- はじめに
- コンクリート業界におけるM&Aの背景
- コンクリート業界M&Aの国内事例
- 南海電気鉄道と南海砂利(2010年8月31日発表)
- 大成建設によるピーエス三菱の子会社化(2023年11月9日発表)
- 日本興業による葉月工業子会社化(2022年12月13日発表)
- 日特建設による麻生フオームクリート子会社化(2024年12月9日発表)
- 日本興業と新茨中の事業取得(2020年8月21日発表)
- 日本コンクリート工業の積極的なM&A
- 日本橋梁とオリエンタル白石(2011年11月11日発表)
- 第一カッター興業とアシレ(2019年5月31日発表)
- 萩原工業のEPC Holdings買収(2017年12月18日発表)
- 日本エコシステムと日新ブリッジエンジニアリング(2022年1月20日発表)
- 富士ピー・エスのM&A展開
- 太平洋セメントの海外展開(2008年4月2日発表)
- 桧家ホールディングスとレスコハウス(2016年2月8日発表)
- 太平洋セメントの中国子会社譲渡(2020年9月11日発表)
- 日工と前川工業所(2008年3月28日発表)
- 成友興業による栄興産業買収(2024年7月16日発表)
- キョウデンとツルガスパンクリート(2015年7月24日発表)
- 小野建による森田鋼材の子会社化(2019年10月1日発表)
- 北越メタルとコーテックス(2020年3月3日発表)
- ヤマウによる大栄開発の子会社化(2015年5月28日発表)
- ヤマウの関連M&A
- 極東開発工業によるグローバル展開
- 日本ヒュームの海外・国内再編
- 岡部の米国建材事業強化(2021年10月7日発表)
- 宇部興産と三菱マテリアルのセメント事業統合(2020年2月12日発表)
- 協和エクシオとコーケン(2018年8月30日発表)
- よみうりランドとオリエンタル白石の温浴施設譲渡(2009年11月26日発表)
- 高見澤の中国子会社事業撤退(2018年10月10日発表)
- ヤマックスとHOCヤマックス(2020年4月27日発表)
- ヤマエ久野と日装建(2018年2月1日発表)
- ヤマウと大分フジ(2008年12月22日発表)
- 三井住友建設による三井E&S鉄構エンジニアリングの子会社化(2020年5月13日発表)
- トーヨーアサノによる日本セグメント工業の譲渡(2023年2月28日発表)
- ワールドホールディングスとRCハウジング(2018年11月30日発表)
- ハネックスと日本ゼニスパイプの経営統合(2011年4月1日)
- ベルテクスコーポレーションの事業再編
- ピーエス三菱による東葉製作所子会社化(2024年2月29日発表)
- フジ住宅と雄健建設グループ(2019年11月27日発表)
- ゼニス羽田ホールディングスとホクコンの経営統合協議(2018年2月9日発表)
- デイ・シイの生コン事業再編
- サイタホールディングスと朝倉生コンクリート(2024年6月24日発表)
- コニシによる近畿鉄筋コンクリートの買収(2013年11月19日発表)
- タケエイによる再生骨材リサイクル企業の買収
- コンセックと丸金建設(2023年8月31日発表)
- アジアパイルホールディングスの海外進出
- IHIによる石川島建材工業の完全子会社化(2012年2月3日発表)
- SAAFホールディングスとユーシン(2024年11月26日発表)
- コンクリート業界における海外企業の動向
- M&Aによるシナジーと今後の展望
- まとめ
はじめに
近年、コンクリート業界ではさまざまな企業再編や事業継承、さらには海外企業との連携を含むM&A(合併・買収)が相次いでいます。これらの背景には、国内の公共事業の減少や企業の生産拠点再編、技術開発コストや人材確保の問題などがあり、単独企業による経営体制の維持が難しくなってきたことが指摘されています。一方で、経営基盤を強化し、将来的に海外市場の需要を取り込むため、あるいは付加価値の高い工法や新素材を開発し、グループ全体で効率よく資源を活用しようとする動きも活発化しています。
本記事では、こうしたコンクリート業界におけるM&A動向を中心に、具体的な事例を参照しながら、その背景や意義、シナジー、今後の展望について考察します。近年の日本国内の事例から海外動向に至るまで、幅広く取り上げてまいりますので、コンクリート業界に携わる方や業界動向に関心をお持ちの方々にとって、一助となれば幸いです。
コンクリート業界におけるM&Aの背景
国内公共事業の縮小と民間投資動向
従来、日本のコンクリート業界は公共事業需要に大きく支えられてきました。しかし、バブル崩壊後の長期的な経済低迷や人口減少の加速によって、国や地方自治体が実施する建設投資の伸びは鈍化しています。政府の財政状況や都市集中化などの影響もあり、大型のインフラ新設よりも老朽化した道路や橋梁などのメンテナンス・補修に予算が配分されるようになりました。
