目次
グローバルプロジェクト対応SESの市場環境
### グローバルプロジェクト対応SESの市場環境
SES市場の規模と成長動向
– 市場規模: SES市場は急速に拡大しており、2024年の日本国内のSES市場規模は約3兆5,000億円に達しています。
– 成長動向: 市場規模の拡大に伴い、SES企業の数も増加しています。2024年時点で、日本国内には約5,000社のSES企業が存在すると推定されています。
SES企業の特徴
– 即戦力のエンジニア確保: SES企業は即戦力となるエンジニアを迅速に確保できることが大きなメリットです。
– 人材不足の解消: IT人材の慢性的な不足を効果的に解消することができます。
– プロジェクトのスピードアップ: 新しい環境にも迅速に適応し、プロジェクトの立ち上げから本格的な開発フェーズまでの時間を大幅に短縮することができます。
– 柔軟な人材配置: プロジェクトの状況に応じて柔軟に人材を配置することができます。
グローバル展開の重要性
– 海外展開の増加: 日本国内の人材不足を背景に、海外のIT人材を活用するケースが増えており、ベトナムやインドなどのアジア諸国との連携を強化するSES企業が目立ちます。
– オフショア開発の活用: コスト競争力を強化するために、オフショア開発の活用が推奨されています。特にインドや東南アジアの国々は、IT人材が豊富であり、オフショア開発の拠点として注目されています。
SES企業の課題と対策
– 言語・文化の壁: SES企業が海外展開する際には、言語や文化の違いを克服することが重要です。グローバル人材の育成と活用が不可欠です。
– 技術革新と品質管理: SESモデルは技術革新や品質管理において改善が求められています。これらの課題に対応することで、SESモデルはさらに国際的な競争力を高めることができます。
SESの将来展望
– 自社サービス開発: SES企業は、単なる人材派遣に留まらず、自社で独自のサービスや製品を開発することで、収益源を多様化し、企業価値を高めることができます。
– グローバル戦略の重要性: SES企業が海外市場で成功するためには、包括的なグローバル戦略が必要です。言語・文化の壁を越え、現地の商習慣に適応し、コスト競争力を強化しながら、自社サービスの開発を進めることが求められます。
グローバルプロジェクト対応SESのM&Aの背景と動向
SES業界におけるグローバルプロジェクト対応のM&Aは、以下の背景と動向で活発化しています。
### 人材不足
– 人材確保: IT業界における人材不足が深刻化しており、エンジニアや技術者が在籍するSES事業会社を買収し、人材確保を図ることが目的です。
### 多重下請け構造の解消
– 直接的な顧客関係構築: 多重下請け構造を解消し、直接的な顧客関係を構築することで、事業の安定化と成長を図る狙いがあります。
### 海外大手資本の参入
– システム開発効率化: 海外の大手企業が、日本のSES事業会社を買収することで、システム開発や管理、運用の効率化を図る動きが見られます。
### 技術力の強化と市場シェア拡大
– 技術力の強化: SES企業が持つ優秀な技術者や顧客基盤、そして日本市場での豊富な経験が評価されており、技術力の強化や市場シェアの拡大を目的とした戦略的な動きとして捉えられています。
### 同業者間のM&A
– 競争力の強化: 人材やノウハウの確保による競争力の強化が期待され、同業間のM&Aが活発化しています。
### 具体的な事例
– アクモス×プライムシステムデザイン: アクモスがプライムシステムデザインを買収し、首都圏におけるSES事業の拡大や、システムインテグレーション・ソフトウェア開発事業分野でのシナジーが期待されています。
– コプロテクノロジー×ピー・アイ・シー: コプロテクノロジーがピー・アイ・シーのSES事業を譲受し、高スキルのITエンジニアの獲得やSES事業の拡大を目指しています。
これらの動向は、SES業界におけるグローバルプロジェクト対応のM&Aが活発化し、人材確保、技術力の強化、市場シェア拡大を目的としていることを示しています。
グローバルプロジェクト対応SESのM&A事例
SES事業のグローバルプロジェクト対応M&A事例を以下にまとめます。
