目次
こん包業(組立こん包業を除く)の市場環境
こん包業(組立こん包業を除く)の市場環境について
市場規模と成長予測
– 2024年には、2,421億6千万ドルに達し、2032年までに4,146億9千万ドルに達すると予測されており、6.96%のCAGRで成長します。
需要の動向
– 食品飲料、ヘルスケア、自動車分野における箱やカートンの需要が高まり、市場シェアに大きく貢献しています。
– 電子商取引の需要が高まり、段ボール箱やカートン、ハニカム、エアピロー、バブルラップなどの緩衝製品の利用が増加しています。
市場構造
– 製品タイプ別の分類
– 箱とカートンは主要なセグメントであり、商品に一定のクッションを提供し、輸送、取り扱い中に商品を安全に保ちます。
– パレットは2番目に支配的な製品タイプであり、商品をしっかりと保護し、確実に1か所に固定します。
業界環境
– 成熟市場であり、国内において大きな成長を見込むことが難しく、主要取引先である国内製造業者において生産拠点の海外移転が進んでいるため、需要減少も懸念されています。
– 特殊な素材や形状の荷物のこん包を行うサービスが開設され、独自性を高める戦略や、こん包業だけでなく倉庫業や運送業などの関連業務も複合的に行う企業が多くみられます。
その他の要因
– 持続可能な包装の需要が高まり、環境への優しさや温度耐性などの利点が市場の成長を推進しています。
– 工業用包装市場の発展は、化学薬品や石油製品などの商品の取引の増加によりバルク包装や木箱/トートバッグの需要が拡大しています。
こん包業(組立こん包業を除く)のM&Aの背景と動向
近年、紙・パルプ製品製造・卸売業界では、M&A(企業買収)が増加傾向にあります。特に、市場縮小に対応するため、顧客網や販路拡大を目的とした企業買収が見られます。
### 市場縮小に対する対応
紙・パルプ製品の需要は縮小傾向にあるため、企業は市場縮小に対応するためにM&Aを活用しています。例えば、王子ホールディングスは、森羽紙業を株式交換により完全子会社化し、段ボール事業のシナジー効果を狙っています。
### 関連業種へのM&A
大手・中堅企業は、関連業種へのM&Aも増加しています。例えば、日本製紙株式会社と四国化工機株式会社が資本業務提携し、食品用紙容器の充填包装システムを進化させることを目指しています。
### コスト削減と信用向上
紙・パルプ製品製造・卸売業界では、燃料費や原料費などのコストが問題となっています。M&Aにより、共同仕入れが可能となり、コストを削減できます。また、M&Aによって大手企業に売却し、資本力のある大手企業のグループ傘下となれば、信用が高まり取引を有利に進めることも可能です。
### 後継者問題の解決
中小規模の紙・パルプ製品製造・卸売企業では、経営者の高齢化と人材不足が後継者問題を深刻化させています。M&Aにより、第三者企業に事業を譲渡できれば、後継者問題を解決でき、廃業コストも不要になります。
### 具体例
– トーモクによる大和段ボールの買収: トーモクは2024年9月30日に大和段ボールの全株式を取得し、子会社化しました。トーモクは段ボール・紙器事業、住宅事業、運輸・倉庫事業などを展開しており、大和段ボールは段ボールの製造・加工・販売を専門とするメーカーです。M&Aにより、埼玉県、千葉県、茨城県およびその周辺地域でのグループ内の連携を強化し、生産や配送の効率化を進め、相乗効果を通じて企業価値の向上を目指します。
– 王子HDによるEmpire Packages Private Limitedの買収: 王子HDは2021年10月にEmpire Packages Private Limitedの発行済株式を取得し、子会社化しました。これにより、王子HDの株式保有率は80%に及んでいます。M&Aにより、王子HDはデリー以北地域の強固な顧客基盤および顧客との信頼関係を吸収し、他地域でも販売を増やしながら、インドにおける段ボール事業のさらなる拡大を図っています。
こん包業(組立こん包業を除く)のM&A事例
段ボール業界のM&A事例を以下にまとめます。