一方で、防災・減災を目的としたインフラ補修の需要は引き続き存在し、首都圏や大都市圏での再開発案件など民間投資も堅調に推移しています。しかしながら、地域によっては公共事業の集中度合いが高く、生コンクリート工場やコンクリート二次製品メーカーが乱立しているケースも少なくありません。このような地域では需要を巡る競争が激化し、生産能力の過剰が顕在化してきました。
技術開発と製造コストの負担
コンクリートの品質に対する要求水準が高まる中、新素材や新工法の開発・研究投資が必要不可欠となっています。また、SDGsやカーボンニュートラルが叫ばれる昨今、環境負荷を低減するコンクリート製造技術やリサイクル技術などに取り組む企業が増えています。こうした研究開発には、多額の投資や専門知識を持った人材の確保・育成が必要となり、中小規模の企業にとっては資金面でも人材面でもハードルが高くなりがちです。そこで、大手企業や同業他社とのM&Aを通じて、相互に不足している経営資源や技術力を補い合う動きが活発化しています。
海外展開とグローバル化
成熟市場となった国内から海外への進出を図る企業も少なくありません。特に東南アジアをはじめ、新興国市場ではインフラ整備需要が高まっており、コンクリート関連製品の需要は今後も拡大することが期待されています。しかし海外進出には現地の規制対応や物流コスト、販売網の構築など多くの課題があります。そのため、現地企業の買収や共同出資を通じて、スムーズに海外拠点を確保するM&A事例も増えています。
老朽化インフラへの対応強化
国内では、高度経済成長期に整備された各種インフラ(橋梁、トンネル、道路、上下水道など)の老朽化が深刻化しています。コンクリート構造物の耐久性・耐震性を向上させる技術や工法、点検・修繕をスピーディに行うためのノウハウを抱える会社が求められています。こうした技術を持つ企業を買収し、グループ全体で維持補修ビジネスに対応しようとする動きも顕著です。
コンクリート業界M&Aの国内事例
ここからは、実際に報じられたコンクリート関連業界のM&A事例をまとめ、概要や狙い、シナジー効果について解説します。
南海電気鉄道と南海砂利(2010年8月31日発表)
南海電気鉄道は、生コンクリート製造販売会社の南海砂利(営業利益21億7000万円)の全株式を同業の日本土石工業に譲渡しました。元々、南海電気鉄道は大規模住宅開発事業の安定供給を目的として南海砂利を所有していましたが、その事業がほぼ完成したことや、公共事業の縮小など長期的な需要の見通しが厳しいことから、経営資源をほかへ振り向けるために譲渡を決定しました。
この事例は、鉄道会社が保有していた生コンクリート事業を売却し、本業への集中を図る典型的なケースといえます。公共事業の縮小や地域需要の減少により、資本の再配分が必要となったことが背景と考えられます。
大成建設によるピーエス三菱の子会社化(2023年11月9日発表)
大成建設はピーエス三菱をTOB(株式公開買い付け)により子会社化すると発表しました。ピーエス三菱はコンクリート橋梁工事などプレストレストコンクリート(PC)分野に強みを持ち、大成建設は国内土木事業や高速道路の大規模リニューアル需要を見据えています。東証プライム上場の維持を前提としながらも、過半数株式を取得することで経営の主導権を確保する狙いがあります。
ピーエス三菱の筆頭株主であったUBE三菱セメントと太平洋セメントが保有株式のすべてをTOBに応募することにより、大成建設が目指す所有割合50.2%を達成する見通しです。施工技術力と素材・製品分野の知見が融合することで、長寿命化やリニューアルが増えるインフラ需要に対応する体制強化が狙いとされています。
日本興業による葉月工業子会社化(2022年12月13日発表)
プレキャストコンクリート製品の総合メーカーである日本興業は、法面保護工事の葉月工業の株式80%を取得し子会社化しました。葉月工業は交通安全施設工事や橋梁補修工事の実績を持ち、新たな事業分野として法面保護工事を取り込むことが狙いです。これにより日本興業は、九州地区における販路開拓を加速すると同時に、老朽化インフラの補修・維持工事の需要拡大に備えた体制強化を図っています。
日特建設による麻生フオームクリート子会社化(2024年12月9日発表)
日特建設は、同じ麻生グループの気泡コンクリート工事大手・麻生フオームクリートをTOBなどで完全子会社化すると発表しました。少数株主に向けたTOB成立後、親会社の麻生から約62.1%の株式も買い取ることで、最終的に100%子会社化します。麻生フオームクリートは、気泡コンクリート(軽量性・断熱性に優れる)の製造と施工に強みを持ち、日特建設が主力とする基礎・地盤改良・特殊土木工事分野との協業が期待されています。