### プロジェクトカンパニー×クアトロテクノロジーズ
– 買い手: プロジェクトカンパニー (DX戦略立案、UI/UX改善)
– 売り手: クアトロテクノロジーズ (SES事業)
– 目的: DX領域に通じたエンジニア人材の獲得
– スキーム: 株式譲渡
– 実施時期: 2022年10月
– 売却金額: 株式譲渡3億8,500万円
### コプロ・ホールディングス×ピー・アイシー
– 買い手: 株式会社コプロ・ホールディングス (人材派遣)
– 売り手: 株式会社ピー・アイシー (コンテンツ制作・ソフトウエア開発)
– 目的: 高スキルのITエンジニアの受け入れや顧客網の獲得
– スキーム: 事業譲渡
– 実施時期: 2023年11月
– 売却金額: 非公表
### プロジェクトカンパニー×アルトワイズ
– 買い手: プロジェクトカンパニー (デジタル活用を活用したDX戦略立案、新規事業開発・既存事業変革支援)
– 売り手: アルトワイズ (SES事業)
– 目的: テクノロジー領域に精通したエンジニア人材の拡充
– スキーム: 株式譲渡
– 実施時期: 2023年4月
– 売却金額: 2億3,700万円(概算額)
### ゼネテック×ログイン
– 買い手: ゼネテック (デジタルソリューション事業、エンジニアリングソリューション事業)
– 売り手: ログイン (システム受託開発、技術者派遣、SES事業)
– 目的: 高スキルのITエンジニアの獲得及びSES事業の更なる拡大
– スキーム: 株式譲渡
– 実施時期: 2023年1月
– 売却金額: 非公開
### KAIZEN PLATFORM×ハイウェル
– 買い手: KAIZEN PLATFORM (デジタル・テクノロジーを活用し、企業の事業成長を支援するソリューション)
– 売り手: ハイウェル (SES事業、採用支援事業、デジタルプロモーション事業)
– 目的: グロースハッカーネットワーク、ハイウェルのエンジニアネットワーク・採用支援ノウハウを組み合わせることで、DXに関する課題をトータルで解決できるパートナーとしての強固なポジショニング確立
– スキーム: 株式譲渡
– 実施時期: 2022年10月
– 売却金額: 5億3,000万円(概算額)
### エルテス×GLOLING
– 買い手: エルテス (リスク検知に特化したビッグデータ解析によるソリューション)
– 売り手: GLOLING (SES事業、受託開発事業、メインフレーム事業)
– 目的: エンジニア拡充や各種ソリューション開発の内製化によるシナジー効果
– スキーム: 株式譲渡
– 実施時期: 2022年3月
– 売却金額: 非公開
### Branding Engineer×TSRソリューションズ
– 買い手: Branding Engineer (ITエンジニアのキャリアライフをサポートする様々な事業やメディア事業)
– 売り手: TSRソリューションズ (システムエンジニアリングサービス)
– 目的: ITエンジニアを双方の顧客に紹介できるクロスセルの実現、ベテランITエンジニア人材と若手ITフリーランスエンジニアとのチーム組成によるDX化の推進
– スキーム: 株式譲渡
– 実施時期: 2022年2月
– 売却金額: 3億4,600万円(概算額)
### エアトリエージェント×ユナイテッドウィル
– 買い手: エアトリエージェント (人材関連の事業)
– 売り手: ユナイテッドウィル (SES事業)
– 目的: 人員確保による事業拡大
– スキーム: 事業譲渡
– 実施時期: 2024年3月
– 売却金額: 非公表
### アクモス×プライムシステムデザイン
– 買い手: アクモス (ソフトウェア開発やSIなどのITソリューション事業)
– 売り手: プライムシステムデザイン (SES事業)
– 目的: 首都圏におけるSES領域の事業拡張、上場会社への傘下入りによるグループ連携や事業シナジーの創出
– スキーム: 株式譲渡
– 実施時期: 2024年1月
– 売却金額: 非公表
### ヴェス×エー・アンド・ビー・コンピュータ
– 買い手: ヴェス (ソフトウェアのテスト事業)
– 売り手: エー・アンド・ビー・コンピュータ (SES事業、Web開発事業、モバイル開発事業)
