目次
  1. 1. 明光ネットワークジャパン<4668>による受験関連事業ユーデック買収
  2. 2. 明光ネットワークジャパン<4668>による子供向けアート教室マスターフランチャイズ権取得
  3. 3. 明光ネットワークジャパン<4668>、個別指導塾「明光義塾」フランチャイジーのケイラインを子会社化
  4. 4. 明光ネットワークジャパン<4668>、個別指導塾「明光義塾」フランチャイジーのケイ・エム・ジーコーポレーションを子会社化
  5. 5. 明光ネットワークジャパン<4668>、最大規模フランチャイジーのMAXISホールディングスを子会社化
  6. 6. AB&Company<9251>、美容室フランチャイズ加盟店のKESHIKIを子会社化
  7. 7. 東京スタイル<8112>、アパレルブランド「ROSE BUD」展開企業のエレファント・ローズバッドを子会社化
  8. 8. 名学館<2455>、不動産仲介フランチャイズ企業ワンズリアルコミュニケーションズを子会社化
  9. 9. 東急不動産ホールディングス<3289>によるDIY小売事業の東急ハンズ譲渡
  10. 10. 大戸屋ホールディングス<2705>による中国上海合弁事業買収
  11. 11. 大戸屋ホールディングス<2705>の台湾フランチャイズ事業譲渡
  12. 12. 大戸屋ホールディングス<2705>のタイ現地子会社譲渡
  13. 13. 中小企業投資機構<2318>、食品事業フランチャイズ3社を子会社化
  14. 14. 日清食品ホールディングス<2897>、飲食店チェーン「味の民芸」事業をサガミチェーンへ売却
  15. 15. 鉄人化計画<2404>、ラーメン「直久」運営会社を子会社化
  16. 16. 早稲田アカデミー<4718>、明光ネットワークジャパン<4668>の子会社「個別進学館」を買収
  17. 17. 大日本住友製薬<4506>、米Elevation Pharmaceuticals買収
  18. 18. 日本PCサービス<6025>、スマホ修理店「スマホステーション」事業を取得
  19. 19. 日本PCサービス<6025>、「スマホスピタル」運営会社など2社を子会社化
  20. 20. 鳥貴族ホールディングス<3193>、やきとり大吉をFC方式で運営するダイキチシステムを子会社化
  21. 21. 鳥貴族ホールディングス、社名を「エターナルホスピタリティグループ」へ変更
  22. 22. 日新商事<7490>、ケンタッキーフライドチキンFC運営9店舗を明治屋傘下のメデイへ譲渡
  23. 23. 桧家ホールディングス(現ヒノキヤグループ)<1413>、静岡のフランチャイズ加盟会社ハウジーホームズを子会社化
  24. 24. サークルKサンクス<3337>、フランチャイズ事業のサンクス・ホクリアを子会社化
  25. 25. かんなん丸、総合居酒屋フランチャイジーとしての大規模リストラ
  26. 26. 新日本建物<8893>、ファーストキャビンのカプセルホテル事業を取得
  27. 27. 銀座ルノアール<9853>によるビーアンドエム買収
  28. 28. 小僧寿し<9973>、回転寿司事業を三誠食品へ譲渡
  29. 29. 海帆<3133>、立ち食い焼肉「治郎丸」事業を取得
  30. 30. 串カツ田中ホールディングス<3547>、福岡県直営店11店舗をイートスタイルへ譲渡
  31. 31. 小僧寿し<9973>、持ち帰り寿司「茶月」運営の春陽堂から関東の直営・FC関連事業を取得
  32. 32. 小僧寿し<9973>、アスラポートダイニング傘下から「とりでん」「とり鉄」関連を取得
  33. 33. やまや<9994>とチムニー<3178>、日鉄住金物産から居酒屋「つぼ八」を共同買収
  34. 34. 小僧寿し<9973>、持ち帰り寿司フランチャイズの台湾法人を譲渡
  35. 35. レナウン<3606>、英国アニヤ・ハインドマーチ販売会社を譲渡
  36. 36. マネックスグループ<8698>、教育・保育事業のVilingを子会社化
  37. 37. ワタミ<7522>、サンドイッチチェーン「SUBWAY」の国内マスターフランチャイズ権取得
  38. 38. ランシステム<3326>による「自遊空間」フランチャイズ店の譲渡
  39. 39. ソラスト<6197>、JR西日本傘下ポシブル医科学を買収
  40. 40. ハウスコム<3275>、不動産FC事業のシーアールエヌを子会社化
  41. 41. ジェイグループホールディングス<3063>、「博多かわ屋」運営のかわ屋インターナショナルを買収
  42. 42. NESTAGE<7633>のTOBによるジェイオーグループHDへの子会社化
  43. 43. トレジャー・ファクトリー<3093>、ゴルフキッズ買収
  44. 44. ゴルフダイジェスト・オンライン<3319>による米GolfTEC Enterprises買収
  45. 45. ゴルフ・ドゥ<3032>によるスクエアツウ・ジャパン買収
  46. 46. ゼンショーホールディングス<7550>、米国発の持ち帰り寿司フランチャイズAFCを買収
  47. 47. まとめと展望

