目次
太陽光発電施設建設業の市場環境
太陽光発電施設建設業の市場環境は、以下の要素によって特徴づけられています。
– 世界市場の成長:
– 2024年以降の予測:
– 世界の太陽光発電設備容量は、2024年には2TWを超え、2028年には5.1TWに達する見通しです。
– 中位ケースでは、2024年に2.2TW、2025年に2.8TW、2026年に3.5TW、2027年に4.2TW、2028年に5.1TWと予測されています。
– 中国の市場拡大:
– 中国の役割:
– 中国は世界最大の太陽光発電市場で、2023年には世界の設備容量の57%を占めました。
– 2024年度は前年比18%増の299GWの導入を見込んでおります。
– 価格の低下と供給過剰:
– モジュール価格の低下:
– 2023年にはモジュール価格が約50%下落し、需要側の価格弾力性によって予期せぬ成長が引き起こされました。
– 供給過剰と価格競争:
– PV製造業界は記録的な低価格と過剰設備に苦しみ続けており、価格競争が激化しています。
– 新規FIT適用の廃止とセカンダリー市場の活性化:
– FIT制度の変化:
– 新規FIT適用は廃止され、既存の設備は売電権利(固定単価で20年間売電できる)を保証されています。
– セカンダリー市場の活性化:
– 2024年は太陽光発電設備や売電権利を売買する「セカンダリー市場」が注目を集めており、中古発電所の売買が盛り上がっています。
– 新型太陽電池の社会実装:
– ペロブスカイト太陽電池:
– COP28開催以降、世界的な脱炭素・再エネ普及拡大の機運が高まり、ペロブスカイト太陽電池の社会実装に向けた動きが活発化しています。
– 既存システムのリプレイス・リパワリング市場の拡大:
– ストックビジネスの成長:
– 既存システムのリプレイス・リパワリング市場や太陽電池のリユース・リサイクル市場が拡大する見通しです。
これらの要素が、太陽光発電施設建設業の市場環境を形作り続けていることがわかります。
太陽光発電施設建設業のM&Aの背景と動向
太陽光発電施設建設業のM&Aの背景と動向は以下の通りです。
### 背景
– 利回りの良さ: メガソーラーは高い利回りが期待できるため、異業種企業が太陽光発電業界に参入するようになっています。
– 環境問題の対策: 環境問題が叫ばれる昨今において、メガソーラーは強い存在感を示す発電技術とされています。
– FIT制度の影響: FIT制度が実施されて電力会社がエネルギーを固定価格で買い取るようになってからは、日本においてメガソーラーを対象とするM&Aが盛んに実施されています。
### 動向
– M&Aの増加: 近年、太陽光発電事業のM&Aが急増しています。特に、異業種企業によるメガソーラー買収が積極的に実施されています。
– 事業譲渡の増加: 太陽光発電事業には3種類の事業があり、それらの連携が必要です。周辺事業者の倒産や撤退が発生すると、太陽光発電設備を維持することが困難となり、事業譲渡が増加しています。
– インフラファンドのエグジット戦略: インフラファンド市場の創設以降、インフラファンドが売電事業への参入を図るためにM&Aでメガソーラーを買収するケースが増加しています。
– 特定の事例:
– SBエナジーとMULエナジーインベストメント: 2017年にとまこまい勇払メガソーラーを買収し、再生可能エネルギーの普及と事業の拡大を図っています。
– シーラホールディングス: 2022年に日本太陽光発電の全株式を取得し、エネルギー事業へ進出し、中期的に太陽光設備を完備した自家発電のマンション開発を目指しています。
### M&Aの手法
– 資産のM&A: 以前は太陽光発電用地や稼働している太陽光発電施設のM&Aが多かったですが、今後は不動産仕入や企画、開発、設計、仕入、販売、施工、維持、管理を行う事業会社のM&Aも組み合わせた形で業界の再編が進むと想定されています。
### 特徴
– 競争激化や法律改正による収益の悪化: 太陽光発電業界の競争激化や法律改正による収益の悪化が背景となり、M&Aの件数が増加傾向にあります。
これらの要因により、太陽光発電施設建設業のM&Aは活発化しており、業界の再編が進んでいます。
太陽光発電施設建設業のM&A事例
太陽光発電施設建設業のM&A事例を以下にまとめます。
– 住友商事とInfinite EnergyのM&A:住友商事は2019年1月に、オーストラリアのInfinite Energyの株式を100%取得しました。Infinite Energyは、太陽光発電システムの販売や据え付け、電力小売事業を展開しており、太陽光発電システムや卸売電力市場より調達した電力を既存の送電網を利用して需要家向けに販売しています。
– SBエナジーとMULエナジーインベストメントのM&A:SBエナジーとMULエナジーインベストメントは、2017年にとまこまい勇払メガソーラーを買収しました。買収スキームは株式譲渡で、取得価格は非公開でした。このM&Aにより、再生可能エネルギーの普及と事業の拡大が図られました。
– フィットによるPlus one percentのM&A:フィットは2021年11月に、太陽光発電システム開発および販売を手掛けるPlus one percentの全株式を取得しました。目的は四国及び西日本エリアでのシェア拡大でした。
これらの事例は、太陽光発電施設建設業におけるM&Aの活発な動向を示しています。
太陽光発電施設建設業の事業が高値で売却できる可能性
太陽光発電施設建設業の事業が高値で売却できる可能性について、以下のポイントをまとめます。
– 売却価格の基準:
