目次
データセンター運営業の市場環境
データセンター運営業の市場環境は、AIブームやクラウド化の進展により劇的に変化しています。以下のポイントをとで囲んでまとめます。
– AIブームによる需要の増加:AIの普及により、データセンターの需要は大幅に増加しています。AIアプリケーションや大規模言語モデルの実行には十分な電力へのアクセスが必要であり、これが市場の動向を大きく影響しています。
– クラウド需要の拡大:クラウドコンピューティングの需要も急速に増加しており、ハイパースケールデータセンターの施設数は2024年初頭に1,000を超え、キャパシティの増加率は施設数のそれより大きくなっています。
– 大手クラウド事業者の動向:Amazon(AWS)、Microsoft、Googleなどの大手クラウド事業者が市場を牽引しています。AWSは33リージョン、105のアベイラビリティゾーンを展開し、AIへの関心がクラウド事業の成長につながっている。
– データセンターの高密度化:AIの普及により、データセンターは高密度化され、電力消費も増加しています。AIに使用されるグラフィック・プロセッサの増加がこれに寄与しています。
– 電力問題の深刻化:データセンターにおける電力消費が深刻な問題となっています。地域の電力供給が不足しているため、データセンターの建設認可取得がより難しくなっています。
– 環境問題への取り組み:企業は環境フットプリントを削減し、持続可能性を重視しています。新しい電力及び冷却技術に注目し、サプライチェーンの正常化を進めています。
これらの要素が、データセンター運営業の市場環境を形作り続けています。
データセンター運営業のM&Aの背景と動向
データセンター運営業のM&Aの背景と動向を以下にまとめます。
### 背景
– 需要の増加: データセンター市場は、企業のデジタル化推進やAI・IoT・5Gの普及による需要増加が見込まれるため、M&Aによるシェア拡大が活発化しています。
– リスク分散: データセンターはユーザーのデータを安全に保管・運用することが求められ、天災やテロなどのリスクに対応するため、クロスボーダーM&Aが活発に行われています。
– 競争激化: データセンター市場の競争が激化しており、中小規模のデータセンターは存続が難しくなっています。経営資源が不足しているため、大手企業とのM&Aが求められています。
### 動向
– クロスボーダーM&A: 近年、デジタル関連企業を対象としたクロスボーダーM&Aが活発化しており、非デジタル企業も新ビジネスの展開を目指しています。データセンター側も資金が必要なため、投資家からのクロスボーダーM&Aが求められています。
– 異業種による内製化: クロスボーダーM&Aだけでなく、異業種による内製化目的のM&Aも活発に行われています。買収側は、データセンターを買い取ることで従来必要だった外部委託費が削減でき、データデンターとして事業を受託すれば自社の収益増加を見込める。
– 大手企業の傘下: 中堅・中小のデータセンターでは、設備投資や人員確保に必要な資金が不足しているため、大手企業の傘下に入ることで資金やノウハウを共有し、最新設備の導入や技術者の確保が可能となり、安定した経営が見込めます。
### メリット
– 強固なセキュリティ: データセンターをM&Aして施設内にサーバーを設置することで、地震や台風などの天災から自社の事業資産を保護し、早期復旧が可能です。
– BCP対策: データセンターの建物は自然災害や火災などへの対策が講じられており、一般的なオフィス内よりも安全性が高いです。
– 初期費用の抑制: データセンターをイチから作るよりも、初期費用を抑えられるため、M&Aは効果的な手段です。
– 経営の安定化: 大手企業とのM&Aにより、ヒト・カネ・モノなどの経営資源を調達でき、経営を安定化させられるためです。
### 事例
– ブラックストーンによるエアトランクの買収: 米国の資産運用会社ブラックストーンが、カナダ年金基金投資委員会と共に、豪エアトランクを240億豪ドル超で買収しました。
– KDDIによるAllied Properties REITのデータセンター事業譲受: KDDIがカナダのAllied Properties REITからデータセンター事業を1,350百万カナダドルで取得しました。
– NTTコミュニケーションズによるe-shelterの買収: NTTコミュニケーションズがドイツのデータセンター「e-shelter」を買収しました。
### 今後の動向
– 市場規模の拡大: データセンター市場は国内外で拡大傾向にあり、M&Aも活発に行われています。
– 投資対象としてのM&A: データサービス事業でも世界的にクロスボーダーM&Aが実施されており、安定した成長が見込まれるため、企業間のクロスボーダーM&Aだけでなく、投資対象としてのM&Aも増加しています。
以上がデータセンター運営業のM&Aの背景と動向です。
データセンター運営業のM&A事例
データセンター運営業のM&A事例を以下にまとめます。
### 1. NTTコミュニケーションズによるデータセンターの買収
– NTTコミュニケーションズは、国内外で多くのデータセンターを買収しています。例えば、ドイツのデータセンター「e-shelter」やインドネシアのデータセンターPT.Cyber CSF社を買収しています。
### 2. エクイニクス・ジャパンのデータセンター事業拡大
– エクイニクス・ジャパンは、アメリカのEquinixの日本法人で、多くのデータセンターを運営しています。ビットアイルを買収し、国内のデータセンターで第4位に立ちました。
### 3. さくらインターネットによるIzumoBASEの買収
– さくらインターネットは、IzumoBASEの全株式を取得し、ストレージ仮想化技術を用いた「Izumo FS」の製品開発を手掛けました。