– 目的: システム開発・テスト・保守運用までのサービスをワンストップで提供できる体制の構築、案件や顧客の紹介によるクロスセルの実現
– スキーム: 事業譲渡
– 実施時期: 2024年4月
– 売却金額: 非公表
### シーエーシー×スカイプロデュースジャパン
– 買い手: シーエーシー (システム構築、システム運用、業務受託)
– 売り手: スカイプロデュースジャパン (SES事業、ソフトウェアの受託開発事業)
– 目的: コア事業における人材の拡充
– スキーム: 株式譲渡
– 実施時期: 2024年2月
– 売却金額: 非公表
### ピアズ×ワイヤードパッケージ
– 買い手: ピアズ (DXやAI関連サービス)
– 売り手: ワイヤードパッケージ (IT人材派遣 / SES事業とBoot Camp事業)
– 目的: 内製化体制の構築
– スキーム: 事業譲渡
– 実施時期: 2024年6月
– 売却金額: 非公表
これらの事例から、SES事業のM&Aは主に技術力の強化や顧客網の拡大、人材確保を目的として行われており、多くの場合、技術者やエンジニアの獲得が中心となっています。
グローバルプロジェクト対応SESの事業が高値で売却できる可能性
日本のSES企業がグローバルプロジェクト対応の事業を高値で売却できる可能性について、以下のポイントをまとめます。
### 日本のSESモデル独特の特徴
– 多重下請け構造: 日本のSESモデルは大手SIerから中小SIerへ、さらに零細SIerへと仕事が流れる複雑なビジネススキームが形成されています。
– SIerに特化した企業の多さ: 日本のようにSESに特化した企業が多数存在するのは、世界的に見ても稀有な状況です。
### 海外での評価と課題
– 異なるIT人材活用形態: 欧米ではコンサルティングファームが主流であり、米国のスタッフィング業界やインドのボディショッピングも注目されています。
– 技術革新と品質管理: 日本のSESモデルは海外企業から見て魅力的な投資対象ですが、技術革新や品質管理において改善が求められる課題も抱えています。
### グローバル展開のための戦略
– 言語・文化の壁を越えるためのグローバル人材の育成と活用: SES企業は、現地の言語を話せる人材を採用したり、既存の社員に対して語学研修を行うことで、コミュニケーション能力を強化する必要があります。
– コスト競争力強化に向けたオフショア開発の活用: SES企業は、比較的コストの低い地域に開発拠点を設け、現地の人材を活用することで、開発コストを抑える方法を取ることができます。
– 自社サービス開発による事業転換: SES企業は、単なる人材派遣に留まらず、自社で独自のサービスや製品を開発することで、収益源を多様化し、企業価値を高めることができます。
### 日本のSES企業が海外展開する際の対策
– 言語・文化の壁を越えるためのグローバル人材の育成と活用: SES企業は、現地の言語を話せる人材を採用したり、既存の社員に対して語学研修を行うことで、コミュニケーション能力を強化する必要があります。
– コスト競争力強化に向けたオフショア開発の活用: SES企業は、比較的コストの低い地域に開発拠点を設け、現地の人材を活用することで、開発コストを抑える方法を取ることができます。
– 自社サービス開発による事業転換: SES企業は、単なる人材派遣に留まらず、自社で独自のサービスや製品を開発することで、収益源を多様化し、企業価値を高めることができます。
### 日本のSES企業が高値で売却される可能性
– 優秀な技術者や顧客基盤: 近年、日本のSES企業は国内外の企業からM&Aの対象として注目されています。これは、SES企業が持つ優秀な技術者や顧客基盤、そして日本市場での豊富な経験が評価されているためです。
– 技術革新と品質管理の改善: 日本のSESモデルは海外企業から見て魅力的な投資対象ですが、技術革新や品質管理において改善が求められる課題も抱えています。これらの課題に対応することで、SESモデルはさらに国際的な競争力を高めることができます。
