目次
リゾート運営業の市場環境
リゾート運営業の市場環境は、以下の要素によって特徴づけられています。
– 市場規模の予測:世界のリゾート市場規模は2030年までに9,453億8,000万米ドルに達すると予測されており、2024年から2030年までのCAGRは18.2%で成長すると予測されています。
– 成長要因:旅行に対する消費支出の増加、体験型観光やラグジュアリー観光の魅力の高まり、新興および既存デスティネーションでのリゾート提供の戦略的拡大が市場の力強い成長を支えています。
– 消費者動向:富裕層の消費者は、パーソナルなサービス、ユニークな宿泊施設、高級アメニティを求めており、プライベート・ヴィラからグルメ・ダイニング、オーダーメイドのウェルネス・プログラムまで、オーダーメイドの体験を提供する高級リゾートの需要を牽引しています。
– 地域別の成長:アジア太平洋地域は、急速に拡大する中間層、可処分所得の増加、国内外からの観光客の旅行意欲の高まりを背景に、リゾートの重要な成長市場として浮上しています。タイ、バリ、モルディブ、日本などの目的地では、交通の便の改善、観光促進のための政府の取り組み、多様な旅行者層に対応する新しいリゾート施設の開発などに支えられ、需要が高まっています。
– 技術の進歩とデジタル化:オンライン旅行代理店(OTA)やデジタル予約プラットフォームの普及により、消費者に幅広いリゾートオプションへの容易なアクセスが提供され、価格の比較、レビューの閲覧、より便利な宿泊予約が可能になりました。これにより、リゾートはオンラインでの存在感を高め、ハイテクに精通した旅行者の注目を集めるためにデジタルマーケティング戦略に投資せざるを得なくなりました。
– 人手不足問題:国内の旅館・ホテル市場では、フロントや調理スタッフなどの確保が間に合っていないなど、依然として深刻な人手不足状態が続いています。外国人材の登用や受付の自動化で省人化投資が必要な一方、こうした対策が難しい事業者もあり、人手不足への対応が24年度における旅館・ホテル市場の成否を分けるポイントとなります。
– 投資環境:2024年の日本ホテル投資市場は、訪日外国人観光客の急激な回復、安定した需給バランス、円安・低金利等を背景に、国内外の投資家がホテル投資に熱視線を浴びせています。JLLのホテル投資の専門家は、訪日外国人観光客数の本格的な回復、円安による消費・投資への優位性、バランスの取れた新規供給等がホテル投資を推進する要因として挙げています。
これらの要素は、リゾート運営業の市場環境を形成し、持続的な成長を支えています。
リゾート運営業のM&Aの背景と動向
リゾート運営業のM&Aの背景と動向
リゾート運営業のM&A(合併・買収)は、コロナ禍による打撃を受けたホテル・旅館業界の再生と成長を促進するための重要な手段となっています。以下にその背景と動向をまとめます。
### 背景
1. コロナ禍の影響
– 宿泊者数の減少:新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年の訪日外国人が前年よりも約87%下落し、宿泊者数が激減しました。
– 経営難の増加:コロナ禍の影響で多くのホテル・旅館が経営難に陥り、倒産・廃業が相次ぎました。
2. 新たな成長機会
– 世界的な観光需要の回復:コロナ禍の影響が収まると、世界的な観光需要が回復し、M&Aが活発化しています。
### 動向
1. 施設の再生
– 老舗旅館の買収:経営難に陥った老舗旅館を買収し、リブランドやリノベーションを実施することで、施設の再生を目指しています。
2. 地域特化型施設の統合
– 地方観光地での統合:地方観光地での宿泊施設を統合し、地域全体の観光資源を強化しています。
3. IT対応施設の買収
– スマートホテルの買収:スマートホテルやIT活用型施設を買収し、効率的な運営を目指しています。
4. 新規事業進出
– 新たな市場参入:新たな市場参入を目指し、地域間連携を強化しています。
5. 技術の進化
– デジタルトランスフォーメーション(DX):AIを活用した顧客管理システムや自動チェックイン・チェックアウトシステムを導入し、顧客満足度の向上と運営コストの削減を図る企業が増えています。
6. 環境意識の高まり
– エコフレンドリーな宿泊施設の買収:エコフレンドリーな宿泊施設を買収し、環境に配慮した運営を行う中小規模のホテルを買収するケースが増えています。
### 具体例
1. ベルーナとカラカミのM&A
– 資産譲渡:カラカミが「洞爺サンパレスリゾート&スパ」と「ザ・レイクスイート湖の栖」を資産譲渡し、運営受託を予定しています。
2. 三菱地所とロイヤルパークホテルのM&A
– 完全子会社化:三菱地所がロイヤルパークホテルを完全子会社化し、チェーン展開を活かしたポートフォリオ分散とリスク分散を目指しています。
3. アールビバンと大江戸温泉物語のM&A
– リゾート事業の譲渡:TSCホリスティックが所有する「タラサ志摩ホテル&リゾート」を大江戸温泉物語に譲渡し、リゾート事業を強化しています。
以上のように、リゾート運営業のM&Aは、施設の再生、新たな市場参入、地域間連携を目的に進行しており、技術の進化や環境意識の高まりも動向に影響を与えています。
リゾート運営業のM&A事例
### リゾート運営業のM&A事例
1. ベルーナとカラカミのM&A
– ベルーナが北海道のリゾートホテル「定山渓ビューホテル」を取得しました。
– カラカミは、北海道内に所有する「洞爺サンパレスリゾート&スパ」と「ザ・レイクスイート湖の栖」を資産譲渡しました。
2. 三菱地所とロイヤルパークホテルのM&A
– 三菱地所が株式交換により、ロイヤルパークホテルを完全子会社化しました。
3. 大江戸温泉物語とタラサ志摩ホテル&リゾートのM&A