麻生グループ内再編の一環で、グループ企業同士の重複やコストの削減を進める狙いもあると考えられます。少子高齢化と建設需要の変化に対応すべく、グループ全体でリソースを有効活用する取り組みの一例といえます。
日本興業と新茨中の事業取得(2020年8月21日発表)
日本興業は八光(大阪府八尾市)が保有する新茨中(茨城県笠間市)のコンクリート二次製品製造・販売事業を取得すると発表しました。東日本地区の生産能力を強化するためであり、巨大再開発や防災関連工事で需要が高まるプレキャストコンクリート製品の供給体制を整備する狙いがあります。日本興業は2015年に新茨中と合弁会社を設立しており、既に地域における業務連携の基盤を築いていました。
日本コンクリート工業の積極的なM&A
日本コンクリート工業は、コンクリートポールやパイルの製造を主要事業としていますが、近年では同業他社や補修工事会社など多くの企業買収を行っています。以下、主な事例をご紹介します。
東北電力傘下の東北ポール子会社化(2021年1月28日発表)
日本コンクリート工業は東北電力傘下の東北ポールを子会社化し、持ち株比率を64.3%に高めました。5Gネットワーク整備や国土強靱化などのインフラ需要に対応するため、製品開発力・営業力を強化する狙いがあります。東北ポールとは以前からポール・パイル製造技術の供与などで協力関係にあり、子会社化によるシナジーが期待されています。
フリー工業の子会社化(2018年1月10日発表)
土木工事と建設資材販売のフリー工業を子会社化しました。法面や擁壁工事、道路拡幅など豊富な土木施工実績と、日本コンクリート工業の製造技術や製品開発力を融合することで、新たな受注や工法開発を促進する狙いがあります。
ジャパンパイルからのポアセル事業取得(2012年5月11日発表)
ジャパンパイルの発泡コンクリート製ブロック「ポアセル」事業を取得することで、吸音性能などの特殊機能を持つ製品分野を強化しました。これは自社の既存製品との掛け合わせにより新しい用途開発も見込めるため、製品ラインナップの拡充と新市場開拓を同時に図るケースといえます。
日本橋梁とオリエンタル白石(2011年11月11日発表)
日本橋梁はプレストレストコンクリート工事などで高い技術力を誇るオリエンタル白石を子会社化しました。当時、公共事業は全体的に減少傾向にあったものの、橋梁を含むインフラ需要は今後の維持補修で底堅いと見られていました。日本橋梁は企業規模の拡大を通じて、競合他社との厳しい受注競争に対抗しようという狙いがありました。オリエンタル白石の技術と日本橋梁の橋梁施工ノウハウの融合により、大型プロジェクトの受注力を高めるメリットが期待されました。
第一カッター興業とアシレ(2019年5月31日発表)
第一カッター興業はウォータージェット工法などに強みを持つアシレを子会社化しました。アシレはコンクリートのはつり工事や外壁洗浄作業など30年以上の実績があり、水圧を利用した各種工法を展開していました。第一カッター興業の切断・穿孔技術とアシレの持つノウハウを組み合わせることで、インフラ補修や解体工事といった分野でグループの施工能力が強化されると見られます。
萩原工業のEPC Holdings買収(2017年12月18日発表)
萩原工業はシンガポールのEPC Holdings Pte. Ltd.を子会社化し、欧州や北米、オーストラリアなどへのコンクリート補強繊維の販売機能を取り込みました。新興国だけでなく先進国市場にも販路を広げることで、海外展開のスピードアップと製造から販売までの一体運営体制の確立を狙いました。
日本エコシステムと日新ブリッジエンジニアリング(2022年1月20日発表)
日本エコシステムは、橋梁やコンクリート構造物の点検・診断を行う日新ブリッジエンジニアリング(岐阜市)の株式を追加取得し、100%子会社化を図りました。橋梁やトンネル、道路施設などの維持管理の重要性がますます高まる中、インフラ検査・診断事業に強みを持つ日新ブリッジエンジニアリングを取り込むことで、交通インフラ事業の強化を目的としています。
富士ピー・エスのM&A展開
富士ピー・エスは主にプレストレスト・コンクリート構造物の施工や補修を手がけており、グループの収益基盤を多様化するために積極的なM&Aを行っています。
シーピーケイ子会社化(2012年1月17日発表)
日本アジア投資傘下のシーピーケイを子会社化し、主にJR西日本向けのコンクリート製枕木を製造・販売する事業を取り込みました。鉄道分野で安定した需要が見込まれる枕木事業への参入により、富士ピー・エスは新たな収益源を得る狙いがありました。