### 4. エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズによるLux e-shelterの買収
– エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズは、欧州大陸にデータセンターを保有するドイツ最大手のデータセンター事業者であるLux e-shelterを子会社化しました。
### 5. トランスコスモスによる久保田信息系統の買収
– トランスコスモスは、クボタのシステム子会社である中国の久保田信息系統の全ての株式を取得しました。これにより、クボタグループの中国IT事業を引き継ぎました。
### 6. KDDIによるAllied Properties REITのデータセンター事業譲受
– KDDIは、カナダのAllied Properties REITからデータセンター事業を取得し、北米地域での事業基盤を強化しました。
### 7. ブロードバンドタワーによるジャパンケーブルキャストの買収
– ブロードバンドタワーは、ケーブルテレビ事業者向けサービスを提供するジャパンケーブルキャストを子会社化し、データセンター事業などの強化を図りました。
データセンター運営業の事業が高値で売却できる可能性
データセンター運営業の事業が高値で売却できる可能性について、以下のポイントをまとめます。
– 市場の成長と需要の高まりデータセンターの市場規模は国内外で拡大傾向にあり、M&Aも活発に行われています。
– クロスボーダーM&Aの活発化デジタル関連企業を対象としたクロスボーダーM&Aが活発化しており、非デジタル企業が新ビジネスの展開を目指す動きが目立っています。
– 異業種による内製化目的のM&A異業種による内製化目的のM&Aも活発に行われており、データセンターを買い取ることで従来必要だった外部委託費が削減できるほか、データデンターとして事業を受託すれば自社の収益増加を見込める。
– 売却利益の獲得可能性データセンターをM&Aで売却すると、売却利益を獲得できる可能性があり、これを引退後の生活費に充てたり、他事業の投資資金として活用できる。
– 大手傘下に入り経営の安定化中小規模のデータセンターが経営資源不足に悩まされるケースもあるが、大手企業の傘下に入れば、買収企業の資金・ノウハウを利用できるようになり、経営の安定化が図れる。
– 自社の強みやアピールポイントの重要性売却側にとっては自社の強みやアピールポイントを伝えられるかが譲渡価額を左右する可能性もあるため、明確なアピールポイントをまとめることが重要です。
これらのポイントを考慮することで、データセンター運営業の事業が高値で売却される可能性が高まるでしょう。
データセンター運営業の企業が会社を譲渡するメリット
データセンター運営業の企業が会社を譲渡するメリットは以下の通りです。
– 後継者問題の解決後継者がいない場合、M&Aによる事業承継が有効な手段。中小企業では高齢化が進むため、後継者がいないと廃業を余儀なくされるケースが増えています。
– 競争激化による将来性の不安の解消競争が激化する中で、最新設備や人員の確保が難しいため、M&Aによる譲渡を検討・実施するケースが増えています。
– 経営の安定化大手企業の傘下に入れば、資金やノウハウを共有でき、最新設備の導入や技術者の確保が可能となり、安定した経営が見込めます。
– 従業員の雇用の維持自社データセンターのM&A・売却を選択すれば、従業員の雇用を引き継ぐことができます。一般的に買い手企業の方が経営基盤が大きいため、従業員の雇用条件が改善される場合も多く、買い手側には技術者を効率的に確保できる点にメリットがあります。
– 売却利益の獲得自社を売却すれば、経営者は対価としてまとまった資金を得られます。この資金は、別の事業に活用したり、老後の生活費に充当したりすることが可能です。
これらのメリットにより、データセンター運営業の企業が会社を譲渡することで、多くの問題を解決し、安定した経営を実現することができます。
データセンター運営業の事業と相性がよい事業
データセンター運営業の事業と相性がよい事業は、以下の通りです。
1. 物流不動産ビジネス
– 倉庫をデータセンターにリノベーションすることで、売上のケタが異なる利益を得ることが可能です。
– 大和ハウス工業が、物流施設用の敷地の一部をデータセンター向けに計画変更し、14棟のデータセンターを建設しています。
2. ITサービス業
– システム開発・運用管理サービスを主業とする企業が、データセンター事業を展開しています。自社保有のDCが多かったが、近年は他社のDCを賃借するケースも増加しています。
– NEC、富士通、NTTデータグループ、サーバーワークス、SCSKなどのITサービス企業がデータセンター事業に参入しています。
3. 通信キャリア業
– 旧通信局舎を活用したDCサービスの提供を行っている企業もあります。NTTコミュニケーションズ、KDDI、Colt、NTT東日本、NTT西日本などの通信キャリア企業がデータセンター事業に参入しています。
4. クラウドサービス業
– クラウド事業者がデータセンターを賃借し、サーバー等のコンピューター資源を利用できるサービスを提供しています。
5. エネルギー事業
– エネルギー事業との連携が高く、エネルギー効率の向上が図れるデータセンター事業もあります。三菱商事がエネルギー事業との連携を強化しています。
これらの事業は、データセンター運営業と相性がよい事業であり、多様な需要に応じて展開されています。
データセンター運営業の企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由
M&A Doは、データセンター運営業の企業様にとって最適なM&Aパートナーです。私たちは、譲渡企業様から手数料を一切いただかないというユニークな特徴を持ち、コスト面でのご負担を軽減いたします。また、豊富な成約実績を誇り、多くの企業様にご満足いただいております。さらに、データセンター運営業の業界にも深い知見を保有しており、業界特有のニーズや課題に対して的確なサポートを提供いたします。ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。