目次
スキル標準化・研修付SESの市場環境
スキル標準化・研修付SESの市場環境
### RBV(リソースベーストビュー)による戦略的人的資源管理
– 内部リソースの評価: SES企業は、内部リソースに稀少性・模倣困難性・代替不可能性をもたらし、市場の独占・寡占を通して高利益率を実現すべきと考えています。
– 技術スキルの評価: ITスキルは明らかに価値がありますが、稀少というほどではないため、一時的な競争優位しか実現できません。ただし、模倣困難な部分は存在し、開発担当のエンジニアだけでなく、営業・エンジニア・経営陣の強力なタッグが必要です。
### M&A(合併・買収)の活発化
– IT人材ニーズの増加: 2024年のSES業界におけるM&A動向は、急速に進化するテクノロジーと、それに伴う企業のIT人材ニーズの増加に対応して活発化しています。
– 買収ターゲットの特性: 人材不足が続く中、優秀な技術者を抱えるSES企業は買収ターゲットとして非常に魅力的な存在です。特にDXやクラウド、AI、IoTに関する知識を持つ企業は高い評価を受けています。
### 新人研修の重要性
– 新人研修サービス: SES企業向けの新入社員研修代行サービスが提供されており、3ヶ月の期間でWebアプリ構築に必要な知識を身につけることができます。
– 助成金のサポート: 契約後から助成金のサポートを開始し、実績を元に企業の申請をフォローアップ。助成金を満額申請できれば、受講料が実質0円となる可能性があります。
### 市場動向と競争環境
– 市場の需要と競争: IT市場の需要が急激に高まる一方で、SES企業の数が増加し、競争が激化しています。競争力のあるSES企業は高く評価され、買収される可能性が高まります。
– 売却価格の相場: SES業界における売却価格相場は、成長分野に強みを持つ企業や、優秀な技術者を多く抱える企業は高い評価を受け、売却価格も高くなる傾向があります。
### 新しい技術分野への対応
– AIやデータサイエンス: M&Aのもう一つの背景には、AIやデータサイエンス、サイバーセキュリティなど、新しい技術分野への対応があります。これらの分野では高度な技術者が求められており、SES企業が提供する専門的な人材サービスが、企業の技術力を大幅に向上させる重要な手段と見なされています。
スキル標準化・研修付SESのM&Aの背景と動向
SES業界におけるスキル標準化・研修付のM&Aの背景と動向は以下の通りです。
### 背景
1. 人材不足:
– IT業界における人材不足が深刻化しており、エンジニアをはじめとした技術者が在籍するSES事業会社を買収し、人材確保を図ることが目的です。
2. 技術者レベルの高いSES会社の買収:
– 海外の大手企業が日本のSES会社を買収する理由として、優秀な技術者を確保し、システム開発・運用にかかる費用を節約することが挙げられます。
3. 事業拡大と競争力強化:
– 同業間のM&Aにより、人材やノウハウの確保による競争力の強化が期待され、受注の階層が今と同じか上流の会社の傘下に入ることで、労働環境や従業員待遇の改善が見込まれます。
### 動向
1. M&Aの活発化:
– SES業界では、ITインフラ拡大やデジタルトランスフォーメーションの推進を背景に、多くの企業にとって魅力的な買収ターゲットとなっています。M&Aは、スキル標準化・研修付のSES企業の買収が急速に進化しています。
2. 具体的な事例:
– 株式会社エルテスによる株式会社GLOLINGの完全子会社化:
– エルテスは、GLOLINGの株式を取得し子会社化しました。目的は、グループのエンジニア拡充や、各種ソリューション開発の内製化によるシナジー効果を狙いました。
– 株式会社ISIDインターテクノロジーによるキャスレーコンサルティング株式会社の買収:
– ISIDインターテクノロジーは、キャスレーコンサルティング株式会社を買収しました。目的は、既存の取引先であった両社において中長期的な視点から成長戦略を鑑み、M&Aによる事業成長の可能性と両社の理念の親和性が極めて高く、事業譲渡を通じてより大きな経済的価値と社会的価値を生み出すためです。
3. 買収の手法:
– 主に株式譲渡が活用されています。例えば、エニシアスが株式譲渡の手法でクレスコに会社売却し、エニシアスはクレスコの子会社となりました。
4. 技術のレベルと顧客の重要性:
– SESの会社譲渡を考える際には、自社の従業員や取引先について見直すことが重要です。特に、技術のレベルや顧客は買い手企業への重要なアピールポイントとなります。