駿河技建子会社化(2021年9月30日発表)
高速道路や橋梁などの耐震補強・補修工事で実績を持つ駿河技建を子会社化し、老朽化インフラの維持補修分野で事業拡大を図っています。プレストレスト・コンクリート工法の専門知識と補修工事のノウハウを融合することで、インフラメンテナンス市場の需要を取り込みやすくなります。
太平洋セメントの海外展開(2008年4月2日発表)
太平洋セメントは米国で生コンクリート・骨材を生産・販売するSSMC Holdingsを買収し、米国シルバー・ステート・マテリアルズの事業を傘下に収めました。ラスベガスを中心に数多くの生コンクリート工場や骨材事業所を持つ同社を取り込むことで、観光や娯楽産業が発展する地域の建設需要を取り込みつつ、自社のセメント販売先を安定的に確保する狙いがあります。
桧家ホールディングスとレスコハウス(2016年2月8日発表)
桧家ホールディングスは鉄筋コンクリート系プレハブ住宅を手がけるレスコハウスをジオスターから取得しました。都市部や神奈川県などで耐震性に優れたプレハブ住宅を施工・販売してきたレスコハウスをグループ化することで、桧家HDのシェア拡大や都市型物件の提供を強化する狙いがありました。
太平洋セメントの中国子会社譲渡(2020年9月11日発表)
太平洋セメントは中国子会社でセメント・骨材を製造販売する秦皇浅野水泥有限公司の持ち分を現地企業に譲渡しました。中国市場では旺盛な需要がある一方、さらなる投資が必要とされる状況が続く中、ほかの成長投資領域に資金を回す戦略的な判断とされています。出資者からの持ち分取得打診もあり、事業再編の一例といえます。
日工と前川工業所(2008年3月28日発表)
日工は道路用骨材やコンクリート廃材の破砕機を製造する前川工業所を子会社化しました。破砕技術の自社グループへの取り込みと、国内外の環境リサイクル分野への進出が狙いです。コンクリート廃材のリサイクルや再資源化ニーズが高まる中、破砕機の技術力は重要な要素となります。
成友興業による栄興産業買収(2024年7月16日発表)
成友興業は埼玉県で産業廃棄物処理を手がける栄興産業を子会社化し、首都圏で排出されるコンクリート塊の中間処理事業を取り込みました。埼玉県内での事業拡大と相互支援体制の強化が狙いとされています。公共事業のみならず、解体工事や再開発などで排出されるコンクリートがらの再利用は、環境保全と資源循環の観点から需要が高まっています。
キョウデンとツルガスパンクリート(2015年7月24日発表)
キョウデンはツルガスパンクリート(大阪市)のスパンクリート製造・販売事業を買収し、コンクリート二次製品分野への進出を果たしました。既存の電子基板事業とは異なる分野ですが、事業多角化と関西地域での生産・物流拠点の確保を目的としています。
小野建による森田鋼材の子会社化(2019年10月1日発表)
鉄鋼製品の流通を主要事業とする小野建は、京阪神地区で鉄筋丸棒の切断・加工を行う森田鋼材を子会社化しました。鉄筋コンクリート用異形棒鋼の加工から販売、施工までトータルに対応できる体制を強化するとともに、地域での販売網を拡充する狙いがあります。
北越メタルとコーテックス(2020年3月3日発表)
新潟県の電炉メーカーである北越メタルは、鉄鋼一次・二次製品販売のコーテックスを買収しました。鉄筋コンクリート構造物の柱を地震から守るフープ筋の加工など、コーテックス工業が担っていた事業領域をさらに強化するためで、金属加工からコンクリート関連部材まで包括的に供給する体制を整えています。
ヤマウによる大栄開発の子会社化(2015年5月28日発表)
コンクリート製品製造販売を手がけるヤマウは、土木工事や地質調査を行う大栄開発を子会社化しました。九州一円に販売ネットワークを持つヤマウは、大栄開発が持つ工事部門や調査部門を取り込むことで、コンクリート製品の販売先拡大と工事案件への対応力を高めようとしています。
ヤマウの関連M&A
ヤマウはほかにも複数のM&Aを行い、九州から西日本エリアをカバーする事業展開を強化しています。
開成工業子会社化(2011年12月26日発表)
水門・堰などを製造する開成工業を子会社化し、水資源管理や防災分野に向けた事業を拡充しました。コンクリート製品と水門・堰などの組み合わせによる総合的なインフラ技術が見込まれます。
中外道路子会社化(2020年2月28日発表)
中外道路は、橋梁・高架道路用伸縮装置の製造や設置工事に強みを持ちます。ヤマウは九州地盤に対して、中外道路は西日本各地で橋梁関係の工事実績があり、公共投資のシフト先であるインフラ維持管理ビジネスの強化が期待されています。
極東開発工業によるグローバル展開