1. 明光ネットワークジャパン<4668>による受験関連事業ユーデック買収

売り手:ユーデック(大阪市) 明光ネットワークジャパンは2012年7月30日、持分法適用関連会社として受験情報誌などを手がけるユーデックを追加取得し、子会社化すると発表しました。株式所有割合は19.2%から63.1%に上昇し、取得価額は1億500万円。 明光ネットワークジャパンは個別指導塾「明光義塾」の直営・フランチャイズ(FC)事業を展開しており、全国2000教室超を持つ大手塾チェーンです。一方のユーデックは関西圏の私立中学・高校の受験情報誌「がくあん」の発行や、学習塾へのテスト・教材販売、学内予備校運営などを行っています。今回の子会社化により、学内予備校の拡大や模擬試験の品質向上など、明光義塾チェーンのさらなる企業価値向上を狙いました。

2. 明光ネットワークジャパン<4668>による子供向けアート教室マスターフランチャイズ権取得

売り手:ヨークインターナショナル(大阪市) 2010年12月9日、明光ネットワークジャパンはヨークインターナショナルから米国「Abrakadoodle Inc.」の日本向けマスターフランチャイズ権を取得することを決定しました。Abrakadoodleは子供向けにアート教育を行うプログラムで、取得により幼児期から創造力と自立心を育てる事業に参入。明光ネットワークジャパンが全国展開する個別指導塾「明光義塾」とのシナジーを活かしつつ、新分野での教育サービスを拡充しています。

3. 明光ネットワークジャパン<4668>、個別指導塾「明光義塾」フランチャイジーのケイラインを子会社化

売り手:ケイライン(東京都世田谷区) 2018年4月3日、明光ネットワークジャパンはフランチャイジーとして明光義塾42教室(東京・神奈川・静岡・愛知)を運営するケイラインの全株式を取得し、子会社化を発表しました。取得価額は6億600万円。もともと明光ネットワークジャパンは、直営教室とフランチャイズ教室の一体運営による競争力向上を目指しており、有力フランチャイジーの子会社化はその一環とみられます。

4. 明光ネットワークジャパン<4668>、個別指導塾「明光義塾」フランチャイジーのケイ・エム・ジーコーポレーションを子会社化

売り手:ケイ・エム・ジーコーポレーション(京都市) 2018年12月4日、明光ネットワークジャパンは個別指導塾「明光義塾」フランチャイジーであるケイ・エム・ジーコーポレーションを子会社化すると発表しました。ケイ・エム・ジーコーポレーションは京都・滋賀・奈良で43教室を運営。買収価額は非公表ですが、フランチャイズ本部が有力加盟者を直接傘下に取り込むことでチェーン全体のサービス水準や教室間連携を強化し、明光義塾ブランドの拡大をさらに押し進める狙いです。

5. 明光ネットワークジャパン<4668>、最大規模フランチャイジーのMAXISホールディングスを子会社化

売り手:MAXISホールディングス(東京都新宿区) 2014年9月1日、明光ネットワークジャパンは「明光義塾」フランチャイジー最大手のMAXISホールディングス(売上高26.6億円)を18.1億円で買収し、子会社化すると発表しました。同社は東京都・埼玉県・山梨県・静岡県・石川県など61教室、子会社が愛知県で26教室を運営しており、フランチャイズチェーン内で大きな存在感をもっていました。直営教室との連携やノウハウ共有を深め、チェーン全体の競争力を高めるとしています。

6. AB&Company<9251>、美容室フランチャイズ加盟店のKESHIKIを子会社化

売り手:KESHIKI(長野県松本市) 2022年6月14日、AB&Companyは傘下企業を通じて、美容室「Agu.」のフランチャイズ加盟店であるKESHIKIを買収することを公表しました。買収価額は3億300万円。KESHIKIは主に長野・山梨・福井などで「Agu.」を展開し、フランチャイジーとしての実績を残しています。有力加盟店を直接取り込むことで、フランチャイズ本部の管理体制やサービスクオリティを高める狙いがうかがえます。

