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イベントプロデュース業の市場環境
イベントプロデュース業の市場環境は、以下の要素が特に重要です。
– 市場規模: イベント管理ソフトウェア市場規模は、2024年に130億1,000万米ドルに達し、CAGR 10.24%で成長し、2029年までに211億8,000万米ドルに達すると予測されています。
– 地域別成長: アジア太平洋地域が予測期間中に最も高いCAGRで成長すると推定されています。また、北米が2024年現在、イベント管理ソフトウェア市場で最大の市場シェアを占めています。
– 主なプレーヤー: Ungerboeck Software International Inc., Cvent Inc., XING SE, Active Network LLC, Aventri Inc.が主要企業です。
– 業界の課題: イベント業界は、過酷な仕事環境や人材確保の難しさが課題となっています。イベントの企画・運営に優秀なプロデューサーが必要であり、長時間の勤務や天候やアクシデントへの対応が求められます。
– 新しいトレンド: バーチャルイベントとハイブリッドイベントが注目されています。これらのイベントは、世界中のどこからでも参加できる利便性とアクセシビリティを持ち、コスト効率が高くなっています。
– イベント業界の構造: イベント業界は、主催者、企画・進行、演出・制作、イベント運営、内装・会場設営、会場制作、警備・誘導・整理などの分野に分けられ、多種多様な企業が参入しています。
これらの要素が、イベントプロデュース業の市場環境を形成しています。
イベントプロデュース業のM&Aの背景と動向
イベントプロデュース業のM&Aの背景と動向は以下の通りです。
### 背景
1. コロナ禍による変化:
– オンラインイベントの増加:
– コロナ禍により、オンラインイベントの需要が急増しました。オンラインイベントの企画・運営が求められるようになりました。
2. デジタル化の進展:
– IT企業の関与:
– 通信関連のIT企業やデジタル分野を得意とするマーケティング会社が、イベント関連の企業を買収する例が見られます。
3. 消費者の嗜好の変化:
– BtoBイベントの増加:
– 製薬会社のウェブ講演会、株主総会、採用説明会などBtoB分野のイベントが増加しています。このようなイベントのオンライン化が進んでいます。
### 動向
1. M&Aの活発化:
– イベント業界の売上高:
– 2019年度におけるイベント関連産業全体の規模は8,961億円でした。この大きな規模の業界で、M&Aが活発に進んでいます。
2. 事業の強化:
– 企画力の強化:
– イベントDX事業を拡大させるため、サービス面の企画力を強化する必要があり、M&Aによって外部のリソースを取り込むことが検討されています。
3. 事業統合の進展:
– PMIの進展:
– 取得後も、PMIは慎重に進められています。例えば、営業系と映像制作系の2つのグループを統合し、既存顧客の影響を最小限に抑えながら進めています。
### 事例
1. 株式会社ブイキューブのイベモン事業取得:
– 事業譲受の経緯:
– DDの確認:
– 買収の際に、売上の構造や単価、イベントの種類や回数、主なターゲット業種・規模の会社などを確認しました。
– PMIの進展:
– 交流会と統合:
– 取得後、当社のボードメンバーとイベモン事業のメンバーで交流会を行い、4月からはイベント事業が繁忙期になるため、慎重にPMIを進めました。
### 大切なポイント
– オンラインイベントの需要:
– オンラインイベントの需要が急増。
– IT企業の関与:
– IT企業がイベント関連企業を買収。
– 企画力の強化:
– サービス面の企画力を強化する必要がある。
– PMIの進展:
– PMIを慎重に進める。
イベントプロデュース業のM&A事例
イベントプロデュース業のM&A事例を以下にまとめます。
– SUPER STATE HOLDINGSと株式会社エスエルピーのM&A:
– SLPがSUPER STATE HOLDINGSグループに参画:
– SLPは、ライブ・コンサート・イベント・ショーの企画制作及びプロデュースを行っています。
– ライブ・イベント事業の強化:
– 本件M&Aにより、ライブ・イベント事業の強化と総合エンタメプロデュースカンパニーの成長を狙っています。
– フロンティアインターナショナルとマックスプロデュースのM&A:
– マックスプロデュースの子会社化:
– フロンティアインターナショナルは、プロモーションの企画・制作・運営を行っています。マックスプロデュースは、インナーイベントを主とした各種イベント制作・プロデュース、映像製作を行っています。
– イベント業界のイノベーション促進:
– 本件M&Aにより、マックスプロデュースのグループジョインを通じてイベント業界のイノベーションを促進し、付加価値の高い体験価値を量産することを目指しています。
– ピー・エイチ・ワークスとトーガシの資本提携:
– イベントサポート事業の強化:
– ピー・エイチ・ワークスとトーガシは、互いの強みを持ち寄り、高度化する顧客ニーズに対応したソリューションの提供により継続的な事業成長を図ることを目指しています。
イベントプロデュース業の事業が高値で売却できる可能性
イベントプロデュース業の事業が高値で売却できる可能性について、以下のポイントをまとめます。