### まとめ
日本のSES企業がグローバルプロジェクト対応の事業を高値で売却できる可能性は、優秀な技術者や顧客基盤、そして日本市場での豊富な経験が評価されているためです。ただし、技術革新や品質管理において改善が求められる課題も抱えています。これらの課題に対応することで、SESモデルはさらに国際的な競争力を高めることができます。言語・文化の壁を越えるためのグローバル人材の育成と活用、コスト競争力強化に向けたオフショア開発の活用、自社サービス開発による事業転換が必要です。
グローバルプロジェクト対応SESの企業が会社を譲渡するメリット
SES企業がグローバルプロジェクト対応の会社を譲渡するメリットは以下の通りです:
– システムエンジニアが働きやすくなる:買い手企業によっては、システムエンジニアがプロジェクトのメンバーとして一貫して参加できる環境が整うため、達成感が高まり、労働環境が改善されます。
– まとまった資金が手に入る:事業譲渡で買い手企業からの譲渡金を現金で取引する手法を選ぶことで、まとまったキャッシュが得られます。
– 事業承継問題が解決する:買い手企業がSES業界に精通しているため、事業承継がスムーズに行われ、従業員の雇用が継続されます。
– 節税効果が期待できる:事業譲渡の取引で資産以上の営業権に対し支払った額に応じて、法人税の課税対象となる利益を5年間にわたり減らすことができます。
– 新規事業・事業拡大が可能:買い手企業はSES事業を買収することで、需要の高いIT分野への新規参入が可能となり、既存の事業に加えて新たな事業領域で収益を上げることができます。
– 事業の範囲が指定可能:必要な事業だけを選択することができるため、強化したい事業や、新たに参入したい事業だけを買収することが可能です。
グローバルプロジェクト対応SESの事業と相性がよい事業
グローバルプロジェクト対応SESの事業と相性がよい事業は以下の通りです。
### グローバルプロジェクト対応SESの特徴
– 多言語対応可能なグローバル対応:グローバル市場に対応する価値あるリソースでお客様のプロジェクトを進行させることが可能です。
– 柔軟な対応力:市場環境の変化に迅速に対応し、柔軟に連携体制を構築できることが重要です。
### 相性がよい事業
1. ITサービスプロバイダー(SIer)
– 特徴:SIerに特化した企業が多数存在する日本のSESモデルは、SIerに特化した企業が多数存在するため、SIer業務に強い企業が相性がよいでしょう。
– 活用方法:SIer業務を提供し、クライアント企業にシステム開発を一括して依頼する日本のSESモデルでは、クライアント企業がシステム開発をSIerに丸投げすることが一般的です。
2. オフショア開発
– 特徴:コスト競争力を強化するため、オフショア開発の活用が一つの手段オフショア開発は、比較的コストの低い地域に開発拠点を設け、現地の人材を活用することで、開発コストを抑える方法です。
– 活用方法:インドや東南アジアの国々に進出し、24時間体制での開発を実施インドや東南アジアの国々は、IT人材が豊富であり、オフショア開発の拠点として注目されています。
3. 自社サービス開発
– 特徴:自社サービスの開発による事業転換が必要SES企業は、単なる人材派遣に留まらず、自社で独自のサービスや製品を開発することで、収益源を多様化し、企業価値を高めることができます。
– 活用方法:自社サービスを提供し、顧客との関係を深める自社サービスの提供を通じて、顧客との関係を深めることができ、長期的なビジネスパートナーシップの構築にもつながります。
これらの事業は、グローバルプロジェクト対応SESの特徴と相性がよい事業です。
グローバルプロジェクト対応SESの企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由
M&A Doは、グローバルプロジェクト対応SESの企業がM&Aを依頼する際におすすめの理由がいくつかございます。まず、譲渡企業様から手数料を一切いただかないという点で、コスト面での負担を軽減することができます。また、豊富な成約実績を誇っており、これまで多くの企業様にご満足いただいております。さらに、グローバルプロジェクト対応SESの業界にも知見を保有しているため、業界特有のニーズや課題に対しても的確に対応することが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。