目次
サブスクリプションサービス提供業の市場環境
サブスクリプションサービス提供業の市場環境は、以下のように進展しています。
– 市場規模の増加:
– 2020年度の国内サブスクリプションサービス市場規模は約8692億円4400万円でしたが、2024年度の予測では約1兆2422億4000万円に達する見込みです。
– BtoCサブスクリプション市場規模も、2020年に8,000億円だったのが2024年には1.2兆円に達する見込みです。
– 利用者の増加:
– 調査によると、50.6%の人がサブスクリプション型サービスを経験していることがあります。
– 年代別で見ると、20代が最も高い利用率で62.4%、10代~50代も40%の利用率があります。
– サービス種類の多様化:
– 動画配信:
– 最も多い利用サービスは動画配信で、7割の人が利用経験があります。
– 音楽配信:
– 次に多いのは音楽配信で、1,155人が利用経験があります。
– 電子書籍:
– 電子書籍も利用されているが、511人が利用経験があります。
– 成功事例:
– Amazon:
– AmazonはAWSやAmazon Primeという2種類のサブスクサービスを提供しています。
– Apple:
– AppleはApple MusicやApple Arcadeなどの個人向けサブスクサービスを提供しています。
– Netflix:
– Netflixは動画見放題サービスを提供し、徹底したパーソナライズ化の仕組みで成功しています。
– サブスクリプションの特徴:
– 顧客のニーズに合わせた複数の料金プラン:
– サブスクリプションサービスでは、顧客のニーズに合わせた複数の料金プランが用意されています。
– 顧客の利用状況をデータで把握:
– サブスクリプションサービスでは、顧客の利用状況をデータで把握しやすい特徴があります。
– BtoBサブスクリプションの普及:
– BtoBサブスクリプションも今後積極的に普及が進むことが予想されています。
これらの点が、サブスクリプションサービス提供業の市場環境を形作っています。
サブスクリプションサービス提供業のM&Aの背景と動向
サブスクリプションサービス提供業のM&Aの背景と動向について、以下に要点をまとめます。
### 背景
– 規制強化による顧客獲得難: 定期EC業界では、規制強化が顧客獲得を難しくしているため、M&Aが事業拡大の手法として増加傾向にあります。
– 技術の進化とシナジー効果: SaaS業界には、似たようなサービスを提供している企業が多く存在し、同じ領域のSaaSサービスをM&Aすることで、シナジー効果が得やすい。
### 動向
– M&Aの増加: EC関連のM&A案件が増加しており、M&A総合支援プラットフォーム「BATONZ」でも同様の傾向が見られます。
– 企業の多角化: M&Aを通じて、企業はプロダクト拡張や業種多角化を図っています。例えば、ServiceTitanは造園や害虫駆除などの市場開拓に特化した企業を買収しています。
– 機能拡張: オリジナル製品のスイート化を狙った機能拡張も行われており、例えば、ServiceTitanが買収したSchedule Engineはオンライン予約システムを提供しています。
### 戦略
– 資本効率性の重視: Vertical SaaS企業は、資本効率性を重視し、高い継続率と粘着性を持つ企業を傘下に取り込んでいます。
– 戦略的ポジショニング: Vertical SaaS企業は、特徴的なビジネスモデルに早期に着目し、フリーキャッシュを基にM&Aを続け、コングロマリットを構築しています。
### プラットフォームの役割
– M&Aマッチングサービス: M&A総合支援プラットフォーム「BATONZ」は、クライアントの事業拡大に貢献するため、M&Aマッチングサービスを提供しています。
これらの要素が、サブスクリプションサービス提供業のM&Aの背景と動向を形成しています。
サブスクリプションサービス提供業のM&A事例
サブスクリプションサービス提供業のM&A事例を以下にまとめます。
### fonfunによるイー・クラウドサービスのM&A
– fonfunは2024年7月にイー・クラウドサービスの全ての株式を取得し、子会社化しました。
– fonfunはインターネット対応携帯電話向けサービスをメインとしてコンテンツ・サービスを展開しており、イー・クラウドサービスは飲食店を対象とした日次決算プラットフォームのSaaS事業を展開しています。
– fonfunはM&A戦略として、飲食業界向けのクラウドサービスに注力しています。今回のM&Aにより、安定的な収益貢献を持続させ業績の成長を目指します。
### NTTデータグループによるProvenTech社のM&A
– NTT DATA, Inc.は2024年にProvenTech Consulting Private Limited社を買収しました。
– ProvenTech社はインドで製薬・ライフサイエンス企業向けにコンサルティング、システム導入、マネージドサービス、および自社SaaSソリューションを提供しています。
– NTT DATA, Inc.はProvenTech社の専門知識と資産を獲得し、さらにFortune 500企業の顧客基盤を手に入れました。グループ全体のグローバルプレゼンスとSAPケイパビリティを活用し、顧客のさらなる成長とイノベーションを支援していきます。
### TWOSTONE&SonsによるMapleSystemsのM&A
– TWOSTONE&Sonsは2024年1月にMapleSystemsの全株式を取得し、子会社化しました。
– MapleSystemsはITエンジニアを企業とマッチングするビジネスを行っており、案件管理や顧客獲得に独自のノウハウを持っています。
– TWOSTONE&SonsとMapleSystemsは顧客基盤とエンジニアデータベースを統合し、クロスセルを実現して両社の成長を目指します。特に若手・WEB系エンジニアのシェア拡大とプレゼンス向上が期待されます。
### fonfunによるゼロワンのM&A
– fonfunは2024年3月にゼロワンのSaaS事業を譲受しました。