### ①旭段ボール×城西・城西パック
旭段ボールが城西と城西パックの株式を取得し子会社化しました。旭段ボールは段ボール・印刷紙器・紙製緩衝材などの製造・販売を行うダイナパックの連結子会社であり、段ボールの製造・販売を行う企業です。事業拡大・企業価値向上・新規事業獲得を目指しました。
### ②レンゴー×トッパンコンテナー
レンゴーがトッパンコンテナーの株式を取得し子会社化しました。レンゴーとトッパンコンテナーはどちらも段ボールやその他紙製品の製造・販売を行う企業なので、このM&Aによって品質向上・事業基盤の強化・サービス体制強化を図れました。さらに、ネット通販やECサイトの拡大による関東圏での段ボールの需要が拡大傾向にあります。
### ③レンゴー×ヒロパックス
レンゴーがヒロパックスの株式を取得し子会社化しました。レンゴーは段ボールケースやプラスチック真空成形型、シール印刷物の製造・販売を行うヒロパックスの事業に注目しました。さらに、群馬県を中心に4つの拠点を保有しているヒロパックスと連携して営業や開発を進めることで、関東での事業拡大・包装ニーズの対応を図っています。
### ④レンゴー×武田紙器
レンゴーが武田紙器の株式を取得し子会社化しました。レンゴーは段ボールケースの企画・販売を行う武田紙器を買収することで、グループ企業との連携強化・段ボール事業の拡充・SP事業の拡大を図っています。
### ⑤ダイナパック×小倉紙器
ダイナパックが小倉紙器の全株式を取得し完全子会社化しました。ダイナパックは愛知県名古屋市を拠点に段ボール・印刷紙器・軟包装材・紙製緩衝材などの製造・販売を行っている企業で、小倉紙器は静岡県静岡市を拠点に段ボール製品の製造・販売を行う企業です。小倉紙器は1960年に創業されてから高い営業実績を誇っているため、ダイナパックは企業価値向上を期待できるとしてM&Aを行いました。
### ⑦大王製紙×吉沢工業
大王製紙が吉沢工業の全株式を取得し完全子会社化しました。大王製紙は段ボール製品やディスプレイ製品の製造・販売を行う吉沢工業とのM&Aによって生産拠点の確保による販路拡大・事業拡大を目指しています。
### ⑧ラクスル×ダンボールワン
ラクスルがダンボールワンの全株式を取得し完全子会社化しました。ラクスルは印刷の注文・受注を行うプラットフォームを提供している企業で、ダンボールワンは段ボール・梱包材専用のECサイトを展開している企業です。ラクスルはすでにダンボールワンの株式を49.9%保有していましたが、事業拡大や企業価値向上・ノウハウの活用を目的に残りの株式を買収しました。
### ⑨トーモク×遠州紙工業
トーモクが遠州紙工業の全株式を取得し完全子会社化しました。トーモクは段ボール・紙器製造・販売を行っているため、同じく段ボール・紙器事業を展開する遠州紙工業とM&Aによるシナジー効果を期待しました。
こん包業(組立こん包業を除く)の事業が高値で売却できる可能性
紙・パルプ製品製造・卸売業界でのM&A売却価格の算出方法は、時価純資産額と営業権(のれん)を合わせる方法が一般的に用いられます。営業権(のれん)は企業が持つノウハウやブランドイメージなど、売り手企業にとって「将来的な期待値」であり、将来の不確定要素です。
具体的な売却価格の算出方法は以下の通りです:
1. 時価純資産額の算出:企業の資産と負債を差し引いて時価純資産額を算出します。
2. 営業権(のれん)の算定:企業が持つノウハウやブランドイメージなどの「将来的な期待値」を算定します。これには、業界の将来的な動向や会社のブランド価値評価など、数字に現れにくい要素も含めます。
高値で売却できる可能性は、以下の要素によって決まります:
1. 営業権(のれん)の強さ:企業が持つノウハウやブランドイメージが強い場合、将来的な期待値が高くなるため、高値で売却できる可能性が高くなります。
2. 業界の動向:業界が成長傾向にある場合、企業の価値も高く評価されるため、高値で売却できる可能性が高くなります。
3. 財務状況:企業の財務状況が健全である場合、投資家の信頼が高まり、高値で売却できる可能性が高くなります。
具体的な例として、以下のような企業があります:
– 包装・梱包資材のM&A売却案件:包装クラフト紙袋の製造を行う企業が、甲信越・北陸地方で営業黒字を維持しており、創業50年以上です。売上高は1億円〜2億円で、譲渡希望額は0万円です。