– 営業利益の2倍~4倍: イベント会社の売却価格は通常、営業利益の2倍~4倍ほどです。具体的には、年間営業利益が500万円の場合、1000万円~2000万円が売却額の相場です。
– 高利益率とストック的な売上: イベント企画から実施までを一気通貫で行い、業界平均と比較して高い利益率を維持している企業は、相場よりも高い価格で売却ができます。特に、クリスマスイベントを複数のクライアントから毎年受注している企業は、ストック的な売上の割合が大きいため、相場より高い価格で売却が可能です。
– オンラインイベントの活用: オンラインイベントを主要事業とする企業は、将来性について比較的高い評価が期待できます。オンラインイベントはコロナ禍前から徐々に広がりを見せていましたが、コロナ禍をきっかけにして一気に市場が拡大する情勢となっています。
– リアル・バーチャル融合:リアルイベントを主軸とする企業であっても、買い手企業のITリソース・ノウハウなどを活用することでオンライン化やリアル・バーチャル融合を推進することが可能なケースがあり、比較的高額の売却価格となる可能性があります。
– 具体的な事例: 例えば、年間売上高が4,500万円、年間営業利益が350万円のイベント会社は、相場よりも高い価格で売却ができます。特に、百貨店やショッピングモールでイベントを企画する中堅企業との合併が期待されます。
これらのポイントを考慮することで、イベントプロデュース業の事業が高値で売却される可能性が高まることがわかります。
イベントプロデュース業の企業が会社を譲渡するメリット
イベントプロデュース業の企業が会社を譲渡するメリットを以下のようにまとめます。
### 後継者問題の解決
後継者問題が解決できる。イベントプロデュース業の企業では、経営者の高齢化や後継者候補の不足が深刻化しています。会社譲渡を実施すれば、他の企業が事業を引き継いでくれるため、自社の関係者などから後継者を探さずに済みます。
### 売却益の獲得
売却益が得られる。会社譲渡を実施すると、株式を売却することで売却益を受け取ることができます。これは、経営者にとって大きな利益であり、創業者利益としても知られています。
### 従業員の雇用の確保
従業員の雇用が確保できる。会社譲渡を行うことで、従業員の雇用がそのまま譲受企業に移行されるため、従業員の将来を守ることができます。特に中小企業では、廃業のリスクが高いため、会社譲渡は従業員の雇用を守るための重要な手段です。
### 企業の発展
企業を存続・発展させる。譲受企業が大企業である場合、大手企業の傘下で発展することが期待できます。大手企業は豊富な資金や経営資源を持っているため、投資価値が高いと判断されれば、今までにない好条件で事業を発展させることが可能です。
### 個人保証や担保の解消
個人保証や担保から解放される。会社譲渡において、株式や資産だけでなく、債権や債務なども引き継がれます。これにより、経営者が抱える個人保証や担保から解放されることができます。これは、経営者にとって大きなメリットであり、リスクを軽減するための重要な点です。
イベントプロデュース業の事業と相性がよい事業
イベントプロデュース業の事業と相性がよい事業は以下の通りです。
1. 販売促進
– イベントプロデュース会社が販売促進を手掛けることで、商品の知名度を上げることができます。具体的には、イベント会場での商品展示や販売キャンペーンの企画が挙げられます。
2. コンサートや演劇
– イベントプロデュース会社がコンサートや演劇の企画・プロデュースを行うことで、アーティストの発掘支援やキャスティングの手配が可能です。
3. セミナーや展示会
– イベントプロデュース会社がセミナーや展示会の企画運営を行うことで、会場の選定や機材の手配が行われます。
4. 映画制作
– イベントプロデュース会社が映画制作を手掛けることで、映画の企画やキャスティングが行われます。
5. PR活動
– イベントプロデュース会社がPR活動を手掛けることで、テレビCMの制作や雑誌掲載の手配が可能です。
6. デジタルコンテンツ制作
– イベントプロデュース会社がデジタルコンテンツ制作を行うことで、オンラインイベントの構築やWebサイトの制作が可能です。
7. ARを取り入れたイベントプロモーション
– イベントプロデュース会社がARを取り入れたイベントプロモーションを行うことで、AR制作会社との提携が可能です。
8. ノベルティ制作
– イベントプロデュース会社がノベルティ制作を行うことで、ノベルティのデザインや印刷物の制作が可能です。
9. SNSマーケティング
– イベントプロデュース会社がSNSマーケティングを行うことで、SNSでのイベント宣伝が可能です。
10. 環境配慮型イベント計画
– イベントプロデュース会社が環境配慮型イベント計画を行うことで、CO2排出量の削減が可能です。
イベントプロデュース業の企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由
M&A Doは、譲渡企業様から手数料を一切いただかないため、コストを抑えたM&Aを実現できます。また、豊富な成約実績を誇り、これまで多くの企業様にご満足いただいております。さらに、イベントプロデュース業の業界にも深い知見を保有しているため、業界特有のニーズや課題に対しても的確なサポートが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。