7. 東京スタイル<8112>、アパレルブランド「ROSE BUD」展開企業のエレファント・ローズバッドを子会社化

売り手:エレファント(東京都渋谷区)、ローズバッド(同) 2011年5月23日、東京スタイルは2社の株式を取得し、「ROSE BUD」ブランドの本格参入を発表しました。後述のように、この買収にはフランチャイズ事業への卸売販売も絡んでおり、新たなアパレル展開の可能性を探る狙いがありました。2社合計の取得総額は74億2000万円。

8. 名学館<2455>、不動産仲介フランチャイズ企業ワンズリアルコミュニケーションズを子会社化

売り手:ワンズリアルコミュニケーションズ(大阪市) 2015年2月25日、名学館はワンズリアルコミュニケーションズ(ORC)の第三者割当増資を1030万円で引き受け、株式55.6%を取得。ORCは「不動産ナビプラザ」という不動産仲介FCブランドを運営するほか、不動産仲介向け教育研修も展開しています。学習塾を主力とする名学館は、ORCの不動産ネットワークを取り込み、新たな事業機会を広げる考えです。

9. 東急不動産ホールディングス<3289>によるDIY小売事業の東急ハンズ譲渡

売り手:東急不動産ホールディングス 2021年12月22日、東急不動産ホールディングスはDIYや日用品雑貨を扱う子会社・東急ハンズ(売上631億円)をホームセンター大手のカインズに譲渡すると発表しました。東急ハンズはフランチャイズ展開も24店舗含む86店舗を運営していましたが、新型コロナ禍を受けて業績が大幅に悪化。PB商品の開発強化やECの拡大、フランチャイズ加速といった再建策を進めましたが、グループ内での再建は限界があると判断されました。DIY需要が拡大する中、カインズとのシナジーを狙うとみられています。

10. 大戸屋ホールディングス<2705>による中国上海合弁事業買収

売り手:現地出資パートナー(上海和久美餐飲管理有限公司) 2013年11月27日、大戸屋ホールディングスは中国上海で運営していた合弁会社の全株式を買収し、海外直営事業として再編すると発表しました。大戸屋(上海)餐飲管理は、上海で「大戸屋ごはん処」2店舗を展開していましたが、合弁から完全子会社化に切り替えて現地展開を加速します。大戸屋は海外ではフランチャイズ活用を行うケースもありますが、マーケット次第で直営化・フランチャイズ化を柔軟に使い分ける方針をとっています。

11. 大戸屋ホールディングス<2705>の台湾フランチャイズ事業譲渡

売り手:大戸屋ホールディングス 2012年9月26日、大戸屋ホールディングスは台湾の現地子会社(直営店)を全家便利商店股份有限公司へ譲渡し、エリアフランチャイズ契約に切り替えると発表しました。台湾での大戸屋ブランドの知名度が一定程度高まったため、直営からフランチャイズへ切り替え、効率的な展開を図る狙いがありました。

12. 大戸屋ホールディングス<2705>のタイ現地子会社譲渡

売り手:大戸屋ホールディングス 2011年7月26日、大戸屋ホールディングスはタイでの現地子会社を手放し、譲渡先とはフランチャイズ契約を締結するスキームに移行すると発表しました。成長市場である東南アジアを中心に出店を加速させるため、現地有力外食グループとの連携を優先する判断とみられます。こうした「直営からフランチャイズへの転換」は、大戸屋が海外展開で頻繁に用いる手法となっています。

13. 中小企業投資機構<2318>、食品事業フランチャイズ3社を子会社化

売り手:生産者直売のれん会(東京都台東区)、匠味本舗(同)、彩豆堂(同) 2010年1月22日、中小企業投資機構は3社が行うフランチャイズや食品関連事業に注目し、それぞれを子会社化しました。農産物・大豆商品の製造販売、FCによる販売システムなどの可能性が高いと判断した投資会社が支援する形です。各社が実施する第三者割当増資を引き受け、過半数を取得しています。

14. 日清食品ホールディングス<2897>、飲食店チェーン「味の民芸」事業をサガミチェーンへ売却

売り手:日清食品ホールディングス 2013年12月4日、日清食品ホールディングスは味の民芸フードサービスをサガミチェーンに9億1300万円で譲渡しました。「味の民芸」はフランチャイズ店も含め、「手延べうどん」などを提供する和風レストランチェーン。日清食品HDは事業ポートフォリオの再編として主力の即席めん事業に注力する一方、外食事業の整理を進めていた背景があります。

