもみられました。自社のノウハウと組み合わせることで事業強化を図るなど、市場規模の拡大に合わせた動きが目立っています。
3. シナジー効果を狙った売却
小規模の保育所は業界での生き残りを目的として買収先の傘下に入っています。買収先とのシナジー効果を得る目的で、M&Aによる売却を行う動きもみられます。M&A後、売却側は不動産業の利点を活かした新規の出店や、学習塾を組み合わせた卒園後のサポート体制など、業界における地位の確立や事業領域の拡大を狙うのが目的です。
4. 戦略の見直しによる売却
出店を計画した場合、事業が軌道に乗るまで既存施設から従業員を派遣することが多いです。しかし、抱えている保育士の数には限りがあるため、出店を実行に移すと残された保育士たちの負担が高まることが問題となります。M&Aを活用して施設の売却を実行すれば、買収先に雇用を提供し、経営上の課題を解決できる可能性があります。
保育所のM&A事例
保育所のM&A事例を以下にまとめます。
### ソラストによるはぐはぐキッズのM&A
– 目的: 保育事業の成長
– 実行時期: 2022年2月
– スキーム: 株式譲渡
– 取引価額: 非公開
– 内容: ソラストがはぐはぐキッズを子会社化し、東京都を中心に認可保育所を10か所運営する.
### ミアヘルサによるライフサポートのM&A
– 目的: 経営のさらなる効率化
– 実行時期: 2024年4月
– スキーム: 吸収合併
– 取引価額: 非公開
– 内容: ミアヘルサがライフサポートを吸収合併し、保育園の運営効率化とエリア拡充を目指す.
### SHIFTによるインフィニックのM&A
– 目的: グループ従業員やその家族に対し、SHIFTグループならではの保育や初等教育サービスを提供
– 実行時期: 2023年8月31日
– スキーム: 全株式取得
– 取引価額: 非公開
– 内容: SHIFTがインフィニックの全株式を取得し、インフィニックの保育ノウハウとSHIFTグループの人材育成力を融合させる.
### ミアヘルサによる東昇商事のM&A
– 目的: 保育事業の効率化と運営エリアのさらなる拡充
– 実行時期: 2020年6月29日
– スキーム: 全株式取得
– 取引価額: 非公開
– 内容: ミアヘルサが東昇商事の全株式を取得し、運営保育園が計32園に拡大する.
### ソラストによるなないろのM&A
– 目的: 事業領域の拡大
– 実行時期: 2022年3月
– スキーム: 株式譲渡
– 取引価額: 非公開
– 内容: ソラストがなないろの全株式を取得し、東京都を中心に認可保育所のシェアが拡大する.
### リアリノに対するおうち保育園こうとう台の売却
– 目的: 事業の承継
– 実行時期: 2024年4月
– スキーム: 事業譲渡
– 取引価額: 非公開
– 内容: フローレンスがリアリノにおうち保育園こうとう台の事業を売却する.
### SHINKSに対するグローバルキッズCOMPANYの事業・株式売却
– 目的: 事業の承継
– 実行時期: 非公開
– スキーム: 事業譲渡
– 取引価額: 非公開
– 内容: グローバルキッズCOMPANYがSHINKSに事業を譲渡する.