特装車大手の極東開発工業は、コンクリートポンプ車やミキサートラックなど建設機械の販売・整備拠点を拡大するため、国内外で関連企業を買収しています。
九州特殊モータース子会社化(2023年5月11日発表)
特装車整備・関連部品販売を行う九州特殊モータースを子会社化し、九州エリアの直営サービス工場として整備能力を強化しました。コンクリートポンプ車などの修理技術に強みがあり、販売促進やアフターサービスの向上を図る狙いがあります。
オーストラリアのIMAEA子会社化(2023年7月24日発表)
極東開発工業はオーストラリアに拠点を置く販売代理店IMAEAの株式を90%取得し、オセアニアでの事業拡大に乗り出しました。ミキサートラックやコンクリートポンプ車など日本で強みを持つ特装車を、オーストラリア市場でも一貫して販売・サービス提供できる体制を整えています。
日本ヒュームの海外・国内再編
ヒューム管など下水道・浸水対策向けコンクリート製品で実績を持つ日本ヒュームは、海外子会社の事業譲渡や国内メーカーの買収・売却を通じて選択と集中を進めています。
香港子会社の譲渡(2015年8月26日発表)
プレキャストコンクリート製品製造の香港法人をシンガポール企業に譲渡することで、ほかのアジア地域に経営資源を集中させる方針を示しました。
タイ子会社株式の一部譲渡(2019年12月3日発表)
タイ子会社NIPPON HUME CONCRETE(バンコク)の株式60%を現地企業に譲渡し、出資比率を15.95%へ低下させました。現地企業とのパートナーシップを構築して事業再生を図るという戦略的判断が背景にあります。
鋼商の子会社化(2024年1月5日発表)
金属・コンクリート製品加工の鋼商を子会社化し、管路用・基礎用などの金属部材加工技術をグループに取り込みました。多品種への対応を強化することで建設業界の幅広いニーズに応えられる体制を整えています。
岡部の米国建材事業強化(2021年10月7日発表)
岡部は建材メーカーの米国ヴィムコから製造事業を取得し、米国市場での生産体制を取り込みました。現地ニーズに合わせた供給を強化し、サプライチェーンの分断リスクを下げる狙いがあります。鉄筋コンクリート工事に使われるバーサポートやワイヤメッシュなどを手がける米子会社OCMを通じて、北米の建設市場でさらなるシェア拡大を目指しています。
宇部興産と三菱マテリアルのセメント事業統合(2020年2月12日発表)
宇部興産と三菱マテリアルは、国内外のセメント事業や生コンクリート事業、骨材・環境関連事業を統合し、新会社「UBE三菱セメント」を設立する方針を固めました。業界1位の太平洋セメントに次ぐ国内2位の大手となり、厳しさを増す国内のセメント需要に対し、スケールメリットを活かした安定供給と競争力強化が期待されます。また海外市場にも積極的に展開することで、事業全体の効率化と成長力の確保を図るという狙いがあります。
協和エクシオとコーケン(2018年8月30日発表)
通信インフラ工事で定評のある協和エクシオは、塗装工事業のコーケンを子会社化しました。コンクリート構造物や鋼橋梁などの重防食塗装・補修工事を専門とするコーケンの技術力を活用し、都市インフラの維持管理分野へさらなる進出を目指しています。
よみうりランドとオリエンタル白石の温浴施設譲渡(2009年11月26日発表)
よみうりランドは、会社更生中でプレストレスト・コンクリート工事を行うオリエンタル白石から温浴施設「稲城天然温泉 季乃彩」運営事業を取得しました。これは本業の遊園地やレジャー施設とのシナジーを高めるための買収であり、純粋なコンクリート関連事業のM&Aではありませんが、建設会社が保有していた非中核事業を外部に譲渡する例として興味深い事例です。
高見澤の中国子会社事業撤退(2018年10月10日発表)
高見澤は中国山東省で生コンクリートを製造・販売していた子会社・烟台市長野建材有限公司の株式95%を建設資材販売会社に譲渡し、市場撤退を決めました。事業開始当初の需要予測に反し、現地では競争が激化し収益の改善が見込めないと判断されたためです。海外市場でも成長期待だけではなく、撤退や再編を余儀なくされる事例として示唆的です。
ヤマックスとHOCヤマックス(2020年4月27日発表)
九州地盤のヤマックスは、コンクリート二次製品販売を行う関連会社HOCヤマックスの追加株式を取得し子会社化しました。新たに経営の主導権を握ることで、製造部門の統合を含めたグループ経営の効率化を図る狙いがあり、コンクリート製品事業のさらなる拡大に向けた動きといえます。
ヤマエ久野と日装建(2018年2月1日発表)
ヤマエ久野は、アパート・マンション、戸建住宅の設計・施工などを手がける日装建を子会社化し、鉄筋コンクリート(RC)建設分野への進出を果たしました。土地選定から施工、不動産管理までを一貫して行う日装建の事業基盤を取り込むことで、住宅・不動産関連事業の販路拡大と総合的なサービス提供を目指しています。