15. 鉄人化計画<2404>、ラーメン「直久」運営会社を子会社化

売り手:直久、フククルフーズ(福岡市) 2020年3月25日、鉄人化計画はラーメン「直久」を展開する直久の全株式を取得し、あわせて親会社フククルフーズのラーメン事業も取得することを発表しました。取得価額は非公表。子会社化後、フランチャイズも含めた約20店舗が鉄人化計画の傘下に入ります。同社は首都圏で「カラオケの鉄人」を運営しており、繁華街エリアに飲食事業を取り込むことで相乗効果を図ります。

16. 早稲田アカデミー<4718>、明光ネットワークジャパン<4668>の子会社「個別進学館」を買収

売り手:明光ネットワークジャパン 2021年10月29日、早稲田アカデミーは明光ネットワークジャパンが会社分割で設立する新会社「個別進学館」の全株式を取得し、子会社化しました。従来は両社で資本業務提携しながら「早稲田アカデミー個別進学館」をフランチャイズ展開していましたが、今後は早稲田アカデミーが単独で運営する方向へ転換。直営7校とFC15校、合計22校が譲渡対象となります。

17. 大日本住友製薬<4506>、米Elevation Pharmaceuticals買収

売り手:Elevation Pharmaceuticals, Inc.(米国) 2012年8月31日、大日本住友製薬の米子会社サノビオン社が呼吸器領域のバイオ医薬品企業Elevation Pharmaceuticalsを買収すると発表しました。海外でのフランチャイズ確立を目指す医薬メーカーにとって、呼吸器領域の強化は大きな戦略の一つ。フランチャイズとは異なる表現での事業推進ですが、「呼吸器領域をフランチャイズの1つとして注力する」という位置づけから今回の買収に至りました。

18. 日本PCサービス<6025>、スマホ修理店「スマホステーション」事業を取得

売り手:スマホステーション(東京都武蔵野市) 2019年12月3日、日本PCサービスはスマホ修理チェーン「スマホステーション」の事業を取得すると発表しました。対象は直営2店舗とフランチャイズ9店舗を合わせた11店舗。取得価額は非公表で、2020年2月に完了予定。日本PCサービスは家電やIT関連のサポート事業を主力としており、スマホ修理店を通じたリアル店舗での集客拡大を図ります。

19. 日本PCサービス<6025>、「スマホスピタル」運営会社など2社を子会社化

売り手:スマホスピタル・Axis(いずれも大阪市) 2019年3月27日、日本PCサービスはスマホ・タブレット端末の修理店「スマホスピタル」(直営25店、フランチャイズ52店)を展開するスマホスピタルなど2社を傘下に収めました。取得価額は合計3億2200万円。持ち込み修理分野の強化を狙っており、すでに13店舗あった修理店に加え、一気に80店舗体制へ拡張。フランチャイズ網も活用し、修理の集客力を高める方針です。

20. 鳥貴族ホールディングス<3193>、やきとり大吉をFC方式で運営するダイキチシステムを子会社化

売り手:サントリーホールディングス(大阪市)傘下 2022年9月13日、鳥貴族HDはサントリーホールディングス傘下で焼鳥店「やきとり大吉」のフランチャイズ本部を運営するダイキチシステムを買収すると発表しました。取得価額は非公表、2023年1月4日に完了予定。「やきとり大吉」は全国に約500の加盟店を持ち、小商圏を狙ったフランチャイズ展開が特徴です。鳥貴族は中規模商圏で「鳥貴族」を約600店運営しており、両ブランドを合わせて1,100店超の大規模焼鳥チェーンとなります。

21. 鳥貴族ホールディングス、社名を「エターナルホスピタリティグループ」へ変更

売り手:なし(社名変更の事例) これはM&A案件ではありませんが、鳥貴族HDは2023年9月22日付で、2024年5月1日に「エターナルホスピタリティグループ」へ社名変更予定と発表しました。焼鳥FC事業が海外展開を見据える中、英語名へ改称し世界市場へのアピールを強化しています。フランチャイズ事業を含めた多ブランド戦略が、外食企業の将来的なポテンシャルを広げるものと考えられます。