保育所の事業が高値で売却できる可能性
保育所の事業が高値で売却できる可能性について、以下のポイントをまとめます。
1. 認可保育園の価値:
– 認可保育園は、定員20人以上の施設で、大規模な施設は収益ポテンシャルが高いため、買い手にとって魅力的な投資先となります。
2. 財務状況:
– 収益性の高い保育所は、売上高や営業利益が高いため、譲受企業にとって魅力的な投資先となり、高値で取引されることがあります。
3. 地域条件:
– 立地条件が良好な保育所は、売却価格に影響を与えます。特に、交通の便が良い地域は魅力的な取引先となります。
4. 事業譲渡の特徴:
– 事業譲渡は、保育園の営業権や資産を売却する形態で、経営主体が変わるため、従業員や保護者に不安を与える可能性がありますが、独立性は担保されます。
5. 具体的な事例:
– 福岡県中心部の保育園は、博多や天神へのアクセスが良好で、修正後の営業利益が30%超と高い利益水準で運営されています。
– 埼玉県内の小規模認可保育園は、売上高が3,000万円〜5,000万円で、譲渡希望額が4,600万円です。
– 大阪府内の企業主導型保育園は、売上高が5,000万円〜1億円で、譲渡希望額が6,500万円です。
これらのポイントを考慮すると、保育所の事業が高値で売却される可能性は高いと言えます。特に、認可保育園や収益性の高い施設、良好な地域条件を持つ施設は、買い手に魅力的な投資先となります。
保育所の企業が会社を譲渡するメリット
保育所の企業が会社を譲渡するメリットを以下のようにまとめます。
### 譲渡側のメリット
– 財務的メリット: _資産を現金化し、経営資源の有効活用が可能_。
– 経営上のメリット: _経営リソースを集中的に活用し、競争力を強化することが期待できる_。
– 事業継承のメリット: _後継者不足問題を解決し、事業の持続性が確保できる_。
### 譲受側のメリット
– 規模拡大や事業多角化: _M&Aにより規模を拡大し、事業を多角化することが可能_。
– 事業効率化: _譲渡企業の経営ノウハウや人材を取り入れることで、事業効率が向上する_。
– 経営上の課題解決: _保育士不足や資金調達の課題を抱える場合、M&Aによって解決策が見つかることがあり、保育園運営の安定化が期待できる_。
### 相場の概算
– 保育園の売却相場 = 時価純資産 + (営業利益 × 2〜5年分)
### 手法の選択
– 株式譲渡: _手続きが容易で、売却価格の設定も簡単_。ただし、簿外債務や赤字が存在する場合には譲受側が引き継がなければならないリスクがある。
– 事業譲渡: _事業を資産として売買するため、株式がなくても実行が可能_。しかし、経営主体が変わるため、従業員や保護者に不安や不信感を与える可能性がある。
これらのメリットを活用することで、保育所の企業が会社を譲渡する際に多くの利点を得ることができます。
保育所の事業と相性がよい事業
保育所の事業と相性がよい事業は以下の通りです:
1. 絵本販売事業
– 絵本は子どもたちにとって大切な学びの道具です。保育所では、絵本の読み聞かせが一つの日課となっています。絵本の販売事業は保育所と相性がよいビジネスです。
2. おもちゃ販売事業
– おもちゃは子どもたちが日々の生活で遊びながら楽しく学ぶための必要なアイテムです。保育所では様々なおもちゃが必要となります。したがって、おもちゃ販売事業も保育所との相性がよいビジネスです。
3. 食育教材販売事業
– 保育所では、子どもたちが健康に育つための食育が大切な教育課程となっています。食育教材販売事業は、保育所との相性がよく、需要があるビジネスとして注目されています。
4. 子育て支援アプリ開発事業
– 保育所での子育ては、親にとっても大変なことが多いです。そこで、子育て支援アプリを開発することで、保育園への送迎などの情報共有や子育てに関する情報を提供することができます。このような事業は、保育所との相性が高く、需要があるビジネスとして注目されています。
5. エコバッグ販売事業
– 保育所では、子どもたちに環境についての教育も行っています。エコバッグは、プラスチック袋の使用を減らすために効果的なアイテムです。このようなビジネスは、保育所との相性がよく、需要があるビジネスとして注目されています。
これらの事業は、保育所の運営に必要な資源やサービスを提供し、保育所の質の向上や地域貢献にも役立つことが期待されます。
保育所の企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由
M&A Doは、保育所の企業がM&Aを依頼する際におすすめの理由として、いくつかの特徴があります。まず、譲渡企業様から手数料を一切いただかないという点が挙げられます。これにより、コストを気にせずに安心してご相談いただけます。また、豊富な成約実績を誇っており、多くの企業様にご満足いただいております。さらに、保育所の業界にも知見を保有しているため、業界特有のニーズや課題に対しても的確なアドバイスを提供することが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。