ヤマウと大分フジ(2008年12月22日発表)
ヤマウはコンクリート製品の製造・販売を行う大分フジを子会社化し、大分県での経営基盤を強化しました。同県を中心に行われる公共工事の需要確保と、九州全域の販路拡大に向けての一手です。
三井住友建設による三井E&S鉄構エンジニアリングの子会社化(2020年5月13日発表)
三井住友建設は、三井E&Sホールディングス(旧三井造船)の鉄構事業子会社・三井E&S鉄構エンジニアリングを子会社化し、鋼橋・沿岸事業へ進出しました。これは従来のコンクリート橋だけでなく、鋼橋の受注を取り込むための企業買収です。傘下にドーピー建設工業(札幌市)も含まれ、インフラ全般でのシナジーが見込まれています。
トーヨーアサノによる日本セグメント工業の譲渡(2023年2月28日発表)
トーヨーアサノはコンクリートパイル事業に集中するため、子会社の日本セグメント工業(シールド工法用コンクリートセグメントを製造)をフジミ工研に譲渡しました。シールド工法用セグメントはトンネルなどの需要に対応しますが、同社にとって非中核領域と判断されたことが譲渡の理由とされています。
ワールドホールディングスとRCハウジング(2018年11月30日発表)
ワールドホールディングスは民事再生中のRCハウジングの札幌地区における建売住宅事業を取得しました。RC住宅(鉄筋コンクリート造住宅)は耐久性・耐震性が評価される一方、価格面などの課題もあるため、集中的な地域展開が効果的と判断した事例です。
ハネックスと日本ゼニスパイプの経営統合(2011年4月1日)
下水道関連のコンクリート二次製品を得意とするハネックスと日本ゼニスパイプが経営統合し、共同持株会社ゼニス羽田を設立した事例です。業務提携を経て、生産拠点や販売体制を一本化し、コンクリート二次製品業界の競争激化を乗り切る目的がありました。
この後、ゼニス羽田は経営統合を重ね、下水道から道路、治水、農業用水など幅広いコンクリート製品をラインナップする大手グループへと発展しています。
ベルテクスコーポレーションの事業再編
ベルテクスコーポレーションはコンクリート二次製品業界の老舗として知られており、近年は生産拠点再構築のための事業譲渡・買収を積極的に行っています。
滋賀工場の松阪興産への譲渡(2022年12月1日発表)
子会社ベルテクスの滋賀工場における可変側溝事業を松阪興産に譲渡し、自社のコア事業にリソースを集中する狙いです。譲渡先の松阪興産は可変側溝に強みがあり、専門性の高い工場を取得することで効率的な生産が可能になります。
北関コンクリート工業の群馬工場譲渡(2024年6月28日発表)
同様に、子会社である北関コンクリート工業の群馬工場を松阪興産に譲渡し、生産体制の再編をさらに進めています。今後の需要見通しや立地条件を踏まえ、経営資源を最適配置する事例といえます。
ディーシーの子会社化(2020年2月21日発表)
下水道関連製品を中心にコンクリート二次製品を製造するディーシーを傘下に収め、九州北部エリアへの事業基盤拡大を図りました。地域ニーズに密着した製造と据付工事までをワンストップで提供できる体制を目指し、全国規模での事業展開が進められています。
ピーエス三菱による東葉製作所子会社化(2024年2月29日発表)
プレストレストコンクリート(PC)工事向け鋼製型枠や架設機材の設計・製作を手がける東葉製作所を子会社化しました。型枠事業の強化や技術部門の充実を図り、高度化する社会インフラ整備のニーズに応えようとする狙いです。PC技術と型枠・機材の設計製作技術が合わさることで、より高品質な橋梁や道路工事などで優位に立てる可能性があります。
フジ住宅と雄健建設グループ(2019年11月27日発表)
フジ住宅は大阪地場の雄健建設グループ3社を買収し、木造住宅だけでなく鉄筋コンクリートや鉄骨造の施工領域にも進出しました。施工体制を多様化し、顧客の要望に応じた幅広い住宅建設ソリューションを提供できる体制の強化とみられます。
ゼニス羽田ホールディングスとホクコンの経営統合協議(2018年2月9日発表)
コンクリート二次製品業界は全国に多くのメーカーが存在し、地域色が強いのが特徴ですが、ここへ来て業界再編が本格化している例がゼニス羽田HDとホクコンの経営統合協議です。東北〜関東を地盤とするゼニス羽田HDと北陸〜関西を地盤とするホクコンは、営業エリアの重複が少ないことから補完関係が強く、業務面・生産面での効率化が期待されます。
デイ・シイの生コン事業再編
デイ・シイは生コンクリートを製造販売する子会社を多数抱えており、川崎地区や静岡地区での事業再編に取り組んできました。
東亜コンクリート工業の子会社化(2010年2月12日発表)
