はじめに
M&A市場は近年ますます活発になっていますが、その裏側には注意すべきリスクも潜んでいます。特に、売り手企業からも手数料を取るM&A仲介会社は、その危険性が高く、慎重な対応が求められます。この記事では、そうした仲介会社の悪質な手口や、それによる被害を防ぐための方法について解説します。
売り手企業から手数料を取る仲介会社の問題点
1. 利益相反のリスク
売り手と買い手の両方から手数料を取る仲介会社は、利益相反のリスクを孕んでいます。仲介会社が売り手と買い手の双方から利益を得る状況では、中立性を保つことが難しく、結果的にどちらか一方に有利な条件を押し付ける可能性があります。特に、売り手企業にとって不利な条件で契約が進行するリスクが高まります。
2. 高額な手数料の負担
売り手企業が支払う手数料が高額になることは、M&A取引において重大な負担となります。多額の手数料を支払うことで、売却後の運転資金が不足し、企業運営に深刻な影響を与える可能性があります。売り手企業がこの負担を予測できずに契約を進めると、結果的に大きな損失を被ることになります。
3. 透明性の欠如
手数料の算定基準が不明確な場合、売り手企業は仲介会社に不当に高い手数料を請求されるリスクがあります。手数料の内訳が曖昧なまま契約を進めてしまうと、後から予期せぬ高額な請求を受ける可能性があるため、特に注意が必要です。
売り手企業が遭遇した失敗事例
事例1: 売り手企業が多額の手数料を請求されたケース
ある企業がM&A仲介会社に売却を依頼しました。しかし、売却後に仲介会社から予想外に高額な手数料を請求されました。この企業は、手数料の算定基準を確認せずに契約を結んでしまったため、結果的に運転資金が不足し、企業運営に大きな支障をきたしました。
事例2: 利益相反による不利な条件での契約
別の企業は、売り手と買い手の両方から手数料を取る仲介会社に依頼しました。その結果、仲介会社は買い手に有利な条件での契約を進め、売り手企業は予期しない損失を被ることになりました。利益相反のリスクが現実となった典型的な事例です。
事例3: 透明性の欠如による損失
ある売り手企業は、手数料の詳細を確認せずにM&A契約を締結しました。後に仲介会社から不当な手数料を請求され、透明性の欠如が原因で予期せぬ損失を受けました。このような事態を避けるためにも、契約前に手数料の詳細を確認することが重要です。
売り手企業が取るべき対策
1. 仲介会社の選定基準
売り手から手数料を取らない仲介会社を選ぶことが、最も重要なポイントです。仲介会社を選定する際には、その会社の評判や過去の取引実績を十分に確認しましょう。また、第三者の評価や口コミも参考にすると良いでしょう。
2. 手数料の透明性を確認する
契約前に手数料の算定基準を明確にするため、仲介会社に具体的な質問をすることが重要です。手数料の内訳や追加費用の有無をしっかりと確認し、不明点があれば契約前に解消するようにしましょう。
3. 複数の仲介会社と比較する
複数の仲介会社から見積もりを取り、手数料や契約条件を比較することが大切です。これにより、最も適切な仲介会社を選ぶことができ、過剰な手数料を支払うリスクを減らすことができます。
売り手企業として知っておくべき注意点
1. 契約前に専門家に相談する
弁護士や税理士などの第三者の専門家に契約内容を確認してもらうことが、リスク回避のためには不可欠です。専門家の意見を取り入れることで、契約内容に潜むリスクを事前に発見し、適切な対策を講じることができます。
2. 契約書の内容をしっかり確認する
契約書に記載された手数料に関する条項や、その他の費用について明確に理解することが重要です。契約書の内容をしっかりと確認し、疑問点があれば契約前に解決するようにしましょう。
3. 早期に不正を発見するための方法
定期的に仲介会社とのやり取りを確認し、異常に高額な手数料の請求や手数料の変更がないかをチェックすることが重要です。早期に不正を発見することで、被害を最小限に抑えることができます。
まとめ
売り手企業から手数料を取るM&A仲介会社の危険性は、企業にとって深刻なリスクとなり得ます。適切な仲介会社を選ぶことで、M&Aプロセスを安全に進めることができます。この記事を参考に、信頼できる仲介会社を見極め、安心してM&Aを成功させてください。
株式会社M&A Do 代表取締役
M&Aシニアエキスパート・相続診断士
東京都昭島市出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、大手M&A仲介会社にて勤務し、その後独立。これまで製造業・工事業を中心に友好的なM&Aを支援。また父親が精密板金加工業、祖父が蕎麦屋、叔父が歯科クリニックを経営し、現在は父親の精密板金加工業にも社外取締役として従事。