目次
パンフレット印刷業の市場環境
パンフレット印刷業の市場環境
1. 市場規模の動向
– 2022年のパンフレット印刷市場規模は1兆650億円で、前年から0.5%減少しました。
– コロナ禍前(2019年)と比較すると、13%減少しています。
2. 需要の変化
– コロナ禍の影響で、全戸配布の需要が増加し、ポスティング市場も前年比8%増加しました。
– デジタルメディアの普及により、紙媒体の需要が減少していますが、商業印刷市場は安定推移しています。
3. 市場の構造
– 商業印刷市場は、チラシ・パンフレットなどの宣伝用印刷や、カタログ・マニュアルなどの業務用印刷を扱います。
– ポスター・チラシ・パンフレットの印刷市場に占める比率は、コロナ禍前の62%から60%へと減少しています。
4. M&Aの動向
– 印刷業界では、M&Aによる海外進出や事業領域の拡大が目指されています。
– 市場縮小に対応するため、企業間の合併や買収が活発です。
5. 企業の実績
– アルプス印刷株式会社は、パンフレット・カタログなどの冊子印刷をメインとしたサービスを提供し、高品質・短納期・低価格のサービスを提供しています。
– 伊部印刷株式会社は、ページ物・冊子印刷、パンフレット印刷、カタログ印刷などを手掛けており、完全独立印刷対象商品が豊富です。
パンフレット印刷業のM&Aの背景と動向
近年、パンフレット印刷業界においてM&A(合併・買収)が活発化しています。以下にその背景と動向をまとめます。
### 背景
1. デジタル化の進展による需要の変化:
– デジタル技術の進展により、オンライン媒体や電子書籍などの需要が増加しています。これにより、従来の紙媒体に加え、デジタルコンテンツの制作や配信などのサービスを提供するようになっています。
2. 競争激化による業界再編の必要性:
– 競争激化により、大手企業が多く、中小企業は競争に苦しんでいます。中小企業同士がM&Aをすることで、生産性の向上や事業拡大を図ることが期待されています。
### 動向
1. 既存事業の強化:
– 既存事業を強化するためのM&Aが増加しています。売り手と買い手の双方の顧客基盤や販路などの経営資源を共有すれば、グループ全体での競争力が高められます。
2. 海外企業とのM&A:
– 海外企業とのM&Aも増加傾向にあります。これにより、新たに市場を獲得するための海外企業の買収が行われています。
3. デジタル技術と印刷技術の融合:
– デジタル技術と印刷技術の融合により、サービスの幅が広がります。例えば、デジタル印刷会社とグラフィックデザイン会社の合併や、デジタル印刷会社とオンライン印刷サービス会社の合併が見られます。
4. 事業ポートフォリオの多角化:
– 事業ポートフォリオの多角化が重要な目的の一つです。異なる事業領域や顧客層を持つ企業同士が経営統合を行うことで、事業の幅が広がり、リスクの分散が可能です。
5. シナジー効果の発揮:
– シナジー効果の発揮により、経営統合による効果が期待されます。例えば、商業印刷事業と包装・パッケージ事業の統合により、新分野に進出するだけでなく、既存の事業とシナジーを創出させることが可能です。
### 具体的な事例
1. 共立印刷と西川印刷のM&A:
– 共立印刷株式会社が株式会社西川印刷の株式を取得し子会社化しました。共立印刷は、オフセット輪転印刷による商業印刷物や出版印刷物の製造を中心に行っています。西川印刷は、九州を拠点としてオフセット印刷を取り扱っています。両社の営業活動が競合することは少なく、物流を考慮した生産体制においても、地理的な面や所有する設備において相互にシナジー効果が期待できます。
2. 光村印刷と新村印刷のM&A:
– 光村印刷株式会社が新村印刷株式会社の株式を取得し子会社化しました。光村印刷は、印刷事業を中核にしつつ、電子部品製造事業など、印刷技術をベースに事業領域を拡大しています。新村印刷は、主に印刷事業に取り組んでおり、特に包装やパッケージ分野において多くの実績と一定の数のシェアを持っています。今回のM&Aにより、光村印刷は、新分野に進出するだけでなく、既存の事業とシナジーを創出させ、成長の実現を狙っています。