川崎地区の第一コンクリートとの工場統合を見据え、東亜コンクリート工業を子会社化して生コン供給体制の効率化を図りました。
大東コンクリートヒダ興業の子会社化(2008年5月15日発表)
静岡県を中心に生コンクリートや組立式マンホールなどを製造する大東コンクリートヒダ興業を子会社化し、東海地区へ進出しました。地理的に離れたエリアへの参入により、自社グループの販売力強化を狙いました。
エバタ生コンの事業譲渡(2012年8月1日発表)
業績が低迷していたエバタ生コン(東京都葛飾区)の生コン事業を松戸生コンクリートへ譲渡し、グループ事業の収益改善と選択と集中を図りました。需要が見込めないエリアの撤退や統合も、コンクリート業界の重要な再編手法の一つです。
サイタホールディングスと朝倉生コンクリート(2024年6月24日発表)
サイタホールディングスは関連会社であった朝倉生コンクリート(福岡県朝倉市)の株式を追加取得し、子会社化しました。生コンや窯業建材・石材など多彩な製品を生産する企業であり、建設や砕石、環境事業などを行うサイタHDグループ全体のシナジーが見込まれます。
コニシによる近畿鉄筋コンクリートの買収(2013年11月19日発表)
接着剤大手のコニシは、橋梁や高速道路の床版工事などを手がける近畿鉄筋コンクリートを買収しました。建築用接着剤だけでなく、インフラ施工の技術を獲得し、補修・改修事業への販路拡大が狙いとされています。
タケエイによる再生骨材リサイクル企業の買収
産業廃棄物の収集運搬や中間処理、リサイクル事業を手掛けるタケエイは、コンクリートがらやアスファルトがらの再資源化を行う企業を積極的に買収しています。
池田商店の子会社化(2008年4月23日発表)
建設現場で発生するコンクリート廃材を再生骨材や再生砕石に加工する池田商店を子会社化し、建設リサイクル分野を強化しました。解体工事などの廃棄物を処理し、新たな資源として活用する循環型ビジネスモデルが注目されています。
橋本建材興業の子会社化(2012年10月16日発表)
長野県安曇野市を拠点とする橋本建材興業を買収し、アスファルトやコンクリートの再生骨材生産を拡大しました。グループ内で排出物のリサイクルを内製化し、原価低減と事業エリア拡大を同時に推進しています。
コンセックと丸金建設(2023年8月31日発表)
コンセックはコンクリート構造物切断などの特殊工事を主力としており、岡山県倉敷市の丸金建設を子会社化しました。土木工事や解体工事での実績を取り込み、公共工事や民間工事でコンクリート切断技術の需要に対応するシナジーが期待できます。
アジアパイルホールディングスの海外進出
くい基礎工事で使われるコンクリートパイルの大手メーカーであるアジアパイルHDは、東南アジア圏を中心に海外事業を強化しています。
シントク工業子会社化(2020年5月11日発表)
コンクリートパイル用継手金具などを製造するシントク工業を買収し、国内・ASEAN地域を含む安定的なサプライチェーンを構築しました。パイル生産の重要部品である継手金具を内製化することで、コスト削減と品質管理の向上を狙っています。
ベトナムFECON MINING子会社化(2018年8月20日発表)
ベトナムのコンクリート杭生産・建材販売会社FECON MININGを子会社化し、ベトナム北部地域での基礎工事関連事業を拡大しました。すでに南部ではPhan Vu社との協業で一定のシェアを持っており、北部へも本格的に進出する形です。
Vinaconex-Phan Vu Concrete子会社化(2014年10月24日発表)
ベトナムのVinaconex-Phan Vu Concreteへの増資参加により出資比率を高め、国内トップクラスのパイル製造・施工力をベトナム全域で確立する狙いがあります。人口増加と都市化が続くベトナム市場で、基礎工事需要が高まると見込まれます。
IHIによる石川島建材工業の完全子会社化(2012年2月3日発表)
IHIは保有割合53.46%だった石川島建材工業(コンクリートや鉄鋼製の構造部材を製造)をTOBによって完全子会社化しました。公共事業の縮小により同社は3期連続の純損失を計上しており、グループ内でのシナジー強化と上場維持コストの削減を狙った事例です。
SAAFホールディングスとユーシン(2024年11月26日発表)
地盤調査や改良工事を行うグループ企業を有するSAAFホールディングスは、場所打ちコンクリート杭工事を行うユーシン(東京都江戸川区)を子会社化しました。くい基礎や場所打ち杭の需要を取り込むことで、地盤改良から基礎施工まで一貫したサービス提供が可能となり、競争力を高める狙いがあります。
コンクリート業界における海外企業の動向
海外事例:Concrete Sensorsの買収(ヒルティ)