22. 日新商事<7490>、ケンタッキーフライドチキンFC運営9店舗を明治屋傘下のメデイへ譲渡

売り手:日新商事 2021年8月20日、日新商事はケンタッキーFC店9店舗をメデイに譲渡すると発表しました。日新商事はエネルギー関連事業への集中を図るため、フランチャイズ事業を整理。赤字が常態化していたとのことで、同じくケンタッキーフライドチキン(KFC)を運営するメデイ(明治屋グループ)へ移管することで事業継続性を担保するという動きです。

23. 桧家ホールディングス(現ヒノキヤグループ)<1413>、静岡のフランチャイズ加盟会社ハウジーホームズを子会社化

売り手:ハウジーホームズ(静岡市) 2018年3月28日、桧家HDは静岡・東海地区で桧家住宅ブランドをFC展開するハウジーホームズの全株式を取得し、子会社化しました。取得価額は非公表。桧家グループは全国的に「桧家住宅」の注文住宅FC網を拡大しており、加盟店を積極的に取り込む事例の一つといえます。

24. サークルKサンクス<3337>、フランチャイズ事業のサンクス・ホクリアを子会社化

売り手:サンクス・ホクリア(石川県白山市) 2010年2月26日、サークルKサンクスは石川・福井で「サンクス」を93店運営するサンクス・ホクリアの81%を追加取得し、100%子会社化すると発表しました。コンビニ業界の競争激化に対応するため、本部による資金・人的支援を拡大してエリアフランチャイズのテコ入れを進める動きです。

25. かんなん丸、総合居酒屋フランチャイジーとしての大規模リストラ

売り手:なし(リストラ事例) 2021年1月14日付で、居酒屋チェーン「庄や」など大庄グループのフランチャイズを手がけるかんなん丸が27店舗の閉店と80人程度の希望退職を発表しました。消費者の外食離れ・新型コロナ禍の影響で厳しい状況が続き、FC本部の大庄も含めて外食業界全体に大きな影響が出ています。フランチャイズ契約下でも店舗閉鎖に踏み切る例が増えている事例のひとつです。

26. 新日本建物<8893>、ファーストキャビンのカプセルホテル事業を取得

売り手:ファーストキャビン(東京都千代田区。破産手続中) 2020年7月17日、新日本建物は破産したファーストキャビンからカプセルホテル「ファーストキャビン」事業のフランチャイズ本部および運営受託事業を取得しました。新たな収益物件の開発や販売に活用する狙いとみられます。新型コロナの影響で宿泊産業全体が落ち込む中、ファーストキャビンは経営破綻。一方でフランチャイズ本部権利の取得により、新日本建物が新たな形で再建を図るケースです。

27. 銀座ルノアール<9853>によるビーアンドエム買収

売り手:ビーアンドエム(東京都港区) 2012年3月8日、銀座ルノアールはコーヒー豆販売と「BLENZ COFFEE」の日本マスターフランチャイズ権を持つビーアンドエムを買収し、子会社化しました。取得価額は非公表。「BLENZ COFFEE」はカナダ発祥のコーヒーショップブランドで、銀座ルノアールはこれを国内でチェーン展開する狙いとみられます。

28. 小僧寿し<9973>、回転寿司事業を三誠食品へ譲渡

売り手:小僧寿し 2013年8月6日、小僧寿しは回転寿司事業(「すし廻鮮」など)を三誠食品に譲渡。持ち帰り寿司のフランチャイズ事業が主力の小僧寿しは、回転寿司の相乗効果が低かったとみられ、事業を集中するために整理に踏み切ったものです。譲渡価額は2億4000万円。2020年前後に外食全体で業態転換が進むなか、こうした事業再編例も増えています。

29. 海帆<3133>、立ち食い焼肉「治郎丸」事業を取得

売り手:弥七(東京都港区) 2019年5月30日、海帆は立ち食い焼肉「治郎丸」を運営する弥七から事業を6000万円で取得しました。直営店1店舗とフランチャイズ5店舗が含まれ、既存の名古屋を中心とした居酒屋事業と新業態とのシナジーを狙う動きです。小スペースで高収益が見込める立ち食い焼肉に関心が高まる中、フランチャイズも含めた店舗拡大が期待されています。

30. 串カツ田中ホールディングス<3547>、福岡県直営店11店舗をイートスタイルへ譲渡

売り手:串カツ田中ホールディングス 2023年6月15日、串カツ田中HDは福岡県内にある直営11店舗をフランチャイズ加盟店を運営するイートスタイル(宮崎県)に譲渡すると発表しました。譲渡価額は非公表。譲渡後はイートスタイルが「串カツ田中」のブランドを継続して営業します。出店形態をFC化することで経営資源を他地域・他業態へ集中させる狙いです。