– 大江戸温泉物語が、TSCホリスティックから「タラサ志摩ホテル&リゾート」を事業譲渡を受けました。
4. 霞ヶ関キャピタルとメゾンドツーリズム京都のM&A
– 霞ヶ関キャピタルが、メゾンドツーリズム京都の全株式を取得して子会社化しました。
5. ウェルスマネジメントと山陽興業のM&A
– ウェルスマネジメントが、山陽興業の全株式を取得し子会社化しました。
6. アールビバンと大江戸温泉物語のM&A
– アールビバンが、TSCホリスティックから「タラサ志摩ホテル&リゾート」を事業譲渡を受けました。
リゾート運営業の事業が高値で売却できる可能性
リゾート会員権の売却方法について、以下のポイントをまとめます。
### リゾート会員権の売却方法
リゾート会員権の売却方法には、不動産仲介業者に売却を依頼する方法と買取業者に買い取ってもらう方法の2つがあります。
#### 不動産仲介業者に売却を依頼する
– 不動産仲介業者が売主の代わりに買い手を探してくれます。
– 売出価格は、売主の希望価格と相場価格を考慮して、売却しやすい金額を提案します。
– 仲介業者は売主の代わりに売却に関する活動を行ってくれます。
– 不動産ポータルサイトへの掲載
– 物件資料の作成
– 内見の手配
– 価格や条件面などの交渉
– 売買契約時の重要事項説明書と売買契約書の作成
– 所有権移転のサポート
#### 買取業者に買い取ってもらう
– 買取業者が不動産を買い取る方法。
– 売却金額が相場よりも低くなるのが一般的ですが、その場で買い取ってくれるため即金性が高い。
– 資産価値がゼロに近いようなリゾート会員権であれば、「管理費の5〜20年分」といった費用を支払って引き取ってもらうケースもあります。
### リゾート会員権の売却の難しさ
– リゾート会員権は、需要が少ない物件は長期間売れないケースもあるため、早期に売却したい方には向いていない方法です。
– 特に、アクセスが不便で利便性の悪い場所にあるリゾート施設は、買い手がつきにくい傾向があります。
– 会員権の購入金額は高額で維持費もかかるため、一定以上の資産や収入がある方でなければ購入が難しいといえるでしょう。
### まとめ
リゾート会員権の売却は、不動産仲介業者に依頼する方法と買取業者に買い取ってもらう方法があります。ただし、需要が少ない物件やアクセスが不便な場所にあるリゾート施設は、売却が難しい傾向があります。
リゾート運営業の企業が会社を譲渡するメリット
リゾート運営業の企業が会社を譲渡するメリットは以下の通りです。
### 経営基盤の強化
自社よりも資本力やブランド力がある企業とM&Aを実施すれば、経営基盤を強化できます。例えば買い手の経営基盤を活用することで、事業拡大が可能となり、収益性や顧客数の増加につながる。
### 従業員の雇用継続
事業を売却すれば従業員の雇用を守ることが可能です。売却先によっては従来よりも安定的な環境で待遇も向上する可能性があります。
### 後継者不在問題の解決
M&Aを行えば、親族ではない第三者を後継者にでき、自社のホテル事業を譲渡できます。これにより、後継者不在の状態が続くことなく事業を継続できます。
### 創業者利益の獲得
売却の際に創業者であれば、自社の株式を売却するので、その際に創業者利益を手にでき、融資などの資金調達をせずに新規事業や主力事業への投資に回せる。
### 新たなノウハウの導入と既存ITシステムの活用
事業売却を行えば、新たなノウハウの導入も容易になります。また、大手のホテル・旅館の経営のノウハウやサービス、ブランドを使えるようになれば宿泊客の増加にもつなげられます。
### 経営資源・優秀な人材の獲得
買収を通じて、希少な経営資源や質の高い人材を獲得できる可能性があります。
### 手続きの簡便さ
株式譲渡は手続きが比較的簡便で、営業も大きな支障なく続けられます。
### 譲渡資産の選別
会社譲渡の場合、譲渡する資産を選別できるため、債務の引き継ぎが不要(事業譲渡の場合)。
リゾート運営業の事業と相性がよい事業
リゾート運営業の事業と相性がよい事業を以下にまとめます。
1. 温泉施設運営
– 温浴施設を備えたリゾートホテルは、天然温泉から準天然温泉まで様々な泉質の大浴場を提供し、癒しの湯を提供します。
2. 観光インフォメーションセンター
– 訪日外国人向け観光インフォメーションセンターを運営することで、外国人観光客を引き付け、地域経済の活性化に寄与します。
3. レジャー施設運営
– 水族館・ゴルフ場・ハイウエイレストランなどの多彩なレジャー施設を運営し、地域の観光振興に寄与します。
4. 地域文化体験
– 地域の伝統や文化を体験するイベントを定期的に開催し、地域の魅力を発見できるラウンジスペースを提供します。
5. 不動産管理
– 物件の管理や不動産の取引仲介を行い、ホテル・リゾート施設の営業をサポートします。
6. 交通機関サービス
– 運営ホテル利用者向けの交通機関やツアーを提供し、旅行事業を手掛けます。
これらの事業は、リゾート運営業と相性がよいことで、地域経済の活性化や観光需要の喚起に寄与します。
リゾート運営業の企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由
M&A Doは、譲渡企業様から手数料を一切いただかないという大きな特徴を持っております。これにより、コストを気にせずに安心してM&Aのプロセスを進めることができます。また、豊富な成約実績を誇り、多くの企業様にご満足いただいております。さらに、リゾート運営業の業界にも深い知見を保有しており、業界特有のニーズや課題に対しても的確なアドバイスを提供いたします。ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。