– 売電実績とFITの残年数:
– 売却価格は、売電実績とFITの残年数でおおよその金額が決まります。具体的には、式は「売却価格 = FITの残年数 × 売電実績/年 ÷ 2」です。
– 設備状況とメンテナンス:
– 出力制御のリスクが少ないエリアや発電所のメンテナンスに通いやすいエリアは買い手からの人気が高いので、高額で売却できる可能性が高いです。
– 利回り:
– 利回り10~12%程度の水準で販売・交渉されています。たとえば、出力約82kWの太陽光発電物件は、利回り10.1%、販売価格約1,600万円でした。
– 売却のタイミング:
– 5年目以降:
– 稼働済み太陽光発電の売却価格は、発電実績やFIT期間の残数などによって決められますが、基本的に5年経つと売却価格は購入価格に表面利回りをかけた価格の前後に落ち着くことがほとんどです。
– 売却価格の範囲:
– 一般的な相場:
– 10kWあたり約100万円~200万円程度が目安です。つまり、50kWの設備なら500万円~1,000万円程度になります。
– 具体的な例:
– 京都府での物件は、低圧49.5kW×2区画合計99kWで、売却期間が2週間弱、取引価格は3,800万円でした。
– 売却のメリット:
– 中古太陽光発電の需要:
– 中古太陽光発電の需要は今後も一定の水準で保たれると予測され、利回り10%前後の水準で販売価格を設定することは可能といえるでしょう。
– 高額買取の可能性:
– 出力抑制による売電収入の低下や再エネ普及の観点から、企業の買取数も増加中で、高額買取が狙える状況です。
これらのポイントを踏まえると、太陽光発電施設建設業の事業が高値で売却できる可能性は高いです。特に、売電実績が良い、FITの残年数が多く、設備状況が良好な場合、さらに高額で売却される可能性があります。
太陽光発電施設建設業の企業が会社を譲渡するメリット
太陽光発電施設建設業の企業が会社を譲渡するメリットは以下の通りです。
– 定期報告や情報開示を体系化できる
– 売り手側が、譲渡後も事業の運営を円滑に行えるように、定期的な報告や情報開示を体系化できるため、管理が容易になります。
– 保守点検体制を強化することができる
– 買い手が、譲渡された施設の保守点検体制を強化し、故障やトラブルを予防することができます。
– 買い手の資本力を梃子に設備投資を実行できる
– 買い手が譲渡された施設を利用して、さらに設備投資を行うことができ、事業の拡大を図ることができます。
– 株式譲渡による譲渡収入とともに事業から退くことができる
– 売り手が株式譲渡を通じて譲渡収入を得ながら、事業から退くことができます。
– M&Aを契機に代表者による借入金の個人保証や担保を解消できる
– 売り手がM&Aを契機に、代表者による借入金の個人保証や担保を解消することができます。
– 既に認定を受けた事業者を買収することで販売単価を高く設定できる
– 買い手が既に認定を受けた事業者を買収することで、販売単価を高く設定し、収益を増やすことができます。
– 事業参入に際して認定取得などの初期手続きを省略できる
– 買い手が既に認定を受けた事業者を買収することで、認定取得などの初期手続きを省略し、効率的に事業を開始することができます。
– 売り手の抱える有資格者を確保できる
– 買い手が売り手の抱える有資格者を確保し、施設の運営を円滑に行うことができます。
– 発電所のポートフォリオを分散できる
– 買い手が発電所のポートフォリオを分散することで、リスクを軽減し、収益を安定させることができます。
– 再エネ事業に貢献することで社会的イメージの向上に繋がる
– 買い手が再エネ事業に貢献することで、社会的イメージの向上に繋がり、企業の評価を高めることができます.
太陽光発電施設建設業の事業と相性がよい事業
太陽光発電施設建設業の事業と相性がよい事業は以下の通りです。
– EPC事業: EPC(設計・調達・建設)事業は、太陽光発電施設の建設全般を一貫して請け負う契約を指します。具体的には、設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)の工程を含みます。EPC事業者は、施設の運営・稼働に影響がないように施工を進めます。
– 屋根工事業: 屋根一体型の太陽光パネル設置工事は、屋根工事業に当たります。屋根と一体になっている太陽光パネルの設置は、太陽光発電設備に関連している工事の中で、電気工事業に該当しない工事の代表的な例です。
– とび・土工工事業: 太陽光パネルの架台の設置工事や、太陽光パネルを設置場所に置いて固定する工事は、とび・土工工事業に当たります。これらの工事では、機械器具を設置場所にアンカー等で固定することが含まれます。
– 管工事業: 太陽光エネルギーを温水等に変換するソーラーシステムの設置工事は、管工事業に当たります。これらの工事では、集熱器を使用して太陽光エネルギーを変換することが含まれます。
太陽光発電施設建設業の企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由
M&A Doは、譲渡企業様から手数料を一切いただかないという大きな特徴を持っております。これにより、コストを気にせずに安心してM&Aのプロセスを進めることができます。また、豊富な成約実績を誇り、多くの企業様にご満足いただいております。さらに、太陽光発電施設建設業の業界にも深い知見を保有しており、業界特有のニーズや課題に対しても的確に対応することが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。