31. 小僧寿し<9973>、持ち帰り寿司「茶月」運営の春陽堂から関東の直営・FC関連事業を取得

売り手:春陽堂(京都市) 2012年7月27日、小僧寿しは「茶月」ブランドの関東事業を7億円で取得すると発表しました。茶月は近畿を中心にフランチャイズ展開してきましたが、関東の直営60店舗とFC27店舗を切り出し、東京に強い小僧寿しが引き受ける形となりました。両社は購買や物流網の統合によりシェア拡大を狙います。

32. 小僧寿し<9973>、アスラポートダイニング傘下から「とりでん」「とり鉄」関連を取得

売り手:アスラポートダイニング、または子会社 2021年6月14日発表の案件で、小僧寿しが「とり鉄」「とりでん」など鳥料理・釜飯を中心とする居酒屋フランチャイズ事業をアスラポートから取得する計画があります。これにより小僧寿しは寿司・鳥料理を両軸とした多角化を狙い、イートイン・テイクアウト・デリバリーの三位一体運営を検討。得意なフランチャイズノウハウを生かし、競争力を高める意図がうかがえます。

33. やまや<9994>とチムニー<3178>、日鉄住金物産から居酒屋「つぼ八」を共同買収

売り手:日鉄住金物産 2018年10月29日、やまやとチムニーは居酒屋チェーン「つぼ八」を共同買収すると公表しました。つぼ八は全国241店舗(直営52・FC189)を持ち、北海道や郊外立地で強いブランド力があります。やまやは全国の酒販店を運営するほか、チムニーは「はなの舞」「さかなや道場」など居酒屋フランチャイズを手がけており、地域補完と物流・商品供給・メニュー開発でシナジーを見込む事例です。

34. 小僧寿し<9973>、持ち帰り寿司フランチャイズの台湾法人を譲渡

売り手:小僧寿し 海外展開例として、小僧寿しは各国でフランチャイズモデルを活用してきましたが、状況に応じて譲渡・撤退を行うこともありました(詳細日付は事例全体に重複のため割愛)。近年、持ち帰り寿司市場の競合激化や為替の影響もあり、海外拠点の整理再編が進められています。

35. レナウン<3606>、英国アニヤ・ハインドマーチ販売会社を譲渡

売り手:レナウン 2014年1月17日、レナウンは「アニヤ・ハインドマーチ」ブランドの日本販売を担う子会社を英本社に譲渡すると発表しました。フランチャイズビジネスではないものの、日本市場でのブランド展開において独占販売ライセンスやマスターフランチャイズ契約に類似する形態が多く、レナウンが保有していたライセンスが終了し、合弁ないし譲渡に至る事例として注目されました。

36. マネックスグループ<8698>、教育・保育事業のVilingを子会社化

売り手:Viling(東京都杉並区) 2021年11月26日、マネックスグループはSTEAM教育(科学・技術・工学・芸術・数学)を行うVilingの全株式を取得し子会社化。Vilingは幼児教室や小学校高学年向けフランチャイズ教室の開設支援を展開しています。金融グループが教育領域に乗り出し、フランチャイズ型の教室展開を加速する背景には、個別学習や創造教育がデジタル時代に求められていると判断している点が挙げられます。

37. ワタミ<7522>、サンドイッチチェーン「SUBWAY」の国内マスターフランチャイズ権取得

売り手:サブウェイ・インターナショナル(オランダ) 2024年10月25日、ワタミは米国発のサンドイッチチェーン「SUBWAY」を日本で展開する日本サブウェイの全持ち分を取得し、マスターフランチャイズ契約を結びました。国内178店を2024年9月末時点で持ち、今後3000店以上を目指すと発表。低迷していた日本サブウェイをワタミグループの既存農業事業(ワタミファーム)や宅食事業と連携し、業績回復と再成長を狙います。取得価額は非公表。

38. ランシステム<3326>による「自遊空間」フランチャイズ店の譲渡

売り手:マーチャント・バンカーズ傘下 2023年3月13日、マーチャント・バンカーズはインターネットカフェ事業から撤退する旨を発表し、運営していた「自遊空間 大塚店」と「自遊空間 津田沼北口店」を第三者へ譲渡。ランシステムがフランチャイズ本部として展開する「自遊空間」でも、直営・FC双方で赤字店舗整理の動きが出ています。

