目次
リモートワーク支援業の市場環境
リモートワーク支援業の市場環境は、以下の点で特徴があります。
– 市場規模の増加:2023年度のフィールドワーク支援ソリューション市場規模は、前年度比37.5%増の902億円と急拡大しています。リモートワークソリューション市場全体も、2022年度で2659億円(前年度比15.1%増)となり、2027年度までのCAGRは9.9%増と予測されています。
– 需要分野の拡大:フィールドワーク支援ソリューション市場では、建設/土木、倉庫/物流、警備・セキュリティなどの分野でのタブレット系ソリューションが堅調で、AI活用型ソリューションも登場しています。リモートワークプレイスサービス市場も、2029年には893億6000万米ドルに達する見込みで、北米やアジア太平洋地域での成長が期待されています。
– 技術の進化:VRやHMDを活用したデジタル研修が始まっており、クレーム時のトラブルシューティングなどに効果を発揮しています。リモートワークソリューションでは、ハイブリッドワーク環境の整備が進んでおり、従業員間コミュニケーションの希薄化やエンゲージメント不足の改善が求められています。
– 企業の取り組み:大手企業では、Yahoo!!/LINE(Zホールディングス)、サイボウズ、アクセンチュア、日立製作所などがリモートワークを積極的に導入しています。これらの企業は、働き方改革や従業員のニーズに応じた働き方を選択できる環境を整えています。
– 将来の展望:フィールドワーク支援ソリューション市場は、2024年度以降も毎年30%前後の伸長が続く見込みで、2030年度の市場規模は5,790億円に達すると予測されています。リモートワークプレイスサービス市場も、デジタルトランスフォーメーション技術やサービスへの支出の増加や技術開発への投資の増加が市場成長にプラスの影響を与えると予想されています。
リモートワーク支援業のM&Aの背景と動向
リモートワーク支援業のM&Aの背景と動向について、以下のようにまとめます。
背景
– ビジネスのグローバル化と変革サイクルの高速化:企業のビジネスがグローバル化し、変革サイクルが高速化しているため、リモートワークの需要が増加しています。
– DXの進展と労働人口減少:デジタル化の進展と少子高齢化による労働人口減少が、リモートワークの普及を促しています。
– 人材不足と労働形態柔軟化:リモートワークは、人材不足を解消し、労働形態の柔軟化を可能にします。
動向
– リモートワーク支援企業のM&A:リモートワーク支援企業が、人材紹介会社やRPA開発企業を買収して、サービス提供範囲の拡大や人材力強化を図っています。
– 海外拠点の拡大:海外を含めた他地域の同業者を買収して、拠点を拡大し、グローバル市場での事業規模拡大を目指しています。
– サービス品質と価値の向上:リモートワーク支援企業が、多様な人材を活用し、データ・ノウハウを蓄積して、サービス品質と価値を高めていることが、競争力向上のための大きな鍵となっています。
事例
– インバウンドテックとシー・ワイ・サポートのM&A:インバウンドテックがシー・ワイ・サポートの全株式を取得し、同社を完全子会社化しました。これにより、災害などの緊急事態下でも事業継続を可能にする体制を構築し、人材強化を図ることが目的でした。
これらの動向は、リモートワーク支援業のM&Aが、企業のニーズに応えるための新しいビジネスモデルを確立し、競争力を高めるための重要な手段となっています。
リモートワーク支援業のM&A事例
リモートワーク支援業のM&A事例についてまとめます。
### リモートワーク支援業のM&A事例
#### デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーといわきテレワークセンター
– デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーは、2021年5月に株式会社いわきテレワークセンターを完全子会社化しました。いわきテレワークセンターは、日本初の民間テレワークセンターを標榜しており、コールセンター機能の強化だけでなく、地方創生に関する取り組みの加速も狙いとしています。
#### ジェイフロンティアとAIGATEキャリア
– ジェイフロンティア株式会社は、2021年12月にAIGATEキャリア株式会社を子会社化しました。AIGATEキャリアは医療人材紹介とコールセンター事業を展開しており、ジェイフロンティアは今回の提携で、医療人材紹介サービスを新たに開始しました。また、コールセンター部門の内製化によって、収益基盤の強化も見込んでいます。
#### アップセルテクノロジィーズとエアトリ
– アップセルテクノロジィーズ株式会社は、2020年6月に株式会社エアトリからコールセンター業務を事業譲受しました。これにより、アップセルテクノロジィーズは新たに旅行事業に参入しました。一方のエアトリにとっては、コールセンター部門を外部に切り出すことで、コスト削減と経営効率化が期待できます。
リモートワーク支援業の事業が高値で売却できる可能性
リモートワーク支援業の事業が高値で売却できる可能性について、以下のポイントをまとめます。
– リモートワークの普及と需要の高まり:新型コロナウイルスの影響でリモートワークの需要が急増し、企業がリモートワークを導入する動きが強まっています。
– ITツールの重要性:オンライン会議ツールやITツールの導入がリモートワークの基盤となり、企業にとって欠かせないツールとなっています。
– リモートワークの利点:リモートワークは、事業継続のための強力なツールであり、自然災害や事故などに対する対応策となります。また、コスト削減や採用競争力の強化にもつながります。
– 教育サービスや人材紹介業の例:リモートワークを活用した教育サービスや人材紹介業は、高利益率を維持し、完全リモートでの運営が可能です。例えば、留学斡旋や就活コンサルを提供する会社は、売上高が3,000万円〜5,000万円、譲渡希望額が5億円となっています。