海外の建設関連テクノロジーの事例として、ヒルティによるConcrete Sensorsの買収が挙げられます。Concrete Sensorsは建築現場のコンクリート養生状態をリアルタイムで把握するIoTセンサを開発し、硬化や温度管理など施工品質向上に寄与する技術で注目されていました。これによりヒルティは現場施工向けの新たな付加価値サービスを拡充し、デジタルソリューション分野へ展開を図りました。
同様の動きとして、デジタル技術を取り込むために大手建設資材メーカーや工具メーカーがスタートアップ企業を買収するケースが世界的に増えています。これはコンクリート業界においても、施工の省力化や品質管理のデータ化が急速に求められている現実を反映しています。
M&Aによるシナジーと今後の展望
シナジー効果の具体例
M&Aによって得られるシナジーには、次のようなものがあります。
- 生産設備の統合によるコスト削減
- 販売・物流ネットワークの拡大・共有
- 補完的な製品ラインアップ獲得
- 技術力の向上や研究開発コストの分担
- 海外市場への参入や現地生産・販売体制の確立
- 人材やノウハウの確保・共有
コンクリート業界におけるM&Aは、競争力を強化するうえで非常に大きな役割を果たすと考えられます。単なる規模拡大だけでなく、技術的・事業的な補完関係が重要になります。
リスクと課題
一方で、M&Aには以下のようなリスクや課題も伴います。
- 買収価格の高騰による投資回収リスク
- 企業文化や経営方針の相違による統合プロセスの難航
- 過剰設備や人員の整理に伴う労使問題
- 海外進出における法規制や為替リスク
- 経営管理の複雑化
特に国内では公共事業への依存度が高い地域会社を買収する際、今後の公共投資見通しや地域人口の推移など外部要因が大きく影響するため、慎重なリスク評価が必要となります。
将来展望
日本国内では社会インフラの維持補修・更新が喫緊の課題とされ、プレキャストコンクリート製品の需要やコンクリート補修・補強工事の需要は一定の安定を保つ見通しです。また、自然災害への備えや防災インフラの整備もあり、既存インフラの耐久化や強化を図る動きは続くでしょう。一方で、新設の巨大インフラプロジェクトは減少傾向にあり、市場規模の拡大は限定的と見る向きが強いです。
よって、企業間競争がいっそう激化する中で生き残りを図るには、新技術の開発や海外市場への展開、新分野への進出が不可欠となります。そのためには研究開発コストや販売網の拡大、人材の確保が不可避であり、資本力やノウハウを補完し合うM&Aが引き続き有力な戦略となるでしょう。さらに、デジタルトランスフォーメーション(DX)の波が建設業にも押し寄せる中、IoTやAIを活用した施工管理や品質保証体制の構築を目的とするスタートアップ企業の買収も増加すると予想されます。
まとめ
本記事では、コンクリート業界で行われた多彩なM&A事例とその背景、シナジー効果やリスク、そして今後の展望について概観しました。公共事業の縮減や老朽化インフラへの対応、さらには海外展開や技術革新といった構造変化の中で、企業規模の大小にかかわらずM&Aは戦略的選択肢として定着しているといえます。特に、コンクリート構造物の補修・補強やプレキャスト製品の需要が堅調な一方、新たな資本投下や研究開発が欠かせない領域でもあり、企業同士の再編や連携が不可欠です。
また、IoTセンサやAI技術などの導入による施工プロセスの効率化・高度化は、コンクリート業界にとって大きなイノベーションの波となっています。業界全体でさらにデジタルシフトが進むことが予想される中、大手企業や海外メーカーによるテクノロジー系ベンチャー買収も頻度を増していくでしょう。海外においてもインフラ需要が続く新興国を中心に、生コン・セメント企業のグローバル競争が加速しています。
今後も国内外の情勢や建設投資の方向性によって、コンクリート業界のM&Aは新たな局面を迎える可能性があります。プレイヤーの統合が進む中で、各社がどのような差別化戦略を打ち出し、どのように持続的な成長を実現するのかが注目されます。コンクリート関連製品の品質向上だけでなく、環境対応やSDGsへの貢献、スマートシティ構想への対応など、業界を取り巻くテーマは多岐にわたっています。そうした状況下でのM&Aは、単なる企業の組み合わせではなく、未来のインフラのあり方を左右する意義ある再編ともいえるでしょう。
本記事が、コンクリート業界のM&A動向を俯瞰する一助となれば幸いです。今後も各社の動向や政策、技術革新の流れを追い続けることで、さらなる発展と新しい価値創造の可能性が見いだされることでしょう。

株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。