### まとめ
SES業界におけるスキル標準化・研修付のM&Aは、人材不足や技術者レベルの高いSES会社の買収を目的としています。同業間のM&Aや海外企業による買収も活発化しており、ITインフラ拡大やデジタルトランスフォーメーションの推進を背景に、多くの企業にとって魅力的な買収ターゲットとなっています。
スキル標準化・研修付SESのM&A事例
SES事業のM&A事例で、スキル標準化・研修付の事例を以下にまとめます。
### コプロ・ホールディングス×ピー・アイシー
– 目的: 高スキルのITエンジニアの受け入れや顧客網の獲得
– スキーム: 事業譲渡
– 実施時期: 2023年11月
– 売却金額: 非公表
### ゼネテック×ログイン
– 目的: 高スキルのITエンジニアの獲得及びSES事業の更なる拡大
– スキーム: 株式譲渡
– 実施時期: 2023年1月
### テモナ×サックル
– 目的: 体制強化のため、クリエイティブ事業やSES事業の強化
– スキーム: 株式譲渡
– 実施時期: 2022年4月
### エルテス×GloLing
– 目的: エンジニア拡充や各種ソリューション開発の内製化
– スキーム: 株式譲渡
– 実施時期: 2022年3月
### インフォネット×スプレッドシステムズ
– 目的: 企業のWEBサイト構築・運用保守のサービスを強化
– スキーム: 株式取得
– 実施時期: 2020年4月
### FPG×ケンファースト
– 目的: 高い技術を持つケンファーストを買収し、サービスを向上させる
– スキーム: 株式取得
– 実施時期: 2020年4月
### ピアズ×ワイヤードパッケージ
– 目的: DXやAI関連サービスを強化し、クライアントの増加に伴う内製化体制の構築
– スキーム: 事業譲渡
– 実施時期: 2024年6月
### エアトリエージェント×ユナイテッドウィル
– 目的: IT産業に限らず、多様な分野で必要なスキルを持つ最適な人材を提供し、企業のプロジェクト推進を支援
– スキーム: 事業譲受
– 実施時期: 2024年3月
### アクモス×プライムシステムデザイン
– 目的: 首都圏におけるSES領域の事業拡張
– スキーム: 株式譲渡
– 実施時期: 2024年1月
### ヴェス×エー・アンド・ビー・コンピュータ
– 目的: システム開発・テスト・保守運用までのサービスをワンストップで提供できる体制の構築
– スキーム: 事業譲渡
– 実施時期: 2024年4月
### シーエーシー×スカイプロデュースジャパン
– 目的: コア事業における人材の拡充
– スキーム: 事業譲渡
– 実施時期: 2024年
これらの事例では、スキル標準化・研修付のSES事業のM&Aが実施されており、各企業がこれらのスキルを活用して事業拡大やサービス強化を目指しています。
スキル標準化・研修付SESの事業が高値で売却できる可能性
スキル標準化・研修付SESの事業が高値で売却できる可能性について、以下のポイントをまとめます。
– スキル標準化の重要性:スキル標準化は、エンジニアの能力を一貫して評価し、効率的にプロジェクトを進めるための基盤を築くことが重要です。スキル標準化により、エンジニアの能力が明確に定義され、プロジェクトのリスクが軽減されます。
– 研修プログラムの効果:研修プログラムは、エンジニアの基礎知識の習得と問題解決スキルの習得を促進します。研修プログラムが充実している場合、エンジニアの技術力とビジネス能力が向上し、プロジェクトの成功率が高まります。
– 内部リソースの評価:SES会社の内部リソース(資産)を評価することで、模倣困難性や代替不可能性を高めることができます。内部リソースの評価により、SES会社が持続的な競争優位を確立し、高利益を実現することができます。
– 顧客ネットワークの強化:顧客ネットワークの強化は、SES会社が継続的なプロジェクトを獲得し、エンジニアの採用やビジネスパートナーの募集を容易にするため、重要です。顧客ネットワークの強化により、SES会社が市場での競争力を高め、事業譲渡時の価値を向上させることができます。
– 事業譲渡の可能性:SES業界でも事業譲渡は可能であり、ビジネスのデジタル化が進む中でITやソフトウェア関係の需要が拡大しているため、事業譲渡が有利です。事業譲渡の可能性により、SES会社が高値で売却するための条件を整えることができます。