3. プリントネットとウイズプリンティングのM&A:
– プリントネットが民事再生手続き中のウイズプリンティング印刷・製本事業を取得しました。プリントネットは、ウイズプリンティングの事業を譲り受けることで、関西地区におけるサービス強化および運送コスト低減などに寄与します。ウイズプリンティングは、印刷から製本までの工程をワンストップで対応可能な体制を整えており、プリントネットはその体制を活用し、さまざまな顧客ニーズに対応できる可能性があります。
パンフレット印刷業のM&A事例
### パンフレット印刷業のM&A事例
1. 大王製紙と三浦印刷
– 大王製紙株式会社は、TOBにより、三浦印刷株式会社の株式を取得し子会社化することに成功しました。
– 大王製紙は、傘下企業にダイオープリンティングを持ち、同社はスーパーや通販会社に対してチラシ等の販売をしています。
– 三浦印刷は、上場企業や金融機関などのパンフレットやカタログを中心に制作している印刷会社です。
– M&Aの目的は、同じ印刷業者同士によるものですが、お互いの顧客層や印刷領域が違うため、シナジー効果が見込めると考えられ、M&Aが実施されました。
2. 共立印刷と西川印刷
– 共立印刷は、2015年7月に西川印刷を買収しました。
– 共立印刷は、関東を拠点に事業を手掛ける総合印刷会社で、西川印刷は九州を拠点とした印刷会社でダイレクトメールのほか、バリアブル印刷設備・技術力を備えています。
– M&Aの目的は、西川印刷の設備や技術力は、需要に対応する体制整備を進めていた共立印刷との親和性が高く、このM&Aで両企業ともに、需要が高まりつつある印刷サービスに対応可能となりました。
3. プリントネットとウイズプリンティング
– プリントネット株式会社は、株式会社ウイズプリンティングの印刷・製本事業を、事業譲渡により譲り受けました。
– プリントネットは、インターネット印刷通販事業を営み、全国に5つの拠点を持つ企業です。
– ウイズプリンティングは、大阪で印刷、製本を行っていましたが、スマートフォンの普及やデジタル化の影響で業績が悪化し、民事再生の手続きを申請していました。
– M&Aの目的は、関西圏のサービス強化と運送コストの低減等を目的に、大阪に新たな製造拠点の確保を検討していたプリントネットと、大阪に拠点を持ち印刷から製本までワンストップで対応できるウイズプリンティングとの間でシナジー効果が見込まれた結果です。
パンフレット印刷業の事業が高値で売却できる可能性
パンフレット印刷業の事業が高値で売却できる可能性について、以下のポイントをまとめます。
– 地域や市場の状況:関東地方や中国地方の事業が高値で売却される可能性が高いです。特に、関東地方の事業は知名度が高く、コンテンツも充実しているため、譲渡希望額が高いです。
– 事業の特徴:特に販促物の企画・デザインから納品まで一気通貫で対応し、お客様のマーケティング活動の”面倒くさい”部分をサポートすることができるため、取引先との長期的な関係が築かれやすいです。
– 経営状況:黒字運営が可能な事業が求められており、広告費をかけることで事業の拡大が期待されます。特に、法人向けの他の商材を持っている会社とのクロスセル提案が可能なため、相乗効果が期待できます。
– M&Aのメリット:印刷業界のM&Aは、売り手側で買い手の資本力を活用して経営安定を図ることができ、後継者問題の解決や従業員の雇用維持も可能です。また、売却益の獲得も期待できます。
これらのポイントを考慮すると、パンフレット印刷業の事業が高値で売却される可能性は高いと言えます。特に、地域や市場の状況、事業の特徴、経営状況、M&Aのメリットを考慮することで、適切な価格交渉を行うことができます。
パンフレット印刷業の企業が会社を譲渡するメリット