– 財務的効果:テレワーク導入は、移動時間の減少による顧客訪問回数の増加や業務効率の向上と生産性の向上が期待され、企業業績の悪化には繋がらず、従業員の負担軽減やワーク・ライフ・バランスの実現に繋がります。
これらのポイントから、リモートワーク支援業の事業が高値で売却される可能性は高いと考えられます。特に、リモートワークの普及とITツールの重要性、リモートワークの利点、教育サービスや人材紹介業の例、財務的効果が大切な要素となっています。
リモートワーク支援業の企業が会社を譲渡するメリット
リモートワーク支援業の企業が会社を譲渡するメリットは以下の通りです:
– 後継者問題の解決:会社譲渡を用いると、他の会社が事業を引き継いでくれるため、自社の関係者などから後継者を探さずに済みます。買い手となる会社は「自社事業の規模拡大」「新規の参入」などを目的に会社・企業を譲受するため、事業承継による後継者問題の解決が可能です。
– 従業員の雇用が確保できる:会社譲渡であれば、会社自体を譲り渡すため、従業員の雇用契約も買い手に引き継がれます。従業員の安定した働き口を確保しつつ、企業の連続性も保てるでしょう。
– 売却益を獲得できる:会社譲渡は株式の取引を伴う手法であるため、売り手の株主は譲渡益を獲得できます。譲渡益を獲得できれば、引退後の生活費や興味を持った分野で会社を興す際の費用などに充てられるため、経営から手を引きやすいです。
– M&Aによる相乗効果が期待できる:M&A(合併・買収)による相乗効果が期待できます。シナジー効果、規模の拡大、新しい技術・商品の獲得など、二つの企業が統合することで、合併前よりも大きな利益や成長が期待できます。
– 現金が手に入るので別事業に役立てやすい:事業売却でIT事業を譲渡すれば、現金で対価を貰えるので譲渡で得た資金を別の事業に回しやすいです。現金であれば大きく価値が下がることはほとんどありませんし、換金の手間も無くすぐに資産として利用できます。
– 必要なエンジニアを会社に残せる:事業売却の場合、譲渡の範囲を自分で決められるので必要なエンジニアは残せます。エンジニアをどうしても渡したくない場合、人員ゼロでの譲渡も可能です。
– のれん代を含めた対価を受け取れる:事業売却の場合、ノウハウや技術力などの「のれん」分の価値を含めて譲渡価格が出されるので譲渡価格は高くなる傾向にあります。特に将来性が高いIT企業はのれん分が大きくなるので、事業売却の方が大きな利益を得られるケースが多いです。
リモートワーク支援業の事業と相性がよい事業
リモートワーク支援業の事業と相性がよい事業を以下にまとめます。
### リモートワーク支援業の事業
リモートワーク支援業は、企業がリモートワークを導入するためのツールやサービスを提供する事業です。具体的には、以下のような事業が含まれます。
– リモートワークツールの提供:企業がリモートワークを導入するためのソフトウェアやアプリケーションを提供する。
– セキュリティ対策:機密情報を取り扱う業務において、セキュリティ対策を強化するためのサービスを提供する。
– コミュニケーションツールの導入:リモートワーク環境下でも円滑なコミュニケーションを保つためのツールを提供する。
– 業務効率化支援:リモートワーク環境で業務効率を高めるためのアドバイスやツールを提供する。
### 相性がよい事業
以下の事業は、リモートワーク支援業と相性がよいです。
#### 経理業務
– デジタル化:リモートワークの推進により、書類などがデジタル化されるため、経理業務もデジタル化が進む。
– 領収書管理:領収書の管理がデジタル化され、リモートワーク環境でも円滑に管理が可能。
#### デザイナー業務
– 一人で行う作業:デザイナー業務は基本的に一人で行うことが多く、成果物の確認もITツールを駆使して行えるため、フルリモートでの作業が可能。
– ヒアリングの必要性:デザインのスキルはセンスも含めて属人性が高いため、ヒアリング等丁寧なコミュニケーションを怠らなければ非常に相性が良い職種。
#### システム開発業務
– ソースコードの書き込み:システム開発においてはソースコードを書く、テストをするなどが主な業務であり、PC環境が整っていればどこにいても業務を行うことが可能。
– クライアントとのコミュニケーション:設計書があればコーディングを行うことはでき、テストも特別な制約がある場合を除いて基本的にはリモートでの対応が可能。
#### 事務業務
– データ入力:請求書や契約書といった書類の作成・入力・整理などを行う事務の仕事は一人で集中して取り組んだ方が生産性が高まる。
– クラウドツールの導入:印鑑を押印するための「ハンコ出社」やFAX送受信のための「FAX出社」をなくすことが可能。
#### カスタマーサポート業務
– マニュアルに従った対応:決まったマニュアルがあれば、他のメンバーとコミュニケーションをとる機会も少ない職なので、対応の手順や方法をマスターしてしまえば、1人で業務を対応できる。
– クラウドPBXやソフトフォンの利用:クラウドPBXやソフトフォンを利用すれば、リモートワーク環境下でも問題なく電話応対が可能。
#### 営業業務
– 成果が明確:業務に対する成果が見えやすい営業は、人事評価をしやすく、リモートワークを問題なく導入できる。
これらの事業は、リモートワーク支援業と相性がよい事業であり、リモートワーク環境で効率的に業務を進めることができます。
リモートワーク支援業の企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由
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株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。