これらのポイントを組み合わせると、スキル標準化・研修付SESの事業が高値で売却できる可能性が高まります。
スキル標準化・研修付SESの企業が会社を譲渡するメリット
SES企業がスキル標準化・研修付で事業を譲渡するメリットは以下の通りです:
– 事業譲渡のスムーズな実行: スキル標準化と研修が進んでいれば、買い手企業が事業を引き継ぐ際に、従業員のスキルや技術を理解しやすくなります。事業譲渡の手続きがスムーズに進むため、リスクが低減されます。
– 従業員の雇用継続: 事業譲渡を利用すれば、買い手企業に従業員の雇用を引き継いでもらえるため、従業員が職を失うことはありません。SES業界は人材不足が慢性的な問題として挙げられているので、事業とともに従業員の雇用も引き継いでもらいやすいです。
– 節税効果: 事業譲渡の取引の際、資産以上の営業権に対し支払った額に応じて、法人税の課税対象となる利益を5年間にわたり減らすことができます。これにより、法人税を節税することが可能です。
– 買収者のニーズに合った技術を持つ従業員が多い: スキル標準化と研修が進んでいれば、買い手企業がニーズに合った技術を持つ従業員が多く在籍していることがわかりやすくなります。これにより、買い手企業が事業を引き継ぐ際に、技術者を派遣する必要が減り、事業価値が高く評価されます。
– 新規事業・事業拡大の可能性: SES事業を買収することで、需要の高いIT分野への新規参入が可能となり、企業は既存の事業に加えて新たな事業領域で収益を上げることができます。
スキル標準化・研修付SESの事業と相性がよい事業
スキル標準化・研修付SESの事業と相性がよい事業を以下にまとめます。
### エンジニア研修会社との連携
– エンジニア研修に強い会社:エンジニア研修を行うことで、基礎知識の習得や問題解決スキルの習得が可能です。
– 基礎的な知識の習得:エンジニア業務を行うためには、システム・サーバー・ネットワークなどの知識が必要です。
– 問題解決スキルの習得:起こりやすい問題のパターンや解決方法を座学や実践で学び、実務に活かすことが大切です。
– 研修会社のメリット:研修会社に依頼すると、準備や研修などをすべて代わりに行ってもらえるため、コア業務に集中して取り組めます。また、受講者を指導するノウハウが豊富なため、相手の理解度にあわせて進められます。
### RBV(Resource-Based View)を活用したSES事業
– 顧客との関係性:SES事業において、顧客との「関係性」を重視することが重要です。複数の顧客から仕事を回してもらえるため、規模を拡大することができます。
– エンジニアの確保:提案の絶対数を増やすためには、エンジニア採用を増やすか、ビジネスパートナーを募集して、ビジネスパートナーからエンジニアを提案してもらう必要があります。
– サービスの質の向上:契約前は情報の非対称性を解消することに注力し、契約後はアフターフォローとしてヒヤリングを行い、双方の認識にずれが生じていないかを早期に発見します。
### デジタルスキル標準に基づいたSES事業
– DXリテラシー標準とDX推進スキル標準:DXリテラシー標準とDX推進スキル標準を活用して、DXを推進するための中心的な役割を担う人材を育成します。具体的には、以下のロールに区分して、DX推進において求められる必要な知識やスキルの違いをまとめます。
– 人材類型にひもづく15のロール:5つの人材類型からさらに15のロールへと区分して、DX推進において求められる必要な知識やスキルの違いをまとめます。
– ビジネスアーキテクト:新規事業開発、既存事業の高度化、社内業務の高度化・効率化といった目標を設定されています。
これらの事業を通じて、スキル標準化・研修付SESの事業を推進し、DXを推進するための中心的な役割を担う人材を育成することができます。
スキル標準化・研修付SESの企業がM&Aを依頼するならM&A Doがおすすめな理由
M&A Doは、スキル標準化・研修付SESの企業様がM&Aを依頼する際におすすめの理由がいくつかございます。まず、譲渡企業様から手数料を一切いただかないという点で、コスト面でのご負担を軽減いたします。また、豊富な成約実績を誇り、これまで多くの企業様のM&Aを成功に導いてまいりました。さらに、スキル標準化・研修付SESの業界にも知見を保有しており、業界特有のニーズや課題に対しても的確に対応することが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。