39. ソラスト<6197>、JR西日本傘下ポシブル医科学を買収

売り手:JR西日本(保有子会社) 2023年5月24日、ソラストはポシブル医科学の株式を譲り受け子会社化すると発表しました。ポシブル医科学は関西圏で通所介護(デイサービス)を中心に57事業所(そのうち24フランチャイズ)を運営。介護業界でも直営・FCを併用しながら全国展開を進める例が増えています。

40. ハウスコム<3275>、不動産FC事業のシーアールエヌを子会社化

売り手:シーアールエヌ(京都市) 2023年4月11日、ハウスコムは不動産仲介のフランチャイズ本部「クラスモ」を運営するシーアールエヌを買収すると発表しました。シーアールエヌは関西を拠点に46店舗の加盟店を持ち、ハウスコムは全国200直営店・FC1店舗を展開中。取得価額は非公表。フランチャイズノウハウの共有やブランド共通化が見込まれます。

41. ジェイグループホールディングス<3063>、「博多かわ屋」運営のかわ屋インターナショナルを買収

売り手:かわ屋インターナショナル(東京都港区) 2017年11月29日、ジェイグループHDは焼鳥店「博多かわ屋」の商標とフランチャイズ展開を行うかわ屋インターナショナル株式の過半を3.6億円で取得し、子会社化。名古屋を拠点とするジェイグループが東京発の人気焼鳥ブランドを傘下に取り込むことで、全国展開および業態拡張を目指す狙いです。

42. NESTAGE<7633>のTOBによるジェイオーグループHDへの子会社化

売り手:NESTAGE(家庭用テレビゲーム専門店など展開) NESTAGEはフランチャイズ型家庭用ゲームショップ「wanpaku」「TVパニック」を運営してきましたが、競争激化で業績が低迷。ジェイオーグループHDが追加出資(デッド・エクイティ・スワップ)により救済し、子会社化しています。店舗型ビジネスでもフランチャイズ展開を利用する企業が多く、こうした再編事例もみられます。

43. トレジャー・ファクトリー<3093>、ゴルフキッズ買収

売り手:ゴルフキッズ(埼玉県越谷市) 2018年2月28日、トレジャー・ファクトリーはリユースゴルフ用品のフランチャイズ展開を行うゴルフキッズを買収しました。ゴルフキッズは直営1店・FC20店を展開。総合リユースのトレジャー・ファクトリーがこれによりゴルフ用品分野へ本格参入し、業容拡大を狙っています。

44. ゴルフダイジェスト・オンライン<3319>による米GolfTEC Enterprises買収

売り手:GolfTEC Enterprises(コロラド州) 2018年6月1日、ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)はゴルフレッスンサービス事業を展開するGolfTEC Enterprisesを約21.3億円で子会社化。GolfTECはフランチャイズを含め米国やカナダ、アジアで約190店舗を持っており、GDOがグローバル展開や先端ゴルフレッスンの統合を進める一手となりました。

45. ゴルフ・ドゥ<3032>によるスクエアツウ・ジャパン買収

売り手:スクエアツウ・ジャパン(名古屋市) 2010年5月12日、ゴルフ・ドゥはゴルフ用品卸売を強みとするスクエアツウ・ジャパンを1億9500万円で買収。同社のフランチャイズ「ゴルフ・ドゥ!」は中古クラブ販売を展開しており、卸売会社の買収でサプライチェーンを強化しています。

46. ゼンショーホールディングス<7550>、米国発の持ち帰り寿司フランチャイズAFCを買収

売り手:Advanced Fresh Concepts Corp.(米国) 2018年10月16日、ゼンショーHDはAFCを約288億円で買収。AFCは米国やカナダ、豪州で寿司のフランチャイズを約4000店舗展開する世界最大規模の持ち帰り寿司チェーンです。すき家やはま寿司などを傘下に持つゼンショーが海外の中食市場へ乗り出した事例として大きな話題を集めました。

47. まとめと展望

本稿では、飲食・小売・教育・不動産仲介・介護など多岐にわたるフランチャイズ関連のM&A事例を紹介してきました。フランチャイズという仕組みは、比較的低コストで新規事業者が参入できる利点や、知名度・ノウハウを短期間に広域へ波及させる強みがあります。そのため、外食やコンビニエンスストア、学習塾、介護サービスなど生活必需分野から人材サービス・IT業界にまで広がりを見せています。近年特に注目すべきポイントと今後の展望をまとめると、次のようになります。
フランチャイジーの子会社化による直営化
本部(フランチャイザー)が有力加盟店(フランチャイジー)を買収し、直営化するケースが目立ちます。事例としては明光ネットワークジャパンと「明光義塾」フランチャイジー、桧家ホールディングスによる注文住宅フランチャイジー、サンドラッグのエリアフランチャイズ店子会社化などが代表的です。FC本部が資本参加し、直営教室や直営店と一体化することで経営効率を高める狙いがうかがえます。

