目次
介護付き有料老人ホーム運営業の市場環境
介護付き有料老人ホーム運営業の市場環境
### 高齢者の増加と介護ニーズの拡大
– 人口の高齢化:日本の65歳以上の人口は3624万人を超え、総人口の約29%を占めており、2030年以降は総人口に対する高齢者の割合は30%を超える予測。
– 要介護者数の増加:2010年から2020年度の間に、要介護者等の数は約170万人以上も増加しており、有料老人ホームをはじめとする介護施設のニーズが高まるきっかけとなっています。
### 介護施設の増加と競争の激化
– 施設数の増加:平成元年から25年の間で、有料老人ホームの施設数は8000以上も増加しており、ニーズの高まりもあり、有料老人ホームをはじめとする介護施設の市場の成長は活発です。
– 競争の激化:有料老人ホームの施設数の増加は、同時に同業者との競争の激化を意味します。有料老人ホームの競合相手は、同種の施設だけでなく、ケアハウス・サ高住・グループホームなど多種多様です。
### 医療費の削減と在宅ケアの推進
– 病床数の削減:2025年にかけて病床数を20万床削減し、「病院から在宅へ」の流れをつくっています。これにより、病院で治療を終えた患者でも特に重度であれば自宅に帰れないことが社会的な課題になっています。
– 在宅ケアの推進:医療費の削減が進み、在宅ケアの推進が予測されており、これにより施設への需要が増加する可能性があります。特に要介護度の高い高齢者に対応した施設の需要が高まると見られます。
### ナーシングホームの特徴と収益性
– ナーシングホームの定義:サ高住や老人ホームに看護サービスが付加された医療ケアのできる施設と定義されています。
– 収益性の高さ:介護サービスに加え、医療保険の適応者に対しては医療保険報酬を算定することができます。そのため、「居住費+介護保険報酬+医療保険報酬」となり、一般的な介護施設よりも収益性が高くなります。
### 市場規模とM&Aの動向
– 施設数の増加:2022年の有料老人ホーム(サービス付き高齢者向け住宅以外)の施設数は17,327施設で、前年比603施設(3.6%)増加しました。また、2022年の介護サービスの年間実受給者数は652万4400人で、対前年比2.2%の伸びを示しています。
– M&Aの動向:介護業界では慢性的な人手不足が深刻な問題となっていますが、市場規模は拡大傾向です。介護給付金の適用範囲の再検討も進められており、介護給付金が抑制されれば、利用者は保険外サービスを利用せざるを得なくなるでしょう。
介護付き有料老人ホーム運営業のM&Aの背景と動向
介護付き有料老人ホーム運営業のM&Aの背景と動向は以下の通りです。
– 人材不足の解消: 介護業界では慢性的な人材不足が深刻な課題であり、同業種の企業を買収することでスキルやノウハウを持つ従業員の獲得が容易となるため、M&Aが増加しています。
– 経営者の高齢化による事業承継: 経営者の高齢化に伴う事業承継の問題が増え、M&Aが活発化しています。
– 成長産業への参入希望: 介護業界は成長産業であり、他の業界からの参入希望者も増えています。
– 有料老人ホーム市場の拡大: 高齢者の人口が増加しており、有料老人ホームへの需要が拡大しています。日本の65歳以上の人口は3624万人を超え、2030年以降は総人口に対する高齢者の割合は30%を超える予測されています。
– 競争の激化: 有料老人ホームの施設数が増加しており、業界内での競争が激化しています。同種の施設だけでなく、ケアハウス・サ高住・グループホームなど多種多様な競合相手が増えています。
– M&Aの活発化: 介護業界ではM&Aが活発化しており、サービス拡充や事業基盤強化を目的としています。具体的な事例として、ツクイがPUPの株式を取得し、子会社化した例があります。
– ニーズの多様化: 高齢者人口の増加に伴い、利用者のニーズも多様化しています。介護給付金の適用範囲の再検討や保険外サービスの充実が求められています。
介護付き有料老人ホーム運営業のM&A事例
介護付き有料老人ホームのM&A事例を以下にまとめます。
### 事例1: リビングプラットフォームとシニアケアのM&A
事業規模とエリアの拡大により、阪神南地域におけるシェア拡大を図る基盤とし、ドミナント戦略を進めて地域No.1企業を目指す考えです。
### 事例2: 日本生命保険とニチイホールディングスのM&A
事業規模の拡大および提供サービスの充実を目的として、日本生命保険がニチイホールディングスの株式99.6%を取得しました。
### 事例3: ケア21とエム・ケー企画のM&A
近隣事業所間の連携が図れ、多くの利用者ニーズに応えることが可能となり、実績とノウハウを活かしてサービス充実の可能性を見込みます。
### 事例4: 揚工舎とヒューマンライフケアのM&A
事業拠点の拡大を目的として、ヒューマンライフケアが2010年に開設された有料老人ホーム「鳩ケ谷の郷」を本譲受しました。
### 事例5: 学研ココファンとグランユニライフケアサービスのM&A
事業規模の拡大および提供サービスの充実を目的として、両社が業務提携契約を締結し、中長期的な協力関係を築きました。