パンフレット印刷業の企業が会社を譲渡するメリットをまとめます。
### メリット
#### 売り手側
– 経営者利益を確保できる経営者は事業売却による売却益を得ることができます。
– 従業員の雇用を確保できる従業員の雇用が維持され、労働者保護に繋がります。
– 後継者問題を解消できる後継者がいなくても他社に効率的に事業を引き継げることができます。
– 経営状態を安定化させることができる経営状態を安定させ、経営者高齢化による問題を解消できます。
#### 買い手側
– 印刷会社の設備を獲得できる印刷会社の設備を活用し、コストやリスクを抑えながら事業に参入できます。
– 優秀な人材を確保できる売り手企業の人材も引き継がれ、業務に適した優秀な人材を確保できます。
– 新規事業を簡単に開始できる事業承継を行えば、新規事業を簡単に開始し、莫大な資金や時間を節約できます。
– 事業展開エリアを拡大できる売却側の事業展開エリアを活用し、事業展開エリアを拡大できます。
### その他のメリット
– デジタル化推進IT投資でのデジタル化を推進し、印刷業での経営高度化を目指すことができます。
– シナジー効果創出売却側のノウハウや技術を活用し、シナジー効果を創出することができます。
これらのメリットを活用することで、パンフレット印刷業の企業が会社を譲渡する際に多くの利点を得ることができます。
パンフレット印刷業の事業と相性がよい事業
パンフレット印刷業の事業と相性がよい事業をまとめます。
### パンフレット印刷業の事業内容
– 印刷物の作成:
– 資料や案内の作成:
– パンフレットの内容を決定し、データを準備します。
– 請求書や通知の作成:
– 企業の業務用印刷としても利用可能です。
– 販促物(POPなど)の作成:
– 広告用のパンフレットやPOPのデザインと印刷を行います。
– 梱包:
– 書類の封入:
– パンフレットを梱包し、封筒やラベリングを行います。
– 書類以外の商品の封入:
– 商品パッケージにパンフレットを含めることが可能です。
– 発送:
– 発送代行:
– パンフレットを顧客まで発送します。
– データ管理:
– 発送状況の管理や顧客からの問い合わせ対応を行います。
– 在庫管理:
– パンフレットの在庫管理を手助けします。
– デザイン:
– パンフレットやカタログのデザイン:
– パンフレットのデザインを担当し、レイアウトデザインの作成を行います。
### 相性がよい事業
– Webサイト制作と運用:
– パンフレットのデザインと印刷を合わせて、Webサイトの制作や運用も行うことができます。
– キャンペーンの企画と運営:
– パンフレットを使用したキャンペーンの企画や運営も行うことができます。
– SNS運用と広告運用:
– パンフレットの印刷と合わせて、SNS運用やWeb広告の運用も行うことができます。
– イベントの企画と運営:
– パンフレットを使用したイベントの企画や運営も行うことができます。
– デジタルサイネージの制作:
– パンフレットのデザインを利用して、デジタルサイネージの制作も行うことができます。
これらの事業を組み合わせることで、効果的な集客や宣伝活動が実現できます。
パンフレット印刷業の企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由
M&A Doは、パンフレット印刷業の企業がM&Aを依頼する際におすすめの理由をいくつかご紹介いたします。まず、譲渡企業様から手数料を一切いただかないという点が大きな特徴です。これにより、コストを気にせずに安心してご依頼いただけます。次に、豊富な成約実績を誇っており、多くの企業様にご満足いただいております。さらに、パンフレット印刷業の業界にも深い知見を保有しているため、業界特有のニーズや課題に対しても的確なサポートが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。