外食産業における業態転換と再編
コロナ禍を経て、飲食店業界は一層の再編が進みました。「大戸屋」や「小僧寿し」、「鳥貴族HD」などに代表されるように、フランチャイズ展開と直営展開を柔軟に切り替え、成長分野の取り込みと不採算エリアの整理が同時並行で進行しています。また、海外ブランド(SUBWAY・BLENZ COFFEEなど)の日本マスターフランチャイズ権を取得して国内展開を強化する動きも盛んです。

海外戦略としてのフランチャイズ活用
大戸屋や小僧寿し、ゴルフダイジェスト・オンラインなど海外でのフランチャイズ展開や海外FC本部の買収(例えばゼンショーHDのAFC買収)も活発化しています。特に外食業界では、東南アジアや北米市場での知名度向上や店舗拡大を図るために、現地法人を合弁化または譲渡し、あらためてフランチャイズ契約を結ぶパターンが多くみられます。市場の温度感に応じて“直営⇔フランチャイズ”を柔軟に切り替えることがグローバル戦略に有効とされています。

大手企業のノンコア事業整理
日清食品HDの「味の民芸」や東急不動産HDの「東急ハンズ」の売却、さらには大戸屋やイエローハット関連店舗の譲渡事例などから見えるように、大手企業が本業に集中するため、フランチャイズ事業や直営店舗を投資ファンドや他社に譲渡する事例が増えています。コロナ禍後の需要変化やデジタル化、コスト高騰に対応するため、事業ポートフォリオの再編を加速させているといえます。

単品特化型業態、業態転換の波
牛カツや立ち食い焼肉、からあげ専門店など、狭い商圏でも成立しやすい単品特化の外食フランチャイズが注目を集めています。また、スマホ修理、ヨガ・フィットネス、英会話・個別指導塾といったサービス産業においても、FCモデルで短期間に店舗数を増やす動きが顕著になってきました。近年のM&Aは、これら特化型フランチャイズのノウハウやブランドを一括取得し、既存事業と組み合わせるケースが多いようです。

コロナ禍による事業撤退・リストラ
かんなん丸(「庄や」のFC)や日新商事(KFCのFC事業)など、ここ数年で赤字が常態化してきたフランチャイジーが大量閉店や譲渡を余儀なくされています。フランチャイズはブランド力や本部サポートを得られる反面、ロイヤリティ支払いが重荷となる場合もあり、需給変動時には閉店が連鎖するリスクが指摘されます。

IT・IoTを活用したフランチャイズ再構築
スマホ修理業やIoTを使った無人店舗、不動産内見サポートなど、IT・IoT技術を活かしたサービス型フランチャイズが登場。M&Aによって、この技術系フランチャイズ本部を取り込むケースが増えています。内見サービスやオンライン英会話などは低コストで全国展開しやすく、デジタルトランスフォーメーション(DX)がフランチャイズ事業を再定義している側面も見逃せません。

総じて、フランチャイズは本部と加盟店の協力関係による地域網拡大の手法として機能しながら、資本再編や経営戦略の変化に応じて「直営⇔フランチャイズ」がダイナミックに切り替わる時代を迎えています。国内では人口減少や消費構造の変化が進む一方で、海外展開やEC(デジタルシフト)との融合など新市場が広がる可能性も依然高いです。中食・外食、保育・介護、不動産仲介、ITサポートなど、多岐にわたる分野でフランチャイズのM&Aが当面も続くでしょう。

企業にとっては、フランチャイズ網の強化やブランド拡張を狙う「買収サイド」と、財務体質の改善や既存事業の再構築を狙う「売却サイド」の思惑が合致しやすい領域でもあります。今後はさらに投資ファンドがフランチャイズ本部や有力フランチャイジーを買収・再生する動きが活性化する可能性があります。大手企業のノンコア切り離しも相まって、2025年前後までにフランチャイズビジネスをめぐる大型のM&Aが増加していくことが予測されます。

以上の通り、多種多様な業態で展開されるフランチャイズ事業においては、M&Aがブランド強化や収益改善の大きなキーファクターになっています。今後も外部環境の変化やグローバル化に対応するためのM&A事例が数多く見込まれ、フランチャイズ業界はさらなる再編と発展を続けていくことでしょう。