### 近似事例: ケア21による凛のM&A
既存事業所と事業展開エリアの重複により、営業、人的資源の一本化によって、業務の効率化が図れ、サービス充実・企業価値拡大などのシナジー効果が得られました。
### 近似事例: ニチイ学館による西日本ヘルスケアのM&A
トータル介護サービスネットワークを生かして、施設利用者や対象地域へ安定的なサービスの供給を図り、企業価値を向上しました。
介護付き有料老人ホーム運営業の事業が高値で売却できる可能性
有料老人ホームの事業譲渡において、事業が高値で売却される可能性を考慮する際には、以下の点が重要です。
– 立地条件と: 立地条件が良い施設は、買い手にとって魅力的な点となり、より高い評価を受けやすいです。
– 業績と: 業績が良い時に行うことが大切です。入居率が高く、それに見合った従業員数で業務をまわせている時が、良い売却時期です。
– 施設の強み・弱みと: 自社の有料老人ホームの強みと弱みを把握し、他の介護施設と比べて劣っているところがあれば改善する必要があります。
– 建物の状態と: 建物に不備がないかどうかを確認し、築年数が10年以上経っている建物はこまかくチェックする必要があります。
– 人材確保と: 人材の確保がしやすい施設は、買い手にとって重要な要素となります。
– 介護資格を持つ職員と: 介護資格を持つ職員を確保できる施設は、買い手にとって安心感を与える要素となります。
これらの点を考慮することで、有料老人ホームの事業譲渡が高値で行われる可能性が高まります。
介護付き有料老人ホーム運営業の企業が会社を譲渡するメリット
介護付き有料老人ホーム運営業の企業が会社を譲渡するメリットは以下の通りです。
– 後継者問題からの開放: 経営者の平均年齢が高齢化しており、後継者問題が深刻になっています。会社売却やM&Aを活用して、親族でない第三者へ事業承継することができます。
– 従業員の雇用確保: 介護施設を廃業してしまうと、そこで働いていた従業員が職を失うことになりますが、会社売却で有料老人ホーム・介護施設を譲り渡せば、従業員の雇用を確保することが可能です。
– 利用者のサービス継続: 施設が消滅せずに残るため、利用者は引き続きそこで暮らせます。介護施設の利用者は高齢者であるため、引っ越しは大きな負担です。
– 経営状況の安定: 介護報酬改定によって経営状況が不安定になったり、経営難に陥ったりする事業所も少なくありません。M&Aによって経営体力のある大手企業に事業が譲渡されると、経営状況が安定することが期待できます。
– キャリアアップ: 譲渡先が大規模な事業所である場合、従業員の働き方の幅が広がり、キャリアアップにつながる可能性があります。
– 許認可の引き継ぎ: M&Aが株式譲渡によって実施された場合、株式の所有者が変わるだけなので介護事業における許認可も引き継ぐことができます。
– 資金の獲得: 売却益を得る目的で、有料老人ホーム・介護施設の会社売却を行うのも十分に有効な手段です。経営者が高齢になって引退を考えるときに、会社売却すればリタイア後の資金を獲得でき、会社を存続させて従業員や利用者を守れます。
介護付き有料老人ホーム運営業の事業と相性がよい事業
介護付き有料老人ホーム運営業の事業と相性がよい事業を以下のようにまとめます。
### 介護付き有料老人ホームと相性がよい事業
1. 訪問介護事業: 介護付き有料老人ホームで提供されるサービスに加えて、訪問介護事業を運営することで、入居者が自宅で必要な介護サービスを受けることができるため、相性がよいです。訪問介護サービスを提供することで、入居者が自宅でも安心して生活できる。
2. デイサービス事業: 介護付き有料老人ホームの入居者がデイサービスを利用できるようにすることで、日中の生活支援を強化できます。デイサービスを提供することで、入居者が日中も活発に生活できる。
3. リハビリテーション事業: リハビリテーションサービスを提供することで、入居者の身体機能を維持・向上させることができます。リハビリテーションサービスを提供することで、入居者の身体機能を維持・向上させることができる。
4. 健康管理事業: 介護付き有料老人ホームで提供される健康管理サービスを強化することで、入居者の健康状態を常に監視し、必要な医療行為を提供することができます。健康管理サービスを強化することで、入居者の健康状態を常に監視し、必要な医療行為を提供することができる。
5. レクリエーション事業: レクリエーションサービスを提供することで、入居者の精神的健康を維持させることができます。レクリエーションサービスを提供することで、入居者の精神的健康を維持させることができる。
これらの事業を組み合わせることで、介護付き有料老人ホームの運営がより効果的になり、入居者の生活がより快適になることが期待できます。
介護付き有料老人ホーム運営業の企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由
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株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。