– 包装用品の加工及び販売を行う企業:甲信越・北陸地方で包装用品の加工及び販売を行う企業があり、創業30年以上です。売上高は3億円〜5億円で、譲渡希望額は1億円です。
これらの企業は、営業権(のれん)が強く、業界の動向も良好なため、高値で売却できる可能性が高いです。
こん包業(組立こん包業を除く)の企業が会社を譲渡するメリット
包装業(組立包装業を除く)の企業が会社を譲渡するメリットは以下の通りです。
– 技術・ノウハウの承継: 独自ノウハウや技術を持つ中小企業は多いですが、後継者不在などの理由により事業承継が難しければ廃業を選択しなければなりません。M&Aであれば買収側へ引き継ぐことができ、同時にこれらを習得した優秀な従業員も引き継げるので、買収側にとっても大きなメリットといえるでしょう。
– 従業員の雇用維持: M&Aの実施時に従業員の雇用維持を希望条件に挙げる企業は非常に多くみられます。M&Aでは従業員の雇用も譲受側へ引き継ぐことができ、信頼できる譲受企業へ自社あるいは事業を引き継ぐことで従業員の雇用維持および安定化が叶います。
– 資金調達: M&Aで会社を売却することで、廃業費用を節約するだけでなく、譲渡益を確保できます。リタイヤ後の生活資金や新しい事業のための資金調達に向けて会社を売却することも一つの方法です。
– 事業展開を多角化: M&Aを活用すればすでに軌道に乗った事業を取得できるため、自社で新規事業を始める場合に比べるとスムーズな多角化が可能になります。また、譲渡企業がその事業のノウハウを持っているため、自社の既存事業とのシナジー発揮により多角化が達成しやすい。
– 譲渡利益の獲得: 事業譲渡における売却価格は、譲渡対象となる事業の帳簿価格に加え、今後数年間で発生すると想定される営業価値などが上乗せされることになります。譲受企業が、自社の保有する事業に将来性を見出している場合は、現在の帳簿価格より高い金額で売却し、より大きな利益を得られる可能性もあります。
こん包業(組立こん包業を除く)の事業と相性がよい事業
梱包業(組立梱包業を除く)の事業と相性がよい事業は以下の通りです。
– 倉庫業: 梱包業と倉庫業は密接に関連しており、梱包された商品の保管や出荷管理が必要です。倉庫業者は、梱包された商品を正確に管理し、出荷の準備を行うことが求められます。倉庫内のピッキング作業や仕分け作業が含まれるため、両事業者は協力して物流の流れを円滑に進めることができます。
– 運送業: 梱包された商品を運送するため、梱包業と運送業は直接関連しています。運送業者は、梱包された商品を正確に配達する責任があります。荷造りや梱包のプロセスを理解し、安全に輸送することが重要です。
– 流通加工業: 梱包業と流通加工業は、商品の付加価値を高めるために連携します。流通加工業者は、梱包された商品を組立てや検査検品を行い、製造ラインの一部業務請負を行うことができます。梱包資材の設計や流通加工サービスが提供されるため、両事業者は商品の品質を維持するために協力します。
– 通関業: 梱包された商品を輸出入する際には、通関業が必要です。通関業者は、商品の輸出入手続きを取り扱い、関税や法規制を遵守する責任があります。輸出入手続きの知識と技術が必要なため、梱包業と連携して国際物流をサポートします。
これらの事業は、梱包業と相性がよい事業であり、物流の各工程を円滑に進めるために連携することが重要です。
こん包業(組立こん包業を除く)の企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由
M&A Doは、譲渡企業様から手数料を一切いただかないという大きな特徴を持っております。これにより、企業様はコストを気にせずにM&Aのプロセスを進めることができます。また、豊富な成約実績を誇り、多くの企業様にご満足いただいております。さらに、M&A Doはこん包業(組立こん包業を除く)の業界にも深い知見を保有しており、業界特有のニーズや課題に対しても的確に対応することが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。