– ゼロワンのノーコード業務アプリ開発は顧客のDX推進においてシステム開発の生産性を向上させることができる事業です。
– fonfunは今回のM&Aにより、SaaS型サービスの提供や業務コンサルティング、インテグレーションを組み合わせて顧客の業務課題解決支援を行うことができます。
### サブスクリプションファクトリーによるKaiUのM&A
– サブスクリプションファクトリーは2022年12月にKaiUの新設分割会社の株式を取得しました。
– KaiUはSaaS事業を展開しており、CXデータの質及び量の増強が可能となり、更なる顧客満足度の向上と取引の拡大が実現します。また、サービス間の相互補完や当社既存顧客への獲得サービスの提供・譲受事業の顧客への当社既存サービスの提供等を行うことによるシナジー効果も期待されます。
サブスクリプションサービス提供業の事業が高値で売却できる可能性
サブスクリプションサービス提供業の事業が高値で売却できる可能性について、以下のポイントをまとめます。
– サブスクリプションサービスが高値で売却される理由:
– 継続的な収益:サブスクリプションサービスは、利用者が解約しない限り売上が継続するため、売上の予測がしやすくなります。
– 利用状況の把握:利用状況を細かく把握できるため、利用者がどんなサービスや商品を求めているのか、何を利用しているのかを詳細に知ることができます。
– 顧客価値の提供:顧客に定期的な価値を提供するため、顧客が商品やサービスの価値を感じ続けることが期待されます。
– M&Aのメリット:サブスクリプションサービスは、M&Aの際に高値で売却される可能性が高いです。特に、売却価格が高騰する可能性があります。
これらのポイントから、サブスクリプションサービス提供業の事業が高値で売却される可能性は高く、特に継続的な収益と利用状況の把握が大きなメリットとなっています。
サブスクリプションサービス提供業の企業が会社を譲渡するメリット
サブスクリプションサービス提供業の企業が会社を譲渡するメリットは以下の通りです:
– 個人保証の解消:経営者が個人保証を負ったりするケースは少なくありませんが、M&Aにより経営者の個人保証などが解消されます。
– 資金の獲得:M&Aにより売却益が得られ、新たな事業資金など自由に使うことができます。
– 後継者不在の解消:後継者がいない場合でもM&Aの活用により事業承継が可能です。
– 資本の投入:大手企業の傘下に入ることで、資本の投入を期待することができます。これにより既存サービスの拡大や新規サービスの開発が可能です。
– リスクの軽減:新規事業への参入は時間とコストがかかるため、M&Aによって新規事業への参入をスムーズにし、リスクを軽減できる手段です。
– 人材の獲得:エンジニア不足が社会問題になっており、M&Aによってサービスだけでなくエンジニアの獲得を行うことができます。
– シナジー効果:M&Aによりシナジー効果が生み出されることが期待できます。相手企業の強みや得意とする分野は取引先や実績などの情報をしっかり集めることが重要です。
サブスクリプションサービス提供業の事業と相性がよい事業
サブスクリプションサービス提供業と相性がよい事業は以下の通りです。
### 1. クラウド型サービスやSaaS
– クラウド型サービスやSaaSは、サブスクリプションモデルが普及しています。BtoBのサービスでも、クラウド型サービスやSaaSが多く提供されており、インサイドセールスによって顧客獲得と対応が行われています。
### 2. オンライン/オフラインの習い事、オンラインサロン
– オンライン/オフラインの習い事、オンラインサロンは、月謝制のビジネスがサブスクリプションと相性がよいです。講習の頻度や内容、サポート内容などでプランを分け、少しずつアップグレードを狙うのがいいでしょう。
### 3. ソフトウェア
– ソフトウェアは、近年クラウド型に移行しており、サブスクリプションで提供されることが多くなっています。プロトタイプでリリースし、ユーザーの利用データを分析しながら機能やUIを改善するのが易しいです。
### 4. エンタメ系サービス
– エンタメ系サービスは、ビデオオンデマンドや電子書籍の読み放題サービスがサブスクリプションで提供されています。プランごとに閲覧できる作品を変えたり、無料プランで集めたユーザーを有料プランに誘導することができます。
### 5. フィットネス・ジム
– フィットネス・ジムは、プランごとに利用できるコースや曜日を変えるフィットネスクラブも増えています。サブスクリプションで提供されることで、ユーザーに柔軟な利用オプションを提供できます。
### 6. アパレルや車などの小売
– アパレルや車などの小売は、買い切り制が一般的ですが、サブスク形態のビジネスも増えてきています。たとえば月額制で好きな服を借り放題のサービスや、1ヵ月単位で車をレンタルできるサービスがあります。
### 7. デジタル系サービス
– デジタル系サービスは、追加コストが低いためサブスクリプションとの相性がよいです。例えばApple Musicのような音楽配信サービスが代表例です。
### 8. 非デジタル系サービス
– 非デジタル系サービスも、事業や製品を「サービス」として捉え、提供することでサブスクサービスとして拡大が狙えるでしょう。例えば洋服を「おしゃれで、流行を捉えていて、見栄えがよくなるサービス」として提供することができます。
サブスクリプションサービス提供業の企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由
M&A Doは、サブスクリプションサービス提供業の企業様にとって最適なM&Aパートナーです。その理由は、まず第一に譲渡企業様から手数料を一切いただかないという点です。これにより、コストを気にせずに安心してご相談いただけます。さらに、豊富な成約実績を誇り、多くの企業様にご満足いただいております。特に、サブスクリプションサービス提供業の業界にも深い知見を保有しているため、業界特有のニーズや課題に対して的確なアドバイスを提供することが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。